学資保険選びの勘どころ!返還率(返戻率)の基本とポイント。
※記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※文章表現の都合上、生命保険を「保険」、生命保険料を「保険料」と記載している部分があります。
学資保険を比較・検討していると、「返還率(返戻率)」という言葉をよく聞きます。返還率は、保険が満期を迎えたときに、どの程度お金が戻ってくるのかを示す割合。どのようなものかを知っておくと、学資保険を検討する際にも役立つでしょう。
この記事では、さまざまな子育て世帯の相談を受けているファイナンシャルプランナーの辻理恵さんに、返還率の基本情報や学資保険の返還率を高くするポイントなどについてお話を伺いました。
目次
返還率(返戻率)とは?
返還率は返戻(へんれい)率ともいわれ、支払った保険料に対して将来受け取ることができる金額の割合を示したものです。たとえば、返還率が100%なら、支払った保険料と同額を受け取ることができるという意味。つまり、100%を上回るほど、支払った保険料に対して受け取る金額が多くなります。この返還率は、学資保険を検討するときの1つの目安になります。
返還率の計算方法。
返還率は、以下の計算式で算出されます。
返還率(%)=将来に受け取る金額 ÷ 支払った保険料の総額 ×100
たとえば、子どもが0歳から3歳未満のときに受け取れる児童手当と同額(※)の月額1万5,000円を学資保険の保険料として支払ったとします。0歳から継続して、1万5,000円を15年間支払ったときの保険料の総額は、1万5,000円×12か月×15年=270万円。一方、学資保険が満期になって、280万円を満期保険金として受け取ったとします。この場合の返還率は、280万円÷270万円×100=103.7%(小数点第2位以下切り捨て)となります。
「かつては返還率が120%を超える学資保険もありましたが、現在では100%前後が目安となっている」と辻さんはいいます。
※0歳~3歳未満の児童手当は1人あたり月額1万5,000円(ただし手当を受け取る人の扶養親族等の数に応じて所得制限限度額が設定されています)。
返還率は契約内容によって変化する。
辻さんは、「特約をつけて保障を充実させると、保障にまわる保険料の割合が多くなると考えられるため、それだけ返還率が低くなる傾向にある」ともいいます。
返還率の高い保険と、保障が充実している保険、どちらもそれぞれのメリットがあります。満期保険金の金額を多くしたいのか、万一のリスクへの保障も充実させたいのか、ライフプランをよく考えたうえで決めることをおすすめします。
返還率を高くするポイント。
学資保険の貯蓄性を重視する世帯にとって、返還率の高さは大事なポイントの1つです。ここでは、学資保険の返還率を高くするためのポイントをご紹介します。
早めに加入する。
「早めに学資保険に加入するほど、保険会社の運用期間が長くなるため、返還率が高くなる」と辻さんはいいます。子どもが生まれる前でも「出生前加入」といって、一般的には、出産予定日の140日前(妊娠6か月目)から学資保険に加入することができます。
短期間で保険料を払い終える。
学資保険は、払込期間を10年、15年など各保険会社で設定している期間から選ぶことができます。「払込期間が短いほど1回の支払い額は大きくなります。ただ、運用される額が早い段階で多くなるため、返還率は高くなる」と辻さんはいいます。子どもがまだ小さいうちに支払いを終えられる見通しが立つ場合は、短期間で一気に払い終えるのも1つの方法です。
保険料をまとめて払う。
学資保険の種類によっては、半年払いや年払い、全期前納払い(保険期間全体の保険料をまとめて保険会社に預け、そこから毎年の保険料を充当してもらう方法)ができます。まとめて支払うと、同期間月払いした総額に比べて安くなるため、結果として返還率は高くなります。貯蓄からまとまった額を支払う、またはボーナス時に支払うなど、家計に無理のない範囲で検討してみてもいいでしょう。
特約をつけない、または厳選する。
商品にもよりますが、学資保険には、契約者(親)の死亡や高度障害状態(病気やケガで体の機能が著しく損なわれた状態)など、万が一の状態になったときに、保険料の支払いが免除されるものもあります。
また、子どもの小・中・高校入学など節目となる時期に「学資金」といった形で、まとまったお金を受け取れるタイプの学資保険もあります。学資金を都度受け取る設定にすると、返還率が下がることがありますが、受け取らずに据え置くことで、将来受け取る金額をアップさせることもできます。契約時に確認しましょう。
返還率にとらわれすぎないことも大切。
学資保険は種類によって、満期保険金や保障の内容が大きく変わる保険です。世帯によっては、返還率にさほどこだわらないほうがいい場合もあります。
より目的にかなう保険かどうかを見極める。
子どもが今0歳なら、学資保険の満期保険金を受け取るのは15年~20年近く先になります。学資保険は「何を目的とするか」でその契約内容が異なるため、満期にできるだけ多くの保険金を受け取りたいのか、それとも契約者(親)に万が一のことがあっても子どもが安心して学校に通えるだけの保障を重視したいのか、よく考えましょう。
返還率のために保険料を無理して払っていませんか?
返還率を高くしようと短期間で支払いを終えるプランや、半年払い・年払いなどにすると、それだけ負担が増えて家計を圧迫することがあります。途中で支払いを減額できる学資保険もありますが、返還率はそのぶん低くなります。家計とよく相談して、無理のない範囲での支払いを心がけましょう。
学資保険は子育て世帯の加入に適した保険ですが、返還率だけで考えると、終身保険などの別の保険がむいていることもあります。学資保険だけにとらわれず、さまざまな保険と比較して、世帯に合ったものを選ぶといいでしょう。
親の思いを形にできる学資保険。
学資保険は、教育資金のためといった現実的な「必要性」や「不安の払拭」だけでなく、万一の保障を通じて、親の思いを形にできる保険でもあります。「親から子への思いを伝える」保険として、何を重視したいのかをよく考えて検討しましょう。第一生命の商品ラインアップには、こども学資保険(2018)もあります。お問い合せや資料請求をしてみてはいかがでしょうか。
写真/Getty Images
辻 理恵
株式会社FPフローリスト所属。「お金の相談を通じて人を元気にさせる」をモットーに活動するファイナンシャルプランナー。自身の入院経験をもとに、ピンチのときでも困らない家計のしくみづくりを提案している。得意分野は保険の見直しと資産運用。CFP(R)認定者/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/一種証券外務員。
※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
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