老後資金、独身はどれくらい必要?40代からはじめる老後の準備。 老後資金、独身はどれくらい必要?40代からはじめる老後の準備。

老後資金、独身はどれくらい必要?40代からはじめる老後の準備。

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※ 記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※ 文章表現の都合上、生命保険を「保険」、生命保険料を「保険料」と記載している部分があります。

40代~50代は、そろそろ老後について真剣に考えはじめる時期ではないでしょうか? 特に、独身でパートナーや子どもがいない場合は、あらゆる状況に備えて、穏やかな老後を送るための事前準備をしておきたいものです。この記事では、独身の方が老後に必要とするお金と備え方について、家計のリスクマネジメントと資産運用に詳しいファイナンシャルプランナーの辻理恵さんが解説します。

目次

独身だからこそ準備しておきたいお金。

賃貸物件に住んでいる人は毎月の家賃、持ち家の人は固定資産税、分譲マンションの人は管理費や修繕積立金などのランニングコストがかかります。また、病気やケガなど、いざというときの費用もすべて自分でまかなうことを考えると、治療費や介護費は多めに見込んでおいたほうがいいでしょう。葬儀代など、最低限の死後整理資金も準備しておく必要があります。

独身者の平均貯蓄額。

金融広報中央委員会のデータによると、独身者の平均貯蓄額は、40代で474万円、50代で763万円となっています。預貯金のほか、株式や投資信託、生命保険などの金融資産の保有額は40代が1,294万円、50代が1,675万円。あくまで平均値ですが、定年に達するまで長く働き続けなければ、老後資金としてはやや心もとない金額といえます。次から詳しく解説します。

参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]各種分類別データ」(2021年)

老後資金は、独身の場合どれくらい必要?

老後資金は、独身の場合どれくらい必要?

老後に必要なお金の額は、現役時代の働き方や収入・支出の額、老後どんな暮らしをしたいか、どのくらい長生きするかによって決まります。次の4ステップで、おおよその老後資金を計算してみましょう。

ステップ1:老後の理想の生活費を出す。

基本的な生活費のほか、趣味などに使いたいお金も含めた理想の生活費を、月額で算出します。

仮の数字で計算してみましょう。ゆとりのある老後の生活費は夫婦2人で平均約36万円というデータがあるので、半額の18万円を仮の月額として設定します。65歳に定年を迎え90歳まで長生きする前提であれば、18万円×12か月×25年=5,400万円が理想の生活費の総額となります。

参考:公益財団法人 生命保険文化センター「生活保障に関する調査」(2019年)

ステップ2:公的年金の受給額をざっくり計算する。

次の簡易計算式を参考に、老齢基礎年金と老齢厚生年金の受取額を計算します。受取額は年金の加入期間や平均年収によって変わります。

老後に受け取ることができる年金額(2022年度)

老齢基礎年金(A)
77万7,800円×加入期間□か月/480か月=□円

老齢厚生年金(B)(※1)
平均標準報酬額(※2)□円×加入期間□か月×給付乗率(5.481/1000)=□円(※3)

(A)+(B)=□円(1年間の受取額)

※1 2003年4月以降に加入した場合。
※2 計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、加入月数で割った額。
※3 50銭未満は切り捨てられ、50銭以上1円未満は1円に切り上げ。

たとえば国民年金3年未納、厚生年金37年加入、平均標準報酬額42万円の場合、老齢基礎年金は77万7,800円×444か月/480か月=71万9,465円。

老齢厚生年金は平均標準報酬額42万円×加入年数444か月×(5.481/1000)=102万2,097円。

両者を合計すると、1年間で174万1,562円を受け取れることになります。老後を25年とすると、受取額の合計は4,353万9,050円です。

参考:日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
参考:日本年金機構「年金用語集 は行 報酬比例部分」
参考:日本年金機構「年金額の端数処理」

ステップ3:金融資産の合計額を出す。

株式や投資信託、生命保険など、現在の金融資産を合計します。

ステップ4:ステップ1の金額からステップ2・3の金額を引く。

「理想の生活費」から、「公的年金の受給額」と「金融資産の合計額」を引いた額が、老後に用意しなければいけないお金の概算です。

当然のことながら、前述の「理想の生活費」はデータをもとに仮で設定したものなので、生活実態や理想のライフスタイルによって金額は変わってきます。その点に注意し、ご自身の場合に当てはめて計算してみましょう。

長く働くための制度。

老後の生活で困窮せず、社会との接点を持ち続けることができるなど、独身者が現役時代にできるだけ長く働き続けることには大きなメリットがあります。長く働くために利用できる制度や、長く働くにあたって考慮したい制度には、次のようなものがあります。

継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)

会社によっては、65歳まで定年を延長できる制度があります。また、2021年に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の改正法が施行され、社員の希望に応じて70歳を定年にすることが会社の努力義務になりました。

