その頭痛、病気の前兆かも?男性に多い頭痛の種類と、危険な頭痛を解説。 その頭痛、病気の前兆かも?男性に多い頭痛の種類と、危険な頭痛を解説。

その頭痛、病気の前兆かも?男性に多い頭痛の種類と、危険な頭痛を解説。

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多くの人が悩まされている「頭痛」。中には若い男性に多いものもあり、痛みに耐えながら仕事にいそしむビジネスマンも少なくないようです。ときには、命にかかわる病気の前兆として現れることもあります。慢性的な頭痛と生死にかかわる怖い頭痛をどう区別すればいいのか? 頭痛専門外来「東京頭痛クリニック」理事長の丹羽潔先生に解説いただきました。

目次

男性が気をつけたい頭痛とは?

男性が気をつけたい頭痛とは?

頭痛の種類は意外に多く、2023年現在わかっているだけで367種類に分類されます。その中で、男性に多い頭痛、罹患数自体が多く男性にも少なくない頭痛について解説します。

男女問わず多い「緊張型頭痛」。

慢性頭痛の中でもっとも多いのが「緊張型頭痛」です。ズンッとした鈍く重い痛みが特徴で、単なる運動不足などから筋肉に負担がかかって起こる「反復性緊張型頭痛」と精神的ストレスや睡眠障害なども加わり脳が痛みを感じやすくなって生じる「慢性緊張型頭痛」に分類されます。痛みの程度は強くなく、日常生活に支障がなければ治療の必要はありません。

ちなみに、「反復性緊張型頭痛」「慢性緊張型頭痛」ともに肩こりよりも、首のこりが原因の場合が多くなっています。

男性に多い「群発頭痛」。

ある一定期間、頻繁に激しい頭痛に襲われるのが「群発頭痛」です。男女比は6:1または7:1と男性が圧倒的に多く、血管の拡張によって引き起こされると考えられています。頭痛が起こる「群発期」の間隔は個人差があり、数か月おきの人もいれば数年おきの人もいますが、年に1回~2回という人が多いようです。群発期の間は連日、一定時間になると頭痛に襲われ、その痛みは15分~180分ほど続きます。しかし、群発期間が終わると、痛みがまるで起きなくなります。

最大の特徴は痛みの強さで、「群発頭痛に比べれば片頭痛は蚊に刺されたようなもの」「群発頭痛の痛みは目をえぐられるような痛み」「ハンマーで殴られたような衝撃がある」などと表現されたりします。群発頭痛で死に至ることはありませんが、とても放置できる痛みではありません。医療機関で処方された内服薬で発作を予防しつつ、発作時には激痛を抑える薬を使って症状を和らげます。

病気の前兆である危険な頭痛。

病気の前兆である危険な頭痛。

命の危険まではない慢性的な頭痛が存在する一方で、重大な病気の症状として頭痛が起こることがあります。注意すべき頭痛にはどんなものがあるのでしょうか。

こんな痛みがあったら要注意。

痛みの感じ方は人それぞれですが、以下のような症状・状態の場合は命にかかわる恐れがあります。すぐに医療機関を受診してください。

  • これまで経験したことのないような頭痛
  • 嘔吐や吐き気をともない、3日以上続く
  • 高熱をともなう
  • 頭痛とともに視力の低下がある。あるいは、見え方が変わった
  • 麻痺や半身のしびれがある
  • ろれつが回らない
  • めまいがする
  • 軽い頭痛が2週間のうちにだんだんひどくなる

危険な頭痛その1:くも膜下出血。

くも膜下出血は、動脈にこぶ(脳動脈瘤)ができて破裂する病気です。その症状として、バットで殴られたような激しい頭痛が起こり、吐き気・嘔吐・けいれんなどを起こします。50代~60代に多い病気で、30代で発症する人はまれですが、親族にくも膜下出血や脳動脈瘤と診断された人がいる場合は注意が必要です。また、「飲酒量が多い」「血圧が高い」という要素も加わると、くも膜下出血のリスクは高くなります。

脳動脈瘤が破裂して搬送された場合、再出血に注意しつつ、出血を止める外科手術で治療します。脳動脈瘤の根元を金属のクリップで留める「開頭クリッピング術」もしくは脳動脈瘤にコイルを詰め、血栓化と破裂を防ぐ「コイル塞栓術」が一般的です。また、脳ドックや検査で偶然、破裂前の脳動脈瘤が見つかることがあり、一般的に7ミリ以上の脳動脈瘤の場合、積極的な治療が検討されます。この場合も、開頭クリッピング術やコイル塞栓術が行われますが、最近では体へのダメージが少ない血管内治療が増えています。

危険な頭痛その2:脳腫瘍。

脳腫瘍も頭痛が前兆となる病気ですが、脳腫瘍と一口にいっても良性から悪性までさまざま。もっとも多い「髄膜腫」は頭蓋骨と脳の間にある髄膜に腫瘍ができる病気です。90%が良性の腫瘍で転移することもほとんどありません。腫瘍が大きくなると、頭痛や吐き気、嘔吐といった症状が見られます。ただ、髄膜腫は切除しても再発する可能性が高いため、よほど大きくならない限り外科手術は行いません。

一方、脳腫瘍のなかでも怖いのが「悪性リンパ腫」。白血球の中のリンパ球という細胞ががん化したもので、全身のさまざまな臓器にできる可能性があり、脳も例外ではありません。症状は、腫瘍が脳のどこにできたかによって異なりますが、頭痛・吐き気・嘔吐・手足の麻痺・失語症などが見られます。治療方法は、抗がん剤を使用した化学療法や放射線療法などが選択肢となります。

