役職定年制の実態とは?備える方法は?個人年金保険って有効なの? 役職定年制の実態とは?備える方法は?個人年金保険って有効なの?

役職定年制の実態とは?備える方法は?個人年金保険って有効なの?

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あなたの勤め先では、役職定年の制度が導入されているでしょうか? 40代ごろから気になってくる役職定年のこと。役職定年の前後で働き方や収入はどう変わる? どんな備えをしておくといい? 中高年向けのキャリアプランや資産形成に詳しい社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーの森本幸人さんが解説します。

目次

役職定年制とは?

役職定年制とは?

「役職定年制」は、一定の年齢を迎えると課長・部長などの役職を退くように設計された人事制度です。

役職定年制の概要。

もともと企業などの定年退職の年齢は、長らく55歳でした。平均寿命の延び(男性の平均寿命は1955年に63.6歳、1990年に75.92歳、2019年に81.41歳。女性の平均寿命は1955年に67.75歳、1990年に81.9歳、2019年に87.45歳)に伴って、1980年代から60歳定年制への移行が進み、1998年には定年を60歳以上と定める法改正が施行されました。

参考:厚生労働省「令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-」 

ところが、定年延長により年齢の高いベテラン社員が増え、役職の空きがたりなくなって若い人が昇進できなくなる、という問題が特に大企業では顕著になってきます。

そこで、組織の新陳代謝・活性化の維持とともに、ポスト不足の解消などのために、「役職定年制」が導入されました。

つまり、「寿命が延びたぶん、定年は延びましたが、役職は外れて若い人たちにポストを譲ってください」という制度です。

3割以上の企業が役職定年制を実施。

第一生命経済研究所が2020年に行った調査によると、役職定年制を導入している企業割合は33.4%。

企業規模別にみると、30人未満の企業では9.1%であるのに対して、100人~300人未満では25.2%、300人~1,000人未満では34.0%、1,000人~5,000人未満では43.1%、5,000人以上では46.6%と、企業規模が大きいほど導入している比率が高くなっています。「役職定年制がある」企業の役職定年の年齢は、平均57.2歳となっています。

また、「役職定年制はないが、50歳代から年齢の上昇に伴って職位や給与が下がる、もしくは、権限や責任が小さくなる」ケースも規模の大きい企業により多くみられます。

大企業ほどポストが不足し、逆に中小企業では人手不足が深刻であることがその背景にあるようです。

参考:第一生命経済研究所「50代男性の働き方とキャリア意識に関する調査~中小企業では自律的に働き、大企業では役職定年でチャレンジ意欲が低下~」(2021年)

役職定年に向けて考えておきたいこと。

役職定年に向けて考えておきたいこと。

役職定年を導入している企業の多くでは、早ければ30代ごろからこの制度について、人事担当部門から繰り返し説明されるようです。

それによって、決められた年齢で役職定年となることは従業員にも自然に受け入れられているようです。

役職定年を迎えると、それまで管理職として活躍していた方が役職から離れ、専門職的な立場で、部下は持たずに1人のプレイヤーとして仕事に取り組むケースが多くあります。働き方や収入も役職定年前後では大きく変わってきます。

役職定年後の新しい働き方とは?

管理職として活躍しているときは、組織の中での調整能力が問われることが多いかと思います。役職定年後は、個人の能力を頼りに専門性や営業力などを発揮して成果をあげていく働き方に変わるでしょう。

収入も変化する?

役職定年を境に、収入にも変化があります。人によっては、たとえば営業のセンスをいかんなく発揮して、より多くの収入を得られる場合もありますが、ほとんどの場合では役職手当相当の収入減を覚悟しておく必要があります。

老後資金にも影響がある?

退職金は老後のための大切な資金ですが、役職定年は退職金の金額にも影響します。

最近では、在職中の職能や役職などに応じてポイントがたまり、その累計額をもとに退職金額が算出される「ポイント制」を採用している企業が増えているようです。

その場合は、退職金による退職金額への役職定年の影響は比較的少ない、といえます。一方で、定年時での給与額で退職金が決まる場合は、役職定年による収入減がより響いてきます。

参考:内閣府「平成17年度版 年次経済財政報告書」

参考:企業年金連合会「ポイント制」

役職定年に向けてどんな備えが必要?

役職定年に向けてどんな備えが必要?

役職定年による働き方や収入の変化に備えて、どんな準備をしておくとよいのでしょう。

自分自身の能力の棚卸しをしよう。

現場の管理職から離れたときに、自分には何ができるか、どんな専門性や強みを持っているか、ご自身の能力を棚卸ししておきましょう。「私はこれができる!」と明確に答えられるようにし、さらにブラッシュアップしていくことが大切です。

また、能力の客観的な証しとなるような、たとえば業務に関連する資格などを取っておくのもよいでしょう。

資産の棚卸しをしよう。

役職定年に際して、もう1つやっておきたいことは、自身の財産と負債を確認する「資産の棚卸し」です。

たとえば、住宅ローンの完済予定年齢が定年後の場合は要注意です。年金収入だけで住宅ローンの返済をまかなうのはかなり厳しい場合が多いですから、繰り上げ返済などを利用して、住宅ローンをはじめとした負債には早めに片をつけておきたいものです。

役職定年は人生後半の新しいスタート地点。

現在では男性の8割以上、女性の6割以上が60歳を超えても働き、65歳以降も働く方が2021年に初めて50%を超えました。

長く働き続けることは、老後の資金面でも健康や生きがいの面でも、とても有効な対策ともいえます。この先も長く働き続けるために生きてくるのが、自立して働く能力です。役職定年までに、この能力をしっかり確立しておくことで、長く続く人生後半がよりよいものになります。

ですから、「役職定年はこれからも続く人生の新しいスタート地点」ととらえておくとよいでしょう。

参考:内閣府「令和4年版高齢社会白書」

参考:総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」

個人年金保険を活用して老後に備えよう。

個人年金保険を活用して老後に備えよう。

役職定年を迎える50歳後半からは、収入が下降していくことが一般的です。役職定年・定年退職・再雇用・フルリタイアと、段階的に収入が減るタイミングがあります。

収入の減少や老後に向けての備えとして個人年金保険を利用するのも1つの方法です。

参考:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

40代~50代で個人年金保険に加入しても遅くない?

