「自分の身体は自分のもの」。石井リナの婦人科系疾患や身体との向き合い方。 「自分の身体は自分のもの」。石井リナの婦人科系疾患や身体との向き合い方。

「自分の身体は自分のもの」。石井リナの婦人科系疾患や身体との向き合い方。

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#健康
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若い世代にとって、命に関わるような大きな病気は、どこか遠い存在に感じられるかもしれません。エンパワーメントメディア「BLAST」とフェムテックブランド「Nagi」創業者の石井リナさんも、かつてそう思っていた1人です。ところが25歳のある日、子宮頸がんへと進行する可能性のある軽度の子宮頸部異形成の罹患が判明。幸い大事には至りませんでしたが、「がんになって死ぬかもしれない」という大きな不安は、「人生観が変わるほどの経験だった」と言います。

病気を経て気づいた、婦人科系の病気から自分の身体と心を守るために、日ごろから備えておくべきこととは? 定期検診や治療費から、次世代を担う子どもたちへの思いまで、女性のエンパワーメントをライフワークに掲げる石井さんに今、若い女性たちに伝えたいことを、たっぷり伺いました。

「私、がんになるかもしれない」。25歳で子宮頸部異形成と診断されて。

日差しが差し込む本棚を背景に撮影に応じる石井リナさん。

──2018年にエンパワーメントメディア「BLAST」、2020年にフェムテック(※)ブランド「Nagi」を立ち上げられた石井さん。女性をエンパワーメント(※)する事業をはじめられるにあたって、どのような思いがあったのでしょうか?

もともと、日本のジェンダーギャップへの課題意識を常に持っていました。「Nagi」を立ち上げたのは、その課題を具体的に解決する方法として、プロダクトの面から女性をエンパワーメントしたいと考えたからなんです。

月経や婦人科系疾患のことって、女性にとってはとても身近なトピックなのに、なぜかネガティブに捉えられてしまいがちですよね。だからこそ、もっとポジティブに向き合えるようになってほしい。そんな思いから、フェムテックにまつわる事業に取り組むようになりました。

私自身、中学生のころから月経にはとても悩まされてきました。月経前に倒れたことが何度もあるほど、とにかくPMS(月経前症候群)が重かったんです。大学に進学してからは婦人科に通うようになって、PMS対策としてピルを飲んでいました。婦人科系のトラブルが多かったことは、フェムテックブランドの立ち上げという選択にも影響したと思います。

※ フェムテック:女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決する製品やサービスのこと。

※ 女性のエンパワーメント:女性が個人や社会集団として意思決定過程に参画し、その可能性や自律的な力により活躍できるあり方を目指すこと。

──大学時代は婦人科に通われていたとのことですが、子宮頸部異形成はどのような経緯で見つかったのですか?

25歳のとき、ハードワークで月経が止まってしまうことがあったんです。「さすがによくないな」と思って、久しぶりに婦人科に行ったら、大学病院で精密検査をするようすすめられて。結果として、軽度の子宮頸部異形成と診断されました。

当時の私でも子宮内膜症や子宮頸がんのことはなんとなく知っていました。でも子宮頸部異形成はまったく知らなくて。そんな病気があることすら、このとき初めて知りました。いざ調べてみると、子宮頸がんへと進行してしまう可能性のある病気だとわかり、とてもショックでしたね。

──ご多忙な時期に罹患が発覚されたんですね。子宮頸部異形成だとわかったときはどのような心境でしたか?

「がんの手前」だと聞いただけで、死がすぐそこにある気がしました。ネガティブな情報ばかりが目について、ついついがんへと進行することばかり考えてパニックになってしまって。罹患場所が場所だけに、「今すぐに子どもを産まないと」という早まった気持ちにもなりましたね。

ただ経過観察の結果を待つのみ。もどかしさを抱えた5年間。

身ぶりを交え取材に応じる石井リナさん。

──診断後、どのような治療をされたのでしょうか?

それが、治療のすべがないんですよ。子宮頸部異形成は進行具合によって軽度、中等度、高度と区別されていて、中等度が長期にわたる場合や高度・上皮内がんだと手術が必要らしいんです。でも軽度と短期間の中等度の場合には特に治療方法がなく、症状が悪化していないかを経過観察するのみと言われて。私は軽度だったので、最初の1~2年間は3~4か月に1回、3年目以降は半年に1回検査を受けて、5年目で正常のステータスに戻りました。

この、何もできないというのが、自分の心配性な性格的にはなかなかストレスでしたね。目立った自覚症状がないので、経過観察中もよくなっているという実感が得られなくて。もちろん手術が必要な長期にわたる中等度や高度・上皮内がんの場合はもっと大変だと思うのですが、なすすべがないまま何年も通院しないといけないというのも、もどかしい気持ちでした。

軽度だと不正出血や痛みなどの自覚症状も少ないので、病気に気づきにくいのも、発見が遅れてしまう原因の1つだと思います。

若くて健康なときにこそ一度、自分に合った医療保険を検討してみてほしい。

──経過観察以外に具体的な治療はなかったようですが、検査費用や交通費など含め、通院費はどのくらいかかりましたか?

