シングルマザーの「教育費」どうする?お金オンチのマンガ家・まめがFPに相談
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仕事も子育ても1馬力でがんばるシングルマザー。多忙さゆえに、家計管理や貯蓄が後回しになるケースも決して少なくありません。目先のお金のやりくりで精いっぱいになりがちなシングルマザーの大きな関心事は、やはり「子どもの教育費」。どうやって貯めていけばいいのか、頭を悩ませている人は多いのではないでしょうか。自身も高校生の子どもを持つシングルマザーでファイナンシャルプランナーの加藤葉子さんが、マンガ家として活躍する3人の子どものシングルマザー・まめさんの悩みを解決します。
仕事を掛け持ちしながら3人の子どもの教育費を捻出。
まめ:コミックエッセイのマンガ家として活動している、まめです。3人の子どもを持つシングルマザーです。今日は、よろしくお願いします!
加藤:まめさんはマンガ家さんでいらっしゃるのですね! 仕事に子育て、そして家計のやりくりと、とてもがんばっていらっしゃるかと思います。お子さん3人の教育費を捻出するのは、大変ではありませんでしたか?
まめ:実は、これまでどんぶり勘定で、必要なお金をギリギリで間にあわせてきたという感じで……。そもそも数字に疎く、家計管理は大の苦手。やらなくてはと思いつつ、後回しにしてきました。
加藤:子育ては本当に忙しくて、家計管理はつい後回しになってしまいますよね。まめさんが離婚された当時、3人のお子さんはおいくつだったのですか?
まめ:長男が高校生、次男が中学生、一番下の長女が小学校低学年のころです。
加藤:中学生でしたら、教育費が本格的にかかり出す時期ですね。
まめ:年子なので大変でしたね。今は、マンガ家1本で生計を立てていますが、8年くらい前までは、パートタイマーとして仕事をいくつも掛け持ちすることで収入を増やし、その都度、乗り切ってきました。頭の中は子どもたちの教育費のことでいっぱい。常に自転車操業のような状態でしたね。
塾の夏期講習で20万円かかると言われ、びっくりしたことも。科目が増えるごとに金額が上がるしくみだったので、子どもの勉強の状況をその都度確認しながら、必要な科目だけを一緒に選んでいました。学校の制服も、ママ友のお子さんからお下がりを譲ってもらうなど、できる範囲で工夫していましたね。
ただ、どうしてもお金が足りなくなったときには、貯金を切り崩したり、学資保険を解約したりしたこともあります(※)。
※学資保険は途中解約すると、多くの場合、解約返還金はこれまで払い込んだ保険料の総額を下回ります。
加藤:教育費は、毎月の費用だけでなく一時的な出費も多いですよね。入学時期は制服や学校指定品をそろえたり、塾も夏期講習や冬期講習などで追加の費用がかかったり……。
子どもの成長はうれしいものの、教育費は成長とともに増える傾向にあります。私も私立高校に通う子どもがいるので、塾や大学受験の費用など、お金がすごくかかることを実感しています。
まめ:長男と次男は就職しているので、残る教育費は一番下の娘だけ。なので、あと数年ががんばりどきだと思っています。この先、大学などに進学する可能性も考えると、まだまだ貯めないといけないなと。ただ、正直かなり不安を感じていて……。
加藤:どんなことが一番不安ですか?
まめ:昨年、娘を連れて地方から上京したのですが、東京は家賃も学費もすごく高くて、とにかくお金がかかるなぁという印象です。せっかく上京したのだから、「娘との外出も楽しみたい!」という気持ちもあります。これまでどんぶり勘定でやってきましたが、「このままじゃいけない」と危機感を覚えているところです。でも、何から手をつけていいかまったくわからなくて……。
加藤:そうですよね。まめさんはどんぶり勘定とのことですが、家計簿はつけていらっしゃいますか?
