20代・30代・40代の妊活、できることは?産婦人科医が年代別解説 20代・30代・40代の妊活、できることは?産婦人科医が年代別解説

知っておきたい、妊活の基礎知識。妊娠するためにできることを年代別に紹介【医師監修】

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「赤ちゃんがほしいな。でも、妊活って何をすればいいんだろう……」そんなお悩みを抱えている方へ、ここでは、今日からすぐに取り組める妊活から、医療機関で行われる高度な不妊治療まで、一連のステップを、日本産科婦人科学会専門医や日本産科婦人科学会認定ヘルスケアアドバイザーとしてさまざまな相談を受け、『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』『自分でできる!女性ホルモン高めかた講座』などの著書もある、産婦人科医の八田真理子先生の解説とともにご紹介。先が見通せると、前向きに行動が起こしやすくなるはずです。八田先生による、年代別のアドバイスつきです。

目次

妊活って何?どんなことをするの?

妊活って何?どんなことをするの?

妊娠するための活動、略して「妊活」。妊娠を望むにあたって体の状態を把握し、妊娠しやすい体や生活環境をつくっていくことをいいます。では、どのようなことをすればよいのでしょうか? 八田先生にお聞きしました。

自然妊娠のために、排卵日を予測して性交渉をもつ。

まずは、自然妊娠のために排卵日を知りましょう。妊娠しやすいタイミングは、排卵日の3日前から翌日までの5日間。卵子の寿命はおよそ1日、精子の寿命は3日程度なので、この5日間に性交渉をもつと妊娠の可能性が高まります。なかでも妊娠しやすいとされるのは「排卵日の1日前と排卵日当日」です。

基礎体温から排卵日を予測。

基礎体温は、「朝、目が覚めてすぐ」かつ「決まった時間」に婦人体温計を使って測ります。女性の体温は女性ホルモンによって変化し、毎月排卵が起こっている健康な女性の場合、低温期と高温期に分かれます。排卵が起こる目安は、低温期の最終日です。

数か月、基礎体温を記録していると、排卵日が予想しやすくなります。また最近は、基礎体温を入力することで、排卵日を予測してくれるスマートフォンアプリもあります。

排卵日予測検査薬を使って、排卵日をチェックする方法も。

排卵日予測検査薬は、薬剤師のいるドラッグストアで購入でき、自分で検査できる検査薬です。基礎体温のチェックとあわせて使ってみるといいでしょう。尿中の「LH(黄体形成ホルモン)」の濃度の変化を検出することで、排卵日を前もって予測します。検査が陽性の場合、次の日が排卵日となる可能性が高いです。

性交渉の回数は多いほうが、妊娠しやすくなる。

性交渉の回数が多いカップルなら、精子が常に子宮内にあるため、いつ排卵しても妊娠しやすい状態に。八田先生も、「一般的に、妊娠率は性交渉の回数を増やせば高くなります。生理中でなければ、毎日だってしたほうがいい」と言います。

「精子は射精すると新しく活動性のある精子がつくられるため、妊娠率が高まります。最近は、アプリが教えてくれた排卵日にしか性交渉をもたないカップルが増えているようです。私はこれを“カレンダーセックス”と呼んでいるのですが、デジタルに支配されるのではなく、もっと自然にラブラブしてほしいですね」(八田先生)

妊活のためにできること。まずは妊娠しやすい体づくり。

「妊娠しやすい体とは、妊娠を妨げる要因がなく、身体的・精神的に良好な状態にある健康な体のこと」と八田先生は言います。健康な体のベースとなるのは、特別なことではなく、毎日の規則正しい生活です。八田先生のアドバイスを参考にしながら、体を整えていきましょう。

健康的な食生活。

健康的な食生活

妊娠を望んでいる女性は、それまで以上に健康的な食生活を意識しましょう。ポイントは、1日3食、さまざまな食材からバランスよく栄養を摂ること。「何を食べればいいのかわからない」「自分でつくるのはちょっと……」という人は、外食の際に、一汁三菜(ごはん、味噌汁、主菜、副菜2品)の和食を選ぶよう意識するなど、生活に取り入れやすい方法からチャレンジしてみましょう。

さらに、妊娠した場合に備えておなかの赤ちゃんの成長を促す「葉酸」、女性ホルモンの分泌や血液循環に影響する「鉄分」を積極的に摂ることをおすすめします。

葉酸を多く含む食材。

納豆・いちご・ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれます。朝食に納豆や食後のフルーツを取り入れてみてはいかがでしょうか。

鉄分を多く含む食材。

動物性の「ヘム鉄」は、牡蠣・赤身肉・めじまぐろ・あさり・しじみ・豚レバー・鶏レバーなどに多く含まれ、非ヘム鉄に比べて食材からの吸収率が高いです。レバニラ炒めや赤身肉を使ったビーフシチュー、しじみの味噌汁など食生活に取り入れやすいものから試してみましょう。