経過観察のために5年間ほど通院して、合計で10万円ほどかかったと思います。1回ごとにはそんなに出費をした感覚はなかったのですが、合計するとかなりの金額ですよね。

子宮頸部異形成って、軽度から中等度になったり、また軽度に戻ったりという具合に、症状が行ったり来たりするらしいんです。もし軽度から進行して高度・上皮内がんになっていたら、手術のためにさらにお金がかかっていたはず。今は医療保険に加入していますが、病気になった当時は入っていませんでした。もっと早いうちから備えておけばよかったなと思います。

──石井さんのように、若くても病気になるリスクがあることを考えると、医療保険に早いうちから入っておくことも、リスク管理の1つになりそうですね。

はい。私もそうでしたけれど、20代だとまだ若いし、健康だし、あまり自分のことに気が向かない人が多いと思うんです。病歴がある場合、入れる保険の種類が制限されてしまうケースが多いんですけど、当時は全然知らなくて。病気の後に医療保険に入ろうとして初めて知って、加入する商品を選ぶのにかなり苦労しました。若くて健康なときにこそ一度、自分に合った備えを調べておくといいと思います。

白い壁を背景に取材に応じる石井リナさん。
実は第一生命グループの保険に加入していると話す、石井リナさん。

定期検診で得られる安心感が心の支えに。

──健康でさまざまな選択肢があるうちに、備えの意識を持つことが大切なんですね。病気を経験した立場から、若い女性たちに特に伝えたいことはありますか?

子宮頸部異形成はたしかに怖い病気です。でも、高度・上皮内がんであっても手術すれば治癒する可能性もあります。だから何か気になれば婦人科に行き、1年に1回は定期検診を受けることがとにかく大切だと思います。

私も、1年に1回の定期検診を受け続けています。1年前も子宮頸部異形成の疑いがあって「またか」と思ったのですが、結果的には問題がなくてほっとしました。これだって、定期的に検診を受けているからこそ得られる安心感なんですよね。子宮頸部異形成だけでなく、ほかの婦人科系疾患も、みんな同じだと思います。

病気のことを発信すると、「私も子宮頸部異形成でした」「私は子宮内膜症でした」と返してくれる人が思いのほか多くて、若い世代でも婦人科系疾患を経験している人がたくさんいることに気づきます。それだけ当事者の人が多いということは、ひとごとで済ませてはいけないということ。

もしも妊娠したときに子宮頸がんが発覚してしまうと、赤ちゃんを諦めなければならない場合もあると聞きました。そういうリスクを知ることも大事だと思います。

取材に応じる石井リナさんの手元。

──子宮頸部異形成は検診を受ければ罹患に気づけるからこそ、婦人科検診の定期受診が重要なんですね。大切だとわかっていても、婦人科の受診が敬遠されがちな原因は何だと思いますか?

婦人科の内診が苦手な方も多いですよね。また私の場合、PMSへの対処方法として婦人科でピルを処方してもらっていましたが、「ピルは避妊のために飲む」という意識や世間の風潮から、抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。もちろん個人の選択は尊重されるべきですが、自分の身体とうまく付き合うために、ピルで月経やホルモンバランスをコントロールしてもいいと知ってもらいたいです。

そのためにも、婦人科をどんどん利用してほしい。中学生のころの自分に今声をかけられるなら、「痛み止めを飲まないと過ごせないような月経痛は病気かもしれないよ」と伝えたいです。

ただ、親御さんが婦人科の受診やピルの利用にストップをかけることもあると聞きます。これから親世代になる私たちの世代が、正しく知識をアップデートしていくことも大切ですね。

「自分の身体は自分のものだから」。ずれ親になる世代だからこそ伝えていきたいこと。

真剣な表情で取材に応じる石井リナさん。

──知識のアップデートにハードルの高さを感じる人も多いかと思います。自分の身体をントロールする意識が育まれやすい環境は、どのようにつくっていけるでしょうか?

私自身、まだ明確な答えはありません。ただ1つの試みとして、子どもが生まれた友人の出産祝いに、性教育をテーマにした絵本を2冊贈るようにしています。「プライベートゾーン(※)」と「性的同意」にまつわる絵本を通して、親子で自分の身体について考える時間を持ってもらえたら、と。

「性教育=セックス」と思っている人は多いと思いますが、実は「同意」について学ぶことも含まれているんです。自分の身体は自分のものだから、いやなら「NO」と言っていいし、逆に相手の気持ちやプライベートゾーンを侵害するようなこともしてはいけない。そういう「性的同意」について、まずは子どもを育てる親である友人に知っていてほしい、という気持ちで贈っています。

※ プライベートゾーン:人間の体のうち、性に関わる場所のこと。

──次世代を担う子どもたちへの願いがこもったプレゼントですね。子宮頸部異形成の経験を、今後のビジネスに生かしていく予定はありますか?

現在「BLAST」と「Nagi」は休止中ですが、事業の再スタートに向けた計画を進めています。もともとジェンダーギャップへの課題意識やフェミニズムへの共感から事業をスタートしたので、自分の経験も含め、何らかの形で女性をエンパワーメントしていくというのが、今後もビジネスの軸であり私のライフワークだと思っています。

本棚を背景に日が差し込む方向を見る石井リナさん。

石井 リナ
IT系広告代理店にて企業に対するデジタルマーケティング支援に従事後、2018年に起業し、エンパワーメントメディア「BLAST」とフェムテックブランド「Nagi」を立ち上げる。2019年に日本を代表するビジョンや才能を持った30歳未満の30人を表彰する「Forbes 30 Under 30」インフルエンサー部門を受賞。


(登)C23N0234(2024.2.6)
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