高齢出産のリスクって?赤ちゃんと母体のリスクを産婦人科医が解説。 高齢出産のリスクって?赤ちゃんと母体のリスクを産婦人科医が解説。

高齢出産のリスクって?赤ちゃんと母体のリスクを産婦人科医が解説。

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高齢出産と聞くと、さまざまなリスクを思い浮かべるかもしれません。では、具体的に赤ちゃんや母体のリスクはどのようなものがあるのでしょうか? 産婦人科医の齊藤英和先生が、何歳からが高齢出産か、といった疑問から、気になるリスクについて解説します。

目次

  • 高齢出産とは。
  • 高齢出産は妊娠合併症になるリスクが高まる。
  • 高齢出産は切迫流産・切迫早産・難産のリスクが高まる。
  • 女性向け医療保険で備える方法も。
  • 高齢出産のリスクを知って、しっかり備えよう。

      高齢出産とは。

      高齢出産とは。

      妊娠や出産は、年齢に関わらず女性の体に大きな負荷がかかります。特に、年齢を重ねてからの妊娠や出産は、出産するまでに母体や赤ちゃんへさまざまなリスクが生じやすくなります。

      何歳から高齢出産になる?

      一般的に、35歳以上で初めて出産するケースを高齢出産と定義づけています。ただし、体のしくみや体力などの面から見ると、「25歳くらいからは年齢が上がるにつれて、妊娠や出産に関するリスクが高まる」と齊藤先生は言います。35歳未満であっても油断せず、妊娠中の体調管理には気をつけましょう。

      高齢出産の割合は?

      2021年に第1子を出産した人数は全体で37万2,434人、そのうち母親の年齢が35歳以上は7万9,636人となり、全体の約21%を占めていました。10年前の2011年は、全体が49万4,712人、母親の年齢が35歳以上は8万8,743人で、全体の約18%でした。この10年で、全体の出生数が低くなり、また高齢出産の割合が増加傾向にあることがわかります。

      参考:厚生労働省「令和3年(2021年) 人口動態統計(確定数)の概況」

      参考:厚生労働省「平成23年(2011年) 人口動態統計(確定数)の概況」

      高齢出産は妊娠合併症になるリスクが高まる。

      高齢出産は妊娠合併症になるリスクが高まる。

      妊娠をきっかけに発症するさまざまな病気をまとめて、妊娠合併症と呼びます。年齢に関係なく発症リスク自体はありますが、年齢が上がれば体力や体の機能などが衰えるぶん、より注意が必要です。定期的に病院に通って検査を受け、体調の変化に気をつけることが大切です。

      妊娠合併症の中には自覚症状がないものもあるため、主な病気をまず把握しておきましょう。

      妊娠高血圧症候群

      妊娠時(分娩12週まで)に、高血圧(収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上)である場合を妊娠高血圧症候群といいます。妊娠高血圧症候群は、妊娠高血圧腎症や妊娠高血圧などを含めた4つに分類されます。

      妊娠高血圧腎症の定義はいくつかありますが、いずれも妊娠20週以降に初めて高血圧を発症しているうえで、腎臓の機能低下による蛋白尿を伴って分娩12週までに正常に復する場合や、蛋白尿でなくとも赤ちゃんの発育不良などが伴う場合などに診断されます。また、妊娠高血圧は妊娠20週以降に初めて高血圧を発症し、分娩12週までに正常に復する場合であり、さらに妊娠高血圧腎症の定義に当てはまらないものが該当します。

      妊娠高血圧症候群の主症状は高血圧ですが、重症になると母体の臓器障害や、子宮胎盤の血流障害によって赤ちゃんに酸素などが送られなくなる、子宮胎盤機能不全などがおこる可能性も。もともと肥満気味である人など以外に、母体が40歳以上であるとよりリスクが高まるとされています。安静にして塩分を控えた食生活を送ることが重要ですが、重症になると入院して体調をしっかりと管理することになります。

      妊娠糖尿病

      妊娠後に初めて糖尿病になる病気のことで、血糖やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の値を測定して診断します。妊娠すると血糖値が上がりやすいため、どの年齢でも注意が必要ですが、加齢によりインスリンの分泌力が弱まっていると血糖値が高くなる場合があるため、母体が高齢だとよりリスクが高まります。そのほか、母体が肥満である、家族に糖尿病歴がある人も要注意です。

      妊娠糖尿病で懸念されるのは、赤ちゃんが4,000gを超える巨大児になるほか、先天性の異常が見つかる可能性があることです。治療は1日の血糖管理がもっとも大切で、食事療法からはじめて、必要に応じて投薬も行います。基本的には外来診療ですが、症状によっては入院も必要になります。

      前置胎盤

      通常、胎盤は子宮の一番奥にあり、お産のときに赤ちゃんが出た後に外へ出ていきます。しかし前置胎盤では、胎盤が膣に近い位置に付着し、赤ちゃんの通り道の一部、またはすべてをふさいでしまいます。前置胎盤が起こる理由は明らかにされていませんが、喫煙歴がある人や多産婦のほか高齢出産もリスクが高いとされています。

      前置胎盤では、妊娠途中で子宮の壁と胎盤がはがれることによる出血に注意が必要です。出血があった時点で入院し、赤ちゃんが未成熟なら子宮が収縮しないように安静にして、なるべく妊娠期間を延ばしますが、妊娠37週~38週までには帝王切開の予定を組むことが多いです。出血がいつ、どの程度起きるかによって対処法が異なるため、入院期間もその時々となります。

