【マンガ+医師解説】妊娠・出産、心配しすぎ?知って不安を解消しよう!
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子どもを授かってうれしい反面、妊娠中に起こるからだやメンタルの変化、出産への不安、かかる費用に関する不安などさまざまな心配事を抱えた妊婦さんは多いもの。子育てエッセイが大人気のマンガ家・まぼさんも、「心配事がいっぱいの妊婦だった」と言います。
今回は、まぼさん自身が経験した妊娠にまつわるエピソードに、ジュノ・ヴェスタクリニックの八田真理子先生からアドバイスをいただきながら、妊娠・出産期、産後に多いリスクと、それに対する備えについてお伝えします。
初めての妊娠と心身の変化に、不安いっぱいの日々!
「妊娠後のからだの変化を知っておくこと」が、妊娠期間の不安を減らす。
──まぼさん自身も体験されているように、妊娠したことによるコンディションの変化に戸惑ったり不安を感じたりする妊婦さんは多いのでしょうか?
すこしの衝撃に過敏になってしまうのは妊婦さんあるあるですね。たとえば交通事故だったり、高いところから落ちたりといった衝撃であれば、すぐに病院にかかる必要があります。
でも、赤ちゃんはフワフワの羊水に守られていますから、たとえば人にぶつかったり、上のお子さんがおなかに乗っかったりしたくらいではびくともしません。なので、そんなに神経質にならなくても大丈夫です! もちろん、普段よりもおなかの痛みが強い、出血があるなどの場合は注意が必要ですね。
金銭面の不安が出てくるのも、妊婦さんあるあるかも……。どうしても何かしらのストレスを抱えてしまう方は多いと思います。
──妊娠はうれしい一方、やはり普段とは大きく環境が変わることで、心配事も増えますね。妊娠がわかったときから、気をつけておきたいことを教えていただけますか?
まずは、妊娠に気づいたときからお話しします。まぼさんのお話にも出てくるように、最近では来院される80~90%の方は、妊娠検査薬を使われてからいらっしゃいます。今の検査薬はとても精度が高くなっていますが、気をつけなくてはいけないのが、子宮外妊娠や流産の場合でも陽性反応が出ること。放っておいては命にもかかわりますから、検査薬を使ったあとは、病院で診断を受けてくださいね。
──検診によって無事に妊娠がわかったあと、妊婦さんのからだに現れる変化には、どのようなものがありますか?
妊娠後は、女性ホルモンの増加に伴っておなかや胸が張ったり、おりものが増えて、カンジダ腟炎を起こしてしまったりする方もいます。
つわりが起きやすいのも、妊娠初期の特徴ですね。でも、人それぞれで違っていて、非常に食欲が出る食べづわりだったり、まぼさんのように際限なくヨダレが出るものだったり。安定期と呼ばれる妊娠12週くらいには落ち着くことが多いので、あまり深刻にならずに。脱水に気をつけながら食べられるものを食べていれば大丈夫ですよ。
心配なのは、ほとんど食べられなくなってしまうケース。1割弱の方に、水しか口にできないほど重症なつわりが見られるのですが、その場合はお母さんの体重も落ちますし、赤ちゃんにも栄養がいかなくなってしまうため、入院点滴の処置が必要なケースもあります。
妊婦さんの高齢化で増えている妊娠合併症。
──さらにどんどんおなかが大きくなっていって安定期に入ります。その時期に起こりやすいからだの変化と、その対策法を教えてください。
おなかが重くなっていき、反り腰になるのと比例して腰痛や足のつり、脚の付け根の痛みなどが増えていきます。対策としては、靴のヒールを低めのものにすること、子宮を保温すること、子宮の安定のために骨盤をサポートする腹帯やマタニティベルトを巻くこと、おなかを締め付けないようマタニティ用の下着を使うことなどです。
同時に、軽いお散歩や運動もおすすめ。ダンベルなど重いものを持つのはいけませんが、マタニティビクスやヨガなどの有酸素運動はどんどん取り入れてほしいです。
──体重が増えすぎることで、お母さんや赤ちゃんへの悪影響があるということでしょうか?
体重増加は以前ほど厳格にはいわれていませんが、理想としては8㎏前後。体重が増えすぎることで怖いのは、「妊娠高血圧症」や「妊娠糖尿病」のリスクが高まることにあります。
糖尿病になってしまうと全身の血管に炎症が起きるため、赤ちゃんにいく「さい帯血」にも影響が出てしまうんです。赤ちゃんが育ちすぎて巨大児になるばかりか、赤ちゃん自身も糖尿病になったり、感染症を起こしやすい体質になってしまう恐れがあります。お母さんが腎臓を傷めて人工透析になるリスクも増えますし、妊娠・出産をきっかけに、重篤な病気を発症する方もいます。
──近年は、仕事を続けながら子どもを持つ女性も増えていますが、働くうえで気をつけるべきことはありますか?
