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さとう珠緒50歳、おひとりさま。目下の悩みは家の購入時期?「一生買えない気が……」

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#お金
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2023年1月に誕生日を迎え、50歳になったさとう珠緒さん。かつてぶりっ子キャラとして人気を博した彼女もデビューして早35年。これまでキャラクターや芸能界でのポジションについての葛藤を経験し、現在は「俳優でもなく、歌手でもなく、さとう珠緒」として仕事を心から楽しめるようになったといいます。

そんな彼女が最近、気になりはじめたのが「老後の人生やお金のこと」。お金の話は苦手という彼女の相談相手として来ていただいたのは、これまで約20年にわたって、特におひとりさま女性のお金の問題解決に尽力してきたというファイナンシャルプランナーの黒須かおりさん。

さとうさんと黒須さんは実は同世代。一体どんなアドバイスが出てくるのでしょうか?

50歳を迎えて意識しはじめた「老後」のこと。

さとう珠緒さんとファイナンシャルプランナーの黒須かおりさん
右・さとう珠緒さん 左・ファイナンシャルプランナーの黒須かおりさん

珠緒 私、数字が苦手なので、イコールお金のことも苦手で、これまでなんの勉強もしてこなかったんですね。でも老後に不安はあるんです。お仕事に保証はないし、都会で女1人生きていくためには、何かできることはありますか?

黒須 数字やお金のことが苦手でも大丈夫です。お金をためるしくみさえつくっておけば、あとは流れに任せるだけ。そこで最初に考えるのは、何のためにどんなお金が必要なのかということなんです。

自身の将来を相談するさとう珠緒さん

珠緒 自分がこれから何をやりたいかによって方向性が変わってくるんですね。

黒須 おっしゃるとおりです。それを知るためには、自分がこれからの人生で何をしたいのかを書き出してみるのがいいと思いますよ。

珠緒 私、正直、今のままの感じでずーっと行けたらいいなと思ってるんですよ……あ、ちょっと上向きになったらうれしいですけど(笑)。

さとう珠緒さんの「芸能人生充実度グラフ」。

「今のままの感じでずーっと行けたら……」というさとう珠緒さんですが、まずはこれまでの半生について振り返ってもらうために、芸能人生での「充実度」をグラフ化してもらいました。

さとう珠緒さんの芸能人生を表したグラフ

15歳・高校1年生のときに、とあるオーディションで受賞したのがスタート。そこから芸能人生におけるトピックを踏まえ、そのときの経済面での充足度と、お仕事での充実度を加味してつくっていただきました。

黒須 そもそもなぜ芸能界に入られたんですか?

自身の将来を相談するさとう珠緒さん

珠緒 高校生のころに知り合いのお誘いで参加したオーディションで、準グランプリをいただいたんです。当時はおニャン子クラブのブームがあって、私もあるグループで活動していたんですけど、カメラ小僧の方たちが怖くて、そのときはすぐに芸能界を離れちゃったんです。

黒須 まだお仕事という感覚も薄かったのかもしれませんね。

珠緒 だと思います。高校卒業のタイミングが就職氷河期で、特にやりたいこともないまま、またお誘いを受けて復帰しました。

黒須 そのときはお仕事がたくさんあったんですか?

珠緒 全然です(笑)。ヒマすぎて、叔母に「いついつまで、このくらいの仕事がなければ辞めます」って念書を書かされたほど。そんななか、21歳のときに戦隊もののピンクの役のオーディションに合格したんです。

黒須 そのころにはもう経済的にも自立できていたんですか?

珠緒 まだまだでした。でも、すっごく楽しいお仕事でした。戦隊ものは2週間で2本撮りが基本で、現場にはスタッフさんが総勢50人くらいいるんです。最後は撮影所でアフレコしてようやく完成するんですが、そこで最初の試写をみんなで観ながら乾杯して、「次もまたがんばろう!」っていう制作の流れが本当に楽しくて。撮影は超ハードでしたけど、映画畑の超ベテランスタッフさんに映像の基礎をいろいろ教わったりして、「みんなでひとつの作品をつくり上げる喜び」を感じました。

黒須 そこから競馬のお仕事に広がったわけですね。

珠緒 プロデューサーさんが戦隊ものを見てくださっていて、お声がけいただきました。さらに、その競馬番組を「王様のブランチ」のプロデューサーさんが見てくれていて、出演が決まり、番組途中からMCをさせていただくことになったんです。

黒須 珠緒さん的には大きな転機だったんですね。今も続く有名番組ですし、収入も増えたんじゃないですか?

