釣りガール・フッチーさん登場! 大好きな「Catch & Eat」を一生続けるために。
※記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※本文中に記載の保険に関する保障の条件は、保険会社によって異なります。詳しくはご加入の保険会社にお問い合わせください。
「魚釣り」といえば、性別や年齢に関係なく楽しむことができる、いわば趣味の王道です。気軽にはじめることができる一方、場所や道具にこだわればキリがなく、一生楽しく、快適に続けていくにはそれなりのお金がかかる趣味でもあります。
さて、今回ご登場いただくのは大阪を拠点に「釣りガール」として活動し、SNSや釣り専門チャンネルなどで人気のフッチーさん。彼女の本業は会社員。釣りの楽しさを伝えるためにあくまで「趣味」として情報を発信しているという彼女ですが、この先、たとえば退職してからも「経済的な不安なく、釣りを一生楽しむ」ために、今のうちから備えておけることはあるのでしょうか。
釣具店店長でファイナンシャル・プランナーの資格を持つ山口慎二さんと対談していただき、釣りの魅力とあわせて、「趣味とお金と将来のこと」について、大いに語り合ってもらいました。
釣りガール・フッチーさん「あくまで釣りは趣味だから自腹です!」。
——今日は「釣りガール」として活動されているフッチーさんと、釣具店の店長をされている山口さんに来ていただきました。実は山口さんはファイナンシャル・プランナーでもあるので、趣味に没頭している人なら多少なりとも気になるであろう「趣味とお金と将来のこと」について語り合っていただこうと思います。まず、フッチーさんは別に本業をお持ちなんですよね。
フッチー 実家が調理器具の貿易商社で、今はその正社員です。中でも魚料理に特化した調理器具のブランディングと、私自身がプロデュースしている商品の営業や販促活動をしています。
——釣りと本業がつながっているんですね。
フッチー でも、ロケとか以外は全部自腹です。何せ趣味なので(笑)。山口さんの釣りは趣味ですか?
山口 趣味であり、仕事でもあるんです。僕は「フィッシングマックス」という釣具店の社員なので、釣りの現場で自社製品をテストしたり、実際の釣り場を体験したりして、お客さまに対してリアルな情報を還元できるということで……釣りの費用は会社が全額負担してくれています(笑)。
フッチー それはうらやましすぎ!(笑)
——お2人はそもそもどういうきっかけで、釣りをはじめられたんですか?
フッチー 7年前に以前の職場のみんなでまさにここの波止(はと/海に細長く突き出た堤)に遊びにきたんですけど、すごく楽しかったんです。翌日には上司が釣れたアジを南蛮漬けにして持ってきてくれたんですけど、自分が釣った魚で愛着もあったし、すごくおいしくて。もともとインドア派だったので、釣りにまつわるすべてが新鮮だったんですよね。
山口 僕は広島の海の近くで育ったんで、放課後は釣り竿を持って海に行って、魚は自分でさばいて食べるということを、遊びとしてやっていました。
フッチー 釣りってやりはじめると、どんどん大きい魚を釣りたくなりますよね。それで、波止でのアジ・イワシ釣りから、海上釣り堀でタイとか釣りはじめて、やっぱり船で青物(※)を釣りたい欲が大きくなって。釣り好きの弟に付き合ってもらって、淡路島の沼島に行ったのが船デビューでした。
※青物/ハマチ(イナダ)・メジロ(ワラサ)・コブダイなどの背の青い魚。回遊魚で泳ぐ力が強く、引く力が強い。
山口 いきなりジギング(※)だったんですか!
※ジギング/ジグと呼ばれるルアーを使用する方法。餌に見えるように、リールを巻きながら竿を上下させて動かし続ける必要がある。
フッチー いきなりジギングです(笑)。
フッチー ジグって鉛で重いし、水の抵抗もあるから動かし続けるのに体力もいりますよね。だからこそカッコいい!(笑)
山口 あと、イカ釣りのティップラン(※)も楽しいですよね。
※ティップラン/エギと呼ばれるルアーを使って行う船でのイカ釣り。
フッチー エギにイカが触れて、竿先がチョンって小さく動くのを見極めて引っかけるときの「してやったり感」が最高ですよね。アタリはかすかなのに、掛かったときにドンッと竿にくるのが快感で、4kg超えのレッドモンスター(※)なんかが釣れたら、もうたまりません。私、エギングしてる人をInstagramで片っ端からフォローして研究しましたし、それきっかけで自分もInstagramをはじめたほど(笑)。
※レッドモンスター/大型のアオリイカ。
フッチーさんの信条は「Catch & Eat」。
フッチー ブラックバスとか魚の大きさを競う釣りだと、よく「キャッチ&リリース」って言いますけど、私は「キャッチ&イート」が信条。釣った魚を調理して、みんなでワイワイいいながら食べるところまで含めて釣りだと思っています。
山口 僕は「家族が食べたいものを釣る」ですね(笑)。うち子どもが5人いるので、「何食べたい?」って聞いてから釣りに行きます。
フッチー さばくのは山口さんですか? 奥さんですか?
