発語はいつから?赤ちゃんが言葉を話すタイミングを言語聴覚士が解説。 発語はいつから?赤ちゃんが言葉を話すタイミングを言語聴覚士が解説。

発語はいつから?赤ちゃんが言葉を話すタイミングを言語聴覚士が解説。

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赤ちゃんが「まんまんま」などと声をあげると、「ママ?」それとも「ごはん?」何か言おうとしているの?と知りたくなってしまうのが親心。周囲の大人が「このことを言っているのだな」と理解できる意味のある言葉を、赤ちゃんが話すようになるのはいつごろからなのでしょうか? 言葉の発達に詳しく、子どもの言葉に関する相談・支援を行っている言語聴覚士の寺田奈々先生に聞きました。

寺田奈々先生 言語聴覚士。総合病院、耳鼻科クリニック、区立障害者福祉センターなどに勤務後、「ことばの相談室ことり」主宰。年間100症例以上のことばの相談・支援に携わる。

目次

発語はいつから?

赤ちゃんの言葉の発達の変化

赤ちゃんが初めて話す意味のある言葉は、「発語」や「一語文」、または「初語(しょご)」「始語(しご)」などとも呼ばれます。この記事では、「発語」「一語文」という言葉を用いることにします。

赤ちゃんが言葉を話すまでには、いくつかの段階があります。一語文を話しはじめるまでの赤ちゃんの言葉は、喃語(なんご)と呼ばれます。生後5カ月ごろになると「ああ~」「う~う~」など、母音が中心の発声が見られるようになり、その後7カ月ごろからは、連続した音「ままままま」「だだだだだ」などを話しはじめます。

さらに、さまざまな音が加わり「ばぶぶぶ」「あじゃじゃだだだだ」のような複雑な喃語を経て、1歳ごろになると一語文が出はじめます。一語文が出はじめるころには、赤ちゃんは身の回りのものやことについて簡単な言葉を理解するようになっており、指さしをしたり、大人の身ぶり手ぶりのまねをしたりすることも増えていきます。

1歳6カ月ごろになると、生活や遊びの中で交わされる、ものの名前や動作を表す言葉などがある程度理解できるようになり、2歳ごろになると「わんわん、いた」などの二語文を話しはじめます。

発語とは?喃語と区別がつくの?

発語とは?喃語と区別がつくの?

喃語と発語の大きな違いは、「意味のある言葉かどうか」です。ただし、初期の一語文の中には、偶然出た音や大人の言葉をまねしただけのものが多く含まれます。

たとえば、赤ちゃんが「ぱぱぱ」と言ったとき、まわりの大人は「パパって言った!」と喜ぶかもしれませんが、赤ちゃんが本当に「パパ」という意味で発したのかは、実はわかりません。

重要なのは、言葉を発したときの状況です。パパを見ていたり、パパを呼ぼうとしたりしているときに「ぱぱぱ」と言っているのであれば、それは言葉と言えるでしょう。このように、言葉と状況が結びついているかどうかが、喃語と発語を区別するポイントになります。

発語と考えられるポイント1:話している状況。

はっきりとした言葉になっていなくても、にんじんを指さして「にーにー」と言っているなど、その場面・状況に合っていれば発語と考えられます。

発語と考えられるポイント2:使う頻度。

その言葉を使う頻度が増えていくかどうかを観察します。

発語と考えられるポイント3:自発的かどうか。

赤ちゃんに「これはバナナ。言ってごらん?」と促すと、「バナナ」とまねして言うことがありますよね。これ自体はとてもかわいらしいですが、言わせたりまねを促したりした言葉では、「確実に獲得した自分の言葉かどうか」はわかりません。

赤ちゃんが本当に「バナナ」という言葉を獲得していると言えるのは、自分から使い出したときです。

発語が出てくる前兆ってあるの?それっていつから?

発語が出てくる前兆ってあるの?それっていつから?

赤ちゃんが言葉を話しはじめるときは、「前兆」があります。それは、言葉を使わないコミュニケーション、「ノンバーバルコミュニケーション」が成立していることです。

「赤ちゃんが言葉を話せるようになったら、コミュニケーションがとれるようになる」と考えているパパやママもいるかもしれません。けれど、実際にはそうではありません。赤ちゃんが言葉を話すようになる時期には、まず身ぶりや手ぶり、表情などを使ったノンバーバルコミュニケーションで、お互いの意思疎通ができるようになっていきます。

赤ちゃんとのコミュニケーションの土台ができていくノンバーバルコミュニケーションが、赤ちゃんがもうすぐ言葉を話しはじめる前兆なのです。

発語が出てくるサイン。

たとえば、赤ちゃんに以下のような様子が見られたら、まわりの人とコミュニケーションをとろうとしているということ。発語がそろそろ出てくるかも、というサインです。

□ 声を出すことにより、まわりの人から注目を得ようとすることが増える

□ ものを差し出して「見て!」のようなしぐさをすることが増える

□ 体の動きのまねや、身ぶり手ぶりのまねが増える

□ 相手の見ているほうを一緒に見ようとする

□ 指さした先に注目する

□ 名前を呼ぶと振り向く

□ 大人が出す声の音をまねする、まねしようとする

言葉が少ないかも!?発語を引き出すコミュニケーション。

言葉が少ないかも!?発語を引き出すコミュニケーション。

身ぶり手ぶりをして、大人の言っていることがわかっている様子は見られるのに、発語が出てこないな……ということもあります。でも、発語には個人差があるので、まずは焦らずに見守ってほしいと思います。

