医療保険はいらない?加入の必要・不要を判断するポイントをFPが解説。 医療保険はいらない?加入の必要・不要を判断するポイントをFPが解説。

医療保険はいらない?加入の必要・不要を判断するポイントをFPが解説。

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※ 記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※ 文章表現の都合上、生命保険を「保険」と記載している部分があります。
※ 本文中に記載の保険に関する保障の条件は、保険会社によって異なります。詳しくはご加入の保険会社にお問い合わせください。

「医療保険はいらない」――そんな考えをもっている人も少なくないかもしれません。特に若い人であれば、病気といっても風邪をひく程度で、病院に行くなんてことはほとんどない人もいるでしょう。毎月の出費を少しでも抑えたい!となれば「医療保険はいらない」と思うものかもしれません。しかし、本当にそうなのでしょうか。

看護師経験をもつファイナンシャルプランナーの黒田ちはるさんが、医療保険はいらないといわれる理由や、医療保険に加入すべきかどうかの考え方を解説します。

目次

医療保険がいらないといわれる理由。

医療保険がいらないといわれる理由。

「医療保険はいらない」と考えられるのには、いくつか理由があるようです。特に20代~30代の健康に自信のある若い人ほど、加入をためらってしまうものかもしれません。一般的に「医療保険は不要」といわれる理由をみていきましょう。

理由1:公的医療保険制度が充実しているから。

公的医療保険には「高額療養費制度」があります。これは、かかった医療費の自己負担金額が決められたひと月の限度額を超えると、払い戻しを受けられる制度です。自己負担の限度額は年齢や収入に応じて異なります。

たとえば、69歳以下で年収約370万円未満であれば、自己負担限度額は5万7,600円です。

また、69歳以下で年収約370万円〜約770万円であれば、1か月の自己負担限度額は9万円程度となります。(8万100円+(総医療費-26万7,000円)×1%の計算式で算出。)

入院・手術代が数十万円かかったとしても、基本的には自己負担限度額以上の支払いはないでしょう。「1か月に9万円くらいの支払いなら、なんとかなる」と思うものかもしれません。

参考:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」

理由2:平均入院日数が短くなってきているから。

入院日数は、年々短くなってきています。厚生労働省の調査によると、1990年の平均在院日数は44.9日でしたが、2020年には32.3日にまで短くなっています。

参考:厚生労働省「患者調査の概況」(2020年)

理由3:特に若い人は入院するリスクが低いと考えているから。

2020年の厚生労働省の調査によると、入院受療率(人口10万人に対する患者数)は、20歳~24歳が141人、25歳~29歳で198人となっています。

たしかに、10万人に2,512人が入院している65歳以上と比べれば、若者が入院するリスクは低いといえそうです。

参考:厚生労働省「患者調査の概況」(2020年)

理由4:保険にお金をかけるなら投資に回したほうがいいと考えているから。

使うかわからない医療保険の保険料を月々支払うくらいなら、それを投資に回し「お金を育てたほうがいい」と考える人もいます。

掛け捨てタイプの医療保険だと、もったいないと感じてしまうものかもしれません。

医療保険が必要・不要を判断するポイント。
医療保険が必要・不要を判断するポイント。

「入院や手術なんてめったにないし、もしそうなっても負担は限定的」というのが、「医療保険はいらない」と考える主な理由のようです。

しかし、めったにないとしても、入院や手術などは起こらないとも限りません。思わぬ出費に備えるのが医療保険です。ここからは医療保険が必要か不要かを判断するためのポイントを解説します。

ポイント1:公的医療保険制度では保障できない部分を考慮する。

高額な医療費が発生した場合、自分で負担する金額には上限があると前述しました。しかし、入院にかかる費用には、高額療養費制度の対象にならないものがあります。

たとえば、個室病室を利用した場合にかかる差額ベッド代。厚生労働省の調査によると、1人部屋病室は1日当たり平均8,221円となっています(2020年7月1日時点)。単純計算で、5日入院しただけで4万円以上になります。

参考:厚生労働省「主な選定療養に係る報告状況」(2021年)

また、食事代や病衣・タオルなどのリース代なども自己負担となるケースがほとんどです。そのほか、通院や入院の際に公共交通機関が使えず、タクシーを利用するなんてこともあるでしょう。

生命保険文化センターの調査によると、入院時の自己負担費用の平均は20万8,000円。病気やケガをすると、入院治療費以外にも思わぬ出費があるのです(※)。

※ 治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品などを含む。高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額。

参考:公益財団法人 生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」

ポイント2:入院や手術の費用が家計を圧迫する可能性があるか確認する。

十分な貯蓄があれば、自己負担がそれなりの金額になっても困ることはないのかもしれません。しかし、社会に出て間もない20代の人は、そこまで預貯金が多くない場合が多いのではないでしょうか。

また、貯蓄から支払うことはできたとしても、夢や目的があってためてきたお金を、病気やケガの治療のために使うことは本意ではないはず。

入院や手術費用を支払うことで家計を圧迫するか、ほかの何かをあきらめなくてはならなくなるかどうか、考えておきましょう。

ポイント3:若くても入院・手術が必要になる場合も十分にあると把握する。

高齢者に比べて、若い世代が病気で入院をする確率は低いのはたしかでしょう。しかし、虫垂炎などは比較的若い世代でも発症するのが珍しくない病気です。

また、入院が必要となるのは、病気だけではありません。交通事故の死傷者数をみると、20代は年間約6万人です。

病気やケガをすると、誰もが「なんで自分が」と思うものです。「自分だけは大丈夫」ということはありません。

リンク:ミラシル「まさかの入院になるかも!20代男性が入院しやすい疾病を3つ紹介。」

参考:警察庁交通局「道路の交通に関する統計」(2021年)

