おなかの違和感に潜む病気とは?大腸がんの可能性は?
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※ 文章表現の都合上、生命保険を「保険」、生命保険料を「保険料」と記載している部分があります。
繰り返す下痢やおなかの痛み……。「昨日、飲みすぎたし」「ストレスがたまっているから」と、我慢してやり過ごしていませんか? 実は男性の約5人に1人が、下痢の症状に悩まされているというデータもあります。
ひょっとしたら、その不快感に重大な病気が潜んでいるかもしれません。場合によっては入院や手術の必要があり、金銭的な負担が発生する可能性もあります。
横浜市立大学附属病院消化器内科医師の稲森正彦先生が、おなかの違和感に潜む病気と、増加傾向にある大腸がんについて解説します。
目次
- 男性の約5人に1人は下痢に悩まされている。
- 慢性便秘症や急性虫垂炎……おなかの違和感に潜む病気とは?
- もっとも怖いおなかの病気の1つ。大腸がんってどんな病気?
- 数日から2週間程度の入院に備えるには?医療保険がいい?
男性の約5人に1人は下痢に悩まされている。
2019年の厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」によると、胃もたれ・胸やけの消化器症状のある男性は人口1,000人あたり18.1%。便秘については25.4%にも上ります。また、下痢については女性の16.1%よりも多い19.2%。男性の約5人に1人が下痢の症状がある計算になります。
働き盛りの男性は、なにかと不規則な生活になり、ストレスが溜まってしまうという人も少なくないでしょう。おなかの不調に悩む男性は多く、「いつものこと」「よくあること」と我慢している人も多いかもしれません。
慢性便秘症や急性虫垂炎……おなかの違和感に潜む病気とは?
おなかがゴロゴロする、なんとなく痛む、下痢や便秘が続くなど、おなかの違和感には、さまざまな病気が隠れていることがあります。原因がわからない慢性的な病気もありますが、おかしいな?と思ったら、医療機関を受診することが大切です。
おなかの違和感の原因となるさまざまな病気を、痛くなる場所などの具体的な症状を交えて解説します。
慢性便秘症
おなかに張りや痛みがあり、排便の回数や量が少なく、便が残っている感じがあります。
急性虫垂炎
いわゆる盲腸です。突然、みぞおちや右の下腹に激しい痛みが生じます。初期には嘔吐をともなうことが多くあります。
尿路結石
腎臓や膀胱、尿道に結石ができる病気です。突然、腰から背中、おなかに強い痛みを感じるのが特徴です。血尿をともなうことがほとんどです。
胆石
胆のうや胆管に石ができる病気です。みぞおちや右の肋骨の下、右肩が痛みます。食後に痛みを感じることが多くあります。
機能性ディスペプシア
内視鏡検査などを行っても症状の原因となる炎症などの異常はないけれど、胃もたれや上腹部の痛みなど、おなかに不快感があります。
急性膵炎・慢性膵炎
膵臓に炎症が起きている状態です。上腹部や背中が痛み、突然、症状が出るのが急性膵炎。急性膵炎・慢性膵炎ともに、アルコールが大きな原因とされています。
大腸憩室炎
大腸の壁にできた袋状の突起(憩室)が炎症を起こして膿んでしまう病気。おなかの痛みや下痢、発熱などの症状があります。
腸閉塞
腸にできものができて塞がってしまう病気で、腹痛、おなかの張り、便秘などの症状を引き起こします。手術後の患部の癒着によって起こることもあります。
もっとも怖いおなかの病気の1つ。大腸がんってどんな病気?
