

猫を飼う費用は?飼育経験豊富なFPが初期&1か月の目安を解説。
※ 記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
猫を飼うには、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。初めて猫を飼いたいと思っている人は特に気になりますよね。初期費用や毎月かかる食費、今後の医療費などの目安を知っておくことは、猫との幸せな生活を送るための重要なポイントです。
この記事では、約40年の猫の飼育経験があり、現在3匹の猫と暮らしているファイナンシャルプランナー(FP)の岩下桂子さんが、猫を飼う場合にかかる費用を解説します。お金の準備も万全に、猫との生活をスタートさせましょう。
目次
何が必要?猫を飼うときにかかる初期費用。

上の写真は、岩下さんの飼い猫です。手前が8歳、後ろは4歳のメス。もう1匹、キジトラの7歳のメスがいます。
猫たちに快適に過ごしてもらうためには、トイレグッズや遊び道具などの用意も必要。まずは岩下さんに、猫を迎えるにあたって「必ず用意しておきたいもの」と「あると便利なもの」を伺いました。
必ず用意しておきたいもの。
トイレグッズや食器、爪とぎなどは事前にそろえたいもの。いろいろな種類があるので、猫の様子を見ながら使いやすそうなものを選びましょう。成長にあわせて買い替えが必要になることもあります。
「すべてそろえるための予算は5万円~8万円程度。なかでも子猫を迎える場合に特に欠かせないのはケージです。臆病な子が多いので、安心できる自分だけの場所をつくってあげてください。キャリーケースは、脱走防止のためにも頑丈なものを購入することをおすすめします」(岩下さん)

取材をもとにミラシル編集部で作成。金額は目安
あると便利なもの。
事前に用意しておくと便利なグッズは、消臭剤やおもちゃ、お手入れグッズです。
「猫のおしっこは濃くて匂うので、猫用の強力消臭剤で処置することをおすすめします。ちなみに人間用の消臭剤はアルコールが含まれているものが多く、猫にとって有害。使用しないようにしましょう」(岩下さん)

取材をもとにミラシル編集部で作成。金額は目安
猫を迎えたときにかかる医療費。
猫を迎えた最初の年に、動物病院で混合ワクチンを接種して、避妊手術または去勢手術をしましょう。病院によって費用が異なるため、事前に問い合わせておくと安心です。ペットショップや保護猫の施設では、すでにワクチン接種などを済ませていて、譲渡のときに費用を負担します。

取材をもとにミラシル編集部で作成。金額は目安
1か月あたりにかかる費用は?

1か月間にかかる費用についてまとめました。
人と同じように、健康な体は食べるものによってつくられます。なかには穀物が多く含まれているフードもあり、もともと肉食であるネコ科の動物には生理学的に不向きで、後々アレルギー発症の原因になることも。
毎日の食事は、バランスのいい総合栄養食のドライフードやウェットフードを主軸に、好みや体調にあわせて一般食(缶詰やパウチタイプのウェットフードなど)、猫用おやつをあげましょう。
見落としがちなのが、光熱費。猛暑日や冷え込む真冬には、エアコンを24時間つけっぱなしにしておくことも。なかには冷房が苦手な猫もいるので、猫にとっての適温を保つように温度管理をしましょう。
また、ペットを飼うなら、必ず「ペット可」の物件を選びましょう。岩下さんは「ペット不可の物件で飼うことは絶対に避けましょう。アレルギーの関係で、あえてペット不可の物件を選ぶ入居者がいる可能性があるからです。また契約違反で退去させられるケースもありますし、人にとっても猫にとっても不利益になりかねません」と忠告します。
ペット可の賃貸物件は一般的な物件よりも割高です。東京都では、相場よりも2万円~4万円程度高くなることも。「ペットによる破汚損は火災保険の補償対象外になります。退去時の修繕費用の備えをしておきましょう」(岩下さん)

取材をもとにミラシル編集部で作成。月額は目安
定期的にかかる医療費は?

