共働き夫婦は年収が高くても要注意?DINKsが老後に備えるには?わかりやすく解説。 共働き夫婦は年収が高くても要注意?DINKsが老後に備えるには?わかりやすく解説。

共働き夫婦は年収が高くても要注意?DINKsが老後に備えるには?わかりやすく解説。

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※ 記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
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共働きで、子どもをもたない選択をした夫婦を指す「DINKs(Double Income No Kids)」。時間やお金に余裕があり、自由な生活を満喫できるというイメージがありますが、年を重ねていくにつれ、不安や心配を抱える人もいるようです。ファイナンシャルプランナーの中垣香代子さんに、DINKsの老後について、必要なお金と困りがちなポイントなどを伺いました。

目次

昨今、注目されるDINKsとは。

昨今、注目されるDINKsとは。

厚生労働省の「令和2年版 厚生労働白書」によると、1989年に42.3%だった共働き世帯の割合は、2019年には66.2%まで増加。夫婦のかたちとして、すでに「共働き」が主流ともいえそうです。そのような共働き夫婦で、かつ子どもをもたない選択をしたケースが「DINKs」と呼ばれます。

参考:厚生労働省「令和2年版 厚生労働白書」34頁

DINKsの老後ってどんな感じ?

DINKsの老後ってどんな感じ?

一般的に、DINKsの生活には余裕があるというイメージがあるようです。しかし、どんなライフスタイルを選ぼうとも、皆、平等に年をとります。DINKsの老後では、どんなことが想定されるのでしょうか?

老後の生活費はどれくらいかかる?

老後の生活費は、「どういう生活を送るのか?」によって変わるため一概には言えません。参考のために、公益財団法人 生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査」を見てみましょう。

夫婦2人の老後生活で必要最低限と考えられる日常生活費は、平均22万1,000円/月。ただし、これは“必要最低限”の金額です。ゆとりがあると感じる生活を送りたいのであれば、平均36万1,000円/月が必要となります。

参考:公益財団法人 生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」88頁 94頁

忘れてはいけない介護費用。

介護費用についても考えておきましょう。公益財団法人 生命保険文化センターの「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」を見てみると、在宅介護にかかる費用は、平均4万6,000円/月。施設介護の場合は、平均11万8,000円/月となっています。

参考:公益財団法人 生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」165頁

介護の平均年数は4年7か月。この平均年数と上記の平均費用で想定した場合、在宅介護であれば1人253万円、2人で506万円。施設介護であれば1人649万円、2人で1,298万円が必要になります。ただし、これは平均を目安にした単純計算です。その人の健康状態や施設の種類、さらには地域によって、用意すべき介護費用は大きく異なります。

参考:公益財団法人 生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」162頁

年金は思っているほどもらえないかも?

「現役時代は収入が多かったから、年金もそれなりにもらえる」と漠然と考えている人は、厚生年金には上限があることを知っておきましょう。現役時代の収入が多ければ多いほど、もらえる年金の額が上がっていくわけではありません。

年金は、現役時代の収入によって決まります。しかし、もっとも高い標準報酬月額(年金額算出のベースとなる給与の額)は65万円/月で、これは現役時代の月収が63万5,000円/月以上の人すべてが対象になります。現役時代の月収が100万円でも200万円でも、支払う厚生年金保険料の金額は同じです。

参考:日本年金機構「令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表」

また、厚生年金があるかどうかでも、大きく変わってきます。フリーランスや個人事業主はこの厚生年金がなく、基礎年金だけ。そのため、現役時代、どれほどの高収入だったとしても、受け取れる年金額は、基礎年金分の6万5,000円/月ほどです。ただ、これは、20歳から60歳までの40年間、国民年金保険料を納めた場合の金額で、未加入や未納があれば受給額も減ります。

厚生年金がない場合は特に、「ねんきん定期便」などでもらえる年金を確認し、老後にかかる支出と収入を割り出して、その差額分は個人年金保険などを活用しながら準備していきましょう。

参考:日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」

DINKsが老後に困りがちなポイント。

DINKsが老後に困りがちなポイント。

子どものいない夫婦2人の世帯は、老後、どのような問題に直面する可能性があるのでしょうか?

老後に頼れる人がいない。

老後に頼れる人がいない可能性がある、というのは切実な問題です。自らの介護に必要なお金は基本的に、すべて自分たちでまかなわねばなりません。また、夫婦2人でいられる間はいいのですが、最後は必ずどちらかが「おひとりさま」になります。

おひとりさまになると、「入院や手術、介護施設に入所する際の保証人には誰がなるのか?」「認知症になって資産が凍結されたとき、誰が管理をするのか?」「葬儀の手配はどうするのか?」など、困ることがでてきます。

資産管理や死後事務委任契約を代行するビジネスも登場していて、こうしたサービスを使うのも1つの方法ですが、それにはコストがかかります。まずは元気なうちに、自分はどうしたいのか、そのためにお願いしておくべきことは何か、それを誰に託すのかといったことを考えておくべきでしょう。

現役時代の生活水準を維持できるのか。

たとえば、家賃の高い家に住み続ければ、住宅費が大きな負担になるかもしれません。持ち家でローンの支払いが終わっていれば、一応は安心ですが、リフォームやメンテナンスの費用がかかる可能性があります。車を持っていれば、維持費などが必要になります。

また、これまでがんばってきて、ようやく時間ができたわけですから、残された時間は楽しく過ごしたいもの。旅行や趣味などの娯楽費も考慮しておきましょう。さらに、こうしたひとつひとつの事柄について、現役時代と変わらない水準を望むのであれば、備えるべきお金も増えます。

遺産がすべて、パートナーに残るとは限らない?

