20〜30代での入院経験者による座談会メインビジュアル 20〜30代での入院経験者による座談会メインビジュアル

思っていたよりお金がかかる? 20〜30代の体験者がホンネで語る「入院」のこと。

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#保険
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※ 記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※ 文章表現の都合上、生命保険を「保険」、生命保険料を「保険料」と記載している部分があります。

ケガや病気は、年齢や性別、時間などを選んでくれません。若くて健康だからと備えを後回しにしていたら、もしもの事態が起こったときに「まさか自分が入院するとは思っていなかった」「思っていたよりお金がかかった」などと困ることがあるかもしれません。

実際に20〜30代で入院や手術を経験した男女3人とファイナンシャルプランナーの張替愛(はりかえ・あい)さんとで座談会を開催。リアルな体験談をもとに、備えの必要性や最新の保険の選び方を解説してもらいます。

20〜30代での病気やケガはあまり前兆が見られず、突然の入院につながりやすい。

4人がそれぞれの実体験を語る
左から、大和ヒロシさん、吉堀遼太郎さん、岡林祥子さん、ファイナンシャルプランナーの張替愛さん。

張替:本日はお集まりいただき、ありがとうございます。さっそくですが、何歳のときにどんなきっかけで入院されたかを、それぞれ教えていただけますか?

岡林:現在35歳ですが、これまでに二度、入院を経験しています。最初は28歳のとき。美容院で突然倒れて意識を失い、救急搬送された結果、血管迷走神経性の失神と診断されました。幸いすぐに意識は戻りましたし、倒れたときに打った頭も問題ないと言われ、すぐに病院を出るつもりでしたが、なかなか立ち上がれなくて……。

歩けるようになるまで、仕方なく一晩入院しました。そのころはとても忙しかったので、過労やストレスが原因だったと思っています。二度目は翌年です。夫と車に乗っていたら後ろから追突されてむち打ちになり、1週間ほど入院することになりました。

28歳と29歳のときに入院を経験した岡林祥子さん
28歳と29歳のときに入院を経験した岡林祥子さん。

張替:2年連続で病気や不慮の事故にみまわれるとは、本当に大変でしたね。突然のことなので、仕事や費用など困ったこともあったのでは?

岡林:最初の入院では、ちょうど週末に入退院だったので、仕事には影響がありませんでした。入院費用は自己負担が3万円くらいで、痛いですが払えない金額ではなかったです。翌年、事故が原因で入院したときは夫に対応を任せていて、治療費はすべて相手側の保険で支払われたと聞いています。前年の経験を踏まえてゆとりのあるシフトに変えていたこともあり、職場もすぐに事情を理解してくれたので安心して治療できました。

張替:それはよかったですね!

吉堀:僕の場合も、やはり過労が入院の引き金になったのですが、職場にわかってもらうのも費用面も苦労しました。そもそも糖尿病にかかった親族が多く、危険因子を持っていたことはわかっていました。そんななか、29〜30歳のころに勤務していた会社は夜中まで働くのが日常で、座りっぱなしで運動せず、夜中にごはんを食べるという生活だったんです。

ある日、別のことで病院に行こうとしたら体が動かなくなり、倦怠感も強かったので血液検査をしたところ、糖化ヘモグロビンがどれくらいあるかを示すHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が異常値を示したので、糖尿病の教育入院をすることになりました。

30歳ごろに糖尿病の教育入院を体験した吉堀遼太郎さん
30歳ごろに糖尿病の教育入院を体験した吉堀遼太郎さん。

張替:教育入院では、どういうことをされたのですか?

吉堀:糖尿病の治療の仕方とか、ふだんの食事や運動の仕方を指導されました。入院期間は約2週間です。ゆっくり過ごせて堂々と会社を休める名目もでき、正直うれしかったです(笑)。ただ、貯金がなく、医療保険にも加入していなかったので、金銭的にはつらくて。入院費用の約13万円はカードローンで借金をして払いました。

張替:その金額だったら、高額療養費制度(※1)が利用できたかもしれないですが、何かお知らせは届きませんでしたか?

