町内会には入らないとダメ?入る、入らないときの暮らしへの影響を解説。
戸建てを手に入れるタイミングで、「町内会(※)ってどうかかわればいいんだろう?」と気になる方もいるのではないでしょうか。特に仕事や子育てで忙しい世代にとって、町内会は少しハードルが高く感じられるかもしれません。
「町内会に入っていないとゴミ集積所が使えない」といった話を耳にすると、やっぱり気になりますよね。一方で、住み始めた地域での防犯や環境・交通安全などで問題があったときに、行政のパイプ役である町内会を通して要望したり、支援を受けられたりすることも。
町内会に関するさまざまな相談に応じてきた、地域活性化・まちづくりコンサルタントの水津陽子さんが、町内会の活動や加入状況、転居前の情報収集のポイント、加入した場合・しなかった場合の暮らしへの影響などを解説します。
※ 地域によって、「自治会、町内会、町会、区会、区」などの名称で呼ばれていますが、この記事では「町内会」とします。
目次
- 町内会には必ず入らないとダメ?
- まずは自分が住む地域の町内会の活動内容を知ろう。
- 町内会はどんな活動をしているの?
- マンションの管理組合とはどう違う?
- 加入するかどうか迷ったら、情報収集を。
- 町内会に「入る」とどんな影響がある?
- 町内会に「入らない」とどんな影響がある?
- 地域の安全・安心を担う町内会は減っている!?
- 【まとめ】加入は自由。でも、地域とのつながりは大切に!
町内会には必ず入らないとダメ?
町内会とは、地域に住む人同士が協力し合って、住みよい街づくりを目指す、昔ながらの地域コミュニティの1つです。

町内会への加入は法律的に義務ではない。
総務省によると、町内会とは“市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体”とされています。
つまり、行政の一部ではなく、住民同士が自主的につくる任意の団体で、加入も退会も自分の意思で決めることができます。住まいが賃貸住宅でも戸建てでも、そこは変わりません。
町内会への加入率は地域差が大きい。
町内会への加入率は全国平均で71.7%、東京都では41.4%と、大都市圏ではやや低めの傾向があります。近年では、新しく加入する人が減るとともにコロナ禍を経て高齢者の退会も増え、加入率の減少が進んでいます。
同じ自治体の町内会でも駅周辺など人の入れ替わりが激しい地域での加入率は低く、古くから住んでいる人が多い地域では加入率は高く保たれるようです。
また、住民同士が互いに協力しないと生活が成り立たないような山間部や豪雪地帯などでは、加入率100%という地域もあります。
参考:総務省「自治会等に関する市区町村の取組に関するアンケートとりまとめ結果」
まずは自分が住む地域の町内会の活動内容を知ろう。

全国には約29万(2021年4月1日現在)もの町内会があり、世帯数や町内会費の額、運営方法、活動内容などは実にさまざまです。最近では、デジタル化を進めるなどで時代に合った活動の仕方に変えている町内会もあれば、紙の回覧板をはじめ、昔ながらのスタイルで活動を続けている町内会も数多くあります。
参考:総務省「自治会等に関する市区町村の取組に関するアンケートとりまとめ結果」
町内会はどんな活動をしているの?
町内会の活動としては、以下のようなものがあります。
地域の防犯・防災:避難訓練・防犯パトロールなど
環境美化:側溝や河川、ゴミ集積所の清掃など
住民同士の情報交換や親睦:子ども会などイベントの開催、お祭りの運営など
市や町の広報紙の配布など、自治体から委託された業務を担う場合もあります。
具体的にどんな運営や活動をどの程度するかは、法律の定めはないため、公序良俗に反するものでなければ、各町内会が独自に決められます。