珠緒 「王様のブランチ」に出させていただいた25歳ごろからは、なんとか自分の収入で生活できるようになっていましたが、当時の事務所は年俸制だったので、急にお給料が増えたわけではありませんでした。

仕事としては、競馬番組は祖父が船橋競馬場で厩務員をしていたこともあって馬に馴染み深かったし、競馬好きが集まってワイワイ盛り上がる現場が自分とすごく合っていましたね。「王様のブランチ」は、生放送で、とにかく円滑な進行を求められたんですけど、うまくいかなくて、毎回反省していた記憶が強いです。私って何者かわからない感じでポッと出てきて、何者にもならないままお仕事が少しずつ増えてきて、このままやっていけるのか、20代はずっと不安でしたね。

「出動!ミニスカポリス」の初代ポリスを務めたさとう珠緒さん
23歳のとき、「出動!ミニスカポリス」の初代ポリスを務めた(写真・中央)。

「ぶりっ子」から「嫌われる女」、さらに「血糖値スパイク」な日々へ。

とはいえ、さとう珠緒さんは「王様のブランチ」への出演をきっかけに「ぶりっ子キャラ」としてブレイク。その影響か、週刊文春が2004年、2005年に行った「『女が嫌いな女』1000人アンケート」で2年連続の1位に選ばれました。

珠緒 これ、意外と嫌じゃなかったです(笑)。何者でもなかった私に、ちょっとヘンな称号が与えられて、お仕事がバーンと増えました。ただ、安定はしなかったですね。

自身の将来を相談するさとう珠緒さん

黒須 その時期はテレビで珠緒さんを見ない日はありませんでした。

珠緒 いろいろな番組にゲストで呼んでいただいたんですが、どの番組も一度の出演で終わっちゃうんですよね。「嫌いな女」で出たその次、2回目以降の出演機会をどうつくっていけばいいのか全然わからなくて。その後の「芸能人生充実度グラフ」は急落しました。

当時の事務所との考え方の違いもあって、お仕事の相談を全然してくれなかったんですよね。ファンじゃないプロ野球チームのファンを装ったり、未経験の趣味の雑誌で表紙モデルとインタビューを受けたりするようなことが日常茶飯事で。お仕事があるとかないとかよりも、30代半ばのこの時期は、心の平穏が保てないことが多かったです。

黒須 そういう状況だと、お仕事から「楽しさ」とか「充実感」って到底得られないですよね。

30代のころの雑誌取材のグラビアより
珠緒さんが30代のころに雑誌取材で掲載されたグラビア。

珠緒 そうなんです! もちろん楽しいお仕事もあるんですけど、ストレスのたまるお仕事もたくさんあって、その都度「血糖値スパイク」(食後に血糖値が急上昇、急降下し、体調を崩す症状)みたいな状態になるのがずっとつらかったです。でも、それが、40代に入って今の事務所にも出合えて、心の平穏が得られるようになりました。

今、さとう珠緒さんは幸せ? これからやりたいことは?

黒須 では、そろそろファイナンシャルプランナーとして本題に入っていこうと思います。珠緒さんは、今後のライフプランをどう考えていますか?

さとう珠緒さんの相談に応じる黒須かおりさん

珠緒 私って世間的にはパッとしていないなりに、なんとなく「さとう珠緒ブランド」みたいなイメージはできてきたんじゃないかなと思うんです。こんな小さな商店でも、これからも維持していきたいんですよね。

黒須 ご夫婦で共働きの場合、お金を準備する力は、いわば “2馬力”。不測の事態にもお互いが補い合うことで、備えることができます。独身の場合は、1馬力です。2馬力よりも、非力なパワーをいかに上手に使うかが大切になってきます。そこで、考えるべきはお金にまつわる「攻め」と「守り」をバランスよくすることですね。

珠緒 攻めっていうのは投資とかそういうことですか?

