定年後の充実度は人間関係=コミュニティで決まる?【老後の趣味】 定年後の充実度は人間関係=コミュニティで決まる?【老後の趣味】

定年後の充実度は、人間関係=コミュニティで決まる!老後の趣味の見つけ方

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「人生100年時代」と言われる現代──。

定年を迎えて仕事を引退してもまだ人生は長く、新しいことにチャレンジしたり、今までできなかったことをやってみたりと、充実した時間を過ごすシニア層が増えています。

一方で、いざ自由な時間がたっぷりできても何をしていいかわからないという人も。

そこで、キャリアコンサルタントの西村栄子さんに、定年後の過ごし方についてお話を伺いました。

西村さんによれば「定年後の暮らしを楽しむには、年齢を見すえた趣味プランの作成や趣味を進化させる意識、意欲的に外に出ていく気持ちが必要」とのこと。詳しく紹介していきます。

目次

定年後の暮らし方で人生の豊かさは変わる。

定年後の暮らし方で人生の豊かさは変わる。

──定年後に何をしていいかわからないという声も聞きます。定年後の暮らしはどう充実させていけばいいのでしょうか?

年齢を重ねると、「お金・孤独・病気」の3大お悩みがあります。それに対応する時間を過ごすのが、自分のためになるかと思います。お金に関しては前もって老後資金を準備しておく必要がありますが、孤独は趣味や仕事で解決できますし、病気も学びや趣味で積極的に外に出て予防することが大切です。趣味と実益を兼ねるような人間関係を構築していくことが大事だと思います。

趣味を楽しむには、年齢を見すえた計画がポイント。

趣味を楽しむには、年齢を見すえた計画がポイント

──これから趣味を楽しもうと考える人に対して、何かアドバイスはありますか?

趣味はいつでもできると思うかもしれませんが、年齢を重ねると視力や体力は落ちてくるので、なかには難しくなるものがあります。だからこそ、趣味を楽しむには年齢を見すえたプランを立てるのが理想でしょう。

たとえば、神社仏閣巡り。日本三霊山など山のてっぺんにある神社もあるので、逆算してなるべく若いうちに難易度の高い場所へ行っておきましょう。登山が趣味で日本百名山を制覇したいなら、登りにくいところからチャレンジしていくなどです。読書も年齢が上がるほど視力が落ちて困難になることを意識しておいたほうがいいでしょう。

世界遺産巡りや海外旅行が好きな方は多いですが、ペルーのマチュピチュなどアクセスが困難な場所はある程度の年齢になると厳しいですよね。フライト時間が長かったり、国によっては現地の水や食事情で体調を崩しやすかったり、体への負担が大きくなります。行きたい国があったらできるだけ若いうちに行っておいたほうがいいでしょう。

「何をやるか」より「誰とどうやるか」

──定年後に充実した趣味生活を送る方もいる一方で、今までずっと会社人間で定年を迎えて孤立しがち、居場所がないという悩みも耳にします。

本当に孤立している方は相談に来ることも困難なのでなかなかお会いできないのですが、以下のような傾向があるように思います。

「何をやるか」より「誰とどうやるか」

一番危険なのは、承認欲求が低くて人づき合いが苦手な方です。ひきこもらないためにも「自分1人でもできる趣味」と「集団で楽しむ趣味」と分けて考えるのが重要になってきます。

キャリアコンサルタントがおすすめする定年後の趣味。

キャリアコンサルタントがおすすめする定年後の趣味

──西村先生おすすめの趣味などありますか?

おすすめを紹介する前にお伝えしておきたいのは、どんな趣味を楽しむにしても、大切なのは「趣味を進化させる意識」だと思います。趣味を広げないと、人間的にも変化せず停滞しがちです。たとえば、ビールが好きなら日本中の地ビールを飲んでみるとか、映画鑑賞が趣味ならロケ地巡りとか。趣味を広げていくと、その人の人間関係も知識も世界も広がっていきますよ。具体例をいくつかご紹介します。

SNS

趣味に関するコメントや写真をアップして、共通の話題でつながる友人や知人が増やせるのでSNSはおすすめですね。日々の投稿やコミュニケーションによって張り合いがでたり、外へ出かける機会になったりします。承認欲求も満たしてくれるでしょう。

大学のリカレント教育。

近年では、年後世代向けの講座を開く大学が増えてきました。学べるだけでなく、いい勉強仲間ができるので、知的好奇心が旺盛な方はチェックしておくといいかと思います。

自分らしくいられる場所。

昔やっていたこと、やりたかったことにチャレンジしてみるのもいいですね。楽器の演奏や小説の執筆、ダンスなど。あと、自分の好きを極めていくような趣味ですね。たとえばシニアでもチョコが好きだったらチョコソムリエ、お酒が好きだったら利き酒や全国の酒造巡りなどされている方がいます。趣味を進化させていくとおもしろいのではないでしょうか。

