大学の学費準備を計画的に行うには?教育資金を準備するポイント。
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※ 文章表現の都合上、生命保険を「保険」と記載している部分があります。
※ 本文中に記載の保険に関する保障の条件は、保険会社によって異なります。詳しくはご加入の保険会社にお問い合わせください。
「そろそろ子どもを」と考えている夫婦、または小さなお子さんを育てているパパやママ。わが子の健やかな成長を願うとともに、将来の教育費はどのくらいかかる?どうやって準備したらいいの?と気になっているのではないでしょうか。
子ども1人あたり、幼稚園から大学卒業までにかかる教育費は、選択する進路によって異なるものの、トータルで1,000万円とも2,000万円とも巷ではいわれています。なかでも、特にまとまったお金が必要になるのは大学進学時です。
ご自身も2人の大学生の子どもを持ち、教育費にまつわる家計相談が好評のファイナンシャルプランナー氏家祥美さんに、大学進学にはどの程度のお金がかかるのか、どう準備したらよいのか、基本的な考え方をお聞きしました。
目次
- 大学に進学すると学費はどのくらいかかる?
- 大学受験費用は受験スタイルによって大きく異なる。
- 大学進学資金は学資保険を活用して準備しよう。
- 【まとめ】学資保険は「教育費」という明確な目的で資金づくりができる。
大学に進学すると学費はどのくらいかかる?
まず、大学に進学すると学費やそのほかの暮らしにまつわる費用は、どの程度かかるのかをつかんでおきましょう。
大学での生活でかかるお金は、進学先が国公立か私立か、あるいは文系か理系か、また、自宅から通学可能か下宿などをするかによって大きく異なります。
授業料の目安を知っておこう。
文部科学省の調査によると、国立大学・私立大学の学部系統ごとの、初年度の授業料の平均額は次のとおりです。
進学先 | 初年度の授業料の平均額 |
国立大学(※1) | 53万5,800円 |
私立大学・文科系学部 | 81万5,069円 |
私立大学・理科系学部 | 113万6,074円 |
私立大学・医歯系学部 | 288万2,894円 |
私立大学・その他学部(※2) | 96万9,074円 |
※1 国立大学は文部科学省が省令で定めた標準額
※2 その他学部は、家政・芸術・体育・保健。医学部看護学科は「保健」区分に含める
参考:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」2021年度
参考:文部科学省「令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金 平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
をもとにミラシル編集部にて作成
国立大学の授業料は文部科学省が省令で定めた標準額で、一部の例外を除き、全国どの国立大学も上記の金額になります。一方、私立大学については、上記の数字はあくまでも平均で、大学によって違いがあります。
4年制大学では上記の4倍、6年制の医・歯・薬学系では6倍の授業料が卒業までにかかることになります。
入学料など、授業料以外で入学にかかる費用は?
授業料のほかに大学に納めるお金としては、入学料などがあげられます。こちらも学部の系統などにより差があります。
文部科学省の調査によると、入学料の平均額は次のとおりです。
進学先 | 入学料の平均額 |
国立大学(※) | 28万2,000円 |
私立大学・文科系学部 | 22万5,651円 |
私立大学・理科系学部 | 25万1,029円 |
私立大学・医歯系学部 | 107万6,278円 |
私立大学・その他学部 | 25万4,836円 |
※ 国立大学は文部科学省が省令で定めた標準額
参考:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」2021年度
参考:文部科学省「令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金 平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
をもとにミラシル編集部にて作成
入学料・授業料のほかにも、施設設備費・実験実習費などを大学に納める必要があります。
また、直接大学に支払う費用以外にも、授業に必要なパソコンや教科書、実験用に自分で用意する道具代など、こまごまとした出費があります。
自宅外通学の場合の費用は?
下宿や1人暮らしなど、自宅外から通学する場合は、自宅から通うよりも生活費が多くかかります。
自宅外から通学すると、自宅から通学した場合と比べて、多くの費用がかかるといわれています。
また、新生活をはじめるための初期費用(アパートなどの敷金礼金・家財道具購入費など)もかかります。余裕を持って備えておく必要があるでしょう。
大学受験費用は受験スタイルによって大きく異なる。
大学進学にかかるお金の中で、見落としがちなのが受験にまつわる費用です。予想以上の金額がかかる場合もあります。
試験1回あたりの受験料は?
受験料は、試験によって金額が異なります。
「大学入学共通テスト」の2022年度の検定料が、3教科以上受験で1万8,000円、2教科以下受験で1万2,000円です。(夜間生、フレックスなどコースによっては1万円の場合もあります。)
国公立大学2次試験は1万7,000円、私立大学受験料は3万円~3万5,000円程度。医歯学部などは6万円程度です。
学校推薦型選抜や総合型選抜で秋ごろに進学先が決まるケースは、受験料はさほど高額にならない場合が多いです。
私立大学入試は複数回の受験が一般的。
国公立大学受験の場合は、「大学入学共通テスト」の受験が必須になりますが、私立大学の一般入試は「大学入学共通テスト」利用や大学独自に実施する選抜試験など、さまざまなパターンがあります。同じ大学の同じ学部・学科を複数回受験することができる場合も。その場合、それぞれの試験で受験料がかかります。
受験料以外にも費用がかかる。
さらに、いわゆる「おさえ」として、実際には進学しない大学に入学料などを納入する場合もあります。遠方からの受験では、交通費や宿泊代も加わります。
大学進学資金は学資保険を活用して準備しよう。
進学先や受験のスタイルにもよりますが、大学進学にはお金がかかる、というのが現在のところの実情です。
ですから、将来子どもを大学に進学させたいとお考えであれば、お子さんが生まれたらできるだけ早い時期からコツコツとお金を積み立てていくことが必須です。
大学進学資金をどう準備する?
