医療保険に入ってないけど加入したほうがいい?FPが20代~30代の保険選びを解説。 医療保険に入ってないけど加入したほうがいい?FPが20代~30代の保険選びを解説。

医療保険に入ってないけど加入したほうがいい?FPが20代~30代の保険選びを解説。

投稿日:
#保険
お気に入り
     

※ 記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※ 文章表現の都合上、生命保険を「保険」と記載している部分があります。
※ 本文中に記載の保険に関する保障の条件は、保険会社によって異なります。詳しくはご加入の保険会社にお問い合わせください。

病気とは縁遠いと考えがちな20代~30代。まだまだ医療保険は必要ないだろうと思っている人は多いでしょう。しかし、いつ病気やケガをするかは誰にもわかりません。だからこそ、保険の備えが重要です。

自身も闘病経験があり、医療保険の重要性を説くファイナンシャルプランナー(FP)の黒田尚子さんに、保険に加入しないリスクと適切な選び方について伺いました。

目次

医療保険に入っていないとどうなる?

医療保険に入っていないとどうなる?

まずは医療保険に入っていないとどんなリスクがあるのか、見ていきましょう。

医療費の自己負担が重荷に。

日本では、全国民が自己負担1割~3割で診療を受けられます。また、高額療養費制度によって、ひと月の医療費が一定額を超えると、超えたぶんが払い戻されます。

これらの制度である程度は医療費負担が軽減されますが、入院や手術となると、医療費のほかに病院での食事代がかかったり、差額ベッド代などが発生したりすることもあります。

参考:厚生労働省「我が国の医療保険について」

公益財団法人 生命保険文化センターの2022年度の調査によると、入院時の自己負担費用の平均は19万8,000円。医療保険に加入していない場合、この費用を預貯金から捻出する必要が出てきます。

直近の入院時の自己負担費用

参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」をミラシル編集部にて一部加工
※ 公的医療保険には、医療費の自己負担額に限度額を定める高額療養費制度等があり、実際に負担する金額はケースにより異なります。

療養中の収入減もカバーしなければならない。

療養している間は働けない可能性が高いため、収入減のリスクも考えられます。生命保険文化センターの同調査では、逸失収入(療養しなければ将来的に得られたであろう収入のこと)が平均30万2,000円という結果になっています。

直近の入院時の逸失収入

参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」をミラシル編集部にて一部加工

会社員は、業務外の事由による病気やケガで働くことができず、療養を理由に会社を4日以上休むとき、会社から給与などの支払いがない場合に、収入の3分の2に相当する金額の「傷病手当金」を受け取れます。しかし、育児休業中と異なり、社会保険料は免除されません。また、傷病手当金は申請してすぐに受け取れるわけではないので注意が必要です。

参考:厚生労働省「傷病手当金について」(2020年)

希望する治療を受けられない可能性がある。

医療費の自己負担分が準備できずに治療を受けられないケースもあります。公的保険適用外の治療などは自由診療の扱いとなり、自己負担分が多額になります。

医療保険に加入する際に、自由診療も保障される特約を付加することで自己負担額を軽減できる可能性があります。

精神的に不安定になり治療に専念できない。

経済的な問題から精神的な負担を感じて治療に専念できず、病気やケガが悪化するということがないとは言えません。また、病気やケガをしてからだと、医療保険に入りにくくなったり、場合によっては入れなくなったりするため、健康なうちに検討しましょう。

医療保険の加入状況。

公益財団法人 生命保険文化センターの調査によると、医療保険(疾病入院給付金が支払われる生命保険)の年代別加入率は以下のとおりです。50歳代までは年代が上がるごとに加入率が上がっていきます。

医療保険(※)の年代別加入率

年齢加入率
18歳~19歳19.0%
20歳代35.7%
30歳代67.7%
40歳代71.6%
50歳代75.3%
60歳代71.6%
70歳代61.5%

※ 疾病入院給付金が支払われる生命保険

参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」をもとにミラシル編集部にて作成

医療保険に入っていなくて後悔する人は?

医療保険に入っていなくて後悔する人は?

