

【FPが解説】フリーランスの美容師が加入できる社会保険を知りたい。
※ 記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※ 文章表現の都合上、生命保険を「保険」と記載している部分があります。
※ 本文中に記載の保険に関する保障の条件は、保険会社によって異なります。詳しくはご加入の保険会社にお問い合わせください。
美容師には、会社員としてヘアサロンなどで勤務する以外にも、フリーランスになってシェアサロン(※1)や面貸し(※2)などを利用して働く方法があります。その背景には、開業するよりもハードルが低く、会社員として働くよりも自由に働けたり、働き方が収入に直結したりといったメリットがあるようです。
では、そのようなフリーランスになる場合、社会保険はどうしたらいいのでしょうか? 今回は、美容師の32歳・林さんが、ファイナンシャルプランナー(FP)の八木陽子先生に相談。加入できる保険の種類や、考えておくべきリスクについて教えてもらいました。
※1 フリーランスなどで働く美容師に向けて、個室や施術スペースなどを貸し出して営業している形態のヘアサロン。
※2 ヘアサロンのオーナーが自身の店舗の一角をフリーランスなどで働く美容師に向けて貸し出すこと。
目次
- フリーランスになることを検討中の美容師が社会保険についてFPに相談。
- フリーランスの美容師になるなら考えたい保険のこと。
- 働き方が変わると自分でリスクに備える必要がある?
- 働きやすいスタイルで美容師を続けるために、備えについて考えよう。
フリーランスになることを検討中の美容師が社会保険についてFPに相談。
会社員としてヘアサロンに勤務している美容師の林さんは32歳。独立する同世代の美容師も珍しくなく、林さんも自分自身の働き方について考えるように。そこで、フリーランスの美容師として活躍している友人に相談してみると……。

フリーランスの美容師になるなら考えたい保険のこと。
──会社員として働いているときは意識したことがなかったんですが、フリーランスでも保険は必要なのでしょうか?
そうですね、必要です。保険には、国や公的な団体が運営する「社会保険」と、民間の保険会社が運営し、自分自身のニーズに合わせて加入する「民間保険」があります。前者の社会保険には、フリーランスであっても加入する必要がありますよ。
社会保険とは?どうして入るの?
──どうして社会保険に加入しないといけないのでしょうか?
私たちの生活には、病気やケガ、失業など思いがけないリスクが潜んでいます。そういった事態に直面したとき、場合によっては多額のお金が必要になってしまうかもしれません。そんな大金がいきなり必要になったら、多くの人は困ってしまいますよね。
そうしたときのために、皆が普段から少しずつ保険料を支払っておくことで、社会全体でリスクに備える制度が社会保険です。条件を満たせば、いざというときに必要なお金やサービスが受け取れます。リスクは誰しもにあるからこそ、皆が加入して支え合うことが大切ですよね。
フリーランスになったら自分で手続きをして社会保険に加入する。
──会社員からフリーランスになると、社会保険はどのように変わるのでしょうか?
会社に勤めている人は、一般的に5つの社会保険に加入しています。「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「労災保険」「雇用保険」です。これら社会保険の保険料は雇用主である会社が、保険の種類によって半額~全額を負担しています。
一方、フリーランスの人の場合は、「健康保険」「国民年金保険」に自分で手続きをして加入することになります。
社会保険の種類
概要 | 保険料負担 (会社員) | 保険料負担 (フリーランス) | |
健康保険 | 病気やケガに備える | 基本的には会社と従業員で折半 | 国民健康保険などに加入。保険料は基本的に全額自己負担 |
年金保険 | 老後や障害を負ったときなど、将来働けなくなったときに備える | 厚生年金保険に加入。保険料は会社と従業員で折半 | 国民年金保険に加入。保険料は全額自己負担 |
介護保険 | 要介護状態と要支援状態になった場合に備える。40歳以上の人が被保険者として加入する | 会社と従業員で折半 | 全額自己負担 |
労災保険 | 業務上の事故など業務に起因する病気やケガに備える | 会社が全額負担 | 基本的に加入できない(※) |
雇用保険 | 失業・休業の場合に備える | 会社と従業員の双方が負担 | 加入できない |
※ 2024年11月から特定受託業務に従事する人(特定フリーランス事業)が、労災保険の「特別加入」の対象となります。
フリーランスの美容師が加入できる健康保険は?
──健康保険や年金保険は知っています。フリーランスは国民健康保険に加入することになるんですよね?
多くの人は「国民健康保険」に加入すると思いますが、選択肢は国民健康保険以外にもあります。種類やそれぞれの条件をよく確認して、検討してみてくださいね。