マンションの管理組合とはどう違う?
マンションの管理組合は、マンションの居住者(区分所有者)が必ず入らなくてはならないもので、法律で定められている団体です。またマンション管理組合は、共有部分の維持・管理が本来の目的で、町内会のようなコミュニティ機能は基本的にはありません。
ただ、千葉市に見られるような、マンションの管理組合を自治会とみなす自治体もあり、そういったマンションでは、行政からの情報が得やすくなるので、さまざまな支援策を活用しているところもあります。
一方で、自治体とは連携せず、独自にマンションコミュニティとして交流イベントを行うなど、町内会と同じような機能をはたしている団体もあります。
加入するかどうか迷ったら、情報収集を。
「町内会に入る・入らない場合のメリットとデメリットは?」とよく聞かれますが、町内会とは本来、入ったら何かをしてもらえるものではありません。地域の一員として一緒に活動をしていくメンバーになる、というものです。団体ごとに運営方針や活動内容、町内会費なども異なりますから、メリット・デメリットをひとくくりに語ることはできません。
町内会に入るか入らないかを迷うなら、まず住む地域の町内会のことを調べてみましょう。
1.ウェブサイトや地域の掲示板をチェック。
町内会によっては、独自のウェブサイトを設けているところもあります。こまめに更新されているか、どんな情報発信をしているかで、活動の活発さや情報を熱心に伝えようとしているか、若い世代・子育て世代を対象にした活動にも力を入れているかがわかります。同様に、地域の掲示板もチェックしてみるとよいです。
2.自治体の町内会担当部署に聞く。
転入の手続きなどで役所に行った際に、自分の住む地域の町内会について、担当部署で聞いてみましょう。会報などの資料があれば、もらえる場合もあります。
3.地域のお祭りやイベントに顔を出してみる。
お祭りなどがあれば、ぜひ顔を出してみてください。活動の様子やどんな人が参加しているのかを見て、楽しそうな活動をしているなと思ったら、お世話役の方に「最近こちらに越してきたんですけど……」と話しかけてみてもよいでしょう。そのときのリアクションでも、町内会の雰囲気がわかると思います。
4.個人情報の利用規定の有無を確認する。
プライベートなことまで聞くのは、今の時代、あまりないと思われます。個人情報保護法により、どのような目的で個人情報を利用するのか具体的に特定する必要があるので、個人情報の利用規定の有無を確認してはいかがでしょう。
次に、町内会に入る・入らない場合でどんな影響がありそうか、見ていきましょう。
町内会に「入る」とどんな影響がある?

先にも書いたように「入る・入らないのメリット・デメリット」はなく、入ったことでよかったと思えることや、ときに負担がかかることはあります。
役員を担う可能性がある。
町内会は、地域住民によって構成・組織化されているため、会長をはじめとして、副会長や書記、会計などの役員分担があります。役員は構成員の中から立候補・自薦他薦、および投票などによって選出されるものですが、役職によっては、班長や町内会組長のように持ちまわりの当番制になることもあります。
仕事や家庭の事情などもあって、役員になるのが難しいような状況であれば考慮されることもあります。
当番制・全員参加の美化活動、回覧板をまわすなどの役目がある。
役員にならずとも、当番制によって順繰りに担当する役目もあります。たとえばゴミ回収後のゴミ集積所の清掃などは主に当番制となり、町の美化活動などは全員参加で行われることもあります。また回覧板を次の人へまわすことも、町内会の役目です。
町内会費がかかる。
町内会費は、地域のイベント開催や、防災・防犯対策、清掃活動をはじめ、活動を支えています。月額100円程度から1,000円以上などさまざま。町内会の規模などによっても大きく異なります。
町内会に「入らない」とどんな影響がある?

「町内会に入らなければ負担がかかることはない?」と思われるかもしれませんが、地域で暮らしていくうえでは、町内会に入らないことで生活に影響が出てしまうこともあります。
地域とのつながりが希薄になる。
ご近所付き合いが苦手であったり、「地域と交流がなくても、困ることはほとんどない」と考えたりする人も多いかもしれません。平常時であれば、必ずしも地域との密着性や、ご近所付き合いがなく過ごせても、いざ、災害や地域での危険な事象が生じた場合には、孤立していると情報が入らないなどの支障が出てしまうことがあります。
特に、大雨や地震などの大きな災害が発生したときには、孤立することが命の危険に直結することも少なくありません。普段から町内会などを通して、地域とつながりを持つことはある意味、大切なことでもあります。
ゴミ集積所が使えない可能性も!?
ゴミ集積所の維持管理は、多くは町内会に任されています。そのため町内会に加入していないことを理由にゴミ集積所の利用を拒否されるケースもなくはありません。
なかには訴訟にまで発展するケースもあり、神戸市の自治会が未加入者の夫妻にゴミ出しを拒否したケースでは、いまだに最高裁での裁判が続いています(一審:神戸地裁は夫妻に利用権利あり、二審:大阪高裁は夫妻に利用権利なし。2025年7月31日現在、最高裁で審議中)。
町内会のゴミ問題ばかりが理由ではありませんが、自治体によっては、個別収集に切り替えているところも出てきています。一方で、町内会に入らないと、現状では未加入者がゴミ集積所を使えない地域もあります。新居を決める際には、町内会の情報とともに、ゴミ収集の方式についても事前に調べておくとよいでしょう。
孤立すると災害時の支援が受けにくい?
住民の避難先となる「指定避難所」の収容力には限界があり、避難所に入れるのは、自宅が倒壊して住めなくなった人など、制約があります。そうなると多くの人は自宅避難・テント・車中避難などを余儀なくされます。
2016年の熊本地震で大きな被害を受けた熊本市では、そうした避難者情報の把握が困難だったという声もありました。一方、日ごろからしっかりと活動してきた町内会では、その日のうちにすべての住民の安否確認ができ、避難生活に必要な支援をスピーディーに実現できたそうです。
ゴミ集積所の問題と同じように、町内会に入っていないからといって、こうした災害時に公的支援を受けられないわけではもちろんありませんが、今後想定される災害で力になるのは共助です。
地域の人と日ごろから顔見知りになっていることで、孤立せず情報を共有し助け合うこともできます。町内会に入る選択肢として、非常時のことも考えておくとよいでしょう。
町内会イベントに参加できないこともある!?
町なかで開催されているイベントには町内会主催のものが少なくありません。盆踊りなども町内会が運営にかかわっているケースが多く、地域のイベントに町内会の存在は欠かせません。これらのイベントの中には町内会会員限定のものもありますし、盆踊りのように、町内会に加入せずとも参加できるものもあります。
ただ、そうしたイベントにかかる費用は、多くが町内会から捻出されていることも知っておきましょう。
地域の安全・安心を担う町内会は減っている!?