ここからは黒田さんの経験をもとに、医療保険に加入しておけばよかったと後悔する可能性が高いタイプを教えてもらいました。

独身の人。

独身で実家が遠いあるいは頼れないとなると、入院した際に身のまわりの世話をしてくれる人がいない可能性があります。入退院時のタクシー利用やタオル、パジャマ(病衣)のレンタルサービスなど、マンパワーがなければ何かとお金がかさみがちです。

医療保険に加入していないとこれらの支出に貯蓄だけで対応することになるので、保険に加入しておけばよかったと感じる方もいらっしゃるようです。

フリーランスや自営業、非正規雇用の人。

会社員であれば傷病手当金を受け取れますが、フリーランスや非正規雇用だと公的保障が薄いので、収入減のリスクに対応しにくいと言えます。貯蓄に加え、保険でも備えておくと安心でしょう。

パートナーが専業主婦(主夫)またはパートタイマーの人。

パートナーの収入が少ない場合、自身が病気やケガで働けなくなると、世帯収入がゼロに近くなります。傷病手当金も収入の3分の2相当額なので、収入減をカバーできるように保険で備えておくと安心です。

小さい子どもがいる人。

子どもの教育費が本格的にかかるのはこれからです。親である自分が病気やケガで働けなくなったときのため、医療保険に加入し、貯蓄を取り崩さずにすむようにしておくといいでしょう。

住宅ローンなどの借金を抱えている人。

基本的に、病気やケガで入院しても住宅ローンはなくならないので、せめて医療費は保険でカバーできるようにしておくことをおすすめします。ただし、住宅ローンに特定疾病保障特約つき団体信用生命保険を付与している場合は、対象の病気に罹患(りかん)すると、その後の住宅ローンが全額免除になる可能性があります。

医療にお金を惜しみたくない人。

「どんな治療を受けてでも病気を治したい」「先進医療(※)も視野に入れている」という人は、公的保険適用外の治療を受け、医療費が全額自己負担になる可能性があります。医療の選択肢の幅を広げたいのであれば、その費用をカバーできるよう、医療保険に加入するほうがいいでしょう。

※ 厚生労働大臣が定める医療技術のことで、その対象となる疾病・症状(適応症)や実施医療機関は限定されています。

働き盛りの人。

働き盛りで定期的な収入がある今、病気やケガで働けなくなったらどうなるか、想像してみましょう。そうなったからといって、生活費等を急に節約できるものでもありません。収入が減り、医療費の負担が増すので、貯蓄や保険で補う必要があるでしょう。

医療保険選びのポイントは?

医療保険選びのポイントは?

それでは、自分のライフスタイルに合う医療保険は、どのように見つけていけばいいでしょうか。

まずは「保険期間」を考える。

黒田さんが「まず考えるべき」と話すポイントは「保険期間」。一生涯保障される「終身型」と、一定期間だけ保障される「定期型」の2種類に分けられます。

「一般的に、期間が限られる定期型のほうが保険料は安くなります。ただし、たとえば10年定期型の保険に加入する場合、30代で加入するときは安くても、50代で改めて加入するときに高額になる可能性があります。その点、終身型の保険はずっと保険料が変わらないので、若いうちに加入しておけば、高齢になっても払い続けやすいでしょう」

また、終身型の保険には、一生涯保険料を払い続ける「終身払い」のほかに、特定の年齢まで保険料を支払う「有期払い」というタイプもあります。

「平均寿命まで生きた場合のトータルの保険料で比較すると、『終身払い』よりも『有期払い』のほうが安くなることが多いです。払込期間を10年に設定するなど、保険料を支払う年数を基準にすることもあります」

入院給付金は「日額」か「一時金」か。

入院給付金は、入院1日あたりの金額が定められている「日額」タイプと、入院日数に関係なく一定額が受け取れる「一時金」タイプがあります。

「入院期間が長いほど多くの給付金を受け取れる日額タイプは合理的と言えます。ただし、近年は入院が短期化する一方、1日あたりの費用が高くなる傾向にあるので、まとめて給付金を受け取れる一時金タイプのほうが使い勝手がいいという考え方もあります」

参考:厚生労働省「令和2年(2020)患者調査(確定数)の概況」
参考:厚生労働省「令和3年度 医療費の動向」

給付金に関しては、支払限度日数も確認すべきとのこと。

「『入院60日まで』『通算1,095日まで』など、支払限度日数が設けられているので、短くてもいいか、長期入院に対応できるようにしたいかなどを考えてみましょう。一時金タイプだと、『30日ごとに一時金が受け取れる』というタイプもあります」