山口 自分でやります。何せ好きなもので(笑)。結果的に趣味が高じて、調理師免許とふぐ調理師の免許を取っちゃいました。
フッチー すごいですね! 私も料理して人に振る舞うのが大好きなんですけど、ひとり暮らしなのでやっぱり食べきれなくて、業務用冷凍庫を買いました(笑)。今は去年の鮎が満載されてます。
山口 フッチーさんはなんの魚が好きですか?
フッチー 今は、1位カワハギ、2位イサギ(イサキ)、3位グレ(メジナ)ですね。釣りをはじめて見方が変わったのはサワラですね。スーパーでおなじみの魚ですが、身が柔らかくて傷みやすいので刺身で食べられるのは釣り人の特権ですよね。
山口 サワラは淡泊でしっとりした食感で、最高にうまいですね。
フッチー このあいだ、大阪市中央卸売市場さんとYouTubeでコラボしたんですが、伊勢湾で釣ったサワラを見せたら「1万円で買いまっせ」って言われて驚きました。
山口 あと、意外にタコも高いですよね。大きいのだと1杯4,000円ぐらい?
フッチー 釣り船の船長が買い取ってくれる店を教えてくれることもありますしね。釣った魚を売ってまた釣りに行くのもいいかも(笑)。
釣りにはお金がかかる?
──では、テーマの「趣味とお金」についてですが、釣りってどういうところにお金がかかりますか?
山口 まず何よりウェアですね。特に磯釣りや船釣りだと、海の上で朝も早いので、街で体験するのとは寒さが桁違いです。だからいい竿を買うより、まずはいい防水・防寒のウェアですよね。
フッチー 私も最初、シャカシャカ素材のカジュアルなアウターを着て船に乗ったら、甲板の魚の血を流すからっていきなり水を浴びせられて。悲鳴を上げたら「なんで防水ちゃうねん!」って逆に叱られました(笑)。なので、最初はとにかくウェア。竿やリールはそのあとですね。
山口 たとえば同じ太刀魚を狙うとして、餌でもルアーでもいけるし、竿の長さ、硬さなどに「正解」はないですからね。「6、7割の魚に対応できます」っていう道具はあるんですけど、まず自分のやりたい釣りを決めて、好みがわかってから道具を買うのがいいと思います。予算は竿1万円、リール1万円、その他もろもろあわせて5万円かな。
フッチー あとは船代。乗り合い船は1人あたりの料金が決まってますけど、チャーターすると船1隻あたりの料金を頭数で割ることになります。
山口 乗船代で1万円前後、港まではクルマが基本なので、高速代・ガソリン代でさらに1万円ほど。そう考えると、趣味としては結構お金がかかりますね。
フッチー 大阪を起点に、日帰りでどのくらいまで行きます?
山口 南は和歌山の串本から三重県ぐらい、西は広島ぐらいですかね。なかには九州日帰りという猛者もいますけどね(笑)。
フッチー そういう意味では、私がいちばんお金をかけたのは、クルマですね。ペーパードライバーだったんですけど、釣りのために思い切ってクルマを買って完全釣り仕様にしました。もうクルマなしでは活動できません。
https://www.youtube.com/watch?v=KyN5MFBpH3k
フッチー クルマも絶賛ローン中ですし、少しでも自分の釣り費用を捻出するために、一緒に釣り活動をしている友達とアパレルブランドを立ち上げました。
山口 趣味の域を超えてますね!(笑)
一生趣味としての釣りを続けるための準備とは。
山口 では次に「趣味と将来のこと」についてです。まずフッチーさんは、釣りを趣味と言っていましたが、生涯続けていきたいと思っていますか?
フッチー もちろん!
山口 では、今のうちから備えておくに越したことはないですね。老後への不安はありますか?
フッチー 正直、ないんです。私、仕事大好きですし、たぶん死ぬまで働いてると思います(笑)。
山口 釣りを続けていくうえでのお金の準備は何かされてますか?
フッチー 将来の準備とか、考えたこともなかったです。
山口 フッチーさんは会社員なので、将来は国民年金に加えて厚生年金が支給されます。現状、単身者の厚生年金の平均月額はおおよそ14万5,000円。だいぶ先の話ですが、65歳からこのくらいの金額を受け取れます。たとえば弊社の場合は、国民年金・厚生年金にさらに上乗せで企業年金もあって、もう少しもらえたりします。
フッチー いいなあ。私のほうは少し心もとないかも。将来は今なかなか行けないところで釣りをしてみたいんですよね。以前、釣り経験が浅いときに友達と沖縄に行って最高でした。
地元の皆さんがいろんな釣りに連れて行ってくれて、見たことのない色の魚といっぱい出合うこともできて。これまでで最高の釣り体験で、いずれまたぜひ行きたいと思っています。あとは、まだ海外で釣りをしたことがないので、これも叶えたいですね。現地の人と釣りをして、料理して、飲んで食べて。その国の料理も学んでみたいですね。
山口 いいですね! 僕も沖縄で釣ったことありますけど、最高でした。そういう老後の夢をサポートするために、今から準備しておけることもありますよ。たとえば、NISA(少額投資非課税制度)は、株式・投資信託を購入して資金を運用するんですが、毎月自動で口座振り替えされますし、あらかじめ決められたいくつかの投資先から選ぶので簡単です。
フッチー そういった制度はほかにもあるんですか?
