6児のパパ&ママFPに聞く、教育資金はいくら必要?ため方は?
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お金のプロであるファイナンシャルプランナーの方々は、ご自身のお子さんたちの教育費について、どのように考え、どう準備されているのでしょう。
家計再生コンサルタントとして、家計相談や数々のメディアで活躍されている株式会社マイエフピー代表の横山光昭さんと、横山さんの妻であり、ファイナンシャルプランナーとして同社に所属する関口博美さんご夫妻に、6人のお子さんの教育資金について実体験を交えてお話しいただきました。
目次
横山家の教育資金についての基本スタンスは?
6人のお子さんがいる横山家では、教育資金についてどのように考えているのでしょう。
横山家の家族構成。
――横山家のご家族構成をご紹介ください。
横山:横山家は妻と私に6人(5女1男)の子どもがいて、上から26歳・25歳・22歳・18歳の女子。この4人はすでに社会人で、長女は結婚して家を出ています。その下に中学2年生の女の子、末っ子が小学5年生の男の子です。
教育資金は時間をかけて工夫しながら準備できる。
――お子さんが6人いらっしゃると聞いただけで「教育費がたくさんかかって大変そう!」と思ってしまいます。横山家ではお子さんたちの教育費について、基本的にはどのようにお考えでしょうか?
横山:家計相談をいただく方には、「子ども1人当たりの教育費はざっくり1,200万円」とお伝えしています。これは、文部科学省ならびに日本学生支援機構の調査結果から導き出される、幼稚園・小学校・中学校・高校・大学までに必要とされる費用において、「幼稚園と大学(文系)のみ私立」もしくは、「幼稚園と高校のみ私立」の場合と同じくらいの金額です。
リンク:ミラシル「学資保険、結局ウチはいる?いらない?教育資金の貯め方も解説。」
大まかに、高校卒業までに600万円、大学に進学するとさらに600万円。数字だけみると、1,200万円×子どもの人数分……と、がくぜんとするかもしれません。
でも、教育費って、今すぐ全額用意しなくちゃいけないものではない。時間をかけて、工夫をしながら取り組んでいけばなんとかなる! それがわが家の基本的な考え方です。
関口:わが家の家計管理は主に私が担当しています。子どもが6人いたら教育費が6倍かかるかというと、そういうわけでもありません。子どもが増えるにつれて教材や制服など「お下がり」を流用できるものもあります。
横山も言ったように、高校卒業までにかかるお金は、長い時間をかけて少しずつの支出ですから、家計への負担はそこまで大きいものではありませんでした。大学4年間でかかるおよそ600万円のうち、200万円~300万円を入学までに準備しておけば、残りは在学している間になんとかまかなっています。
そして、大学はもっと勉強したいと思う人が自分の意思で行くところ。ですから、子ども本人にもある程度は出してもらう、というのが長女のときからの基本スタイルです。
横山:今は、幼児教育・保育の無償化や私立高校授業料の実質無償化など、公的な支援も充実してきています(要件に応じて、その対象とならない場合もあります)。ですから、目安としてこのくらいはかかる、というイメージを持っておくことは大事ですけれど、実際にはそこまでかけずに済む場合も多いことを、皆さんにもぜひ知っておいてほしいです。
お金は目的別に分けずに運用している。
――教育資金のため方・増やし方はどのようにされているのでしょうか?
横山:わが家では、教育資金をほかのお金と分けてためたり増やしたりするのではなく、お金は全部まとめて親の資産として、貯蓄なり投資なりにバランスよく振り分けて効率よく運用しています。ここから必要な時期に必要な分を教育費として切り取って支出する、という方法をとっています。
――資金を全部ひとまとめにしてしまうと、第1子に使いすぎて、2人目、3人目の教育費がたりない・教育費がかかりすぎて老後資金がない、なんてことにはならないでしょうか?