さらに、1回の入院と見なす期間も保険によって異なることがあるので、注意が必要です。

「一般的に同じ病気で、前回の入院から間をあけず(たとえば180日以内など)に再度入院した場合、前後の入院は継続した1回の入院として扱われます。最近は30日や60日とする保険が増えてきました。30日とする場合、一度目の入院の退院日から30日以上たっていれば、二度目の入院は別の1回と見なされ、給付金を再度受け取れるのです。期間が長いほど保険料は安くなり、短いほど高くなる傾向があります。

ただ、いずれにせよ、同じ病気だけでなく、異なる病気で入院した場合も同様とみなされるなど、保険会社によって異なるので確認しておきましょう」

「三大疾病保障」の給付条件を確認。

医療保険には、三大疾病で入院・手術した場合の保障がついていることも多く、その条件の確認も忘れないようにしましょう。

「かつての三大疾病は『がん・脳卒中・急性心筋梗塞』でしたが、最近は『がん・脳血管疾患・心疾患』と保障の範囲が広がっているものも多いので、確認しましょう。保険によっては、三大疾病で入院・手術をした場合、その後の保険料が免除になるものもあります」

このほか、商品によっては「通院特約」「先進医療特約」「生活習慣病入院特約」「女性疾病入院特約」「がん入院特約」など、さまざまな特約があります。必要なものを選択しましょう。

第一生命の「総合医療一時金保険」で備える。

第一生命の「総合医療一時金保険」で備える。

ここまで、黒田さんに医療保険に加入しないリスクや自分に合った保険の選び方を教えていただきました。最後に、第一生命の総合医療一時金保険(無解約返還金)(2021)を例に、医療保険でどのように備えられるのか見てみましょう。

短期入院に備えられる。

総合医療一時金保険は、入院日数にかかわらず、入院給付金が一時金で給付される保険です。日帰り入院(※1)でも、加入時に設定した金額を受け取れます(※2)。

ただし、睡眠時無呼吸の診断・検査等のための入院のうち、入院日数が2日以内、かつ、睡眠時無呼吸と医師により診断されなかった入院はお支払いの対象となりません。

※1 「日帰り入院」とは入院日と退院日が同一の日である場合のことです。
※2 給付金のお支払いの対象とならない場合や支払回数に制限がある場合があります。たとえば、治療を目的としない美容上の処置による入院・手術などは対象となりません。

ニーズにあわせて給付金額を選べる。

入院給付金は、5万円~40万円(総合医療一時金保険に単体で加入する場合は10万円から)の範囲内で選択が可能。入院時の自己負担費用の平均を踏まえて20万円としたり、保障を手厚くしたいから35万円としたり、状況や要望にあわせて設定できます。

医療保険で避けられるリスクもある!自身の状況を踏まえて正しい選択を。

医療保険に加入しないまま入院することになると、医療費が思いのほか大きな負担となる可能性があります。若い人でももしものときに備えることは大切。自分のライフスタイルにあわせて、適切な医療保険を選ぶようにしましょう。

写真/Getty Images、PIXTA


黒田 尚子
ファイナンシャルプランナー。1969年、富山県生まれ。日本総合研究所でSEとしてシステム開発に携わりながらFP資格を取得。1998年に独立し、各種セミナーや講演などで活躍。2009年に乳がん告知を受け、自らの実体験から、がんなどの病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動も行っている。著書に『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか「自然に貯まる人」がやっている50の行動』(日本経済新聞出版)など。


※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
※ 掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。
※ 記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。

※ この記事は、2023年7月時点の商品の概要を説明したものであり、契約にかかるすべての事項を記載したものではありません。検討にあたっては「保障設計書(契約概要)」など所定の資料を必ずお読みください。また、契約の際には「重要事項説明書(注意喚起情報)」「ご契約のしおり」「約款」を必ずお読みください。

(登)C23P0125(2023.8.9)
お気に入り
     
キーワード
#保険 #万一への備え #病気・けがへの備え #3大疾病への備え #働けなくなるリスク #医療保険
mirashiru_kaiinntouroku.jpg
ミラシルの会員特典ご紹介!
投稿日:
#人と暮らし