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(前編)雅姫 「憧れ」の裏側にある、努力と苦労の積み重ね。

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原宿で雑誌『anan』の読者モデルにスカウトされたのが19歳のとき。3年後、日本中がサッカーブームだった当時、Jリーガーと結婚し、その後出産。自分の娘に着せたいシンプルな子ども服がないと思い、ブランドを立ち上げたのが27歳。そのブランドが2021年、22周年を迎えた。
世の女性たちの憧れであり、そのライフスタイルは常に注目の的である雅姫さんのプロフィールをかいつまんで書くとこんな感じ。
なんだかとっても恵まれた人。そんな印象をもたれる雅姫さんは、今やインスタグラムのフォロワーは21万人超え。彼女が日々どんな料理をつくり、どんな器を使うのか、何を身につけ、選ぶのか、多くの女性が敏感に反応する存在です。でも実際の人生は……。お話を伺うと、決して順風満帆だったわけでなく、さまざまな苦労と努力の積み重ねがあり、今の素敵な雅姫さんがあるようです。

サッカー選手の夫の引退。さあ、どう暮らす?


―世の中の女性たちが憧れる人生のように思えますが。

 

いえいえ、そんなことはないんです。ブランドの立ち上げも、当時娘に着せたい服を作りたいと思って立ち上げたのは事実ですが、むしろ夫(現在はデザイナーの森敦彦氏)が急にサッカー選手を辞めると言いだし、どうしよう、それじゃあ私が働かなきゃと考えたのも事実です。でもせっかく働くのなら自分の好きなことをやりたいと、洋服のことを勉強したことがない私でしたが、手探りでゼロから立ち上げました。最初は自由が丘にほんの9坪の小さなお店。当時、娘はまだ3歳で、店のバックヤードにブランケットを敷いて寝かせながらの店番という状態で、娘の機嫌や体調に合わせて閉店時間を決めるようなマイペースな店でした。

1990年代前半の雅姫さんの写真
モデルデビュー直後、『anan』880(1993年7月16日)号の表紙を飾った雅姫さん。写真/板野賢治 (C)マガジンハウス

 
―子育てをしながら、女性誌には毎月のように暮らしの提案をし、著書は50冊にも及ぶほど。ファッション、ライフスタイルに関するさまざまな発信をし続けてきました。

 

そこに大型犬の飼育という項目も加えてください。ある意味、子育てより大変だったから(笑)。1日が30時間あればいいのにと思ったほど。それは今も一緒です。でも20年以上こういう生活をしていると、予定どおりにいかなくてもあきらめがつくし、忙しさに慣れちゃったのかなとも思います。写真に切り取られると、お洋服をデザインし、好きなものに囲まれたゆったりとした生活に見えるかもしれないけど、20代のときはそれこそ子どもがいて、そこに大型犬2頭が入り混じり、おしゃれとは無縁のスニーカーしか履けないような生活でした。娘が25歳になり、子育ては終わりましたが、休みの日にも仕事のことを考えています。でも“好き”を仕事にしているから、忙しさが苦になりません。以前、取材で行ったスリランカで占ってもらったんですが「87歳までうるさいおばあさんとして働く」って言われましたから(笑)、まだまだがんばろうと思います。

雅姫さんの自宅のコーナー
2021年、念願のリフォームをしたキッチン。白いタイルとグレイッシュな壁。コーナーに飾ったのは娘が描いた絵と花。

忙しさに押しつぶされず、自分の時間をつくる。

―そんな忙しい生活をずっと続けられる秘訣はありますか?

 

家族が起きてくる前に少しだけ早起きし、犬と一緒に庭に出て花の手入れをしたり、太陽の光を浴びたりするとリセットできます。また忙しいときに限って、頭の切り替えのために模様替えがしたくなるんです。そうして家具を動かすと「あれ、ここ汚い」と掃除のきっかけになるんですよね。掃除して部屋がきれいになると、気持ちがすっきりして「さあ、また仕事しよう」という前向きな気持ちになれるんです。忙しさに押しつぶされず、自分の時間をつくる。犬との散歩も、私にとってはとてもいい運動と気分転換になります。


―雑誌やご自身の著書にもたびたび登場するご自宅。そこに映るインテリアやしつらえ、何気ないお花の飾り方に憧れている女性がとても多いですね。

 