植物性の「非ヘム鉄」は、ひじき・大豆・小松菜・切り干し大根・ほうれん草・高野豆腐・納豆などに多く含まれます。非ヘム鉄の場合、吸収率を高めるためにビタミンCも一緒に摂りましょう。小松菜とほうれん草のナムル、高野豆腐のお味噌汁など、こちらも食生活に取り入れやすいものから試してください。ビタミンCは柑橘系のフルーツに多く含まれるため、食後にフルーツをいただくなどするとよいでしょう。

参考:厚生労働省「妊産婦のための食生活指針(からだづくりの基礎となる「主菜」は適量を)2006年」

葉酸と鉄分はサプリメントで補っても。

葉酸と鉄分は、特定の食材に偏らないよう意識して食事をしていれば、自然と摂取できます。とはいえ、実際には足りていないことも多いので、サプリメントで補うといいでしょう。

適度に運動する。

適度に運動する

運動をすると血液の循環がよくなるため、子宮の働きがよくなります。また、体力がついて、妊娠に耐えやすい体にもなります。運動の内容は、自分の体力にあわせて選んでみてください。

運動が苦手な人は、ウォーキングからはじめてみるといいかもしれません。ヨガやラジオ体操もおすすめです。動くのが面倒な人は、手足の曲げ伸ばし程度のストレッチを仕事や家事の合間などに行うことからはじめてみましょう。

良質な睡眠をとる。

睡眠は、体と脳を休めるために大事なこと。女性ホルモンの分泌とも関わっています。八田先生は、「質の高い睡眠をとるためには、毎日、できるだけ同じ時刻に寝て、起きることが大切」と言います。

良質な睡眠をとるため、体内時計をリセットさせる。

朝起きたら、カーテンを開けて窓際で太陽の光を浴び、体内時計をリセットしましょう。体内時計は朝起きて朝日を浴びることでリセットされ、そこからおよそ14時間後に眠気を促すメラトニンというホルモンが分泌されるしくみになっています。このタイミングを逃さずに就寝するとよいでしょう。

また、朝起きてもカーテンを開けて日の光を入れなければ、体内時計はリセットされず、朝と夜のメリハリが失われた生活になってしまいます。スマートフォンやパソコンのブルーライトはメラトニンの分泌を妨げるため、寝る前の使用は控えましょう。

体を温める。

冷えると血流が悪くなり、子宮や卵巣に酸素や栄養が行き届かなくなってしまいます。そのため、体を温めることは大切です。毎日、お風呂にゆっくり浸かり、飲食物は温かいものを選びましょう。生姜や根菜類といった「体を温めてくれる食材」を積極的に摂るのもおすすめです。

ストレスをためない。

ストレスをためない

女性ホルモンの分泌を司っている脳の視床下部や下垂体は、ストレスに弱いといわれています。そのため、日々、なるべくストレスをためずに過ごすことが大切です。お風呂で湯船にゆっくり浸かる、アロマの香りを嗅ぐ、ゆっくりお茶をする、趣味を楽しむなど、自分がリラックスできる方法を見つけましょう。

過度な飲酒を控え、禁煙する。

喫煙は妊娠する能力を低下させるので、妊娠を考えているなら、思いきって禁煙しましょう。受動喫煙を避けるために、パートナーや家族にもやめてもらうのも妊娠しやすい環境づくりの1つです。

飲酒に関しては、直接的に不妊につながるわけではありません。ただし、飲みすぎが続くと、生理不順や排卵障害などをもたらすリスクがあるため注意が必要です。

厚生労働省によると、「節度ある適度な飲酒」とは、1日平均純アルコールで約20g程度(ビール500ml 1本)であるとされています。

参考:厚生労働省「アルコール」

痩せすぎない、太りすぎない。

痩せすぎても、太りすぎても、妊娠しにくくなります。女性ホルモンの分泌量やバランスに影響を与えることがあるためです。妊娠を希望するなら、肥満や低体重を判定する体格指数であるBMI(※)は20〜22を目指しましょう。
※:BMI(体格指数)=体重kg÷(身長m)²

参考:厚生労働省「妊産婦ための食生活指針」

定期的に婦人科検診を受ける。

「自分の生理痛や生理不順は普通だと思っていたら、実は病気だった」「気付かないうちに性感染症に感染していた」などが不妊の原因になることもあります。いずれも、早めの治療が肝心。異常を感じていなくても、定期的に婦人科検診を受けるようにしてください。

「下着をはずして内診台に上がるのが嫌だ、恥ずかしいという気持ちは、私も女性なのでよくわかります。けれども婦人科検診は、歯医者さんで口の中を見せるのと一緒。場所がちょっと違うだけです。もっと気軽にとらえて、1年に1回、定期的に受診してほしいですね。たとえば、毎年、自分の誕生日のときに行くと決めておくと、習慣化しやすくなりますよ」(八田先生)

医療機関でできる妊活・不妊治療のステップ。

医療機関でできる妊活・不妊治療のステップ

「避妊しない性交渉があるにもかかわらず、1年間妊娠しない状態が『不妊症』と定められています。とはいえ、妊娠を望むのであれば、1年を待たずに医療機関を受診するのはいいことです」と八田先生は言います。問題があれば早めに治療を開始でき、問題がない場合も有益なアドバイスをもらえるためです。先生いわく、医療機関では、次のようなことが行われるようです。