ウォーキング、サイクリング

ウォーキングはなんといってもお金がかからないし手軽ですよね。あと、最近はサイクリングを楽しむ高齢者が増えてきました。仲間と一緒に郊外のほうへ自転車をもって行って、サイクリングロードを走ったり、海が見える景色のいいところを走ったりと楽しんでいる姿をよく見かけます。

タイプ別・自分に合う趣味。

タイプ別・自分に合う趣味

──「こういう性格の人にはこの趣味が向いている」などの傾向はありますか?

キャリアカウンセリングでも使用される、パーソナリティと環境を分類し、個人と環境のマッチングをはかるRIASEC(6つの性格タイプ)にもとづいて、おすすめの趣味を分類してみました。あくまで参考ですが、このような考え方もあります。

R(現実的タイプ)ものや生き物を扱うのが好き。言葉で伝えるより行動で伝えほうが好き

農業、盆栽・観葉植物、ドライブ、釣り、D IY、プラモデル、料理、金継ぎ  

I(研究的タイプ)データ集めや調べものが好き。人に教えるのは得意ではない

史跡巡り、神社仏閣巡り、読書、文章を書く、ネットゲーム、釣り、骨董、俳句、語学

A(芸術的タイプ)センスや自由な発想が好き。繊細。厳しいルールや束縛が苦手

水彩画、デッサン、生け花、写真、音楽鑑賞、映画鑑賞、ダンス、手芸、陶芸、ファッション、旅行

S(社会的タイプ)貢献や教育が好き。ほどよいお節介

バレーボールやツーリング、ハイキングなど集団でするスポーツ、日本語教師、保育ママ、ボランティア、ホームステイ受け入れ

E(起業的タイプ)リーダーや勝負が好き。話がうまい。目標があるとがんばる

スコアや勝敗のつくスポーツ、登山、資格取得、NPO 団体の設立、自治体ボランティア

C(慣習的タイプ)同じことを続けるルーティンが好き。ルールを守り、空気を読むのが得意

スイミングや筋トレなど続けることが重要なスポーツ、ピアノ、懸賞応募

荷物を増やす趣味はおすすめできない。

──人気がありそうに見えて、やめておいたほうがいい趣味などあるのでしょうか?

いろんなことにチャレンジしてほしいのですが、強いて言うなら「荷物を増やす趣味」は避けたほうがいいでしょう。体力が落ちる分岐点は50代くらいで、ここからはものを増やすよりも減らしていかなくてはいけません。そうしないと残された家族が時間と手間とお金をかけて処分しなくてはいけなくなってしまいます。

──CDやレコード、本、服、雑貨など、ものを集めるのが好きな方は多いですよね。

実際に、相続関連の相談で荷物の悩みを聞くことが多いです。「謎のダンボールがいっぱいある」「もう、どこから手をつけていいかわからない」などなど……。写真をデータ化してくれる業者さんがあるので、できるものはコツコツ電子化しておいたほうがいいでしょう。

使わないものはネットのオークションサイトなどで処分することをおすすめします。ちょっとしたお小遣い稼ぎになりますし、荷物整理にもなりますから。本や釣り竿、ゴルフ用品などはもちろん、昔の洋服やファッション雑貨が意外と売れることもあります。

定年後、寂しい暮らしを送らないためにしておくべきこととは?

定年後、寂しい暮らしを送らないためにしておくべきこととは?

寂しい老後だけは送りたくない……。いずれ定年後を迎える誰もが考えることでしょう。では、いったいどうすればよいのでしょうか。

40代・50代からの余暇の過ごし方で定年後が決まる。

──独身・未婚の人の割合も増えている令和の時代、寂しい老後を送らないために40代・50代から心がけておくべきことや余暇の過ごし方などありますか?

趣味やコミュニティ=人間関係を大切にすることです。豊かな老後を過ごす人は、穏やかで心地よい距離感の人間関係を保っています。いつでも気軽に連絡できる人がいて、さまざまな世界に知り合いを増やしておくことです。

ただ、こうして言うのは簡単ですし当たり前に思うかもしれませんが、意識しないとできないですよね。仕事一直線だった方は特に当てはまるのではないでしょうか。一昔前よりも、1人暮らしの高齢者が増えてきています。また、生涯未婚率が増加しており、女性で6人に1人、男性4人に1人が生涯未婚です。

参考:総務省統計局「令和2年国勢調査 調査の結果」結果の概要

──中高年層は、女性に比べて男性は新しく友達を作りにくいという話を聞きます。このような男女差はどうして生まれるのでしょうか?