危険な頭痛その3:下垂体腺腫。

下垂体は鼻の奥、脳のほぼ真ん中にある小さな組織で、さまざまなホルモンの分泌にかかわっています。その下垂体の腺細胞が腫瘍化するのが「下垂体腺腫」です。ほとんどが良性ですが、腫瘍が脳の組織を圧迫して頭痛を起こしたり、視野が欠けたり、てんかんなどの症状が出ます。また、ホルモンバランスが崩れることによる悪影響も出ます。腫瘍から出血したり、血流が途絶えて梗塞を起こしたりする危険もあります。

治療方法は腫瘍の状態によって異なり、腫瘍が小さければ経過観察や薬物治療を行います。外科手術を行う場合は、鼻から内視鏡と器具を入れる内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術を行います。

症状や状態によって治療法・入院期間はさまざま。

症状や状態によって治療法・入院期間はさまざま。

頭痛が症状として現れる病気の多くは、脳の病気です。手術が必要となるケースもあり、手術のリスクに加え、入院期間も気になるところでしょう。しかし、患者それぞれの症状や諸条件によって選択する治療法が異なりますし、術後の回復具合も違うため、入院期間を明言することはできません。

あくまで目安として示すのであれば、たとえば、下垂体腺腫で開頭手術の必要がなく、すべての条件がよいほうに揃っていれば2週間くらいで退院できます。くも膜下出血にしても、こぶが処置しやすい場所にあり、破裂する前に発見できて、すぐ金属のクリップを脳動脈瘤の根元にかける、もしくはコイル塞栓術が施行できれば、2週間程度で退院ということもあり得ない話ではありません。

ただし、繰り返しになりますが、これらはすべてがうまくいった場合です。くも膜下出血や脳腫瘍だと診断され、開頭手術をすればもちろん2週間の入院ではすみません。仮に、急性期病院を2週間で退院したとしても、その後、リハビリ病院に転院して、社会復帰に向けてトレーニングをするのが一般的です。

入院・手術に備えて、民間の医療保険の検討を。

以上、丹羽先生に解説していただきました。頭痛を引き起こす脳の病気は命にかかわるケースが少なくありません。しかし、早期発見・早期治療ができれば、その後の状況はまったく異なります。慢性的な頭痛を抱えていても、いつもと違う痛みや症状があったらすぐに病院へ行きましょう。可能であれば、頭痛の専門外来を受診されることをおすすめします。

そして、もしもの入院・手術のことを考えると、お金の備えについても検討しておく必要がありそうです。

入院したら自己負担額はいくら?

入院時には、医療費の自己負担分のほかにも、諸費用がかかります。食事代などに加え、個室や少人数部屋を希望した場合は差額ベッド代もかかり、それらは公的医療保険の対象外なので全額自己負担となります。

生命保険文化センターの2022年の調査によると、入院時の自己負担費用は平均19万8,000円。病気になったときの経済的な負担は、やはり侮れません。

直近の入院時の自己負担費用

※ 公的医療保険には、医療費の自己負担額に限度額を定める「高額療養費制度」等があり、実際に負担する金額はケースにより異なります。

参考:公益財団法人 生命保険文化センター「令和4年度 生活保障に関する調査」をミラシル編集部にて一部加工

国が入院の短期化を進めていることもあり、平均入院日数自体は年々短くなっています。しかし、入院1日あたりの自己負担額は値上がりしている傾向がみられます。その点も考えると、民間の医療保険に加入するなど備えがあると、より安心できるでしょう。

入院1日あたりの医療費・諸費用の自己負担額

以下を参考にミラシル編集部にて作成:
公益財団法人 生命保険文化センター「平成16年度 生活保障に関する調査」
公益財団法人 生命保険文化センター「平成22年度 生活保障に関する調査」
公益財団法人 生命保険文化センター「令和4年度 生活保障に関する調査」

参考:厚生労働省「医療制度改革大綱による改革の基本的考え方」(2006年)

民間の医療保険加入のメリット。

入院・手術が決まると、自分の体について不安を抱えつつ、経済的なことも考えなくてはならなくなります。そんなときに頼りになるのが民間の医療保険です。加入しておくと、一定の条件を満たした場合に入院や手術の際に給付金が支給され、公的医療保険では保障されない費用の支払いに充てられるので、お金の心配は軽減されます。

特にそれほど貯蓄の多くない20代~30代は、いきなり入院・手術となったとき、直近のお金に困ってしまう可能性もあります。入院日数にかかわらず、入院時にまとまった給付金が受け取れる一時金タイプの医療保険もあるので、検討してみてはいかがでしょうか。

【まとめ】気になる頭痛は受診を。もしもの備えも検討しよう。

たかが頭痛と侮らず、自分の体の変化に意識を向けると同時に、民間の医療保険でもしものときの経済的リスクに備えておくと安心です。健康も保険も、早め早めに対処していきましょう。

写真/PIXTA


丹羽 潔
東京頭痛クリニック理事長・にわファミリークリニック院長。日本神経学会神経内科専門医・日本内科学会総合内科専門医・日本頭痛学会認定指導医。1987年東海大学医学部卒業後、ドイツ・アメリカで脳神経内科を学ぶ。東海大学医学部脳神経内科学教室講師を経て独立。2015年、日本初の頭痛専門クリニックを開設。著書に『日本初の頭痛専門クリニックが教える 最新[頭痛の治し方]大全』(扶桑社)など。


※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
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(登)C23N0062(2023.6.28)
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