預貯金はしているけど投資とかはメンドイ。モノグサさんのための資産形成。
※ 記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※ 文章表現の都合上、生命保険を「保険」、生命保険料を「保険料」と記載している部分があります。
漠然と老後への不安を感じて、預貯金はしているものの、資産形成や投資となると手間も時間もかかりそうでなかなか手が出ない……という人は多いのではないでしょうか。そこで、顧客の立場にたったマネープラン・キャリアプラン提案をモットーとする、ファイナンシャルプランナーの八木陽子さんに、モノグサさんでもできる資産形成の方法を教えてもらいました。
目次
- 「とりあえず預貯金だけでいいか……」その考え方、ちょっと待って!
- 「モノグサさん」でも、無理なく資産形成する方法。
- 個人年金保険がモノグサさんに向いている理由。
- 加入時期や月々の保険料のおすすめは?
- 【まとめ】預貯金感覚で資産形成してみませんか?
「とりあえず預貯金だけでいいか……」その考え方、ちょっと待って!
老後に向けて、なんとなくしている預貯金。お金を管理するうえでとても大切なことですが、実は預貯金だけだと、将来に対するリスクが大きくなってしまうことがあるのです。なぜ、リスクになる可能性があるのか、解説していきましょう。
低金利時代に預貯金だけだとどんなリスクがある?
低金利が続いている日本では、2022年5月時点での普通預金の平均年利率が0.002%となっています。つまり、銀行に100万円預けていた場合、1年間で増えるお金は20円。ほとんど預けた金額のままだといえます。
一方で、預けたお金が減ることもない預貯金ですが、なぜリスクになってしまうのでしょうか。理由の1つとして考えられるのが、インフレです。インフレとは、ものの値段が上がり続ける状態のことです。
たとえば、預貯金口座に100万円がある状態でインフレが続き、今まで100万円で買えていたものが110万円に値上がりしたとします。預貯金口座の100万円だけでは足りなくなるため、お金の価値が下がったといえるのです。
インフレ以外にもリスクはある。
インフレの影響を考慮しなかったとしても、預貯金だけに頼るのはリスクが大きいといえます。なぜなら、金利が低い情勢下で“人生の三大資金”といわれる住宅資金・教育資金・老後資金を準備しようとすると、預貯金だけでは必要な額を必要な時期までに用意するのが難しい場合があるからです。
教育資金であれば必要な額と時期を予想しやすく、元本割れが起きない預貯金で毎月一定額を積み立てていけば、目標金額を準備できることもあります。そのため、必ずしも預貯金はリスクあるものではありません。一方で、より高額な資金を準備したい場合は、元本割れリスクを踏まえても投資のほうが適していることもあります。このように、預貯金と投資それぞれの留意点を考慮し、組みあわせて活用できれば、預貯金だけで備えるより早く資金準備ができるといえるでしょう。
また、2022年4月の学習指導要領の改訂によって、高校の家庭科で資産形成について学ぶ時間が設けられました。つまり、現在の高校生たちは、早い段階からお金にまつわる知識に触れているのです。その点、現在の20代~30代はお金について学ぶ機会が少なかったからこそ、将来の不安を感じている人が多い世代といえます。自らアンテナを張ってお金に関する情報を得ていかないと将来的に苦労するかもしれないので、できるだけ情報をインプットしていきましょう。
参考:金融庁「報道発表資料 高校向け 金融経済教育指導教材の公表について」(2022年)
「モノグサさん」でも、無理なく資産形成する方法。
急に資産形成や投資といわれても、何をしたらいいかわかりませんよね。資産形成の方法を考えるうえで押さえておきたいポイントは、「長期」「積立」「分散」の3つ。“短期で儲かる”といった類の投資話は、疑ったほうがいいでしょう。
なぜ、「長期」「積立」「分散」がいいかというと、運用結果が平均化するからです。サイコロを1回振っただけだと、1から6のどの数字が出るかわかりませんが、100回振れば、6つの数字の出る確率が平均化されていきます。これと同様に、資産運用も長い期間をかけ、少しずつ積み立てていくことで、運用結果に安定感が出やすくなるのです。
このポイントを押さえた資産形成の方法を3つご紹介しましょう。
個人年金保険
定期的に保険料を払い込み、契約時に決めた年齢に達した時点から保険料に応じた年金を受け取る保険。将来受け取れる年金額が確定している「定額個人年金保険」、保険会社が行う運用次第で年金額が変化する「変額個人年金保険」といった種類があります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
拠出した掛金を自分で運用し、資産を形成する年金制度。原則60歳になるまで資産は引き出せず、元本割れのリスクもありますが、非課税で運用できて掛金が全額所得控除になるといったメリットがあります。
つみたてNISA
最長20年間、年間40万円まで、非課税で運用できる制度。投資できる商品は金融庁に届け出された株式投資信託とETF(上場株式投資信託)に限られていて、金融商品の売却や資金の引き出しはいつでもできます。iDeCo同様、元本割れのリスクがある点には注意しましょう。
「モノグサさん」は個人年金保険からはじめてみては?
