家のリフォーム費用はどのくらい?老後も見すえたリフォーム計画とは?
※ 記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※ 文章表現の都合上、生命保険を「保険」、生命保険料を「保険料」と記載している部分があります。
長年住んでいると、どうしても傷んでくるマイホーム。築20年ほど経つとリフォームを考えはじめる時期になるのではないでしょうか? そのときに意識したいのが、老後の住みやすさ。40代〜50代の今は特に不都合を感じていなかったとしても、年齢を重ねると、今の内装や間取りでは不便に感じることもあるでしょう。
そこで今回は、老後も安心・安全に暮らすためのリフォームのポイントや費用などについて、作業療法士であり、「安全な家づくりアドバイザー・ヨシロー」として活動する満元貴治さんに教えていただきました。
目次
家のリフォームはいつしたらいいの?
マイホームも年月が経つと、新築のころは気にならなかった傷みが出てきて気になったり、ライフステージの変化により不便を感じたりするところも出てくるかもしれません。長く住み続けるために自分や家族がより住みやすい仕様へとリフォームすることも少なくないかと思いますが、リフォームを考える具体的なタイミングは、大きく分けて3つあります。
家が傷んできたとき。
長年住んでいるといろいろな所が傷んでくるため、修理や補強が必要です。築20年程度というのは、リフォームを考える目安になります。新築のときよりも進化した設備や建材などが登場している可能性があり、より快適な家に生まれ変わらせることができるでしょう。
体の衰えを感じはじめたとき。
年齢を重ねると、筋力の衰えや認知機能の低下などが起こり、若いころは気にならなかった段差につまずいてしまうといったことが起こりうるのです。実際に住みにくいと感じたときはもちろん、その前に体の衰えを見越してリフォームしておくと、安心して暮らすことができる家になります。
ライフステージが変わったとき。
家を建ててから20年ほど経つと、家族構成が変わっていることもあります。子どもが増えたり、子どもが一人暮らしをはじめたりという場合もあるはずです。現在だけでなく、将来的な家族構成も見すえて、一緒に住む人全員が暮らしやすい家にリフォームするのもおすすめです。
家のリフォームにかかる費用は?
リフォームの施工内容は多岐にわたるため、すべて実施するとそのぶん費用もかさみます。老後も安心・安全に暮らすことを重視したリフォームでは、まず老後に不便になりそうな所を洗い出し、予算に応じて優先度の高いものから施工するようにしましょう。お客さまの事例などをみると、バリアフリー化のリフォーム総額は100万〜200万円程度という方が多かったですね。
施工の優先度。
老後も見すえたリフォームの場合、優先したい場所はトイレや玄関、リビングです。全体を通して、手すりの取り付けや段差の解消などが中心になります。また、トイレなどの開き戸は、老化や病気で車椅子などを利用する可能性を考慮し、開け閉めしやすい引き戸にするといいでしょう。助成金を受けることができる(2022年8月時点)断熱リフォームも、ぜひ検討したいポイントです。
さらに、リフォーム業者の選定も重要です。業者によって、得意とする施工内容が異なります。施工実績などに関して複数の業者から直接話を聞き、希望する施工内容に適した業者を選ぶようにしましょう。
バリアフリー化の優先度が高い場所ごとの費用。
手すりの取り付けは、大きさや長さなどに応じて費用が変わり、1か所につき数万円程度かかります。場所を絞って取り付けることで、費用を抑えることができます。特に取り付けておきたい場所は、前述したトイレや玄関に加えて、階段です。リビングは、動線にあわせて体を支えることができるような家具を配置することで、手すりは不要になります。
一方、リビングで施工しておきたいのは、床の段差(小上がりスペースなど)の解消です。段差の高さによって変わってきますが、私の経験上、6畳当たり15万〜25万円ほどかかります。
ちなみに、玄関にも「上がり框(あがりかまち)」という段差があるのですが、これを解消するのは家の構造や費用面を考えると、現実的ではありません。なので、玄関には手すりの取り付けをおすすめしています。
家のリフォーム費用の負担を軽減するための方法は?
リフォームの施工には、それなりの費用がかかるのが現実です。とはいえ、予算を出し惜しみして十分な施工ができなければ、あとになって追加で施工をすることになったり、住みにくいまま放置しておくと最悪の場合は転んでケガをしたりするということにもなりかねません。そこで、費用の負担を軽減できる補助金制度などを活用して、できるだけ納得がいくリフォームをしましょう。
家のリフォームで使える補助金。
リフォームで使える補助金はいくつかあります。ただ、制度によっては申請・募集期間が決まっているものがあり、さらには昨年と今年で補助の内容が変わる可能性もあります。対象となる条件なども異なるので、使いたいと思ったときは必ず詳細を確認するようにしてください。
前述したとおり断熱リフォームの場合ですと、「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」が利用できます(2022年8月時点)。ほかにも、地方自治体ごとに独自の制度を設けている場合があるので、自分の居住地に利用できるものがないか調べてみるといいでしょう。
老後の資金として積み立てておく。
リフォーム費用は、バリアフリー化に限らず、一戸建てであれば水回りや屋根、外壁の補修など、いずれ必要になるもの。定期的な修繕費用や思わぬメンテナンス費用もかかる可能性があります。総額で、最大1,000万円ほどかかる可能性も視野に入れておくといいかもしれません。終の住処にするつもりなら、バリアフリー化後のリフォーム費用なども老後資金の一部だと考えて、個人年金保険などで備えておくと安心です。
【まとめ】計画的なリフォームで快適な終の住処に。
現代では、40代〜50代はまだ人生の折り返し地点です。一方で、加齢とともに健康リスクは高まっていきます。暮らしやすい家は、生活の質を高めてくれることでしょう。今の家を終の住処にしたいと考えるのであれば、体の変化をしっかりと見すえながら、計画的にリフォームを行うようにしましょう。
写真/Getty Images、PIXTA
満元 貴治
株式会社HAPROT代表取締役。作業療法士として、医療機関で3,000人以上の患者に関わり、100件以上の住宅改修・家屋調査に携わる。2021年に独立し、「安全持続性能(安心・安全な間取り設計の基準)」を提唱しながら、住宅会社の顧問やセミナー・講演会の講師業を展開。広島県や横浜市主催の講演会などへ登壇している。また「ヨシロー」としてYouTubeチャンネルも開設し、老後に後悔しない安全な家づくりに関する解説動画を公開している。
※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
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