吉堀:言われてみれば、通知が届いていた気がしますが、申請する心の余裕がなく、放置してしまって……。

張替:高額療養費制度は、治療費を支払ったあとからでも申請できますが、診療を受けた月の翌月1日から2年間が期限です。また、入院期間が月をまたいでいたり、数日で転院したりしていると、高額療養費制度の適用金額に達しないこともあるので、今後、予定入院されることがあったら事前に調べておくといいですね。約半月間の入院となると、毎月の収入にも影響があったのでは?

吉堀:有給と傷病手当金(※2)を使いましたが、入院した月は収入が3分の2程度になりました。職場に復帰しても「また体調を崩すといけないから、そんなに働かせられない」と、交渉の余地なく時短勤務になり……。実のところ、体力的にフルタイム勤務は無理でしたが、ローン返済のためにもお金が必要だったので、働き方をもう少し相談したかった。金銭的には非常に苦しかったです。

張替:病気やケガでは、治療費や通院費といった目に見える出費だけでなく、体調が整うまで収入が減るなどの目に見えないマイナスが生じる可能性もあるので、ふだんからそこまで含めた備えをしておくと、安心して治療に専念できますよね。

※1 高額療養費制度:医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(1日から末日まで)で上限額を超えた場合、超えた額を支給される制度。上限額は、年齢や所得に応じて定められる。

※2 傷病手当金:病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度。被保険者が病気やケガの療養のために会社を休み、その間、事業主から給与が支払われない、または減額されて十分な報酬が受けられない場合に支給される保険給付。

38歳までに三度の入院を経験した大和ヒロシさん
38歳までに三度の入院を経験した大和ヒロシさん。

大和:私は、現在38歳ですが、過去に3回入院しています。一度目は30歳のとき。皮膚の下に細菌が入り込んで炎症が起きる蜂窩織炎(ほうかしきえん)にかかり、切開して膿を出すという治療法しかないと言われて3日間入院しました。私の職業はプロレスラーなのですが、このときは、あるプロレス団体に所属していたので、団体が加盟している保険を使ったか、団体から援助が出たか、どちらかだったと思います。

二度目は34歳、2016年の春です。試合中に突然、首から下がまったく動かなくなり、救急搬送されました。頚椎のヘルニアと診断されて、「24時間以内に手術をしないと首から下が麻痺する」と言われ、その夜に緊急入院したんです。ただ、翌朝には手が動かせるようになったので、手術はせずに5日間入院し、歩けるようになったところで退院しました。

張替:大事に至らなくてよかったですね。

大和:治療に励んで、半年後に復帰戦のリングに立ったのですが、また同じ症状が出てしまったので、根本的な治療のために同じ年の10月に三度目の入院をし、手術を受けました。二度目の入院とは違う病院で、手術してももとのように動けるかわからないヘルニアではなく、頚椎脊柱管狭窄症と診断されたことも手術決断の決め手になりました。

張替:三度目は手術を伴う入院だったのですね。治療費もかさんだのでは?

大和:約2週間の入院で、支払ったのは5万円くらいだったと思います。高額療養費制度も利用しました。二度目までは、興行中のケガということで団体の補償がありましたが、三度目は自己都合の入院・手術なので、すべて自腹です。なので、いろいろ調べて高額療養費制度のことを知り、申請しました。

張替:皆さん、大変な経験をされましたね。私自身、妊娠中の合併症で、20代で10日間ほど入院を経験しましたし、私の夫も、20代前半で、何らかの原因で肺から空気が漏れて肺がしぼんでしまうという気胸を発症して、救急入院した経験があります。当時は、まだファイナンシャルプランナーではなかったのですが、民間の医療保険や高額療養費制度を使うことができたので、幸い落ち着いて治療に専念することができました。