※ 東京美容国民健康保険には、東京都内に事業所を構え、美容の業務を営んでいるなどの加入要件があります。
──もし国民健康保険に加入した場合、会社の健康保険とはどのような違いがあるのでしょうか?
会社の健康保険であれば、病気やケガで働けなくなったときに傷病手当金を受け取れます。しかし、国民健康保険にはそうしたセーフティーネットがありません。

国民年金保険の加入方法は?従業員を雇う場合の保険は?
──国民年金保険も自分で加入手続きをしなければならないんですよね。
そうですね。居住する自治体での手続きが必要です。退職日の翌日から14日以内に手続きをしなければならないので注意してください。
──国民年金保険と厚生年金保険では何が違うのでしょうか?
厚生年金には国民年金が含まれているので、厚生年金保険に加入していると、老後は国民年金と厚生年金のどちらも受け取れます。つまり、会社員のほうがフリーランスよりも老後の保障は手厚いということになりますね。
──ちなみに、自分で従業員を雇った場合、加入する保険は変わりますか?
労災保険と、従業員の条件に当てはまる場合は雇用保険に加入する必要があります。健康保険や年金保険は事業形態などによって異なるので、会社の住所がある管轄の労働基準監督署や公共職業安定所などに相談してみるといいでしょう。

働き方が変わると自分でリスクに備える必要がある?

ここまではフリーランスになるなら知っておきたい社会保険について、FPの八木先生から解説していただきました。一般的に、フリーランスは会社員に比べてセーフティーネットが少ないため、働けなくなったときなど、もしものときに備えておきたいものですね。以下で、そんな、もし働けなくなったときに備える就業不能保険について紹介します。
就業不能保険とは?
就業不能保険は、病気やケガによる入院などで一定期間働けなくなって収入が減少する・途絶えるリスクに備えられる保険です。医療費や生活費をカバーできるため、セーフティーネットが少ないフリーランスにも適した保険といえるでしょう。なお、保障内容は保険会社や商品によって異なります。

入院2週間から備えられる第一生命の就業不能保険。
第一生命の「就業不能保険(無解約返還金)(2019)」は、病気やケガによる入院など所定の働けない状態が14日以上継続した場合に、給付金を受け取れる保険です。一例として、林さんと同じ32歳男性、給付金月額20万円の場合をシミュレーションしてみましょう。

※ 契約は10年ごとに更新して、所定の限度まで継続できます。更新後の保険料は更新日における被保険者の年齢および保険料率によって再計算するため、同じ保障内容であったとしても、更新前の保険料とは異なります。
※ 契約時に第一生命所定の要件を満たす健康診断書等を提出することで、健康診断基本割引保険料が適用されます。また、健康状態が所定の要件を満たせば、健康診断優良割引保険料が適用されます。
収入が不安定になるかもしれないフリーランスとして安心して働くためには、保険料負担が少しでも小さくなるのはありがたいもの。病気やケガによる入院などに備えられる第一生命の就業不能保険は、心強い味方になるのではないでしょうか。
働きやすいスタイルで美容師を続けるために、備えについて考えよう。
フリーランスは、自分の働き方を自分で決めやすくなる魅力がある一方、会社がやってくれていた社会保険の支払いや手続きは自分でやらなくてはなりません。傷病手当金といった類のセーフティーネットも少なくなります。
自分の働きやすい環境で、少しでも長く美容師を続けるためにも、フリーランスが加入できる社会保険について理解した上で、さまざまなリスクや将来に対して、どうやって備えていくかを考えることが大切です。


イラスト/かりた
【監修者】八木 陽子
ファイナンシャルプランナー。
東京都在住。1男1女の母。出版社勤務を経て独立。2001年、ファイナンシャルプランナーの資格を取得後、マネー記事の執筆やプロデュース、セミナーなどの仕事を行う。2008年、家計やキャリアに関する相談業務を行う株式会社イー・カンパニーを設立。著書に『マンガでカンタン!お金と経済の基本は7日間でわかります。』(Gakken)など。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
※ 掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。
※ 記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。
※ この記事は、2024年8月時点の商品の概要を説明したものであり、契約にかかるすべての事項を記載したものではありません。検討にあたっては「保障設計書(契約概要)」など所定の資料を必ずお読みください。また、契約の際には「重要事項説明書(注意喚起情報)」「ご契約のしおり」「約款」を必ずお読みください。