おなかのゴロゴロ、過敏性腸症候群かも?症状や原因は?【セルフチェック付き】
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「通勤電車で途中下車してトイレに駆け込むのは日常」「会議中、おなかが痛くなったらどうしよう……といつも不安」「仕事が立て込んでくると、必ず便秘になる」など、おなかに関するお悩みを抱えている人は、もしかしたら「過敏性腸症候群」かもしれません。
腹部の不快感だけでなく、心理的にも負担の大きい過敏性腸症候群について、横浜市立大学附属病院 消化器内科医師の稲森正彦先生に教えていただきました。
目次
- 過敏性腸症候群ってどんな病気?
- もしかしたら過敏性腸症候群かも?【セルフチェック】
- 過敏性腸症候群の原因とは。
- 過敏性腸症候群の症状3タイプ。
- 過敏性腸症候群は治療できるの?
- 過敏性腸症候群の予防法は?
- 自分なりの付き合い方を見つけよう。
- 腸の病気に備えるには?
過敏性腸症候群ってどんな病気?
過敏性腸症候群の主な症状は、おなかの痛みや張りなどの不快感、それにともなう便秘や下痢です。トイレに行く頻度が極端に多くなったり、少なくなったりすることもあります。
おなかの検査をしても、腸に腫瘍や炎症といった異常が見つからず、症状が慢性的に続き、日常生活に支障が出ていると過敏性腸症候群と診断されます。
命に関わる病気ではないものの、腹痛・便秘・下痢・不安などから、日常生活に何らかの影響が出てしまうことも少なくありません。
もしかしたら過敏性腸症候群かも?【セルフチェック】
「おなかの調子が悪くて困るな」という人は、次の項目をチェックしてみてください。ローマⅣ基準という世界的に用いられている過敏性腸症候群の診断基準です。
1、2のどちらも当てはまる方は、過敏性腸症候群かもしれません。
【過敏性腸症候群セルフチェック】
1:最近3か月の間に、月4日以上にわたって、おなかの不快感が繰り返し起こっている。
2:1に該当し、以下の2項目以上に当てはまる。
● 排便によって症状がやわらぐ。
● 症状とともに排便の回数が増えたり減ったりしている。
● 症状とともに便が柔らかくなる、あるいは硬くなる。
排便の回数は個人差があります。1日複数回出る人がいれば、2日に1回のペースの人もいます。単純な排便の回数では判断できませんので、おなかが痛い症状があり、排便が普段と違っているかどうかで判断します。
セルフチェックでどちらも当てはまった方は、医療機関の受診を検討してもいいかもしれません。
便に血が混じっていたり、貧血や発熱などの症状があったりする場合は、大腸がんやクローン病も疑われますので、医療機関では、血液検査や内視鏡検査を行います。
検査をしても特に異常な所見がなく、診断基準に当てはまると過敏性腸症候群と診断されます。
過敏性腸症候群の原因とは。
実は、過敏性腸症候群になる原因はわかっていません。
食あたりなどで腸の粘膜が弱まったり、腸内細菌のバランスが崩れたりすると、過敏性腸症候群になりやすいことがわかっています。
ストレスによって不安な状態になると、腸の動きが活発になり、同時に痛みに対して敏感になるといわれています。ただ、ストレスとなる出来事がなく発症するケースもあり、明確な原因は特定できていません。
症状は脳とも関係している。
過敏性腸症候群は、腸だけでなく脳も関係しています。
小腸や大腸は、食べ物を消化したり、便として肛門方向に移動させ排泄させたりしています。このような腸の収縮運動や腸の変化を感じ取る知覚機能は、脳と腸の情報交換によって制御されています。
ストレスは脳から腸に向かう信号を強くするため、自律神経や内分泌を介して、腸の運動を変化させます。食事によって腸から脳に向かう信号が強くなると、知覚過敏状態を引き起こし、過敏性腸症候群の症状を悪化させます。
脳から腸に向かう信号と、腸から脳に向かう信号の両方が、過敏性腸症候群の症状を引き起こしています。
過敏性腸症候群の症状3タイプ。
過敏性腸症候群の症状は主に、下痢型・便秘型・混合型に分類されます。
また、どれにも分類できない「分類不能型」もあります。日本人の場合、便秘型は女性に多く、男性は下痢型の人が多いのが特徴です。
タイプ1:下痢型
緊張するシーンでおなかが痛くなり、下痢をするというのが特徴です。形がはっきりしない崩れた便や水のような便が出ることが多くなります。
タイプ2:便秘型
便秘型の人はポロポロとした便や、小さな塊がくっついているような便になります。硬くて便の通りが悪いのも特徴といえます。やはり、ストレスを感じると便秘の症状が出ます。
タイプ3:混合型
便秘が続いたと思ったら下痢になるなど、同じような頻度で症状が変わるのが混合タイプです。
過敏性腸症候群は治療できるの?