横山:第2子、第3子の学費が用意できない、と慌てる前の段階で、第1子のための支出のひとつひとつが家計とのバランスからみて適切なのか、チェックしておくべきです。
そして、教育費と老後資金は、多くの家庭で綱引き状態にあると思います。ですが、「子どもの教育費に使いすぎて、自分たちの老後資金がたりなくなって困っている」というのは、場合によっては、お子さんにとっては迷惑な話でもあります。
自分たちの老後も大切にして、無理のない範囲で子どもの教育にお金をかけていくことが、まわりまわって将来の子どものためになる、と考えてみてください。
学資保険はお金をためる手段として活用できる。
――学資保険についてはどのようにお考えですか?
横山:学資保険のように「この子のためのお金」と目的を決めて準備しておくほうが安心、という方もいるでしょう。
学資保険は、契約したら定期的に一定額が保険料として口座から引き去られ、着実に教育のための資金を準備することができます。昔に比べると学資保険の予定利率は下がっているケースも多くありますから、インフレに負けないくらいに「増やす」という視点から考えると不利な面もあります。
ですが、親に何かあったときは保険料払込免除特約が適用される保険もあるため、必要なときにちゃんと学費が保障されるのが学資保険のよさでもあります。(※)
※ 学資金・満期保険金の受取総額が保険料の総額を下回る場合があります。また、解約返還金は多くの場合、保険料の累計額を下回ります。
大学の学費を全部親が準備しなくてもよいのでは。
横山:日本では、大学を出るまでが親の責任、と考える風潮がありますが、アメリカなどには「大学に入るまでは面倒をみるけれど、あとは自分でなんとかしてね」という考え方もあるようです。
このようなアメリカ式がすべてよい、というつもりはありませんが、子どもの教育にお金をかけすぎて、自分たちの老後資金がたりない、と相談に来る方が多いように感じます。
教育資金をどうためるか、貯蓄か保険か投資か、という以前に、大学進学資金のうち親がどれくらいの金額をサポートするのか、できるのかを子どもとよく話し合っておくことが必須だと思っています。
横山家の教育資金。具体的な準備方法は?
――高校卒業以降の学費の一部をお子さんにも出してもらう、とのことでしたが、横山家では具体的にはどのように準備されたのでしょう。
横山:日ごろから、学校生活で今、自分は何を大事にしたいのか、大学に進学するかどうかも含めてどんな進路を選ぶか、大学に行くならどんなことを学びたいのか、などを子どもとよく話し合い、基本は子どもの意思を尊重します。
そのうえで、専門学校や大学進学のための資金として親が準備するのは半分~6割くらい。今や18歳は成人ですし、自分で考えることのできる年齢です。大学で学びながらバイトなどで学費をまかなうのは大変なときもあるとは思います。でも、ある程度苦しい状況をどう切り抜けるかは大事な学び。困ったときに切り抜ける力をぜひ身につけてほしいと思うのです。
第1子は学費の3分の1~2分の1を子どもが出した。
関口:第1子は、大学の学費のうち、入学金と1年生の前期分の学費は親が用意し、あとは子どもと相談しながら学費の3分の1~半分くらいを子どもにも出してもらうことにしました。もちろん学業を優先し、できる範囲で、です。
どれくらいの金額を親が負担し、どれくらいなら子どもが負担できそうなのか、私たち親も試行錯誤しながら決めていきました。結果的に私たちは、6割ほど(380万円程度)負担しました。
第2子以降も、1人当たり学費の6割ほどを親が準備。
横山:2人目以降も同様で、本人が行きたくて行く高額な塾代や大学の費用については、兄弟姉妹間で不公平にならないように、1人当たり学費の6割ほどを親が準備。そのお金をどう生かすかは本人にまかせ、必要になったらすぐに出せるようにしておきました。
関口:部分的にでも学費を自分で払うとなると、子ども自身に責任感が生まれるようです。進路を選ぶ際には真剣に考えますし、授業をサボる、ましてや留年なんて絶対損。大学の図書館など利用できる資源を有効に使う、といった前向きな姿勢で取り組むようになります。その意味でも、とてもいい効果があったと思います。
子どもとお金の話をする機会をつくろう。
――横山家は、お子さんも交えて、お金の家族会議を行っているそうですね。