個人年金保険は、10年程度の保険料払込期間があれば、ある程度まとまった額の個人年金を受け取ることができるケースが多いです。

40代~50代前半は収入のピークを迎える時期ですから、「個人年金保険料税制適格」に該当する契約内容であれば、支払った保険料に対する個人年金保険料控除も受けることができます。

参考:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

健康状態の告知などは不要。

40代~50代は持病や健康面での不調を抱えている方も多いですが、個人年金保険は、基本的には加入時の健康状態の告知や医師の診査は不要です。

検討するときのポイントは?

定年退職後の働き方の希望や資産、収入の見込みにあわせて、個人年金保険の年金額や受け取り期間、受け取り開始時期などを検討しましょう。

役職定年による収入減の補いに、という使い方もできますが、10年以上保険料を払い込み、受け取りは60歳以降などの「個人年金保険料税制適格」の所定の要件を満たさないと、個人年金保険料控除を受けることはできません。

ですから、個人年金保険は老後資金として、受け取りは早くても60歳以降で考えるとよいでしょう。以下で、60歳以降の働き方にあわせた個人年金保険活用の一例をご紹介します。

参考:国税庁「タックスアンサーNo.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等」

60歳以降は仕事をしない場合。

60歳で定年退職し、以降は働かない場合、65歳で公的年金の受け取りがはじまるまでの5年間は収入が途絶えてしまう可能性もあります。個人年金保険の受け取り期間をこの5年間に設定すれば、無収入の期間に備えることができます。

65歳まで働く場合。

60歳定年の企業であれば、65歳までは希望すれば基本的には現在の会社の再雇用などで働くことができます。新しい仕事を見つける必要がなく、慣れた環境で働くことができますから、ぜひ活用したいものです。

ただし、60歳の定年までより給与は減る場合がほとんどですから、65歳の公的年金受け取り開始までのこの期間、個人年金保険でたりないぶんをまかなうこともできます。

65歳以降も働く場合。

在職老齢年金の制度が改正され、年金を受け取りながら働き続けやすい環境が整ってきました。「老後の生活を安定させるには、長く働くことは、とても有効な方法」と森本さんは言います。

「勤務先の健康保険に加入できると、配偶者も被扶養者になるなどのメリットがあります。また、65歳以降も厚生年金に加入すれば、将来受け取る年金額が増えます。個人年金保険を65歳から受け取り、公的年金の受け取り開始を繰り下げることができれば、さらに年金額を増やすことができます」と森本さん。

参考:日本年金機構「令和4年4月から年金制度が改正されました」

たとえば、第一生命の積立年金「しあわせ物語」個人年金保険(2018)は74歳まで加入でき、受け取り期間は5年・10年・15年のいずれかを選択。年金額は契約時に確定します。

また、所定の条件を満たして「個人年金保険料税制適格特約(S60)」を付加すると、所得税・住民税の「個人年金保険料控除」が受けられます。所得控除額は、所得税で年間最大4万円、住民税で最大2万8,000円となり、税負担が軽減されます(※)。

加入の際に健康状態の告知は不要で、簡単な手続きで申し込め、ご自身のライフプランにあわせて、保険料払込期間や受け取り時期を設定できます。

※ 2012年1月1日以降に締結した保険契約で、ほかに個人年金保険の契約がないものと仮定しています。

参考:国税庁「No.1140 生命保険料控除」

【まとめ】個人年金保険を活用して老後のライフプランにゆとりを。

役職定年を迎える50代後半からは、前述したとおり、収入が減少していく場合がほとんどで、老後資金にも少なからず影響があります。

個人年金保険は、長期的に保険料を支払っていくことで所得控除を受けながら、老後のための資金を準備していくことができます。老後のライフプランにあわせて個人年金保険を上手に活用することで、役職定年以降も長く続く人生にゆとりが生まれます。もし解約した場合には、解約返還金はそれまで支払った保険料の総額を下回ってしまう場合が多いので注意しましょう。

役職定年に向けた備えを考える際に、個人年金保険の利用も検討してみてはいかがでしょうか。

写真/Getty Images、PIXTA


森本 幸人
社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)、1級FP技能士)。証券会社勤務後、森本FP社労士事務所を開設。定年後を豊かに生きるためのリタイアメントセミナーを中心に、再就職や資産運用について全国で講演・セミナーを行っている。


※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
※ 掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。
※ 記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。

※ 税務の取り扱いについては、2023年1月時点の法令等にもとづいたものであり、将来的に変更されることもあります。変更された場合には、変更後の取り扱いが適用されますのでご注意ください。詳細については、税理士や所轄の税務署等にご確認ください。

※ このページは2023年1月時点の商品の概要を説明したものであり、契約にかかるすべての事項を記載したものではありません。検討にあたっては「保障設計書(契約概要)」など所定の資料を必ずお読みください。契約の際には「重要事項説明書類(注意喚起情報)」「ご契約のしおり」「約款」を必ずお読みください。

(登)C22P0368(2023.2.22)
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