黒須 簡単にいうと、そういうことになります。独身でもお勤めの方だと、退職金や厚生年金を考慮することができますが、珠緒さんの場合は自営業ですので退職金はないですよね?

珠緒 ないです!

黒須 あとは月々の国民年金ということになりますが、今の制度下では20歳から60歳まで払い続けても支給されるのは月々7万円に満たない状況なんです。

参考:日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」

珠緒 それは……ちょっと少ないですね。

自身の将来を相談するさとう珠緒さん

黒須 これだけだとしんどいですよね。だから、何かしらの制度を活用してプラスしていくほうがいいんじゃないかなっていうご提案なんです。珠緒さんは、投資とかされてますか?

珠緒 いえ。まわりのみんなにも「NISAぐらいしてなきゃ〜」って言われるんですけど、なんにもわからなくて(笑)。

黒須 そうですね。投資って利益が発生すると普通は約20%の税金がかかるんです。ところがNISAは個人のための税制優遇制度で、得た利益に対して税金がかからないんです。国が国民の皆さんに資産形成・資産運用をはじめてくださいってすすめている制度なので、ぜひ使っていただいたほうがいいと思いますよ。

珠緒 iDeCoっていうのもありますよね? どう違うんですか?

黒須 iDeCoは掛金を拠出して、預金や投資信託など自分が選んだ商品で運用したあと、60歳以降に年金や一時金で受け取ることができる制度です。しかも掛金が全額所得から控除されます。

珠緒 えーっ! 所得控除になるんだ!

自身の将来を相談するさとう珠緒さん

黒須 ただし、上限はあります。珠緒さん、確定申告されますよね?

珠緒 はい。

黒須 珠緒さんのような自営業で国民年金のみの方だと、iDeCoの月額掛金の上限は6.8万円になりますので、年間最大で81.6万円が所得控除されるんです。

珠緒 じゃあやったほうがいいですね!

参考:iDeCo公式サイト「iDeCoの仕組み」

 

黒須 少額から取り組めて、「攻め」としてもリスクが抑えられる手段ですので、ぜひはじめていただければと思います。

珠緒 まずはNISAやiDeCoからはじめて、そのあとにもっとリターンの大きな投資に挑戦していくということですね。

黒須 その前に「守り」です。珠緒さんの場合、まずは国民年金ですね。「少ない」とおっしゃいましたが、支給額が減っても生きているかぎりはもらえます。NISAもiDeCoも「攻め」としてご紹介しましたが、「国民年金を補助してくれるもの」というふうに考えればいいと思います。そして、この両者よりももっと「守り」に寄ったものが、たとえば個人年金保険です。

個人年金保険は、毎月保険料を支払っていって、契約時に定めた年齢で支払ったお金を年金または一時金として受け取るしくみです。NISAやiDeCoは、拠出した掛金よりも支給額が少なくなる可能性があるんですが、個人年金保険は、解約しないかぎり払い込んだ保険料総額よりも支給額が下回ることがないんです。そういう点で、より「守り」に向いているんですね。国民年金は、今、65歳から支給されますが、こうした個人年金保険を組み合わせて、確実に受け取ることのできるお金の準備をしておくことで「守り」が強化されることになると思います。

珠緒 なるほど、よくわかりました。でも私、お金ためるの苦手なんですよね……。

自身の将来を相談するさとう珠緒さん

黒須 保険料は自分で決めることができますし、口座から自動的に払い込まれていきます。あと、個人年金保険と銀行などの預金との大きく違うところは、解約しないかぎりすぐにお金を引き出せないところです(※)。

※解約すると、払い込んだ保険料の総額よりも解約返還金が少なくなることがあります。

珠緒 口座振替だと「このお金はそもそもないもの」って思えるし、すぐ引き出せないなら、ピンチのときに簡単に使っちゃうこともないので、貯金の苦手な私でも続けられそうですね。

黒須 ええ。計画的に準備ができるというだけでなく、個人年金保険は、一定条件を満たせば、年間で所得税は最大4万円、住民税は最大2万8,000円の個人年金保険料控除も受けられるんです。(※)

※2011年12月31日以前に締結した保険契約などの旧制度では最高で所得税は年間5万円、住民税は年間3万5,000円控除されます。

珠緒 いいことずくめじゃないですか!

