mv_2202_08_PC.jpg のんさんインタビューメインビジュアル

(前編)のん 演じること、映画を監督することの楽しさと、ものづくりのモチベーション。

投稿日:
更新日:
#人と暮らし
お気に入り
     

「女優・創作あーちすと」の肩書きのもと、ジャンル問わずさまざまな表現活動を続けているのんさん。2022年3月現在、脚本・監督・主演作の『Ribbon』が公開中です。コロナ禍で青春を奪われた美大生を主人公にした『Ribbon』の制作秘話を手がかりに、のんさんがものづくりで大事にしていることや自身の転機、さらには創作あーちすととしての夢まで、たっぷり語っていただきました。のんさんにとっての幸せや、思い描いている未来とは?

体調がいいと気力が湧きます。

──まずは近況からお聞かせください。最近、生活の中で何か変化はありましたか?

 

自炊することが多くなりました。もともと料理はしていたんですが、最近はさらに頻度が高くなって、スープをよくつくっています。

 

──なぜスープを?

 

簡単だし、おうちでつくって食べたほうがお野菜がとれて体調もよくなる気がするんです。体調がいいとやっぱり気力が湧くし、仕事のためにもなりますから。最近つくっているのは、お野菜、つくね、チーズ入りのウインナーに、香味野菜を加えたコンソメスープです。めちゃくちゃおいしいですよ。簡単なのにおいしいから得した気分になります。

近況を語るのんさん

  ──マイブームもお聞きしようと思ったのですが、やっぱりスープでしょうか。

 

マイブームは……あ、編み物! 冬になると毎年お店で毛糸を見かけて欲しくなって買うんですけど、今まで完成させた試しがなかったんです。途中で「ああ、無理だ!」となってしまって。それでもめげずに昨年末に同じようにはじめたところ、なんとマフラーを編みきることができました! その成功体験もあって、合計3点の編み物をつくりました。初めてつくりあげたにしてはいいものができたと思うので、点数をつけるとするなら80点くらいです(笑)。

 

映画『Ribbon』をつくろうと思ったきっかけ。

──スープ、編み物と、何かをつくることがお好きなんですね。そんなのんさんが脚本と監督、主演を務めた映画『Ribbon』が公開中です。この映画をつくろうと思ったきっかけは?

 

きっかけは、コロナ禍です。2020年の2月に私が主催する『NON KAIWA FES』というフェスを控えていたのですが、コロナの感染が広がってきたので中止の決断をしました。それがすごくくやしくて。致し方ないと割り切って中止にしたはずなのに、そのことを皆さんに伝えなきゃならないときにすごく嫌で、「こんなにまでやりたかったんだ」と痛感しました。そういう思いを昇華させたかったのと、いろんなお仕事が先延ばしになったり中止になったりして、おうち時間を過ごすなかで、「ずっとこうしてはいられない」と思い、映画をつくることにしました。

映画『Ribbon』(C)「Ribbon」フィルムパートナーズ
映画『Ribbon』劇場公開中&デジタル配信中
(C)「Ribbon」フィルムパートナーズ

  
──監督作としては『おちをつけなんせ』に続く2作目になりますね。

 

前作は「のんが映画を撮る」というドキュメンタリーがメインの作品でした。1人で映画を撮れるのかというチャレンジ企画だったのですが、今回はたくさんのスタッフの皆さんに私が描きたいものをどうやって伝えるかということにものすごく注力してつくりました。もともと私は人に説明をするのが苦手で、音楽や絵や演技で表現することで人と会話している気持ちだったので、スタッフの皆さんにやりたいことを伝えるために自分でイメージボードをつくって見てもらったんです。『Ribbon』はリボンが印象的に登場する映画にしたかったので、実際にリボンをボードに貼り付けて、映像のイメージを伝えました。

 

──リボンにはどんなこだわりが?

 

リボンは、主人公のいつかの感情が動いたときに現れるものとしてイメージしていました。たとえば気持ちが沈んでいるときはリボンの色を青にしたり、それぞれの動きにもこだわりました。リボンの特撮には樋口真嗣監督と尾上克郎監督に入っていただいたのですが、私が撮りたいものを伝えたら、思いもよらないやり方で撮影されていったので、すごく刺激的でした。おふたりのおかげで、すごくいいリボンが撮れました。

のんさんが制作した『Ribbon』のイメージボード
のんさんが制作した『Ribbon』のイメージボード

笑いやユーモアは、すごく大事な部分。

──『Ribbon』はくやしい思いが出発点だったとのことですが、ところどころに笑いの要素が入っていたのも印象的でした。

 

笑いやユーモアは、すごく大事な部分です。物語の背景がハードなぶん、ハードな部分だけを見るとダメージが大きすぎるので、笑いを入れたかったという思いがありました。それともう1つ、友達と楽しく話をしていても電話を切ったあとにすぐ落ち込んでしまうような、そういうふとした瞬間にこそリアルがあるというのを感じていて、それを際立たせるために対比的に楽しいシーンを入れたという面もあります。明るい空気で観る人の心をほぐせたら、ハードな部分も受け入れやすくなるんじゃないかなと。

 

──ユーモアの面では、特に主人公いつかが一人暮らしをしているアパートに家族がやって来るシーンは笑いが満載でした。

 

家族がやって来るシーンは嵐のようなイメージでつくりました。嵐が来て、去っていって、「騒がしかったけど、いなくなったら寂しいな」という。私、コロナ禍になるまで全然実家に帰りたいと思ったことがなかったんですけど、いざ帰省を封じられたとたんに「会っておかないとやばいかも」という気持ちがすごく芽生えてきて。いつかも、率先して実家に帰ったりはしないけど、無理矢理家族が押しかけてくれてうれしかったのかなと思いました。

映画『Ribbon』を語るのんさん

──『Ribbon』をどんな人に観てもらいたいですか?