大学進学資金の準備については、基本的には次のように考えていくとよいでしょう。
1.私立大学進学をイメージした教育費の準備を。
大学進学に必要な資金は、先述したように進学先によって異なります。
私が家計相談を受ける際は、「令和2年度 学生生活調査結果」をもとに、私立大学進学を想定、試算し、受験費用なども含め自宅通学の場合で550万円を大学進学資金の目安とするようにお伝えしています。(ただし、医・歯・薬学系大学進学を除きます。)
2.まずは高校3年生の秋までに300万円を準備しよう。
18年間で550万円をためるとなると、かなり重い負担に感じられ、くじけそうにもなります。
前述のとおり、特に多くの費用がかかるのが大学受験から大学入学を含む大学初年度です。まずは受験と初年度に備えて、高校3年生の秋までに300万円を着実にためることを目標にしてみるといいでしょう。
3.学資保険を上手に活用しよう。
300万円を18年間(216か月)でためるには毎月約1万3,800円ずつためる必要があります。預貯金などでコツコツためていくのもよいですが、「18年間は長く、途中で使ってしまいそうで心配……」という方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、大学進学資金をしっかり確保するために、学資保険を利用してみてはいかがでしょう。
学資保険の特徴は?
学資保険は子どもの教育資金を準備することに特化した保険です。商品やプランにもよりますが、親にもしものことなどがあった場合の保障も兼ね備えた保険商品で、将来の教育費を計画的に用意するのに適しています。
保険料を口座振替にしておけば、あとは特に意識しなくても教育費としてのお金を準備できます。また、教育費がかかる対象となる子どもと、学資という目的が明確なことや、解約すると解約返還金が支払った保険料の総額を下回ってしまうことから、教育資金としてためたお金を解約して別の目的に使うことへの歯止めになる、ともいえるでしょう。
保険料払込期間中に契約者(親)が死亡するなど万が一のことが起きた場合は、保険料払込免除の保障がある商品であれば、以後の保険料の払い込みは不要になります。もしものときでも、学資金・満期保険金は当初の予定どおりにもらえる点が、学資保険ならではのメリットです(※)。ただし、学資金・満期保険金の受取総額が保険料の総額を下回る場合があります。また、解約返還金は多くの場合、保険料の累計額を下回ります。
なお、学資保険は解約すると、多くの場合、受け取る金額が支払った保険料の累計額を下回ります。大きくは増えませんし、インフレリスクに弱い、というデメリットはあります。
※保険料払込免除の保障をなくし、より貯蓄性を高めた商品もあります。
学資保険でまかなう金額の考え方。
教育資金の原資として生かせるお金には、児童手当もあります。児童手当として支給される金額は、所得や子どもの人数によって異なりますが、多くの場合はトータルで200万円弱になります。ぜひ大学進学資金としてストックしておきたいものです。
児童手当200万円弱にプラスして、もし学資保険で300万円を準備すれば、合計500万円になります。国公立大学への進学ならほぼまかなえますし、私立大学への進学でも、たりないぶんは家計をやりくりして捻出できる金額ではないでしょうか。
たとえば、第一生命の学資保険「こども応援団Mickey B型」は、お子さんが0歳~10歳で加入でき、17歳または18歳から学資金を、保険期間満了時に満期保険金を受け取れます。ただし、学資金・満期保険金の受取総額が保険料の総額を下回る場合があります。また、解約返還金は多くの場合、保険料の累計額を下回ります。
余裕ができたときにはほかの手段も並行して。
契約時に張り切りすぎて、学資保険の保険料を高く設定してしまうと、途中で払えなくなるリスクも考えられます。受取総額200万円~300万円を目安に無理のない保険料で契約するといいでしょう。
もしも子どもが大きくなるにつれて余裕ができたら、貯蓄やつみたてNISAなど、ほかの手段も並行して備えていくといいでしょう。
共働きなどで余裕がある場合は、保険料払込期間を短く設定しておくと、受け取りまでのすえ置期間が長くなるぶん、受け取る金額が増えるケースもあります。
【まとめ】学資保険は「教育費」という明確な目的で資金づくりができる。
大学進学のための教育資金準備には、貯蓄や投資などさまざまな手段があります。学資保険のいいところは、ほかの用途のお金と混ざりにくく、教育費というしっかりした目的に向けて資金づくりができる点です。
また、支払った保険料は、所定の条件を満たせば、ほかの生命保険とあわせた上限額まで一般生命保険料控除の対象になり、所得税や住民税の負担が軽減されます。
学資保険に加入しておくと、子どもの大学の学費としてジャストなタイミングで学資金・満期保険金が得られます。私自身、学資保険に加入していましたが、満期保険金を受け取ったときは、保険会社からの「振り込みました」というお知らせを見て、思っていた以上にうれしかったことを覚えています。
お子さんが生まれたら、あるいは誕生を待っている間から、将来のお子さんの教育についてご夫婦で話し合い、教育資金の準備のために学資保険を検討してみてはいかがでしょう。
写真/Getty Images、PIXTA
氏家 祥美
FP事務所ハートマネー代表。ファイナンシャルプランナー、セカンドキャリアアドバイザー。旅行会社、FP会社で働いた後、2010年に現在の事務所を開業。金融リテラシーの普及に努め、高校の家庭科の教科書では経済パートの執筆も行う。
※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
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