一時金タイプの保険ってほかの保険と何が違うの?FPが違いを解説。 一時金タイプの保険ってほかの保険と何が違うの?FPが違いを解説。

一時金タイプの保険ってほかの保険と何が違うの?FPが違いを解説。

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※ 記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。    
※ 文章表現の都合上、生命保険を「保険」と記載している部分があります。    
※ 本文中に記載の保険に関する保障の条件は、保険会社によって異なります。詳しくはご加入の保険会社にお問い合わせください。

最近では、病気やケガなどで入院した際に一時金を受け取ることができるタイプの保険商品が増えてきました。こうした一時金タイプの保険はどのようなしくみで、どんなメリット・デメリットがあり、日額タイプの保険とどこが違うのでしょうか。看護師経験をもつファイナンシャルプランナー(FP)の黒田ちはるさんが解説します。

目次

一時金タイプの保険って、何のためにあるの?

一時金タイプの保険は、入院したときにまとまった額の入院一時金を受け取ることができる医療保険です。

一時金タイプの保険って、何のためにあるの?

どんなものに備える保険なの?

短期の入院であっても、ある程度のお金が必要になります。治療費や入院基本料は公的医療保険の対象になりますが、入院中の食費や、着替えなど日用品の購入費、希望して個室や少人数部屋に入る際にかかる差額ベッド代などは対象外。さらに病院までの往復交通費や、付き添いの人がいる場合は、その人の交通費や飲食代など、経験して初めて気づくような諸費用も発生し、予想以上に大きな負担になることもあります。

一時金タイプの保険なら、20万円、30万円など契約時に決めた額のまとまった一時金を受け取ることができるため、もしものときにも安心です。

日額タイプだけでなく一時金タイプの保険もある理由は?

これまでは入院日数に応じて給付金が支払われる「日額タイプ」の保険が主流でした。しかし、それだけでは保障が十分ではないケースも出てきています。

たとえば、1日の入院給付金の給付額が1万円の医療保険に加入している場合、入院日と退院日が同一の日である「日帰り入院」なら1万円、3泊4日でも4万円です。入院1日あたりの自己負担費用は平均2万700円(※1・2・3)、さらに差額ベッド代だけでも1日あたり数千円かかることを考えると、短期入院の場合は少し物足りなさを感じることもあるかもしれません。

そこで登場したのが、入院日数にかかわらず一時金が支払われる一時金タイプの保険です。日帰り入院から一時金が給付されることもあり、さまざまなケースに備えることができて安心感を得られる点が長所といえます。

※1 治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品などを含む。高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額。    
(参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」

※2 公的医療保険には、医療費の自己負担額に限度額を定める「高額療養費制度」等があり、実際に負担する金額はケースにより異なります。

※3 高額療養費制度は医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(1日から末日まで)で上限額を超えた場合、超えた額を支給される制度です。上限額は、年齢や所得に応じて定められます。

参考:厚生労働省「中央社会保険医療協議会 総会(第466回)主な選定療養に係る報告状況」(2020年)

一時金タイプの保険のメリット・デメリット。

それでは、一時金タイプの保険を上手に活用するために知っておきたい、メリットとデメリットについてご紹介します。

メリット1:短期入院でも、まとまった給付金を受け取ることができる。

入院日数に関係なく、まとまった給付金を受け取れることが一時金タイプの保険の最大のメリットです。早めに退院して自宅に戻れたとしても、体調が戻るまでしばらくは自宅療養が必要になる、あるいは再び体調を崩して再入院や通院を余儀なくされることもあります。そうしたときの当面の医療費や生活費としても、一時金を活用できます。

メリット2:入院期間が短くなっている今のニーズに合っている。

近年では入院日数が短くなっている傾向が見られます。医療技術の進歩で日帰り入院が可能な手術が増えていることに加え、国も超高齢社会で増大する医療費の抑制を図ろうと、入院の短期化を進めています。

参考:厚生労働省「患者調査の概況」(2020)  
参考:厚生労働省「医療費適正化計画について」

厚生労働省のデータによると、2022年の一般病棟における平均在院(入院)日数は約16.2日。また、公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、日帰り入院を含む5日未満の入院は全体の約2割を占めています。

参考:厚生労働省「医療施設(動態)調査・病院報告の概況」(2022年)  

 

