英才教育とはそもそも何?何歳からどんなことをすればいいの?
芸術やスポーツの分野では、早期から教育をはじめることで才能をいち早く開花させる英才教育に力を入れる家庭も少なくありません。それ以外でも、英語や水泳といった一般的な習い事を乳幼児のうちからはじめている家庭も多いでしょう。
では、そもそも「英才教育」とは、いったいどんな教育なのでしょうか。幼児教育の第一人者である東京家政大学子ども支援学部・子ども支援学科教授の岩立京子先生に、「英才教育」について、保護者が気になるポイントをお伺いしました。
目次
英才教育ってそもそも何?
本来、「英才教育」とは、周囲の同年齢の子どもと比較して、言語能力・記憶力・芸術性・創造性などの分野で突出した高い知性や能力を先天的にもっている人、いわゆる「ギフテッド」と呼ばれる子どもに向けた教育のことをいいます。
ギフテッドの子どもたちは生まれつきすぐれた能力をもつ一方で、集団行動や対人関係の構築が難しいなど困難を抱えることもあります。そのため、欧米などでは一般の子どもが受けるものとは別に、ギフテッドの子どもたちに向けた「特別な才能をもつ子のための教育=英才教育」が必要と考えられています。
日本でもようやく近年、ギフテッド教育の必要性や重要性について議論されるようになってきましたが、まだまだ認知されていないのが現状です。そのため日本では、子どもの知性や能力にかかわらず、「その子がもつ才能を伸ばすための早期教育」を英才教育という意味で捉えることが多くなっています。
この記事では、その子がもつ才能を伸ばすため、早期にはじめる習い事や家庭での基礎教育などを英才教育として、どんなことをいつからはじめればよいのかなどを紹介・解説します。
英才教育は何をいつからはじめるの?

できるだけ英才教育を受けさせてあげたいと思うのも親心。ですが、わが子にどんな才能があるかは誰にもわかりません。それでは、どんな教育をいつからはじめるのがいいのでしょうか。
子どもに合った英才教育をしたい。どうやって選べばいい?
まずは、子どもが興味をもっていること、好きなことの中から選んでみましょう。それを知るためには、小さいうちからいろいろな体験や経験をさせ、子どもの反応をよく見ておくことが大切です。
また、親が好きなこと、興味のあることを子どもにさせてみるのもいいでしょう。親が好きなことや、興味があることなら、子どもに対してポジティブな声掛けができたり、一緒に楽しめたりします。そうした姿勢は良好な親子関係の構築にもつながります。
ただし、自分が好きなことや興味があることに対し、子どもが同じように好きになったり、興味をもったりしなくても、がっかりしたり責めたりすることは禁物です。子どもに合わなければ無理をさせず、別の教育や習い事をはじめさせるのも1つの手です。
英才教育開始の目安は3歳ごろから。
英才教育は、子どもの興味・関心や能力などにあわせて無理のない範囲ではじめることが大切です。
ピアノ・水泳などの習い事や、算数・英語などを塾で学習させるような教育は、早くても、安定した親子関係が築けるようになる3歳ごろからはじめるのがいいでしょう。親子双方が安心して取り組むことができ、嫌ならやめるという選択をできる親子関係の構築が重要です。
無理のない範囲で可能な限り早く英才教育をはじめたいと思う方は、生活の中に自然に取り入れられる以下のような取り組み・環境の構築から実践してみてはいかがでしょうか。
| 芸術系 | ・自由にお絵かきを楽しむ ・BGMとして音楽などを流す ・親子で行けるコンサート、発表会などで音楽、その他の表現を楽しむ |
| スポーツ系 | ・親子でスポーツ観戦を楽しむ ・お散歩をする |
英才教育のメリット。

