足のむくみの症状をチェック!原因と対策、解消法を解説【医師監修】
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デスクワークで夕方になると足のむくみがひどい、立ち仕事でふくらはぎがパンパンになってつらい……。多くの女性が足のむくみ問題に悩んでいます。ここでは足に特化した病院である下北沢病院(東京・世田谷区)副院長の長﨑和仁先生が、むくみの原因や症状、病気が隠れている可能性からセルフケアの方法まで、詳しく解説します。
目次
足のむくみとは?
足のむくみ(浮腫)は、足の皮膚の下にある組織に水分がたまることで生じる症状です。
足のむくみはなぜ起こる?
足のむくみが起こるメカニズムの1つは、「足のポンプ作用の低下」です。心臓から遠く離れた足の静脈は、重力に逆らいながら、血液を足先から心臓へとくみ上げなければなりません。
全身の静脈には血液の逆流を防ぎつつ心臓へと戻す「逆流防止弁」がたくさんついていますが、ふくらはぎがポンプ替わりになることで、体の下(足先)から上(心臓)へと血液を送り込むことができます。
しかし、何らかの理由でふくらはぎを動かさない時間が増えると、ポンプが作用しないため、足の静脈がパンパンに腫れあがってしまいます。こうして静脈圧(静脈にかかる圧力)が高くなってくると、血液中の水分がだんだん外にもれはじめて皮膚の下にたまり、足のむくみが生じます。
足のむくみの原因。
病気によるむくみを除き、足のむくみには主に以下のような原因が考えられます。
座り仕事・立ち仕事
先ほど述べたように、足のふくらはぎを動かさないでいるとポンプ作用が低下して、むくみとして現れます。そのため、座り仕事や立ち仕事などで足をほとんど動かさず、ずっと同じ姿勢を続けていると、時間がたつにつれてだんだん足がむくんできます。
水分・塩分・アルコールの摂りすぎ。
水分を摂取しすぎると、重力によって水分が足先にたまりやすくなります。また、塩分やアルコール類を摂りすぎると、体はそれらの濃度を薄めようとして体内に水分をため込んでしまうので、むくみが生じやすくなります。
運動不足
日ごろから運動をあまりしていないと足の筋肉やアキレス腱(けん)が固くなり、ふくらはぎが十分に動かせなくなるので、むくみやすくなります。また、ゆっくり歩くなど、ふくらはぎを十分に使って歩いていない人も、同じく足がむくみやすくなります。背筋を伸ばして歩くと自然とふくらはぎを使った歩き方になります。
肥満
肥満によって内臓脂肪がつきすぎると、足先からの血流が腹部で阻害されて血液循環が悪くなり、足のむくみにつながりやすくなります。
便秘症
便を出そうとしていきむときに静脈圧が高くなり、足のむくみの原因になります。
女性特有の原因。
妊娠・出産を機に、子宮が大きくなって足先の血液が心臓に戻りにくくなり、足がむくみやすくなる人がいます。また、ヒールの高い靴を履いている人は十分にふくらはぎを使えない歩き方になるので、足のポンプ作用が低下して、むくみやすくなる傾向があります。
足のむくみの症状をセルフチェック。
日ごろの生活習慣を振り返り、足がむくみやすくなる原因をチェックしてみましょう。
足がむくみやすい生活習慣チェック。
足のむくみの原因をもとに、生活習慣のチェックリストを作成しました。チェックがついた項目で改善可能なものは、1つでも減らせるように気をつけましょう。
【生活習慣チェックリスト】
□立ち仕事・座り仕事が多い。
□塩辛いものが好き。
□お酒をよく飲む。
□こってりしたものを好んで食べる。
□日ごろあまり運動をしていない。
□便秘ぎみだ。
□健診で肥満/内臓脂肪の蓄積を指摘されたことがある。
□ヒールの高い靴をよく履いている。
□ゆっくり歩くことが多い(ふくらはぎを使わない歩き方をしている)。
足のむくみセルフチェックの方法。
足がむくんでいるかどうかは、簡単に自分でチェックできます。
まず、すねのあたりを10秒押して、指の跡が残るかどうかを確認します。むくみがなければ指の跡は残りませんが、指でへこんだ跡がしばらく残るようなら、むくみがある状態といえます。靴下やストッキングをはいた跡が残るのも、むくみのサイン。また、「足首のまわりが太くなった」「足が重い・だるい」などは、むくみによる間接的な症状です。
これらの症状が1つでも出ていれば足がむくんでいるといえます。足の静脈圧がどんどん高くなり、ふくらはぎが水風船のようにパンパンになると、「筋肉が圧迫されて痛い」「足がつりやすくなる」「足が冷たくなる(冷え性)」「皮膚が引き伸ばされてカサついたりかゆくなったりする」といった症状も引き起こされます。
下のリストにチェックがついた人は次に紹介する解消法などを取り入れてみましょう。
【足のむくみセルフチェック】
□すねのあたりを10秒押すと指の跡が残る。
□足に靴下やストッキングをはいた跡が残る。
□足首のまわりが太くなった。
□足が重い・だるいときがある。
□靴を履くと、きついときがある。