近年、加入者が減り、役員の高齢化や担い手不足により解散に追い込まれる町内会も増えています。総務省の調査によれば、2013年に全国に29万8,700ほどあった町内会などの団体数は、2023年には29万5,838に減少。年間約300に近い団体が解散している計算です。
防犯灯の設置や管理、公園などの草取りやゴミ集積所の清掃、子どもや高齢者の見守りなど、町内会で担っていることはたくさんあります。
参考:総務省「地縁による団体の認可事務の状況等に関する調査結果」令和6年3月
参考:総務省「地縁による団体の認可事務の状況等に関する調査結果」平成26年3月
地域の美化・保全にも影響。
町内会が解散した地域では、防犯灯の維持・管理ができなくなったり、公園が荒れ果てたりすることもあります。これまで町内会に支えられていた地域の安全・安心が脅かされ、地域の課題にコミュニティとして取り組むことが難しくなり、環境の美化・保全にも影響を及ぼしています。
個人負担を減らす工夫も増えている。
これまでにも述べたように、役員や当番制、町内会費の支払いなど、町内会に入るとそれなりの負担はかかります。
一方で近年では、町内会によっては役員や当番を強制しない負担の少ない運営をしたり、回覧板に代えてデジタルで情報発信し、個人情報保護法に適切に対応したりするなど、工夫しているところもあります。
また町内会費もそれほど負担にならない金額を設定し、銀行振込や口座振替、クレジットカード払い、なかにはQR決済を導入するなど、先進的な取り組みをしている団体も多くあります。
何かあったときに地域の人と助け合える町内会。
防災に力を入れている町内会では、非常用の電源や防災無線、上空から被害状況を確認するためのドローンを装備したり、避難訓練や炊き出しの訓練を行ったりしている団体もあります。
こうした防災対策とあわせて、いざというときに地域で助け合うことのできるつながりをつくっておくことはとても大切です。
【まとめ】加入は自由。でも、地域とのつながりは大切に!
町内会への加入はそれぞれの選択ですが、町内会だけに目を向けるのではなく、地域のイベントに参加したり、実行委員会やボランティア、プロボノ(※)などを通じて、地域や人とのつながりをつくったりすることも大切です。
自身が地域コミュニティ活性化のために活動するのではなく、共助コミュニティ、家庭や職場以外の居場所や仲間づくりの一端として、町内会があることも知っておきましょう。
しかし、とてもよい町内会もあれば、まだまだ旧態依然とした町内会も少なくありません。月額100円と言われても、それが自分にとって意義や魅力を感じられない活動に使われているのであれば、加入を躊躇するかもしれません。
まずは、お住まいの地域の町内会の活動を知りましょう。活動内容のよくわかる資料や丁寧な説明を求め、そのうえで加入するか否かを検討してみてはいかがでしょうか。
※ 専門知識やスキルを生かして取り組む社会貢献活動。
写真/Getty Images、PIXTA
【監修者】水津 陽子
合同会社フォーティR&C 代表。地域活性化・まちづくりコンサルタント。2021年度総務省「地域コミュニティに関する研究会」構成員を務める。地域活性化・まちづくりに重点を置いた企画コンサルティングのほか、多数のメディアで講演、調査研究、執筆活動を行っている。著書に『若い世代や女性が活躍する自治会・町内会の極意』(実業之日本社)などがある。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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