猫の健康管理のため、動物病院で、定期的な健康診断や予防接種を受けましょう。自由診療なので、価格は病院ごとに異なります。近所の口コミや電話で問い合わせたときの対応などを参考に、猫を迎える前に事前に調べておくことをおすすめします。「猫と犬の待合室エリアを分けているなど、猫に配慮している動物病院を見つけておくと安心です」(岩下さん)

取材をもとにミラシル編集部で作成。1回の料金は目安
ワクチン接種
猫のワクチン接種は、「室内飼いなら不要」と考えがちですが、飼い主や来客者が外からウイルスを持ち込む可能性が大いにあります。また、ペットホテルに預けなければいけないときに、ワクチン未接種の猫は預かってもらえないことも。忘れずに接種しましょう。
ノミ・ダニ・フィラリア予防
猫は基本的に室内飼い、そして「外へは出さない」が原則。それが病気やケガの予防につながります。しかし飼い主が外からノミやダニを連れてくることがあるので要注意。特にアウトドアやキャンプが趣味という場合は、欠かさず定期的な投薬予防をおすすめします。
健康診断
血液検査と尿検査といった基本的な健康診断の目安は1万円くらいですが、全身をくまなく調べる場合は料金がプラスになります。
「過去に飼っていたわが家の猫もそうでしたが、8歳以上の成猫は腎臓に疾患を持ちやすいといわれています。そのくらいの年齢になったら、早期発見のためにも1年に2回のペースで健康診断を受けることをおすすめします」(岩下さん)
病気やケガも!猫にかかる臨時出費。
突然の病気やケガのほか、急用で預けなければならないなど、突発的にかかる臨時出費を挙げました。
ペットホテル
遠方での冠婚葬祭・旅行などで外出する際は、ペットホテルに預ける場合もあります。「猫は環境の変化が苦手です。ペットホテルの利用は、どうしても預けなければならない事情があるときのみ利用しましょう」と岩下さん。一般的なペットホテルのほか、動物病院が運営しているペットホテルもあります。
予期せぬケガや病気。
おもちゃの誤飲、骨折や脱臼などの事故のほか、加齢とともに顕在化する病気もあります。また、腎臓結石は、発症平均年齢が5.6歳(±2.9歳)といわれていて、1歳~2歳で発症することも珍しくはありません。
「歯周病は一般的に加齢に伴って増加しますが、若い猫でもかかることがあります。体質的な要因が多いのですが、抜歯のための手術・入院になると10万円~30万円ほどかかることも。ケガや病気は予測がつきません。ペット保険に加入しておくと安心です」(岩下さん)
ペット保険への加入。
主に定率補償・定額補償・実費(実額)補償があります。

取材をもとにミラシル編集部で作成。月額保険料は目安
ケガや病気の際には、予想外に高い治療費がかかることがあります。岩下さんもかつて、高額な治療費を支払った経験があるそうです。
「私が以前飼っていた猫たちはペット保険に入っていなかったため、結石と腎臓病の手術・入院で約30万円、糖尿病による1週間の入院で約15万円かかりました」(岩下さん)
もしものときに備えられるのがペット保険。ただし、人間と同じで、健康診断や予防接種など、予防のための医療には適用されません。また、猫の加入時の年齢に関係なく、年齢に伴って保険料は上がり、窓口清算できる保険、窓口清算できない保険などがあります。
【まとめ】猫も家族の一員。マネープランを考えておこう。
猫も大事な家族の一員です。これから長い年月をともに過ごすのですから、日々の生活はもちろん、病気や介護などのケアが必要になったときでも、最後まで支えられるようなマネープランを描いておくことが大事になります。計画的な貯蓄はもちろんのこと、ペット保険なども活用して、安心して楽しくペットと暮らしましょう。
写真/Getty Images、PIXTA 写真提供/岩下桂子 イラスト/こつじゆい 獣医師監修/谷口史奈
【監修者】岩下 桂子
幸山FP事務所代表。40年間猫を飼い続けてきた、猫好きのFPとしても有名。企業FPとして乗合保険代理店にて通算10年勤務。保険ショップ、訪問型の営業を経て、業務管理者やコンプライアンス室業務、損保査定関連業務にも従事し、保険に精通。メディア出演・講演も多数。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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