本人が感じる症状が強く、日常生活に大きな支障が出ている場合、消化器内科など、専門の医療機関を受診することをおすすめします。
治療には、整腸剤や下痢止めのほか、過敏性腸症候群の治療に特化した薬を使うケースが多くあります。どれも対症療法で、病気自体を治すというものではありません。
また、不快感や痛みに悩まされ、うつやパニック障害を合併する場合もあります。その際は、その治療も並行して行っていきます。
薬物療法以外の治療は、食事療法と運動療法が代表的なものです。症状を誘発しやすい食品(辛いものや脂っこいもの、アルコールなど)は、できるだけ控えるようにしたり、発酵食品や食物繊維は症状を軽減させることがあるので食事に取り入れたりします。運動不足の患者さんには運動もおすすめです。
慢性的な疾患ですので、根治を目指すのではなく、医療機関を受診しながら、症状を緩和させてうまく付き合っていけるよう治療を進めていきます。
過敏性腸症候群の予防法は?
直接的な予防法はわかっていませんが、規則正しい生活は症状を引き起こすリスクを下げることにつながります。暴飲暴食を避けて、辛いものや脂っこいもの、アルコールなどを控える。しっかり睡眠や休息をとることも大切です。
自分なりのリラックスできる方法を見つけて、ストレスマネジメントをしていくことも予防につながるでしょう。
自分なりの付き合い方を見つけよう。
おなかに不快感や不安感を抱えながら生活するのは、つらいものです。しかし、必要以上に体のことを気にしすぎるのも過敏性腸症候群のリスクになります。
過敏性腸症候群の患者さんは、健康な人よりも機能性ディスペプシア(胃の痛みや胃もたれ)や胃食道逆流症(胸やけ)を合併しやすいといわれています。
下痢や便秘などの症状に困ったとき、メンタル面での不調が出て困ったときは、専門の医療機関を受診し、アドバイスを受ける。そして、食事や睡眠などリズムの整った生活を意識し、過敏性腸症候群とうまく付き合っていきましょう。
腸の病気に備えるには?
以上、消化器内科の稲森先生に、過敏性腸症候群について解説していただきました。
過敏性腸症候群の治療は多くの場合、下痢止めや整腸剤を服用するなどの症状を緩和するための対症療法がとられ、食事療法や運動療法が用いられることもあります。しかし、検査のための入院、またはかなりの重症で入院を余儀なくされることもないとは言い切れません。その場合、どのくらいのお金がかかるのでしょうか。
検査・治療の内容や入院日数は病気の種類や程度によるので一概には言えませんが、生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、入院時の1日あたりの自己負担額は平均2万3,300円となっています。
出典:公益財団法人 生命保険文化センター「生活保障に関する調査」(2019)
※ 公的医療保険には、医療費の自己負担額に限度額を定める高額療養費制度などがあり、実際に負担する金額はケースにより異なります。
病気はいつ何時、わが身にふりかかるかわかりません。安心して治療を受けるためにも医療保険で備えるのは1つの方法です。特に短期の入院に備えるなら、給付金がまとめて受け取れる一時金タイプの医療保険を検討してみるといいかもしれません。
写真/Getty Images イラスト/こつじゆい
稲森 正彦
横浜市立大学附属病院消化器内科医師、横浜市立大学医学部医学教育学主任教授。胸やけ・腹痛外来で、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群など消化器の機能性疾患を専門に診察。患者のQOL向上を意識した最適な治療を行う。著書に、『ナーシング・グラフィカEX―疾患と看護(3):消化器』(メディカ出版)、『日常診療で遭遇する原因不明の消化管障害 消化管の機能性疾患診療マニュアル』(診断と治療社)(いずれも共著)など。
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