まめ:いえ、何度か挑戦したことはあるのですが、一度も続いたことがありません。これまで地方に住んでいたので、固定費などがあまりかからず、とりあえずなんとかなってきたんです。なので、きちんと家計に向き合った経験がないんですよね。
加藤:実は、私自身も昔、かなりお金に無頓着だったんです。娘が3歳のときにシングルマザーになったのですが、赤字家計でパンの耳ばかり食べている時期もありました。でも、「このままではまずい……」「子どもに不憫な思いをさせたくない」と、一念発起してお金の勉強をはじめたことが、今につながっています。
子どもがやりたいと思ったことに、「お金がないからダメ」と言いたくなかったんですよね。その思いで、3年で教育費を貯めることができました。
まめ:それはすごい! なんだか親近感が湧きます(笑)。ファイナンシャルプランナーの方だから、てっきり昔からお金に強く、貯金も得意なのかと思っていました。ぜひ、私にもできる教育費の貯め方を教えてほしいです!
加藤:もちろんです。まめさんにとって、最善の方法を一緒に考えていきましょう。
「家計の確認」「先取り貯蓄」「給付型奨学金の活用」の3本柱で備える。
まめ:お金に無頓着だった加藤さんが、どうやって赤字家計から脱して、わずか3年で教育資金を貯めたのか、興味があります!
加藤:まず、教育費がどのくらいかかるのかを知ることからはじめました。当時はまだファイナンシャルプランナーではなかったので、インターネットを使って自力で調べたのですが、3歳の娘の進路を小・中学校は地元の公立、高校は私立、大学は私立理系と想定して計算してみると、1,000万円以上かかることを知りました。
まだ高校無償化もなかった時代で、私にとって私立はハードルが高く感じたので、「まずはオール国公立を目標にしよう。小・中学校は就学援助制度があるから、習い事・塾代メインで計算して……。最低でも600万円は貯めよう!」と目標を設定しました。そして、先取り貯蓄をし、残ったお金で生活していくことにしたんです。
でも、先取り貯蓄をしていくと、恥ずかしながら今度は家計が回らなくなって……。そこで、レシートを見て無駄がないかを振り返ったり、独身時代の財形貯蓄を元手に投資をしたり。給与収入を増やしすぎると、給与所得も増え、その結果児童扶養手当が減るので、65万円の青色申告特別控除の利用ができる業務委託の副業をするなどして、働き方も工夫しました。
家計を見直して、投資して、働き方を工夫して、貰えるものは貰って。とにかく自分にできることはすべて実践していましたね。それだけお尻に火が付いた状態だったんです。
まめ:ご苦労されたのですね。数字が苦手な私は、何からはじめればよいでしょうか?
加藤:まめさんには、「家計の確認」「先取り貯蓄」「給付型奨学金の活用」の3つをおすすめします。
今、何にどれだけ使っているのかわからない不安もあると思うので、まずは家計簿アプリを使って、「家計の確認」をしてみませんか? 家計簿をつけるのが苦手でも、アプリならクレジットカードと連携すると自動的に集計されるので、とっても簡単。時間も節約できます。家計の収支がグラフでわかりやすく見られるので、活用している方も多いですよ。
まめ:手間がかからないのはうれしいですね。私にもできそう!
加藤:2つめは「先取り貯蓄」です。つい使ってしまうことを防ぐために、普段使わない、目にしない「子どもの教育費を貯めるための専用口座」を作るのがおすすめです。お子さんが小さい方には、学資保険の利用をアドバイスすることもあります。とにかく簡単に引き出せないようにすることがポイントですね。
まめ:必要なときに引き出せない、崩せないというところに抵抗があって……。子どもにかかるお金として、少しずつよけてはいるものの、突発的な支出が発生するたびに使ってしまうんですよね。学資保険も途中で解約してしまいましたし。
加藤:気持ちはよくわかります……。ですが、やはり子どものために貯めると決めたお金は、「引き出せない=ないもの」としてやりくりをすることが大事です。
学資保険の形式でなくても、教育資金を準備するという目的で、貯蓄性のある保険に加入するのもいいと思います(※)。保険であれば、万一の保障を確保できるので、大黒柱のシングルマザーの方にとっては一石二鳥ですよ。
※解約のタイミングによっては、解約返還金は払い込んだ保険料を下回る場合があります。
まめ:そうか。保険には、自分に不測の事態があったとき、子どもに残せるお金という意味合いもあるんですね。学資保険は、まわりのママ友につられてなんとなく加入したんですが、きちんと調べておけばよかった……。
加藤:シングルマザーのまめさんなら、児童扶養手当やひとり親家庭の医療費助成、就学援助、高校無償化などはすでにご存じかと思いますが、「給付型奨学金」についてはいかがでしょうか?