ファイナンシャルプランナーの張替愛さん
ファイナンシャルプランナーの張替愛さん。

生活にゆとりがない人ほど医療保険へ加入すべき理由。

保険の重要性を知る吉堀さん
大和さんの体験談などで、保険による備えの重要性を知る吉堀さん。

張替:では、皆さんの保険の状況についても教えてください。大和さんは保険へは加入されていましたか? プロレスラーという職業上、加入が難しいと思うのですが。

大和:おっしゃるとおり、加入できても死亡保険金のおりる生命保険くらいです。若いころ、加入できる医療保険がないか探したところ、「ふだんの練習風景を見て検討します」と言ってくれた保険会社があって、担当者が道場を見学にきたのですが、目にした瞬間「これは無理ですね」と言われました(笑)。ケガがつきものの職業を選んだので致し方ないですね。自分に何かあっても家族は困らないように、死亡保険には加入しています。

吉堀:僕も、金銭的な余裕があれば保険に加入したいと思っていますが、今は収入が不安定なので見送っています。どうせ加入するなら、支払い甲斐のある保険に加入したいという気持ちもありまして。

張替:たしかに、備えが大きいと安心感も増しますものね。ただ、生活にゆとりがない人ほど、掛け金を抑えた医療保険に加入することをおすすめしています。差額ベッド代や個室代、通院費など、公的保険や高額療養費制度の対象外となる出費もあるので、そうした部分を医療保険でカバーすると、当座の生活に困るということを防げます。

大和:そういえば、私の二度目の入院は興行先の仙台だったので、下着やパジャマ、歯ブラシなどの日用品を家族に持ってきてもらうことができなかったんです。わずか5日間の入院のためにすべて買いそろえて、それだけで1万円くらいかかりました。私の場合、体が動かないイコール収入がゼロということになります。1円でも出費を抑えたいときに、こういう出費は精神的な不安感につながりました。

張替:保険は長く続けるものなので、日々の生活が苦しくなるほどの掛け金を支払うのはおすすめできません。無理なく払い続けられる金額で備えをすることが大事です。今は、数千円から加入できる医療保険もあるので、収入が多くない若いときからでも検討しやすいと思いますよ。保障を厚くしたいなら、収入が増えてから保障を手厚くする方法もありますからね。

吉堀:なるほど。安かろう意味がなかろう、ではないんですね。なんとなく「月1万円くらいの保険料を支払わないと、満足のいく保障が受けられない」と思い込んでいましたが、数千円の保険と1万円の保険で、どんな保障の違いがあるかはきちんと比べていなかったです。そこをみて、自分に必要な備えを考えないといけませんね。

最近の医療保険では、短期入院もカバーする一時金タイプに注目。

自分に合う保険の選び方を尋ねる岡林さん
いざというときに「使える保険」の選び方を尋ねる岡林さん。

岡林:でも、保険も万能じゃないですよね? 母が私にかけてくれていた保険では、2回の入院時どちらも給付金は支払われませんでした。保険の種類も支給されなかった理由もきちんと聞いてはいないのですが、ただ保険に加入すればいいというものではないんだなと思った覚えがあります。また、今の私の年齢や所得なら、高額療養費制度を使った場合の自己負担の上限は月8万円程度。それなら何とか支払えるので、無理して保険に加入しなくてもいいのかなと思っていたのですが……。

張替:契約内容がわからないので、たしかなことはいえませんが、もしかしたら日額保障タイプの保険だったのかもしれませんね。昔は、入院した日数に応じて給付金が受け取れるという日額タイプの保険が多く、「入院日数が最低○日以上」という条件があるのが主流でした。ただ、近年、医療技術の進歩によって入院日数が短くなっているので、それに合わせて保険商品も変わってきています。たとえば、入院日数に関係なく一定額を受け取れる一時金タイプの保険も増えていますよ。

岡林:日額タイプと一時金タイプでは、どちらがおすすめですか?