横山:親子でお金のことを話すのはとても大切なこと。僕たちに最近の若いアイドルの話をされてもわからないけれど、お金は世代を超えた共通の道具で、話題として共有しやすく、それぞれの価値観を知ることができます。
家族会議をはじめたのは、長女が小学2年生のころに私と妻で家計のことを話していたら、「食費に〇万円! なんでそんなにかかるの?」と素朴な疑問で話に加わってきたことがきっかけです。
関口:教育資金に関しても、私立の中高に行きたい、短期留学したいなど、子どもそれぞれの希望やそれにかかる費用のことなど、家族みんなで話をします。そうすることで、自分の考えを人に伝え、交渉する力も身につきます。
ときには、「私は私立中学には行けなかったのに!」と子ども同士のチェックがシビアに入り、6人それぞれにかけるお金の公平性を保つのにも役立っています。
横山:また、横山家のお年玉は、普段のおこづかいよりかなりまとまった金額を渡します。「今どうしてもほしいものを買うのもいいし、将来大学に行くのだったら、ためておくと将来少し楽になると思うよ」と子どもに判断をゆだねます。
自分の将来のことを考えながら、お金があると選択肢が広がると知ることや、お金の使い方を覚えてもらうのは本当に大切なことだと思うのです。
お金の話は明るく・楽しく・建設的に。
横山:今は子どもたちも成長して全員が集まる機会は減りましたが、毎月の収支、貯蓄や投資の状況などを家族で共有し、お金の使い方をみんなで楽しく話しています。
たとえば、「夏の旅行はどうしよう? それだとこのくらいかかるから、少しどこかを減らさないといけないよね~」といった具合です。子どもとお金の話をするときは、明るく・楽しく・建設的な話をする。これが鉄則です。
学資保険の上手な活用法は?
――最後に、学資保険の上手な使い方についてアドバイスをお願いします。
横山:先ほど言ったように、学資保険はお金を準備するためのレールの役割をしてくれます。その子の学費が必要なときに、ほかのお金とは別立てにして用意できる安心感があります。
「長期にわたりきちんと貯蓄できるか不安、投資がうまくいくか不安。レールが敷いてあると安心」という方には向いていますし、投資メインだけど安心をプラスするために学資保険を使う、というのも一つの手です。
ご自身の考えに合ったバランスで組み合わせていくといい。
横山:税制優遇のあるつみたてNISAなどを活用して、少しずつ投資をはじめている人が増えています。教育資金も、「預貯金や保険」+「投資」を半々くらいとか、児童手当分を投資にまわして、時間をかけて運用していく、という人もいます。
お子さんが17歳~18歳になって大学進学資金が必要になるころに、マーケットの状況がどうなっているかわかりませんから、最初から、学資保険だけ、預貯金だけ、投資だけと決めずに、ご自身が納得いくバランスで組み合わせていくとよいと思います。
【まとめ】教育資金づくりは時間をかけて、じっくり取り組んでいこう。
教育資金のなかでも、大学進学にはまとまった資金が必要になります。横山家のように、資金を目的別に分けずに運用していくか、目的を決めて積み立てていくかは、自分に合った方法を適宜組み合わせていくのがよさそうです。
いずれにしても、教育資金づくりは「時間をかけて、工夫をしながらじっくり取り組む」ことが大切です。学資保険・預貯金・投資、それぞれの特徴をしっかり理解したうえで、教育資金づくりの手段の一つとして学資保険を検討してみてはいかがでしょう。
写真/PIXTA イラスト/こつじゆい
横山 光昭
家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、これまでの家計再生件数は2万1000件を突破。各種メディアヘの出演・執筆・講演も多数。著作は150冊、累計351万部で、『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズは累計100万部を超えるベストセラー。
関口 博美
株式会社マイエフピー所属のファイナンシャルプランナー。確定拠出年金をはじめ、公的・私的年金制度、教育費などを得意とする。
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