お医者さんから「切迫流産」や胎盤が子宮の出口を覆う「前置胎盤」などの恐れが指摘されていない限り、今まで通りの生活をして問題はありません。ただ、おなかが大きくなるにつれて、からだにも負担がかかりますから、時短勤務や在宅ワークにしてもらったり、満員電車を避けて通勤したりと、無理をしないことが理想ですね。社会も大きく変化していますから、負担の少ない働き方に切り替えていきましょう。
どんな生物にも妊娠・出産に適している時期があるのですが、医療の発達や社会環境の変化によって、高齢でも妊娠・出産が可能な時代になりました。反面、年を重ねることでどうしても血管の老化が起きますので、トラブルも多く報告されています。そういった方は、妊娠中の過ごし方により注意を払ってもらえればと思います。
安心して妊娠・出産期を乗り切るために、備えておくべき環境と心構え。
──長い妊娠期間を乗り越えて、いよいよ出産の時期を迎えるわけですが、出産時や出産後にもリスクやトラブルは予想されますか?
もちろんあります。出産時だと、特に今の若い世代にはスリムな方が多いので、骨盤が狭く難産になる事例も……。また、無痛分娩(ぶんべん)が広まっていますが、それに伴い、陣痛が弱かったり、間隔が長かったりする「微弱陣痛」でお産の時間が長引くというリスクがあります。
出産後に関して多く見られるのが「産後うつ」や、骨盤底筋のゆるみから生じる「排尿障害(尿漏れ、頻尿等)」、「子宮脱」などの症状。妊娠・出産は女性にとって人生の一大イベントですから、からだにもメンタルにも大きな負担がかかります。産後1ヶ月はゆっくり静養し、心身の回復に専念できる環境を整えておくことをおすすめしています。
──数多くの喜びや不安の先に、命が誕生するのですね。妊娠・出産は病気ではないとはいえ、そこに関連するリスクがゼロではないことがわかりました。安心して赤ちゃんを産むために、備えておいた方がいいことはありますか?
何事もなく出産を終える方もいる一方で、切迫流産や切迫早産、子宮体部に付着している胎盤が胎児娩出(べんしゅつ)以前に子宮壁より剥離してしまう「胎盤早期剥離」など、緊急の対応が必要になるケースもあります。子宮内膜症を持っている方は、前置胎盤や早産などのリスクが高まるといわれていますし、子宮筋腫があると、発生部位によっては帝王切開をしなくてはなりません。帝王切開になれば、産後の入院期間も長くなることが予想されますし、それに伴って費用もかさんでくるもの。
通常の妊娠検査や出産には公的補助がありますが、思いがけないリスクやトラブルに備えて、女性向けの医療保険に入っておくのも1つの手だと思います。
──最後に、妊娠・出産など不安の多い女性たちに、八田先生からのエールをお願いします。
日本は世界一安全なお産ができる国だといわれています。妊娠中の赤ちゃんやお母さんの重篤なトラブルも非常に少ないので、特に初めての出産は不安が伴うかと思いますが、必要以上に心配することはないですよ。
もちろん、多様性が大切にされる現代では、赤ちゃんを産む/産まないの選択は自由。しかし、子どもを産むという行為は、女性だけが体験できるものでもあります。パートナーと愛を育んで、その先にあるのが妊娠・出産。精子と卵子が出合うミラクルな現象ですが、その期間も生物的に限られていることを知っておいていただきたいです。
お子さんを望まれるなら妊娠しやすいかどうか、また女性特有の病気や、妊娠・出産に影響のある病気にかかっていないかを知るためにブライダルチェックを受けながら、自分のからだと、人生を「どう生きたいのか」ということにしっかり目を向けてほしいと思います。
まぼ
X、Instagramで子育てエッセイを更新。コミック『よいたん3歳、ときどき先輩。』 を出版。絵柄やよいたんとしおさんのかわいさはもちろん、リアルな育児中の壁、親の葛藤、夫婦の育児に対する姿勢、日常へのまなざしなどで共感を集め、人気を博している。
八田 真理子
聖順会「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」理事長・院長。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。実父が1975年に開院した「八田産婦人科」を継承し、地域に密着したクリニックとして思春期から老年期まで幅広い世代の女性の診療・カウンセリングに従事する。
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