      常位胎盤早期剥離

      胎盤の位置は正常でも、出産後ではなく妊娠中(主に妊娠後期)にはがれてしまうことを指します。高血圧や母体が高齢だと発症リスクが高くなりますが、原因はよくわかっておらず、自覚症状もほとんどない突発性の病気です。

      剥離が起こると、胎盤と子宮の間に血がたまって、赤ちゃんに酸素や栄養が供給されなくなります。さらに母体側も、子宮内の出血に対処するために血液を固める物質を大量に分泌するため、全身に血栓ができてしまうことも。深刻化すると、さまざまな臓器への血液循環が滞って多臓器不全になり、子宮内の出血も止まらず非常に危険です。剥離が判明したら、状態が悪くなる前に少しでも早く処置します。

      高齢出産は切迫流産・切迫早産・難産のリスクが高まる。

      高齢出産は切迫流産・切迫早産・難産のリスクが高まる。

      高齢出産の場合、妊娠中に発症する妊娠合併症以外に、出産にまつわるリスクにも注意が必要です。

      染色体異常などで切迫流産や切迫早産が増加。

      染色体異常とは、染色体の数や構造に異常が起きることで、赤ちゃんの体や脳の成長にさまざまな症状が現れます。ダウン症候群などがその例で、筋肉など全体的な発達がゆっくりであることが特徴です。染色体異常は、母体の年齢が高いほど発生する可能性は高いとされ、切迫流産や切迫早産の原因にもなっています。

      産道や子宮口が硬くなり、難産のリスクも。

      母体が高齢の場合、加齢によって産道や子宮口の弾力性が低下し硬くなっていることがあります。そのため、長時間の出産となるほか、難産が増える傾向にあります。難産となれば、分娩の途中で帝王切開になることもあるので体の負担がさらに増します。

      女性向け医療保険で備える方法も。

      女性向け医療保険で備える方法も。

      ここまでの齊藤先生のお話から、高齢出産には母体と赤ちゃんにさまざまなリスクがあることがわかりましたが、高齢出産に関するリスクは、日ごろから生活習慣に気をつけるなど、前もっての行動によって低減することは可能です。

      ここで重要なのは、事前に正しくリスクを知って、備えること。もしも入院や手術が必要となった場合、母体や赤ちゃんの体の負担も考える必要がありますが、費用面も考慮しておきましょう。費用面で備えるのであれば、女性向け医療保険の加入がおすすめです。

      妊娠中でも加入できる保険がある。

      女性向け医療保険は、女性特有の病気や女性に多い病気で、入院や手術が必要になったときの保障を手厚くした保険です。病気やケガ以外にも、妊娠中や出産時でも保障を受けられます(※)。民間の医療保険は、妊娠すると加入できない場合もありますが、妊娠中でも加入できる保険もあります。ただし、健康状態や既往歴などの告知内容によっては加入できないケースもあります。

      ※ 正常分娩は支払いの対象にはなりません。

      妊娠中や出産時のリスクに備えられる。

      妊娠中や出産時のリスクは予測できず、緊急の処置が必要になることもありますが、女性向け医療保険には、妊娠合併症や帝王切開なども給付金の支払い対象になっているものがあります。

      帝王切開の手術には公的医療保険が適用されますが、すべてがカバーされるわけではなく一部自己負担費用が発生します。さらに、自然分娩に比べて入院日数が長くなる可能性もあるため、プラスの入院費も考える必要があります。また、妊娠合併症で入院が必要になったときは、状況によって数週間~数か月の長期入院となる場合も。

      妊娠・出産に限らず入院をした場合、入院時の1日あたりの自己負担費用平均を見ると、2万700円というデータもあります(※1、※2、※3)。こうした出費を含めて考えると、女性向け医療保険で備えることをおすすめします。

      ※1 集計ベースは、過去5年間に入院し、自己負担費用を支払った人(高額療養費制度を利用した人+利用しなかった人(適用外含む))。

      ※2 治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品などを含む。高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額。

      ※3 公的医療保険には、医療費の自己負担額に限度額を定める高額療養費制度等があり、実際に負担する金額はケースにより異なります。

      参考:公益財団法人 生命保険文化センター「令和4年度 生活保障に関する調査」

      高齢出産のリスクを知って、しっかり備えよう。

      高齢出産では、妊娠中にさまざまな病気を発症する可能性や、切迫流産や切迫早産、難産のリスクが高まります。だからこそ、事前に知識を身につけ、病院の医師と相談しながら体調管理に気をつけていくことが大切です。そのうえで、いざ治療や入院が必要になったときの負担を減らすために女性向け医療保険を検討するなど、できる備えをしておきましょう。

      写真/Getty Images、PIXTA イラスト/オオカミタホ


      齊藤 英和
      日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター副センター長を経て、2019年に栄賢会梅ヶ丘産婦人科ARTセンター長に就任。日本の体外受精に黎明期から携わり、多くの難治性不妊の診療を実施してきた。著書に『妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング』(共著・講談社)、『後悔しない「産む」×「働く」』(共著・ポプラ新書)など。


      ※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
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    (登)C23N0061(2023.6.26)
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