そして赤ちゃんが言葉に限らず、何か声を発したときに、こちらのうれしい気持ちを伝える、喜んでいる雰囲気を表情や身ぶりで表すことを心がけてみてください。「声を出したらママやパパが喜んでくれる!」とコミュニケーションのおもしろさがわかると、赤ちゃんの「もっと伝えたい」という意欲につながります。

簡単な身ぶり手ぶりを増やし、言葉を使わないコミュニケーションを重ねる。

□ バイバイ

□ パチパチ

□ ハーイ

□ おいし~(ほっぺをぽんぽん)

□ おくち、あわわわ

□ おつむ、てんてん

□ いない、いない、ばあ

□ ハイタッチ

言葉が出てくるには、先ほどもお伝えしたとおり、相手に注目して身ぶり手ぶりでやり取りをする、言葉を使わないコミュニケーションが大切です。バイバイと言いながら手を振る、できたね~と言いながら拍手するなどの身ぶりを取り入れましょう。

言葉を発する前に、伝える楽しさを経験することができ、赤ちゃんのコミュニケーション力を引き出すことにつながります。

動物のまねっこや体を使った遊びをする。

バイバイなど基本的な身ぶりができるようになってきたら、動物のまねっこなどもおすすめです。左右の手を交互に上げるジェスチャーをしながら「おさるさんキャッキャ」や、両手を頭の上に立てて耳に見立てた「うさぎさんぴょんぴょん」などと言って見せてあげましょう。動物の名前や鳴き声、動きが言葉と結びつきます。

また「あたま、かた、ひざ、ぽん」と歌に合わせて、体に触れる遊びもおすすめです。同じ動きをまねして、体の場所の名前を知り、ここだよ!を伝える練習にもなります。

言葉を引き出す、こんな遊びもおすすめ!

言葉を引き出す、こんな遊びもおすすめ!

□ はい、どーぞ

「くださいな」「はい、どーぞ」「ありがとう」のやりとりで、ものの受け渡しができることは、言葉でのやりとりにつながる1歩になります。

□ あ~ん、ぱっくん

食べもののおもちゃを「あ~ん」と人形に食べさせる遊びです。食べることに関心を持つ子どもは多く、初めてのごっこ遊びとして食べものを口に運ぶやりとりはおすすめ。比較的言いやすい子の多い「あ」の音を活かして、コミュニケーションを取る機会にもなります。

それでも言葉が少ないと心配になったら?

それでも言葉が少ないと心配になったら?

いろいろと心がけてみても、言葉がなかなか出ないと心配なときは、かかりつけの小児科や地域の発達相談窓口などに相談してみましょう。言葉の少なさのほか、目線が合いづらい、まねっこをしない、場面状況と出ている言葉がかみ合わない、などがあるときはそのこともあわせて相談してみましょう。

1歳6カ月健診はそうした相談をするいい機会ではありますが、「様子を見ましょう」と言われるだけでモヤモヤした……という親御さんもいらっしゃいます。もし、様子を見ましょうと言われたら、「いつごろまで何の様子を見ればいいですか?」と聞いてみてください。よりヒントが得られるかもしれません。

赤ちゃんの中には、言葉を発しなくても知っている言葉がある子、まだ言葉では理解できていなくても、人への興味関心が強い子など、さまざまです。お子さんの理解力や人への興味関心をしっかりと観察し、理解力に合わせたかかわりをされてみてください。お子さんの言葉が出ないと相談に来られる保護者に、ノンバーバルコミュニケーションを重視したかかわりをすすめると、「少しずつ私のほうに目が向くようになってきました!」と成長を実感する方は多いように感じます。

発語よりも「声で伝えられれば、まずはそれでOK!」の気持ちでコミュニケーションを楽しもう。

意味のある言葉が出はじめると、つい、もっと言葉を増やしてあげたいと思いがちですが身ぶり手ぶり・声といった言葉以外のコミュニケーションをたくさん実践してあげることが言葉の発達には大切です。言葉を増やそうとするかかわりよりも、「声で伝えてくれれば、まずはそれでOK!」くらいの気持ちでおおらかに赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しみましょう。

写真/Getty Images、PIXTA イラスト/こつじゆい


【監修者】寺田 奈々 
言語聴覚士。総合病院、プライベートのクリニック、専門学校、区立障害者福祉センターなどに勤務後、「ことばの相談室ことり」を開設。年間100症例以上のことばの相談・支援に携わる。専門は、子どものことばの発達全般、吃音、発音指導、学習面のサポート、大人の発音矯正。著書に、『0~4歳 ことばをひきだす親子あそび』(小学館)などがある。


※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。 
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