黒須 「攻め」と「守り」、今からでも2つのしくみをつくっていけば、何もしないよりは少しでも老後に使えるお金が増えますので、安心も得られると思います。

珠緒 あともうひとつ、ちょっと悩んでいるのが家なんです。私、今、賃貸なんですけど、折り込み広告とかを見ていると、家の販売価格の高騰がすごいですよね。いずれガクンと下がったりすることも想像すると、いつ買えばいいんでしょう? 一生買えない気もしていて……。

黒須 特におひとりさまの場合は、「健康」と「お金」に加えて「住」がすごく重要ですよね。家を所有していれば老後に毎月のお家賃はかかりませんけど、死後に譲る人がいなければ家は国のものになります。

珠緒 えー……それはなんか……やだなあ。

黒須 だから、ずっと稼いでいかれるなら、ずっと賃貸という手もあります。

珠緒 私の理想は、まわりに独身女性が多いので、みんなでシェアハウスを立ち上げることなんです。気兼ねなく楽しく暮らせるし、生存確認もできるし(笑)。とはいえ、誰かが結婚しちゃうとそのぶん、頭数は減っちゃいますけどね。

黒須 なるほど。それでしたら「みんなで」ではなく、珠緒さんがおひとりさま高齢者向けシェアハウスを立ち上げるのはいかがでしょう? それで投資や個人年金保険に加えて、家賃収入を得ることもできますよ。

珠緒 たしかに! これはちょっと考えてみてもいいかもしれませんね(笑)。

50代を迎え、充実した芸能人生を歩みながら、初めて“老後”についてきちんと向き合ったさとう珠緒さん。黒須さんと同世代ということもあってか、おふたりの話は盛り上がり、これまでのこと、今のこと、それから将来の意外な「理想」など、テレビの出演時には見えてこないような一面も見せてくれました。

対談が終わると「ぼんやりと不安に思っていたことを口に出して相談できてよかったです! これから何をするべきなのか、考えるきっかけになりました」とにっこり。将来に対する不安は、性別や年齢にかかわらず、誰もが抱いているもの。まずは誰かに相談してみることからはじめてみるのもいいかもしれませんね。

さとう珠緒さんの代名詞プンプンポーズを決める珠緒さん
さとう珠緒さんの代名詞「プンプンポーズ」。撮影後、「今日はいいプンプンが撮れました」と満面の笑み。

 

取材・文/武田篤典(steam) 写真/黒坂明美(STUH) ヘアメイク/結城小百合


さとう珠緒
さとう・たまお●1973年1月2日生まれ、千葉県出身。1988年、アイドルオーディションでデビュー後、1995年、テレビ朝日系特撮『超力戦隊オーレンジャー』のオーピンク役で女優デビュー。フジテレビ系『スーパー競馬』、TBS系情報バラエティ『王様のブランチ』の司会などで人気を博し、“ぶりっ子キャラ”でブレイク。

黒須かおり
ファイナンシャルプランナー。埼玉県出身。お金にまつわる失敗をきっかけに2007年、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。保険会社、保険代理店、女性のための独立系ファイナンシャルプランナー事務所を経て、独立。2019年よりFPラポール株式会社代表取締役。働く女性のためのお金にまつわるWebメディア「マネジョ」編集長も務める。


※この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
※面談中の意見や提案は個人の経験に基づく情報も含まれます。
※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。
※記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。
※税務の取り扱いについては、2023年2月時点の法令等にもとづいたものであり、将来的に変更されることもあります。変更された場合には、変更後の取り扱いが適用されますのでご注意ください。詳細については、税理士や所轄の税務署等にご確認ください。

(登)C22N0303(2023.3.24)
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