まずは基本的な検査から。

まずは体の状態をチェックします。

  • 内診:子宮や卵巣に異常がないかを調べる
  • 超音波検査:子宮や卵巣の状態を確認する
  • 血液検査:病気や体質について調べる
  • ホルモン検査:妊娠に必要なホルモンの状態を調べる

問題がなければ、妊活についてのアドバイスをもらいます。もし異常が見つかった場合は、医師の指導のもと治療をはじめましょう。

タイミング法で妊娠を目指す。

検査で何も異常はなかったけれど、なるべく早く妊娠したい人や高齢の場合は、タイミング法からはじめます。タイミング法は、卵胞の大きさや子宮内膜の厚さなどを医療機関にて検査し、その結果をもとに医師が排卵日を正確に予測します。

その後は、排卵日の前日もしくは当日に性交渉をもって自然妊娠を目指します。自分たちで基礎体温や排卵日予測検査薬から予測するよりも精度が高くなります。

排卵誘発剤の投与や黄体機能不全の治療。

卵胞の発育が悪いときや無排卵の場合、排卵誘発剤を使って卵子を発育させ、排卵を促します。また、黄体機能不全といって、排卵後に子宮内膜を妊娠に適した状態に維持する黄体ホルモンが不足している場合は、注射や飲み薬による治療が行われます。

人工授精

採取した精子を医療機関で処理した後、排卵日ごろにカテーテルで子宮に注入する方法です。「女性の頚管粘液の量が少ない」「精子の数が少ない」「精子の運動率が低く卵子まで到達していない可能性がある」「腟内射精がうまくいかない」ときなどに行われます。医療による不妊治療の1つではありますが、自然妊娠に近く、女性の体への負担も少ないのが特徴です。

体外受精

卵子と精子を培養液の中で合わせ、受精卵を子宮に戻す方法です。卵子の採取やホルモン剤の投与、受精卵の子宮への移植などにより、女性の体に大きな負担がかかります。また、治療のステップが多いぶん、通院回数が増え、経済的な負担も重くなります。

妊活でできることを年代別に解説。

妊活でできることを年代別に解説

妊活は、年代によって、自然妊娠の可能性が高い期間や医療機関を受診するタイミング、人工授精や体外受精に至るまでのスピード感が異なります。そこで八田先生から、女性の妊活としておすすめのステップを、年代別にアドバイスしてもらいました。

20代~30代前半は、排卵日を予測して性交渉を。

時間的にまだ余裕があるので、まずは自分たちで排卵日を予測し、それにあわせて性交渉をもつ方法が一般的です。ただ、早めの妊娠を望むのであれば、不妊症とされる1年を待たずに早めに医師に相談して、不安要素をクリアにしておきましょう。

「不妊治療をする場合、まずはタイミング法からスタート。それで妊娠しなかった場合に、排卵誘発、人工授精へと進むとよいでしょう」(八田先生)

35歳以上は必要に応じて医師に相談し、人工授精や体外受精へとステップアップ。

時間的な余裕があまりないため、1年を待たずに、必要に応じて医療機関を受診しましょう。とはいえ、すぐに人工授精や体外受精が行われるわけではありません。まずは排卵の有無を確認しながら、「タイミングのずれ」「性交渉の回数が少ない」「子宮内膜症や子宮筋腫がある」「パートナーの精子が少ない、または無精子症」などの問題がないかチェックします。

「そのようなチェックの結果を踏まえて、タイミング法から排卵誘発剤の投与を行っていきます。うまくいかなかった場合は、人工授精、体外受精へと早めにステップアップしていったほうがいいでしょう」(八田先生)

40代は医師に相談して、ステップアップのスピードも大切。

40代でも何も問題なく自然妊娠する人はいます。「40代だから不妊」というわけではありません。ただ、内閣府の資料などからもわかるように、女性は年齢を重ねると妊娠率が下がることはたしか。そのため、子宮や卵巣の状態、ホルモンの状態をチェックするために、医療機関はなるべく早めに受診しておいたほうがいいでしょう。

「まずはタイミング法からはじめますが、2〜3周期で妊娠に至らなければ、排卵誘発剤を使い、人工授精、体外受精へと進んでいきましょう。40代は、ステップアップのスピードを意識してください」(八田先生)

参考:内閣府資料「妊娠適齢期を意識した ライフプランニング」

写真/Getty Images イラスト/こつじゆい


八田 真理子
聖順会ジュノ・ヴェスタクリニック八田理事長・院長。日本産科婦人科学会専門医・母体保護法指定医・日本産科婦人科学会認定ヘルスケアアドバイザー。複数の産婦人科勤務を経て、千葉県松戸市で実父が開院した「八田産婦人科」を継承し、1998年「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開院。地域密着型クリニックとして思春期から老年期まで幅広い世代の女性の診療・カウンセリングに従事。


※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
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