足のむくみの解消法と予防法。
病気ではない一般的な足のむくみ対策は、いかにふくらはぎを動かすかがポイントになります。
ストレッチや軽い運動。
座り仕事や立ち仕事の人は、なるべく30分おきくらいにストレッチしたり、自分の手でマッサージをしたりして、こまめにふくらはぎを動かすことを意識しましょう。家では「ゴキブリ体操」という、仰向けになって手足を垂直に上げ、そのまま30秒ほど小刻みに震わせる動きも効果的です。
歩き方に注意する。
すたすたと早歩きをする、ヒールの低い靴を履くなど、ふくらはぎを十分に動かせるような歩き方を心がけましょう。なお、偏平足や外反母趾(ぼし)の人はふくらはぎの筋肉が張りやすく、動かしにくくなります。自分の足に合う靴を履いたり、中敷きを工夫したりして、快適に歩けるようにしましょう。
足を5㎝ほど高く上げて寝る。
就寝時、枕やクッションを足首の下のあたりに置き、両足を心臓よりも少し上の位置にした状態で横たわりましょう。10㎝以上の高さは腰に負担がかかりやすいので、5cm程度が目安ですが、好みに応じて調整してください。
入浴時には湯船にゆっくりつかる。
入浴は副交感神経が働いて血流がよくなり、静脈内の血液も流れやすくなるのでおすすめです。シャワーだけではなかなか副交感神経が優位にならないので、湯船にゆっくりつかることをおすすめします。湯船につかりながら足をマッサージすると、より効果的です。
栄養バランスのいい食生活を心がける。
塩分やアルコールは控えめに。飲みすぎ・食べすぎは避けて、栄養バランスのいい適量の食事を心がけましょう。また、便秘による足のむくみを防ぐために、食物繊維を意識した食生活を心がけてください。
足のむくみが病気のサイン?
足のむくみには、実はさまざまな病気が隠れている可能性があるので注意が必要です。
通院で治療できる病気。
足のむくみで来院される患者さんの病気で多いのが「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」です。足の静脈弁が壊れて逆流することで生じる病気ですが、足の静脈がボコボコとこぶ状に浮き出てくる症状が特徴です。小さな静脈瘤なら、通院で治療できます。弾性ストッキングをはいたり運動したりする「圧迫療法」や「運動療法」を行います。
深い部分の静脈(深部静脈)がつまってしまう「深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)」は、ずっと同じ姿勢を続けることで足に血栓ができる病気です。深部静脈にできた血栓が流れていくことによって、肺の血管につまってしまうと、命にかかわる「肺塞栓症(はいそくせんしょう)」を起こすこともあります。
急なむくみや痛みが生じることがある病気なので、早急な検査や治療が大事です。治療は通院で、薬の服用や圧迫療法、運動療法を行います。
入院や手術が必要になる病気。
下肢静脈瘤の中には、伏在(ふくざい)静脈という太い静脈まで逆流してしまうものがあります。そうなるとむくみだけでなく足の痛みや皮膚症状なども生じるため、外科的な治療を検討することになります。
最近ではカテーテル治療による日帰り手術が多くなりましたが、大きな静脈瘤の場合は「静脈抜去術」という手術をするために1泊2日程度の入院をすることもあります。
ほかにも心不全や肝機能障害、ネフローゼ症候群(尿にタンパク質が出てしまい、血液中のタンパク質が減ってしまう疾患)といった代謝系の病気や、甲状腺機能の低下、女性の場合は子宮筋腫や卵巣囊腫(のうしゅ)などの症状として足のむくみが生じることもあります。
いずれも、症状によっては入院や手術が必要な場合がありますので、むくみのサインを見逃さないことが大切です。
【まとめ】むくみが続くようであれば受診を。医療保険で備えれば安心。
以上、長﨑先生に足のむくみについて解説していただきました。よくある一時的な足のむくみだと思っていても、その背後にはいろいろな病気が隠れている可能性があり、ときには命にかかわることも。違和感が気になるときや、痛みを伴う場合は速やかに病院にかかることが大切です。
特に女性は、子宮筋腫や卵巣囊腫といった女性特有の病気でも足のむくみが生じることがあるので、気をつけて経過を観察しましょう。もしものときに備えて、女性用医療保険などに加入しておくと安心です。
写真/Getty Images、PIXTA イラスト/オオカミタホ
長﨑 和仁
足の専門病院・下北沢病院副院長。慶応義塾大学医学部卒業。国内の医療機関に勤務後、スタンフォード大学外科フェローとして渡米。帰国後、浜松赤十字病院外科部長・創傷ケアセンター勤務、さいたま市立病院血管外科医長を経て現職。「名医のTHE太鼓判!」など、テレビ出演多数。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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