ギャラリーのような生活感のない部屋は落ち着かないんです。むしろ新しいものと古いものが混在した、ドアノブを引っ張るのにコツがいるような家に惹かれるんです。私の店もいわゆる“ショップ”ではなく、入り口ではグリーンが出迎え、使い込んだ什器が並ぶ、訪れた人がホッとするような空間でありたいと心がけてつくっています。もともと両親が家の中を“飾る”ことが好きで、母はお花をしつらえ、食事のときも庭から摘んだ季節の葉を料理の下に敷いて四季を大切にする人。父はコマやお面を集めていて、それを飾る場所を自ら材料を集めてつくっていたユニークな人です。そんな環境で育ったからか、私も模様替えや飾ることを昔から自然とやっていた気がします。

 

店内のディスプレイをする雅姫さん
『クロス&クロス』の店内には、アンティークの鏡とウイリアム・モリスの“フルーツ”という柄の壁紙。

22年間ブランドを続けられたモチベーションとは。

―そんな雅姫さんのセンスと想いが詰まった『ハグ オー ワー』は子ども服やレディスの服を扱うお店、2店舗目の『クロス&クロス』はもう少し暮らし寄りで、洋服とともに器やクロス、お茶など、暮らしまわりのものを扱うお店です。

 

最初に立ち上げた『ハグ オー ワー』は、子ども服からはじめて、その後お母さんも着られる服が欲しいとリクエストをいただいてレディスを立ち上げたブランドです。『クロス&クロス』はその5年後に立ち上げました。私自身が使ってきてよかった器や生活まわりのものをそろえ、『ハグ〜』よりさらに上質な素材やディテールにこだわったデザインの服を扱っています。自分が着たい服をずっとつくっているのは変わらないし、いくつになっても花柄やカラフルなニットも好き。でも40代になったころから似合うものがそれまでと同じではないことに気づき、好みも少しずつ変わってきました。昔はコットンをはじめ、天然素材のものが好きでしたが、今はデザインに合わせて幅広い素材を扱っています。デザイナーとしては上質な素材も追求したいし、昔から好きなコットンの花柄や刺繍といったテイストも残したい。そこで、仕上がったものの中でビンテージ風のものは『ハグ〜』、少しスタイリッシュなものは『クロス〜』という風にブランド分けしている部分もあります。

 

―2019年には3店舗目とでもいうべきショップを、初の関西に出店しました。

 

川西阪急という百貨店さんから出店のお誘いをいただき『クロス&クロス』の名前で『ハグ〜』も『クロス〜』の商品をどちらも見られるお店を出しました。中心部というより、少し郊外のお店になりますが、それもうちのブランドらしいかなと思って。お休みを利用してわざわざ関西から買い物に来られたお客さまとも、お付き合いしやすくなりました。

 

これまで雅姫さんが手がけたカタログ
小さい娘とともにロンドンやパリを訪れ、モデルとして服も着せて撮影した昔の『ハグ オー ワー』のカタログ。その世界観に憧れて、親子で『ハグ〜』の服を楽しんだという顧客も多い。


―ここまでブランドが続けられた理由は?

 

ブランドを立ち上げた当初からの自分の“好き”がブレなかったことでしょうか。最初は「ブランドが3年もてばいいよ」と先輩方には言われました。でも幸い、雑誌に掲載された私や娘が着る『ハグ〜』の服が注目され、一冊の本をつくる気持ちで取り組んでいた通販のためのカタログが大反響。こんなにも自分に共感してくれる人がいるんだと、大きな自信につながりました。店を維持しながら、年に3、4回のカタログ製作は本当に大変でしたが、子育てもしながら毎日が無我夢中。3年なんてあっという間に経ち、気づけば5年、10年、そして今や22年という感じです。


そうして迎えた2021年の22周年。しかしその数年前、雅姫さんにとって人生最大の困難とも言える出来事が続きました。私はブランドを続けていけるのだろうか? そんな辛い時期をどのような気持ちで、どう乗り越えたのでしょうか。


(後編)雅姫 「憧れ」の裏側にある、努力と苦労の積み重ね。
「最後は人だよ」――親からの言葉とともに乗り越えた困難。



文/今井 恵 写真/大森忠明 ヘア&メイク/岩井裕季


雅姫
まさき●1972年、秋田県横手市出身。モデル、『ハグ オー ワー』『クロス&クロス』のデザイナー。ファッションからインテリア、料理まで、ライフスタイル全般にわたって独自のセンスを発揮。著書も多数で近著に、自宅のキッチンのリフォームの様子から完成までを紹介した『わたしの理想のキッチン IDEAL KITCHEN』(集英社)がある。


※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
※ 掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。
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