幼児期などの早期から教育をはじめることのメリットには、どんなものがあるでしょうか。
メリット1:子どもがもつ才能を伸ばせる。
物事の吸収が早い幼児期の子どもは、得意なことは繰り返し、楽しみながら学びます。できるだけ早いうちから、得意なことを教えたり、習わせたりすることで、子どもの才能を最大限に発揮できる可能性が高まります。
メリット2:長期間継続することで、技術や知識が身につきやすい。
早いうちから英才教育をはじめることで、1つの分野に長い時間触れることが可能です。習う時間が長くなることで、自然と、高い技術や知識を身につけやすくなります。
メリット3:成功体験を得られ、子どもが自信をもてるようになる。
英才教育を長期間継続することで、できないことができるようになるという成功体験を得る機会が増えます。子どもが自分自身に自信をもてるようになり、自己肯定感も育ちます。自信が出てくると、自ら学ぶ、練習するという姿勢も身についていき、勉強やスポーツで「自然と成績が伸びていく子」へと成長していくでしょう。
英才教育のデメリット。

メリットの多い英才教育ですが、デメリットもあります。
デメリット1:お金がかかる。
習い事はさまざまな種類がありますが、中にはお金がかかるものもたくさんあります。「子どものための教育費は惜しみたくない」と思っても、家計をしっかり把握して、無理のない範囲で行うことが大切です。
デメリット2:特定分野以外の成長機会を奪うリスクがある。
子どもにとって、毎日のさまざまな体験や出来事はすべて刺激になり、成長の糧となります。しかし、特定分野の教育や習い事にばかり時間を使ってしまうと、本来幅広く経験し、成長する機会を奪ってしまうことにもなりかねません。
デメリット3:体が未発達のうちに過度な運動をすることで、ケガをするリスクがある。
適度な運動は子どもの心身のすこやかな成長につながりますが、無理は禁物です。特定のスポーツに集中して取り組むことで、膝や肘など体の1か所に負担が蓄積し、故障を招くことも。子どもの体はまだまだ発達途中です。
英才教育についてのよくある疑問。
Q:せっかくはじめた英才教育。子どもが「やめたい」と言ったらどうしたらいい?
A:お休みしたりやめたりすることも選択肢に入れましょう。
最初のうちは楽しそうだったのに、飽きてきたのか「やりたくない!」と言い出した……。そんなとき、親としては「すぐにあきらめる子にはなってほしくない」と思うもの。しかし、幼児期の子どもというのは一般的に「気まぐれで衝動的」なもの。毎日コツコツ練習する、ということができないからといって、心配はいりません。
まずは「これだけやってみようか」などと、ハードルを低く設定してコミュニケーションをとってみてください。それでも本当に嫌がっているようであればいったん休止してみたり、無理をさせずにやめたりする勇気も大切です。
Q:英才教育は子どもの「苦手なこと」をさせてもいいの?
A:まずは子どもの得意なことを伸ばすように心がけて。
幼児期に苦手なことを無理にさせるのは、あまりおすすめできません。子どもにネガティブな印象を与えてしまい、さらに嫌いになってしまうことにもつながってしまいます。
まだまだ心も体も発達途中ですから、今は苦手でも大きくなればできるようになったり、苦手克服ができたりすることもたくさんあります。焦らず、子どもの成長を待ち、まずは得意なこと、好きなことから才能を伸ばしてあげましょう。
子どもにあわせて柔軟に対応しよう。
最近は、子育てについてもさまざまな情報が溢れ、迷ってしまうかもしれませんが、英才教育をはじめる時期や、教育・習い事の種類に1つだけの正解はありません。何歳からはじめても、子どもの才能を伸ばすことはできます。
大きくなれば、自分の考えや好きなことを言葉にできるようになっていきますから、それぞれのペースで、子どもと一緒に何をしたいか考えるのもいいですね。英才教育において親の過度な期待は、子どもの可能性をつぶしてしまうことにもなりかねません。親が気持ちに余裕をもって、柔軟な対応を心がけましょう。
写真/PIXTA イラスト/オオカミタホ
岩立 京子
東京家政大学子ども支援学部・子ども支援学科教授。幼児教育・保育を専門とし、幼児期の社会情動的発達の過程やそれを支える保育者のかかわりなどを研究している。著書に『幼児理解の理論と方法』(光生館、共編著)などがある。
※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
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