マイホーム購入は、保険の見直しどき!加入済みの保険を見直すポイントは?
※ 記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※ 文章表現の都合上、生命保険を「保険」、生命保険料を「保険料」と記載している部分があります。
住宅ローンを組んでマイホームを購入する際、ほとんどのケースで「団体信用生命保険」(通称、団信)に加入することになります。そのため、加入している保険をこのタイミングで見直す方も多いのではないでしょうか。マイホーム購入時、どの保険のどの部分を見直すといいのか、住宅購入に関連するセミナーなどの実績が豊富な、ファイナンシャルプランナーの八木陽子さんにチェックポイントを伺いました。
目次
マイホーム購入時が保険の見直しどきである理由。
マイホーム購入が保険の見直しどきと言われる理由の1つは、住宅ローンを組む際にほとんどのケースで団体信用生命保険に加入することになるからです。
また、住宅という高い買い物は長期間ローンを組むことがほとんど。いざというときでも返済し続けられるように、保険を見直すことが大切になります。
団体信用生命保険とは?加入中の保険と保障範囲は重複してもOK?
団体信用生命保険とは、住宅ローンの返済期間中に契約者が亡くなったり、高度の障害を負うなどの特定の状態になったりした場合に、保険金によって残りの住宅ローン残高が弁済される保障制度です。
マイホームを購入する前に住宅ローンの契約者が死亡保険に加入していた場合、遺されることになる家族の住居費も踏まえた保険金額を設定していることが多いでしょう。団体信用生命保険に加入したあとは、死亡保険に含まれる住居費保障分の保険料は余分なお金になる可能性が出てきます。そのため、マイホーム購入のタイミングで、死亡保険の保障について見直すといいでしょう。
住宅ローン返済期間中に被保険者が死亡もしくは所定の高度障害状態に該当した場合、住居費は団体信用生命保険でカバーできるとしても、日々の生活費や子どもの教育費、老後資金などは必要になることが想定されます。死亡保険は、それらの費用をカバーするものと考えましょう。
そのほか住宅関連の保険に加入するタイミングでもある。
死亡保険を見直すとともに、ほかの保険についても洗い出してみるといいでしょう。住宅ローンの契約者が病気やケガで長期療養が必要になったとしても、団体信用生命保険の保障内容によっては適用されない可能性もありますので、医療保険の見直しも重要になってきます。
マイホーム購入の際には、次のような保険の加入を検討するタイミングでもあります。すでに加入している保険と保障内容が重複していないか、確認してみましょう。
火災保険
一戸建て・マンションなどの建物や、家の中の家具などを補償する保険です。火災だけでなく、落雷や風災、水害、盗難といった事故でも補償されます。ただし、地震による被害に関しては、地震保険の特約を付加する必要があります。マイホームの立地の特性にあわせて、補償内容を選びましょう。
自転車保険
自転車運転中の自分のケガ、相手への損害賠償の両方に備えられる保険です。マイホームを建てる地域で自転車保険が義務化されていて、家族が自転車に乗ることが想定される場合は、加入が必須となります。すでに自動車保険や火災保険などに加入している場合は、特約で個人賠償責任保険(相手への損害賠償に備える保険)が付加されている場合もあるので、重複していないか確認しましょう。
保険の見直しポイント。
ここからは、具体的にどのような部分を見直していくといいか、解説していきます。
死亡保険の場合。
まずは、住宅ローンの契約者が亡くなった場合に、その後の生活で必要になる資金を考えてみましょう。団体信用生命保険で住居費がゼロになったあと、遺された家族が、自らの収入だけで生活していけるのであれば、死亡保険の保険金は低めに設定していいでしょう。
日々の生活費を住宅ローンの契約者の収入でまかなっている場合は、生活費や子どもの教育費にいくらかかるかを算出し、家族が必要な金額を保険金として受け取れるように設定しましょう。
すでに住居費を含めて死亡保険の保険金を設定している場合は、住居費分の保険料を削ることができるため、月々の保険料を下げることにもつながります。
死亡保険はマイホーム購入時に限らず、子どもが産まれたとき、転職・退職をしたときなど、ライフステージが変わるタイミングで見直していくと、その時点の状況にマッチした保障内容にしていけるでしょう。
医療保険の場合。
団体信用生命保険の保障内容によっては、住宅ローンの契約者が病気やケガで長期療養が必要になっても保障の対象外であることがあります。その間の収入が途絶えてしまうと、住宅ローンの負担が重くなってしまうので、せめて医療費はカバーできるように医療保険で備えておくと安心です。
特に、資金的に急な入院への対応が難しそうであれば、医療保険は重要です。生命保険文化センターの調査によると、入院時の自己負担額(※1、※2)は平均20.8万円となっています。この数値を基準に、いざというときに21万円程度支払われる医療保険に入っておくと安心でしょう。
※1 治療費・食事代・差額ベッド代・本人や家族等の交通費や衣類・日用品などを含む金額。また、高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額。
※2 公的医療保険には、医療費の自己負担額に限度額を定める高額療養費制度等があり、実際に負担する金額はケースにより異なる。
参考:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」(2019年)
また、医療保険を見直す際には、現在の医療制度にマッチしているかどうかもチェックしましょう。たとえば、10年前は自由診療の先進医療でないと治らなかった病気も、現在は保険適用になっている可能性があります。保障の対象となる病気の範囲が変わっている場合もあるので、保険料だけでなく保障内容も必ず確認しましょう。
医療制度は年々変わっていくものなので、マイホーム購入時だけでなく、定期的に見直しを行い、必要な保障がそろっている保険かどうかを確認することをおすすめします。
見直して新しく加入するならどんな保険?
死亡保険は、被保険者の死亡時に保険金が支払われるものなので、保険会社によって保障内容が大きく異なるということはほとんどないでしょう。一方、医療保険は保険会社や商品によって保障内容が異なるので、いくつかの商品を比較してみることが大切です。
医療保険は「一時金タイプの保険」がおすすめ。
かつての医療保険は「入院5日で◯◯円」といった保障内容の商品が多かったのですが、最近は入院日数にかかわらず入院1日目から一定額の給付金が支払われる「一時金タイプの保険」が出てきています。日帰り入院で支払われる保険もあります。
たとえ1泊だけの入院だったとしても、差額ベッド代や食事代、備品代、タクシー代などがかかることが想定されます。そうなったときに給付金が受け取れると、金銭的な不安を抱えずに治療に臨めますし、住宅ローンも返済しやすくなるでしょう。
保険商品は日に日に変化しているので、定期的に保障内容を見直すことで、時代にマッチした安心感を得ることができます。
【まとめ】マイホーム購入時は「死亡保険 」も「医療保険」も見直しを。
団体信用生命保険への加入を考えると、死亡保険さえ見直しておけば安心と思ってしまいそうですが、意外と医療保険の見直しも重要なポイントです。
もし、配偶者が病気やケガで働けなくなった場合、どのような保障があると安心か、あらためて考えてみましょう。そこで出た結論にマッチした医療保険に加入できているか、できていない場合はどの保険がマッチするのか、探してみましょう。
写真/Getty Images イラスト/オオカミタホ
八木 陽子
ファイナンシャルプランナー。
東京都在住。1男1女の母。出版社勤務を経て独立。2001年、ファイナンシャルプランナーの資格を取得後、マネー記事の執筆やプロデュース、セミナーなどの仕事を行う。2008年、家計やキャリアに関する相談業務を行う株式会社イー・カンパニーを設立。著書に『マンガでカンタン!お金と経済の基本は7日間でわかります。』(Gakken)など。
※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
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