ポイント4:もしものときに金銭的な余裕をもっていたいか考える。

思わぬ病気やケガに見舞われたとき、自分の体のことだけでなく、仕事のことや収入のことなど、たくさんの不安に襲われます。

そんなとき、医療保険に加入していれば、少なくとも金銭面での不安を軽減できるでしょう。

自分が必要だと思う保障のぶんだけ医療保険で備えよう。

自分が必要だと思う保障のぶんだけ医療保険で備えよう。

では、もしもケガや病気で入院や手術が必要になった場合、医療保険でどの程度カバーできると、ひとまず安心できるのでしょうか。そんな視点で医療保険の選択を考えてみるといいでしょう。

非正規雇用の場合は要注意。

入院・手術のリスクについてとりあえず備えておきたい、という人は、最低限のコストで入れる医療保険に「安心」のために加入しておくことをおすすめします。

ただし、正規雇用か非正規雇用かで、考え方は異なります。非正規雇用の場合は、入院となればその間の収入に影響が出る場合もあるでしょう。また、傷病手当金などがないケースもあるかもしれません。

医療保険は収入を完全に補填するものではありませんが、福利厚生が手厚い会社員・公務員ではない人は、医療保険への加入を検討する必要性が高まるといえるでしょう。

一時金タイプで給付額が選べる医療保険も。

医療保険には、入院日数に応じて給付金を受け取れるタイプと、入院時に一時金としてまとまった給付金を受け取れるタイプがあります。特に若い人であれば、短期の入院に備えて、入院時にまとまった金額を受け取れる一時金タイプがよいかもしれません。

医療保険の給付額は、自分が必要だと考える額を設定するようにしましょう。

考え方としては、「医療保険から20万円の給付があれば、高額療養費制度を利用した場合の医療費自己負担額約9万円のほか、入院にまつわる支出はだいたいカバーできるかな……」といったところです。

たとえば、「入院するなら個室の病室がいいから、5日分の差額ベッド代くらいが出ればいい。治療費は貯蓄から出す」という人は、極端な例ですが5万円程度の給付でも十分といえます。収入減も心配だから治療にかかる費用も備えたい、という人は給付額の高いものを選ぶことをおすすめします。

総合医療一時金保険で備える。

ここまで、医療保険はいらないのか、加入するならどう考えればいいのかを、ファイナンシャルプランナーの黒田ちはるさんにお伺いしました。

一時金タイプの医療保険として、第一生命の「総合医療一時金保険(無解約返還金)(2021)」であれば、短い入院や、日帰り入院(※1)でも一時金としてまとめて給付金を受け取ることができます。

ただし、睡眠時無呼吸の診断・検査等のための入院のうち、入院日数が2日以内、かつ、睡眠時無呼吸と医師により診断されなかった入院はお支払いの対象となりません。

また、給付額も20万円や30万円など必要に応じて選択できるのも、特徴の1つです。

毎月の保険料は、たとえば25歳男性で20万円の給付を選んだ場合、1,744円(※2)。毎月映画1本分の値段と考えれば、もしものときの備えとしては悪くないかもしれません。

※1 「日帰り入院」とは、入院日と退院日が同一の日である場合のことです。

※2 契約例
保険契約の型:A型
契約時から10年間(※3)
基準給付金額:20万円
入院給付金の支払限度の型:1回型
「入院中の手術」の給付割合:基準給付金額の10%
保険料払込免除特約付加なし

※3 満期時に契約を更新する場合、更新後の保険料は更新日における被保険者の年齢および保険料率によって再計算するため、同じ保障内容であったとしても、更新前の保険料とは異なります。なお、更新日に健康診断割引特約を取り扱っているときは、更新前の割引料率が更新後も適用されます。

参考:第一生命保険「総合医療一時金保険(無解約返還金)(2021)」

【まとめ】自分にとっての「安心」を考えて。

同じ20代、30代といっても収入も貯蓄額も生活スタイルも、人によって異なります。一様に「医療保険はいらない」といえるものではなく、「自分にとって」どうなのかを考える必要があります。

また、医療保険に加入しつつ貯蓄もし、両方で備えていくことも大切です。

病気やケガをしたとき、経済的なダメージはどのくらいか? スムーズにもとの生活に戻るためにはどうしたらいいのか? 自分にとっての「安心」をベースに、医療保険への加入を検討するといいでしょう。

写真/PIXTA イラスト/こつじゆい


黒田 ちはる
FP事務所代表。看護師FP(R)として、オンラインや医療機関で年間約180件のがん患者専門の家計相談を行う。医療機関や自治体・企業での講演、FPの相談員育成も実施。著書に『がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵』(日経メディカル開発)。


※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
※ 掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。
※ 記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。
※ このページは2023年1月時点の商品の概要を説明したものであり、契約にかかるすべての事項を記載したものではありません。検討にあたっては「保障設計書(契約概要)」など所定の資料を必ずお読みください。契約の際には「重要事項説明書類(注意喚起情報)」「ご契約のしおり」「約款」を必ずお読みください。

(登)C22P0338(2023.2.3)
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