「夫婦2人だけで子どもがいないから、どちらかが亡くなったら財産はすべてパートナー(配偶者)が相続できる」と思っている人も少なくないでしょう。親族が配偶者だけであれば問題はありませんが、そうはいかない可能性もあります。

たとえば、親がいる場合の法定相続分は、配偶者が3分の2、親が3分の1。両親がすでに他界していて兄弟姉妹がいる場合は、4分の1が兄弟姉妹の相続分となり、兄弟姉妹が亡くなっている場合、姪や甥が相続人となります。

参考:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問) / No.4132 相続人の範囲と法定相続分」

DINKsが老後に向けて準備しておきたいこと。

DINKsが老後に向けて準備しておきたいこと。

充実した老後のためには老後資金が大切。これはDINKsに限りませんが、子どもがいないDINKsは、老後に頼れる人がいない可能性があります。将来を具体的にイメージして資金の準備を進めていきましょう。

老後資金の準備。

老後に必要な資金から、退職金や年金額を差し引いた「不足額」分を、現役時代から貯めておく必要があります。用意すべき額は人それぞれ。リタイア後にどんな生活をしたいのかを思い描きながら、必要な資金を計算して老後に備えます。その手段として、次の「3本立て」を検討してみてはいかがでしょうか。

預貯金

何かあったときに、すぐに引き出せる預貯金はしっかりと確保しておきましょう。

投資

預貯金だけではインフレによる価値の下落が心配です。お金が増えていく可能性のある投資も検討してみましょう。ただし、増える可能性ばかりではありませんので、十分検討してください。

個人年金保険

収入や生活環境に応じた保険料を設定できるため、月々、コツコツとお金を未来に回すことができます。また、解約すると多くの場合、受取額が保険料の累計額を下回るため、簡単にやめられない強制力とのダブルで老後に備えられます。

遺言書を残しておく。

「自分の財産は、すべて残されるパートナーに渡したい」場合は、遺言書を書いておきましょう。ただし、相続には遺留分があり、完全に遺言書のとおりになるわけではありません。「すべてを配偶者に」という遺言であっても、親には、遺留分として法定相続分の「3分の1」を相続する権利があります。兄弟姉妹に遺留分はないため、遺言書があればすべて配偶者に残せます。

「大した額の遺産ではないし、大げさだ」と思うかもしれません。しかし、中垣さんは「経験上、遺産相続でもめるのは少額の相続の場合が多い」といいます。なぜなら、相続税がかかるほどの遺産がある人は、多くの場合、事前に準備をしているからです。遺言をするのは、残されたパートナーが骨肉の争いに巻き込まれないようにする“やさしさ”でもあるのです。

DINKsの老後資金の準備には個人年金保険も有効活用を。

DINKsの老後資金の準備には個人年金保険も有効活用を。

老後資金を備える方法の1つに個人年金保険があります。

老後資金の準備に個人年金保険が使える理由。

個人年金保険は基本的に、毎月自動で口座振替されることから、意識していなくてもコツコツとお金を未来に先送りできるというメリットがあります。また、定額タイプの個人年金保険なら、加入した時点で、将来受け取れる年金額がわかるため、老後資金の計画が立てやすくなります。さらに、子どもにかかる扶養控除などが使えないDINKsにとって、一定の条件を満たすことで個人年金保険料控除を使えるのもメリットといえるでしょう。

個人年金保険にデメリットはあるの?

解約すると多くの場合、受取額が保険料の累計額を下回ります。また、商品によっては、契約した時点で将来受け取れる年金額が決まるため、物価が急激に上がると受け取る年金の価値が目減りします。インフレに弱いのです。こうしたデメリットも理解したうえで、加入することが大切です。

40代でも遅くない!個人年金保険も含め、老後に備えましょう!

どんな人生を選ぶのかは人それぞれ。ただし、どのような老後を迎えたいのかは考えておきたいですね。人生の最後まで大切な人とゆとりある生活を送るためにも、個人年金保険などを活用して資金を準備していきましょう。老後が現実味を帯びてくる40代・50代なら特に、より具体的に思い描ける未来があるはずです。

写真/Getty Images イラスト/こつじゆい


中垣 香代子
老後のお金を一緒に考える事務所所長。大手損害保険会社に勤務後、結婚と同時に退職。3人の子育てに専念した後、2013年にファイナンシャルプランナーの資格を取得。現在はFPフローリストのメンバーとして、教育費・住宅ローン・老後費用など、不安の波を安心にかえるアドバイスを行う。


※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
※ 掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。
※ 記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。

※ 税務の取り扱いについては、2022年10月時点の法令等にもとづいたものであり、将来的に変更されることもあります。変更された場合には、変更後の取り扱いが適用されますのでご注意ください。詳細については、税理士や所轄の税務署等にご確認ください。
 

(登)C22N0219(2022.12.1)
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