参考:厚生労働省「高年齢者の雇用」

年金の繰下げ受給。

国民年金や厚生年金は原則として65歳から受け取ることができますが、「繰下げ受給」の制度を利用すれば、66歳から75歳までの間で繰り下げて受け取ることができます。年金の受給を遅らせることで、受け取る年金は1か月ごとに0.7%増額されます。5年繰り下げて70歳から受け取ると、65歳から受け取る場合に比べて1.42倍多く受け取ることができます。

参考:日本年金機構「年金の繰下げ受給」

国民年金の任意加入。

国民年金に未納期間があった人のみ当てはまりますが、加入期間が40年間に満たない場合は年金を全額受け取れないため、65歳までは任意加入できる制度があります。60歳以降も働いて支払いを続ければ、不足分をカバーすることができます。

参考:日本年金機構「任意加入制度」

長く働くためにできる準備。

長く働くためにできる準備。

なるべく長く働いて安定した老後を送るために、今から準備しておきたいことには次のようなものがあります。

老後も収入源になりうるスキルを磨く。

ITスキルや人材育成の経験など、社会の役に立つスキルを磨いたり、新たに身につけたりしておくことが大切です。これらのスキルは老後の収入源になるだけでなく、日々のやりがいや生きがいにもつながるでしょう。

会社を退職しても続く人脈をつくる。

働き盛りの40代~50代のうちに、会社の外に居場所をつくるなど、老後も続く人との縁をつないでおきましょう。会社を退職すると一気に周囲から人がいなくなってしまいがちですが、老後を支え合える人脈を築くことは人生の糧になりますし、退職後の仕事にもつながるかもしれません。

健康管理・保険の見直し。

体を壊してしまっては長く働けないので、日々の健康管理を徹底しましょう。入院や手術に備えられる民間の医療保険や、3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)をカバーする保険に加入するなど、長期療養にも備えておけるようにすることも大切です。

今からできる老後の備え。

今からできる老後の備え。

40代~50代のうちから実行しておきたい、老後の備えについてご紹介します。

毎月の固定費の見直し。

40代~50代の方々の相談を受けていて感じるのは、管理職などになって収入が増えたことで、支出も多くなりがちだということです。ご自身のステージアップのためによい家に住んだり、車などを購入したりすること自体は悪いことではありません。ただ、目先だけでなく数年以上先の暮らしも見すえ、維持費を今後も払い続けていけるのかを考えて、住宅費など固定費の見直しをすることをおすすめします。

個人年金保険。

個人年金保険は、老後に必要になるお金を自分で用意するための保険です。60歳など自分で設定した年齢までお金を積み立て、最終的に払い込んだ保険料よりも多い金額を、受け取ることができます。

40代以降になると、老後資金はリスクをあまりとらずに手堅く貯めたいという方が多いかと思います。個人年金保険のうち、特に定額個人年金保険であれば、契約時点で将来受け取れる給付金額が確定します。大幅に資産を増やすよりも、老後にお金を確実に残すほうを優先させたい方には、適した商品といえるでしょう。

また、「生命保険料控除」を受けられるのも、預貯金にはない個人年金保険のメリットです。年間で払い込んだ保険料に応じて、所得税は最高4万円、住民税は最高2万8,000円が所得から控除(※)されます。

※ 2012年1月1日以降に締結した保険契約等の場合。

関連リンク:ミラシル「保険料控除をシミュレーション!ざっくりわかる個人年金保険の税制優遇。」

注意いただきたいのが、途中解約すると、解約返還金額が払い込んだ保険料の総額を下回る可能性がある点です。月額数千円程度からはじめられる個人年金保険もあるので、無理に高すぎる月額を設定せず、ご自身が払い続けられる金額ではじめましょう。

60代以降のライフプランを見直す。

老後を見すえてライフプランを再検討しましょう。若いころとは違い、体力や働き方、考え方などもだんだん変化していきます。今をスタートラインに、30年後、40年後のライフプランを考え、どんな準備が必要か、どう資産を増やしていくのか、具体的に今後の計画を立てましょう。

【まとめ】余裕を持った資産形成を。

独身者の場合、身のまわりの世話をしてくれる存在がいないケースも多く、余裕を持った資産形成が大切です。しっかりライフプランを立てて必要な金額を見極め、公的年金や個人年金保険なども活用しながら、老後の備えを万全にしておきましょう。

写真/Getty Images、PIXTA


辻 理恵
株式会社FPフローリスト所属。「お金の相談を通じて人を元気にさせる」をモットーに活動するファイナンシャルプランナー。自身の入院経験をもとに、ピンチのときでも困らない家計のしくみづくりを提案している。得意分野は保険の見直しと資産運用。CFP(R)認定者/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/一種証券外務員。


※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
※ 掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。
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※ 税務の取り扱いについては、2022年7月時点の法令等にもとづいたものであり、将来的に変更されることもあります。変更された場合には、変更後の取り扱いが適用されますのでご注意ください。詳細については、税理士や所轄の税務署等にご確認ください。

C22N0165(2022.9.9)
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