iDeCoやつみたてNISAは運用する商品選びやその後の管理が重要になりますが、個人年金保険は信頼できる金融機関に任せたいという「モノグサさん」に向いている方法といえます。特に定額個人年金保険は、契約時点で年金額が確定しており、運用状況を細かく気にせずにすむでしょう(※)。
※ ただし途中解約などをすると、多くの場合、解約返還金はこれまで払い込んだ保険料の総額を下回ります
個人年金保険がモノグサさんに向いている理由。
個人年金保険が「モノグサさん」に向いている理由は、いくつかあります。
運用を保険会社に委ねられる。
定額個人年金保険は、保険料を一定期間支払い、あらかじめ契約した時期以降に年金として支払われる保険です。契約者は、自ら投資商品の選定や買い付けなどを行う必要がありません。また、定額個人年金保険であれば、受け取る年金額は契約時点で確定しているので、運用結果に一喜一憂することもありません。
個人年金保険料控除がある。
一定の条件を満たす個人年金保険に加入すると、年間の保険料額に応じて所得税や住民税が軽減される個人年金保険料控除が適用されます。所得税については最高4万円が、住民税については最高2万8,000円が所得から控除(※)されます。
※ 2012年1月1日以降に締結した保険契約等の場合。
資産形成の第一歩としてはじめやすい。
個人年金保険は資産形成をはじめるきっかけにしやすいでしょう。また、個人年金保険をはじめることで、「長期」「積立」といった資産形成の方法を、実践的に学ぶことができます。資産を増やすことへの関心が高まると、投資などにも興味が湧くかもしれません。将来的にiDeCoやつみたてNISAなどの資産形成方法と併用していけば、「分散」にもつながります。
加入時期や月々の保険料のおすすめは?
気になるのは、加入のタイミングと保険料の目安です。ポイントを解説しましょう。
加入のタイミングは早いほうがいい。
個人年金保険は一定額を払い込んでいく保険なので、払込期間が長いほど積み立てた金額が増えていきます。たとえば、30歳から60歳まで毎月1万円払い込めば、元金だけで360万円になります。一方、50歳から60歳まで毎月1万円だと、元金は120万円。若いうちにはじめたほうが、大きな老後資金を備えやすいのです。また、若いうちからはじめたほうが長い期間かけて準備できるため、月々の保険料を低く抑えやすいともいえます。
月々の保険料は無理なく続けられる範囲で。
保険料は、無理のない範囲で設定しましょう。個人年金保険は、一度契約した内容の変更が難しいことが多い保険です。払込期間を満了する前に解約すると、大抵は解約返還金がこれまで払い込んだ保険料の総額より少なくなります。問題なく払い続けられる金額に設定することで、途中解約を防ぎ、老後の安心感につなげられるのです。
特に若いうちは、個人年金保険を契約したあとに結婚や出産、住宅購入などのライフイベントでお金が必要になる可能性があるので、余剰資金を残しておくことが大切です。個人年金保険は手頃な金額からはじめられるものも多いので、私の知見からお話しすると、まずは月額1万円程度で検討してみるのがよいのではないでしょうか。
【まとめ】預貯金感覚で資産形成してみませんか?
資産形成というと投資の知識が必要なイメージがあると思いますが、個人年金保険であれば、積立預金のような感覚で続けられ、将来の安心感につながります。
お金の不安はあるけど、お金のことを考えるのは大変そう……と感じるモノグサさんこそ、個人年金保険で資産形成をはじめてみてはいかがでしょうか。
写真/Getty Images
八木 陽子
ファイナンシャルプランナー。
東京都在住。1男1女の母。出版社勤務を経て独立。2001年、ファイナンシャルプランナーの資格を取得後、マネー記事の執筆やプロデュース、セミナーなどの仕事を行う。2008年、家計やキャリアに関する相談業務を行う株式会社イー・カンパニーを設立。著書に『マンガでカンタン!お金と経済の基本は7日間でわかります。』(Gakken)など。
※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
※ 掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。
※ 記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。
※税務の取り扱いについては、2022年8月時点の法令等にもとづいたものであり、将来的に変更されることもあります。変更された場合には、変更後の取り扱いが適用されますのでご注意ください。詳細については、税理士や所轄の税務署等にご確認ください。