山口 iDeCo(個人型確定拠出年金)というしくみもあります。NISA同様、金額を決めて投資するんですが、こちらは国が指定した銘柄にしか投資できないんですね。そうした制限があるぶん、NISAよりも少しリスクは低いんです。
NISAはいつでも解約できますが、iDeCoは60歳以降にならないと解約できません。どちらも、今からできる範囲で掛金を支払っていって、運用して得た利益との合計額から老後に給付を受け取るしくみです。
フッチー その給付は受け取るときに増えているんですか?
山口 投資信託なので増える保証はありませんが、税金の面でメリットがあるんです。iDeCoは毎年払い込んだ金額は全額所得から控除されます。普通の株式投資だと、運用益に約20%の税金がかかりますが、NISA、iDeCoとも課税されないんです。そのぶんは少しプラスになりますね。
フッチー 名前はよく聞くけど、全然わかってなかった(笑)。
山口 もう1つ、自分で保険料を設定して払い込む個人年金保険もあります。契約時に、払込期間と給付される年金額を決め、それに応じて保険料が決まります。
フッチー どういうメリットがあるんですか?
山口 一定条件を満たせば、所得税は年間4万円、住民税は年間2万8,000円を限度として個人年金保険料控除が受けられます。そのぶん所得額が少なくなるので、所得税や住民税を抑えられ、将来に向けて計画的に備えることができます。あとは、途中で解約した場合、解約返還金は払い込んだ保険料総額よりも少なくなることが多いので、「だったら続けよう」っていうモチベーションも維持しやすいんです。
フッチー それなら貯金が苦手な人にもいいかもしれないですね。私の場合、老後に年金プラスアルファで支給されるなら、釣り遠征旅行の足しになるかも!
山口 あとは……老後も釣りを楽しむには健康を維持することも必須ですね!
フッチー 釣りって意外に体力が必要ですもんね。
山口 弊社の場合は、会社ぐるみで健康増進に取り組んでいる健康経営優良法人に認定されているので、その点でも恵まれているんですよ。
フッチー いいなあ。でも、釣りをしてると体力も付きますけどね。釣り船に乗ると、最初は筋肉痛になっていたけど、そのうちに体幹が鍛えられて今では平気になりました。だから体力には自信あるんですけど、お金についてはこれからちゃんと準備したほうがよさそうですね。この機会にしっかり考えてみます!
釣り歴7年にして、次々と新たな釣り体験を重ね、クルマも釣り用に選び、釣り費用を稼ぐためにお友達と事業もはじめたフッチーさん。釣りという趣味にのめり込み、釣りを楽しんでいる様子が伝わってきました。
自身と同じ釣り人で、ファイナンシャル・プランナーの山口さんと対話をしたことで、初めて「未来とお金、そして趣味を続けていくための準備」について考えることができたそう。「いつか本当に海外での釣りを実現するために、準備できることがあるということがわかってよかった!」と満面の笑みをたたえて語るフッチーさんでした。
参考:国民年金基金連合会「iDeCo公式サイト」iDeCoのイイコト
参考:公益財団法人 生命保険文化センター「税金に関するQ&A」
取材・文/武田篤典(steam) 写真/稲田平 撮影協力/和歌山マリーナシティ「黒潮市場」、バーベキューテラス「海床」
フッチー(渕上万莉)
実家が営む商社の正社員として営業や販促活動を行いながら、「釣りガール」としてSNSや釣り番組などで活躍中。釣行の様子だけでなく、釣った魚をおいしく食べるレシピや動画を公開しているほか、魚調理に特化した調理器具のプロデュースも展開している。釣り歴は7年。
山口慎二
関西をベースにした大手釣具店「フィッシングマックス南津守店」店長。自身の将来のお金事情を把握するため、社内の制度を活用してファイナンシャル・プランナーの資格を取得。寿司店や鮮魚店での勤務経験もあり、調理師・ふぐ調理師の資格も持つ。釣り歴は40年以上。
※この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。
※記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。
※税務の取り扱いについては、2023年2月時点の法令等にもとづいたものであり、将来的に変更されることもあります。変更された場合には、変更後の取り扱いが適用されますのでご注意ください。詳細については、税理士や所轄の税務署等にご確認ください。