これには理由がちゃんとありまして、女性は元々さまざまな役割をこなしている傾向にあるからです。自分の親にとっての子どもであり、配偶者であり、ほかにも母親、PTA、ご近所、仕事関係、親戚、同級生……。いろんな世界のなかでいろんな顔をもっています。

また、子育ても介護も女性が担うことも、まだまだ多いのが現実です。男性はそれに比べて半分以下で、仕事、家庭、親戚、同級生くらいです。

もちろん、これは世代差もありまして、今の中高年層と若い世代は違います。30代は仕事以外の人間関係を豊かにもっている傾向にあるし、こんなのわざわざ言わなくても仕事だけの生活はありえないと思っているでしょう。

──どのように交友関係を広げていけばいいのでしょうか?

友達をつくるのは難しいことです。まずは家から出て、1日1回なんでもいいから新しいことにチャレンジしてみることです。

たとえば、家電量販店に行っておすすめのハードディスクについて聞いたり、花屋で植物について教えてもらったりと、お店で気になったことや知りたいことを質問してみるとか。人に聞いて、勉強して、関わって、またそれを人に伝えてみるなど。会話も筋肉と一緒で使わないと衰えてしまいます。

ハードルが高く感じるかもしれませんが、昔の友達に連絡してみるのもいいですね。きっかけは何でもいいんです。「ニュースで見たけど、あの場所一緒に行ったよね」とか。1日1 回新しいことをするよう意識して生活してみましょう。

毎日の「きょうよう」がものを言う。

毎日の「きょうよう」がものを言う

──学生時代は学校、社会人は職場、と当たり前のように何かしらの居場所がある人が多いですが、年齢が上がるとこういった居場所が減ると聞きます。

「きょうよう」という言葉をご存じですか? 「今日行くところがある」「今日用事がある」ことを指します。自分を必要としてくれる場所があるだけで生活に張り合いが出ますし、自信につながります。そうすると、つまらないことで1人落ち込むことは少なくなります。だからこそ、そういったサードプレイスをもつことが大事です。

──家庭でも仕事でもない、自分にとって心地のよい空間や人間関係のことですね。

たとえば、ご夫婦2人暮らしで、万が一配偶者がお亡くなりになったとき、親戚や兄弟以外にも、自分の心配をしてくれる場所、相談できる場所としてサードプレイスが大きな役割を果たします。

特に男性は、配偶者が亡くなると一気に気落ちして老け込むケースが多いです。そんなときに「必ず出かけなければいけない場所」のおかげで、身だしなみや食事の重要性を感じ、それまでの通常の生活に戻る機会になります。

若いときは学生時代の友人や同郷の友達、趣味やスポーツといろんな場が当たり前にあって重要性を感じないかもしれませんが、定年後は「きょうよう」は自分でつくっていかなければ難しいです。

異世代の友人がいるかどうか。

異世代の友人がいるかどうか

──定年後の人間関係で理想的な形をつくるには何を意識したらいいでしょう?

10歳以上年齢の異なる他世代の仲間をつくることを意識されるといいかもしれません。特に男性は年齢が上がるほど人に頭を下げる機会が少なくなってきます。自分より10歳上の人とつき合うことで敬う対象をつくっておくといいでしょう。また、自分より若い世代と交流して新しい情報を知るのは脳へのいい刺激になります。

うちの父が「同級生がどんどん亡くなっていく」と悲しんでいました。年齢を重ねると仲間が病気になって一緒に遊べなくなったり、いろんな都合で離れていったりしますよね。

10人が5人、3人と、最終的に1人になったら自分がなくなるような気持ちになってしまうようで……。だからこそ、日ごろから固まっている世界だけにいないのが大事。いろんな趣味でいろんな世代と交わって頭を常に柔らかくしておくことが理想です。

──違う年代と仲よくするのって実は難しいですよね。幅広く世代を超えた交流ができる方はどんな人でしょうか?

知的好奇心があって、頭が柔らかい方ですね。下の世代に素直に「教えて」と言える頭と、上の世代に教えてもらう頭の両方をもちあわせているとバランスがいいです。そういう方は見た目も心も若々しいです。

写真/Getty Images


西村 栄子
地方自治体にて定年を迎える方に対しての再就職セミナー講師や個人のキャリアカウンセリングに従事する。キャリアカウンセリングを重ねるうち、シニア問題・介護問題は多くの人のキャリアを悩ませる深刻で重大な問題と感じ、キャリアサポートだけではなくライフサポートや企業に対しての研修も開始。介護離職を未然に防ぐ研修や、定年を迎える社員に対して定年後のセカンドキャリア構築研修などを行う。


※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
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