まめ:え! 給付型ってことは、奨学金なのに返さなくていいんですか……?
加藤:そうなんです! 返還の必要がない奨学金があるんです! 最後はこのとてもありがたい「給付型奨学金」についてお話ししますね。
まめ:ぜひ詳しく聞きたいです!
加藤:子どもの貧困が社会問題になっていますよね。そのため、支援する企業や団体が増えてきて、給付型奨学金にもいろいろな種類のものがあるんです。
たとえば、とある企業主体の奨学財団では、中学生~大学生を対象に月額3万円~8万円の給付型奨学金を支給しています。また、大学の在学生を対象に応援給付金として一括30万円、大学新1年生を対象に給付型奨学金として月額10万円を支給している財団もあります。
ほかにも、英検(実用英語技能検定)の受験料を支給するものやスポーツ系の費用を支援するものなど、返還不要な奨学金がたくさんあります。それぞれ条件は異なりますが、所得制限が厳しくないものもあるのでぜひチェックしてみてください。
ちなみに、給付型奨学金の情報をお伝えしたシングルマザーの方の中には、「3つ受給したらあわせて200万円も受け取れて助かった!」という方もいました。
まめ:すごいですね! これまで大学の費用といえば、厳しい条件を満たしたごく一部の学生を対象とする給付型奨学金か、貸与型奨学金だけだと思っていました。ただ、貸与型だと、卒業後に子どもが返還し続けることになるので、抵抗があったのも事実です。
加藤:そうですよね。給付型奨学金については、2020年に国の高等教育の修学支援新制度がスタートしています。大学や専門学校に通う学生を対象としたものです。
私立大学に自宅外から通う場合なら最高約670万円[入学金約26万円+(給付型奨学金約91万円+授業料約70万円)×4年]、私立の2年制の専門学校に自宅から通う場合なら最高約226万円[入学金約16万円+(給付型奨学金約46万円+授業料約59万円)×2年]と、かなり大きな支援が受けられます。
まめ:ありがとうございます! 知らないことだらけで、とても勉強になりました。まずは、家計簿アプリを使って収支を把握する。そして、教育費を引き出せないように別のところで準備する。さらに返還不要な給付金を活用していく。
これまで数字への苦手意識が強く、家計に向き合うことを避けてきましたが、そうは言っていられません。今日教わった3つの方法で、娘の教育資金をしっかり作っていきたいと思います。
加藤:よかったです! 楽しむことも忘れずに、無理なく貯めていけるといいですね。応援しています!
まめ
マンガ家・イラストレーター。3人の子どもを育てるシングルマザー。日々の出来事をギャグ要素満載のマンガで発信するブログ「凡人すたいる。」が人気。著書に『凡人すたいる。大盛り詰め合わせ』(KADOKAWA)『おばさんデイズ』(扶桑社)など。2023年8月に『おもいっきり東京ライフ』(集英社)を発売。
加藤 葉子
ファイナンシャルプランナー。女性とシングルマザーのお金の専門家(R)。子どもが3歳のときに離婚し、その後3年で教育費を貯めた。2011年にNHKのコラム執筆や家計相談業務をスタート。2017年、株式会社マイライフエフピーを設立。現在は、女性のお金の悩みや不安を解消すべく、家計相談をメインに活動。
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