張替:どちらにも長所があります。日額タイプは、入院日数に応じて給付金の受け取り総額が増えるので、長期入院した場合は安心といえますね。一時金タイプは、入院日数にかかわらず一時金が受け取れるので、短い入院でも保障される可能性が高まります。

岡林:私の場合、もしものときに受け取れる金額が多いことよりも、短期の入院でも保障してくれるほうが自分に合っている気がするので、そういうときは一時金タイプの保険を選ぶといいということですね。

若くて健康なうちに、“もしも”に備えて保険への加入を検討するのが賢い備え。

今後の備えについてあらためて考える3人
今後の備えについてあらためて考える3人。

張替:一度入院してしまうと医療保険に加入するのは難しくなりますし、同じ保障内容なら年齢が若いうちに加入したほうが保険料を低く抑えられるので、保険の必要がなさそうな健康なうちに加入を検討しておくことをおすすめします。若いときは収入が多くないですし、衣食住などにかかるお金もあるから、「保険は後回しでいいや」と思ってしまいがちです。でも、若くて健康でも「もしも」の事態は起こりえますし、いざ入院となると収入減や、治療費以外の出費など公的保険でまかなえない支出も生じかねません。まずは、いざというときに使える貯金をある程度確保しておくことが大切ですが、同時に、備える手立てのひとつとして保険も重要なんです。

吉堀:備えないといけないとは思いつつ、なかなか保険の加入を検討するきっかけがなかったのですが、早ければ早いほどいいということは、まさに今、検討すべきなんですね(笑)。すぐに収入が増えるわけではないので、できることは限られていますが、まずは健康的な生活を送ることで備えたいと思います。実は、入院中に勤務していた会社は辞めて、極端なハードワークからは解放されました。今は、自炊もできていますし、心も体も落ち着いた生活ができています。

大和:考えてみれば、私も入院したころは、プロレスの新団体の選手兼経営者として動いていた時期で、1週間に3時間しか家に帰れないという日々でした。家を出るときに、3歳の息子に「また来てね」と言われるくらい、父親として覚えてもらえなくて……。

フリーランスとなった今は、別の大変さはありますが、体も気力もいちばん充実した生活が送れています。備えという意味では、家族のために残せる何かを考えておきたいですね。

岡林:皆さんのお話を聞いて、やっぱり激務は体によくないなと思いました(笑)。また、健康や貯金、保険についてもあらためて考えるきっかけにもなりました。実は今、妊活中で、そろそろ保険も考えようかなと思っていたので、ケガや病気等による入院歴があると医療保険への加入ができないことがあると知って驚きました。今後の備えについて夫ともよく相談したいと思います。

張替:健康的な生活で体を労りながら、もしもに備えて日ごろから準備ができるとベストですね。皆さん、これからも元気にお過ごしくださいね。今日はありがとうございました。

取材・文/知井恵理 写真/千葉諭


張替愛
FP事務所マネセラ代表。大学で心理学を学んだ後、国内損害保険会社に勤務。夫の海外赴任を機に退職し、日本帰国後の2017年に独立開業。専門分野は、海外赴任準備や資産運用・教育費・保険・老後資金・ライフプラン・女性のキャリアなど。多くの人に賢いお金の使い方や考え方を知ってもらうため、コラム執筆や監修・オンライン相談・マネー講座などに力を入れて活動中。2児の母でもある。著書『~共働き800万円以下の夫婦でもハッピーライフ~プチ贅沢を楽しみながらムリなく資産を増やす 暮らしとおかね Vol.12』(ビジネス教育出版社)


※ この記事は、ミラシル編集部がファイナンシャルプランナー、面談者への取材をもとに、制作したものです。
※ 面談中の意見や提案は個人の経験に基づく情報も含まれます。
※ 病気の症状や治療の過程での副作用、感想には個人差があります。
※ 掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。
※ 記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。

(登)C22N0162(2022.9.7)
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#保険 #万一への備え #病気・けがへの備え #医療保険
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