直近の入院時の入院日数〔年齢別〕[集計ベース:過去5年間に入院した人](単位:%)
 人数(人)5日未満5~7日8~14日15~30日31~60日61日以上平均(日)
全体79719.827.524.117.86.84.017.7
20歳代4420.538.615.913.66.84.518.0
30歳代5722.840.419.310.55.31.812.1
40歳代9819.435.726.512.22.04.115.1
50歳代12824.228.921.918.84.71.614.7
60歳代18021.123.925.618.35.65.618.8
70歳代28716.421.625.821.310.54.520.5

参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」をミラシル編集部にて一部加工

全体的な傾向として、入院したとしても約半数は1週間以内の入院ですむ場合が多いため、短期入院でもまとまった給付金がもらえる一時金タイプの保険へのニーズが高まっています。一時金に特化して、月々の保険料を安く抑えられる保険商品も登場しています。

デメリット1:複数回の入院や長期入院の場合。

退院してからあまり期間を置かず、一定期間内に再入院した場合は、継続した1回の入院と見なされて一時金が給付されないことがあります。また、入院が長期間にわたる場合は、一時金タイプの保険ではまかないきれないこともあるため、保険検討の際によく確認しておきましょう。

デメリット2:例外となるケースに注意。

一時金タイプの保険の対象となる入院は、「病気やケガの治療にもとづいた入院」に限定されているという点に注意しましょう。たとえば治療目的ではない定期健診や人間ドック、美容整形手術、病気が直接の原因ではない不妊手術、歯科インプラント治療などでは基本的に給付されません。

なお、患者自身は日帰り入院だと思っていたのに、病院側では通院扱いになっているケースがあるため、注意が必要です。また、そもそも入院設備をもたないクリニックや診療所での治療は対象外となります。お支払いの対象となる「入院」に該当するかどうかは、医療機関の領収証などで入院基本料の有無などを参考に、保険会社が判断します。

どういう人が一時金タイプの保険に向いているの?

どういう人が一時金タイプの保険に向いているの?

ニーズが高まっている一時金タイプの保険ですが、特に向いているのは、「預貯金が少ない人」「働きざかりの人」「自営業・フリーランスなど、傷病手当金がもらえない人」などです。

預貯金が少ない人。

入院するとなったときに手元のお金が少ないと、先行きが見通せず不安になりますが、一時金に特化しているシンプルな保険なら月額1,000円台で入れるものもあります。預貯金が少ない人のもしものときの備えとしておすすめできます。

なお、健康保険に加入している会社員や公務員なら「傷病手当金」を受け取ることができます。傷病手当金は、病気やケガで仕事を連続して3日間休んだときに4日目から支給対象になり、1日あたり「支給開始日の以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2」の額が支給されます(最長1年6か月)。

総務省の「家計調査」によると、2023年の1人暮らしの消費支出(生活費)の1か月平均は約16万7,620円なので、会社員であれば傷病手当金を生活費にあてて、一時金タイプの保険の給付金の大部分を治療費・入院基本料・そのほかの費用として使う、といったことも考えられるでしょう。

参考:総務省「家計調査」(2023年)

自営業・フリーランスなど、傷病手当金がもらえない人。

国民健康保険に加入している自営業やフリーランスの人には傷病手当金がありません。働けない期間はそのまま無収入になってしまいますので、短期入院でも確実に一時金を受け取れる保険だと、入院前後の生活も安心できるでしょう。

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【まとめ】もしものときの備えに、一時金タイプの保険を検討しよう。

今まで入院について考えたことがない人は、傷病手当金で自分が受け取ることのできる金額を調べるなど、自分が入院した場合のことを一度想定してみましょう。入院一時金の金額を自分で設定できたり、契約時に所定の要件を満たす健康診断書などを提出することで保険料が割引になったりする一時金タイプの保険もあるので、もしものときの備えとして検討してみてはいかがでしょうか。

写真/Getty Images イラスト/tent


黒田 ちはる    
黒田ちはるFP事務所代表。看護師FP(R)として、オンラインや医療機関で年間約180件のがん患者専門の家計相談を行う。医療機関や自治体・企業での講演、FPの相談員育成も実施。著書に『がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵』(日経メディカル開発)。


※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。    
※ 掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。    
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(登)C24N0016(2024.5.2)
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