上記では、おなかの違和感の原因として考えられる病気を解説しましたが、もっとも怖いおなかの病気の1つが大腸がんです。腫瘍が肛門近くにできると刺激で下痢になったり、便秘になったりして、おなかの不調につがなります。便が細くなるなど、お通じに変化が生じ、腹痛や貧血、体重減少といった症状が出ることもあります。
また、便に血が混じるのも代表的な症状です。そのため、健康診断の検便に血が混じっていてがんが見つかった、あるいは、痔だと思って病院に行ったら大腸がんだったということも少なくありません。
ただし、大腸がんは初期症状がほとんどありません。下痢や血便などの症状が出たときには、すでに病状が進行している可能性があります。
大腸がんの治療法。
大腸がんに限らず、がんは可能であれば、切除してしまうケースが多いです。
初期であれば、大きさにもよりますが内視鏡で切除できるので、日帰り手術が可能です。内視鏡での治療ができない場合は外科手術となります。開腹手術をすることもありますが、体の負担の少ない腹腔鏡手術も一般的になっています。また、進行度に応じて、投薬してから外科手術をするケースもあります。
外科手術を行った場合の入院期間は、一概にはいえませんが数日から2週間程度でしょう。ほかに病気がなければ、長期の入院になることは多くありません。
大腸がんの術後、気をつけること。
状態によっては術後、薬物治療を続けることもあります。再発していないかを確認するため、CTや採血などの検査を定期的に行っていくことになります。
大腸がんには、ポリープが悪性化してできるものと、粘膜に直接できるものがあります。ポリープががん化した人の場合、ポリープができやすい体質であることが多いので、定期的に大腸の検査をして、がん化するリスクのあるポリープを切除していきます。
早期発見のためには?
日本では食事が西洋化したことによって大腸がんが増えたといわれています。また、飲酒や肥満、喫煙などが大腸がんのリスクを高める可能性があると指摘されています。ただし、はっきりとした予防法は現段階ではわかっていません。
大腸がんは初期症状がほとんどありませんので、40歳を超えたら、大腸がん検診を定期的に受けましょう。大腸内視鏡検査は検査前に下剤を飲む必要があり、1日がかりになるのでハードルが高いという声も耳にしますが、検査をしながら疑わしい組織を取ることもできるので推奨される検査方法です。
20代〜30代の若い世代でも大腸がんになるリスクはあります。便に血が混じっていないか、一般的な健康診断に含まれることの多い検便だけでも定期的に行うことをおすすめします。
毎日のお通じの変化に意識を。
大腸がんは初期症状がほとんどありません。ただ、ほかのがんと比較すると、早期に発見できて治療をすれば、高い確率で治すことができる病気です。
発見が遅れると、入院が必要になるケースもあります。
大切なのは、定期的に検診を受けること。そして、毎日のお通じの変化に敏感になっておくことです。それは、他の病気の可能性にもいち早く気づくことにつながります。便は健康のバロメーターともいわれます。痛みや不快感、違和感があったら放置せずに、医療機関を受診しましょう。
数日から2週間程度の入院に備えるには?医療保険がいい?
消化器内科専門の医師である稲森先生に、おなかの不調について解説していただきました。
稲森先生によると、もっとも怖いおなかの病気の1つである大腸がんは、初期であれば日帰り手術も可能な病気です。しかしながら場合によっては、数日から2週間程度の入院による手術が必要なこともあるようです。
入院にかかる費用はどれくらい?
では、入院1回につき、平均でどのくらい費用がかかるのでしょうか。
病気の種類や治療内容によって異なるので一概には言えませんが、公益財団法人 生命保険文化センターによる2019年の調査によると、入院時の平均日数は15.7日、自己負担額は平均20万8,000円となっています。
参考:公益財団法人 生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」をミラシル編集部にて一部加工。
※ 公的医療保険には、医療費の自己負担額に限度額を定める高額療養費制度等があり、実際に負担する金額はケースにより異なります。
医療保険で入院に備えると◎。
思いがけない入院には、何かしらの方法で備えておきたいものです。治療費をまかなうために、預貯金に不安がある人は医療保険で備えるのも1つの方法でしょう。
医療保険やがん保険にはさまざまなタイプの商品がありますが、1日など短期の入院に備えるなら、給付金がまとめて受け取れる一時金タイプの医療保険へ加入しておくと安心です。
おなかの不調に向き合うことをきっかけに、もしものときなどの備えとなる医療保険について検討してみてはいかがでしょうか?
写真/Getty Images、PIXTA
稲森 正彦
横浜市立大学附属病院消化器内科医師、横浜市立大学医学部医学教育学主任教授。胸やけ・腹痛外来で、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群など消化器の機能性疾患を専門に診察。患者のQOL向上を意識した最適な治療を行う。著書に、『ナーシング・グラフィカEX―疾患と看護(3):消化器』(メディカ出版)、『日常診療で遭遇する原因不明の消化管障害消化管の機能性疾患診療マニュアル』(診断と治療社)(いずれも共著)など。
※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
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