 

コロナ禍で表現の場を奪われたり、くやしい経験した人たちの気持ちが報われるような作品をつくりたいと思っていたので、特にそういう思いをした人に観てもらいたいです。この映画の主人公は美大生で、コロナによって卒業制作展が中止になってしまいます。美大生だけに限らず、学生の皆さんにとって1年、2年というのはすごく大きいと思うんですね。人生の序盤の大事な一部がごっそり抜けてしまうのは本当に苦しいことなので、くやしくて悲しい思いを抱えている人たちに届けたいです。

演じることは自分なりに解釈するおもしろさがある。

──のんさんにとって、演じることと監督することのそれぞれの楽しさはどんなところにありますか?

 

演じることは、誰かが書いたメッセージや監督がつくりたいイメージを自分の体を使って具現化することだと思っていて、自分なりに解釈するおもしろさがあります。「自分の肉体や声やキャラクターをどう使えば、この役と共鳴できるのかな?」と考えるんです。自分の演技で人が感動して、笑ってくれたり、一緒に泣いてくれたりすることにもやりがいを感じます。

 

──監督の楽しさはいかがでしょうか。

 

監督は、ずっとアドレナリンが出ていて、どんな画にしたらこの作品はよくなるんだろうと、朝から晩までフルで考えているような状態になれるところが好きです。朝起きた瞬間から頭がバキーンとさえて、めちゃくちゃ集中できるんですよね。チームみんなでやったことがカチッとハマったときも気持ちいいです。自分が意図したものが全部含まれていて、そのうえで想像を超えたものが出てきたときには「よっしゃ!」って。人とつくるおもしろさがすごくあると思います。

演じること、監督することの楽しさを語るのんさん

──ものづくりにおけるモチベーションはどこから湧いてきますか? 

 

最初は“怒り”や“くやしさ”からモチベーションが湧くことが多いです。長い期間みんなと一緒につくる場合は、楽しい気持ちや驚きとかが創作意欲につながっていくんですけど、脚本を書いたり、絵を描いたり、曲をつくったり、1人でものをつくるときの原動力は“怒り”がガソリンになります。私には、とっておきの感情ですね。

インタビュー後編では、のんさんにとって転機となった作品や未来への夢などをうかがいました。のんさんが目指している10年後の姿とは?


(後編)のん 最初は「失敗しても楽しむぞ」という気持ちが大事! へ
「ずっと何かをつくり続けることが夢」(ミラシル会員限定記事)  


取材・文/遠藤敏文 写真/森好弘 ヘアメイク/菅野史絵 スタイリング/町野泉美


のん
のん●1993年生まれ、兵庫県出身。2016年公開の劇場アニメ『この世界の片隅に』で主人公すずの声を演じる(第38回ヨコハマ映画祭「審査員特別賞」受賞)。2017年、自身のレーベル『KAIWA(RE)CORD』を発足。2018年に展覧会『‘のん’ひとり展‐女の子は牙をむく‐』を開催するなど、“創作あーちすと”としても活躍。2020年、映画『星屑の町』『8日で死んだ怪獣の12日の物語─劇場版─』『私をくいとめて』(日本映画批評家大賞「主演女優賞」受賞)などに出演。脚本・監督・主演を務める映画『Ribbon』は劇場公開中&デジタル配信中。


 

お気に入り
     
キーワード
#人と暮らし #趣味 #仕事 #食事
関連する記事
のんさんインタビューメインビジュアル のんさんインタビューメインビジュアル
(後編)のん 最初は「失敗しても楽しむぞ」という気持ちが大事!
投稿日:
#人と暮らし
mv_2203_10_SP.jpg mv_2203_10_SP.jpg
アラサー会社員、再びアイドルを目指す!? (後編)
投稿日:
#人と暮らし
漫画タイトルメインビジュアル 漫画タイトルメインビジュアル
アラサー会社員、再びアイドルを目指す!? (前編)
投稿日:
#人と暮らし
大事なパーツ(後編) 大事なパーツ(後編)
大事なパーツ(後編)
投稿日:
#人と暮らし
最近の記事
Ayumi Takahashiさんインタビューメインビジュアル Ayumi Takahashiさんインタビューメインビジュアル
自分にしかできないことを見つける──。アーティスト・Ayumi Takahashiさんが大事にしていること。
投稿日:
#人と暮らし
20代がお金を増やす方法って?時間と制度を味方に賢く貯めよう。【お金の専門家監修】 20代がお金を増やす方法って?時間と制度を味方に賢く貯めよう。【お金の専門家監修】
20代がお金を増やす方法って?時間と制度を味方に賢く貯めよう。【お金の専門家監修】
投稿日:
#お金
mv_2203_10_SP.jpg mv_2203_10_SP.jpg
アラサー会社員、再びアイドルを目指す!? (後編)
投稿日:
#人と暮らし
漫画タイトルメインビジュアル 漫画タイトルメインビジュアル
アラサー会社員、再びアイドルを目指す!? (前編)
投稿日:
#人と暮らし
mirashiru_kaiinntouroku.jpg
ミラシルの会員特典ご紹介!
投稿日:
#人と暮らし
ショートムービー
EXILE / 三代目JSB 小林直己さん主演ミラシル限定短編ドラマ「アイの先にあるもの」
投稿日:
#人と暮らし