貯金ゼロの人はどのくらいいるの?お金をためるコツを解説。 貯金ゼロの人はどのくらいいるの?お金をためるコツを解説。

貯金ゼロの人はどのくらいいるの?お金をためるコツを解説。

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20代~30代で「預貯金ゼロ」という人、実は少なくありません。経済状況によるところや「まだまだ今を楽しみたい!」という考え方の人まで、その理由はさまざま。とはいえ、預貯金ゼロはやっぱり危険! ファイナンシャルプランナーの豊田眞弓さんに、預貯金ゼロのリスクとゼロからはじめる預貯金術を教えていただきました。

目次

預貯金ゼロの人はどのくらいいる?

預貯金ゼロの人はどのくらいいる?

仲のいい友達同士でも、「預貯金いくらある?」「金融資産持ってる?」なんてことは話しにくいですよね。「お金? ぜんぜんないよ~」と言われても謙遜としか思えないし、そもそも「ぜんぜんない」の感覚も人によって違います。では、預貯金ゼロの人はどのくらいいるのでしょうか。

20代単身世帯の約4割が預貯金ゼロ!

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」2022年によると、「金融資産を保有していない」人の割合は、2人以上世帯の20代(世帯主)で35.7%、30代(世帯主)で23.9%。単身世帯では、20代(世帯主)が42.1%、30代(世帯主)では32.4%となっています。

ここでいう「金融資産」とは、預貯金や貯蓄性のある保険・債券・株式・投資信託・財形貯蓄などのうち、運用または将来に備えてたくわえているものを指します。日々持ち歩いているような現金や日常的な出し入れの対象となる預貯金などは除かれるため、生活費とは別の「予備費」も含まれます。なお、事業のために保有している金融資産や、土地・住宅・貴金属などの実物資産は除きます。

参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」(2022年) 
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」(2022年)

預貯金ゼロのリスクとは。

預貯金ゼロのリスクとは。

預貯金ゼロは珍しくないと聞いて、安心してはいけません。備えがなければ、何かあったときに生活基盤が一気に崩れ、将来へ影を落とすことになりかねません。

仕事を失うとただちに生活費がなくなる。

会社員であれば毎月、当たり前のように給料が振り込まれます。ただ、これは未来永劫保証されているわけではありません。リストラや倒産などが「絶対にない」とはいい切れず、退職金が出ない場合もあるでしょう。予備費がないと、失業手当が支給されるまで、あるいは次の仕事が決まるまで、生活費すらなくなってしまいます。

病気やケガをしたときのお金がない。

病気やケガで入院・手術をしたり、働けなくなったりしたとき、会社員であれば条件に応じて傷病手当金が出ますが、生活費だけでなく医療費も必要になるため、不足が生じるかもしれません。フリーランスの場合、働けなくなってしまえば、即収入ゼロの可能性があります。

また、自分だけでなく、家族の病気やケガによる入院・手術でもお金がかかります。たとえば、離れて暮らす親が倒れれば、急いで帰省したり、定期的に看病や介護で通ったりする必要があるかもしれません。そのときの交通費も、遠方であればそれなりの負担となるでしょう。

ライフイベントの費用がない。

金銭的な余裕がないから結婚に踏み切れない、あるいは、子どもをつくりたくてもつくれない、ということも考えられます。大きなライフイベントだけではなく、趣味や旅行ですら、金銭的な理由から難しくなることも。また、子どもがいる場合、入学金や学校納付金などで一度に大きな費用がかかることもあるため、貯蓄がないと教育の選択肢が狭まる可能性があります。

老後へのたくわえにまで手が回らない。

子どものいる世帯であれば、末の子どもが中学を卒業するまでに教育費をため終えるのが理想。しかし、まったくたまっていない(預貯金ゼロ)と、大学や専門学校に通うための教育費は奨学金や教育ローンを頼ることになるかもしれません(所得が一定以下の世帯は給付型奨学金や学費の減免もあります)。その場合、ご自身たちの老後の備えに手が回らなくなり、借金を抱えてしまう可能性なども考えられます。

借金に頼りがちな家計になってしまう。

預貯金ゼロ世帯にとってもっとも危険なのが借金への依存です。予備費がないと、失業や病気といった大ピンチどころか、冷蔵庫やエアコンなどの家電が壊れたときですら借金に頼らざるをえません。クレジットカードのリボ払いやキャッシングを利用することが当たり前になり(クレジットカード払いも借金です!)、気づけば限度額いっぱい借りていたなんてことになると、家計を健全化することすら難しくなってしまいます。

なぜ預貯金ゼロになってしまうのか。

なぜ預貯金ゼロになってしまうのか。

預貯金をしたくてもできない人から、預貯金という概念が薄い人まで、ためられない理由は人それぞれです。

収入が少ない・収入が不安定。

預貯金ゼロの理由としてまず挙げられるのが、そもそもの収入が少ないことです。その背景には、平均給与の減少と非正規雇用の増加があるといわれています。1999年に463万6,000円だった平均給与(実質/年)が、2018年には433万3,000円に。2012年に1,816万人だった非正規雇用が、2022年には2,101万人に増加しています。

参考:厚生労働省「令和2年版 厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-」 
参考:総務省「労働力調査」(2022年)

家計管理ができていない。

一方で、共働き夫婦で世帯収入が高いのに預貯金ゼロという世帯もあります。ある程度の経済的余裕があるだけに、「備える」という概念に乏しく、お金をためる習慣がない世帯です。このタイプには、世帯の可処分所得がいくらで、毎月、何にどのくらい使っているのかを把握していない人が多く、「そろそろ持ち家が欲しいね」「子どものお受験を真剣に考えなきゃ」など、大きなライフイベントに直面して初めて何も備えがないことを自覚しがちです。

収入と生活のレベルが合っていない。

収入と支出のバランスが悪く、預貯金に回すお金がないという場合もあります。たとえば、何かしらの事情で収入が減ったにもかかわらず、生活レベルを下げられずに高い家賃の部屋に住み続ける、趣味の消費を減らせないといったケースなどです。収入に応じた生活をすればいいだけの話ですが、生活スタイルを変えるということは、その人の価値観や生活習慣を変えることでもあり、簡単にはいかないのがこのケースです。

お金をためるコツ。

お金をためるコツ。

預貯金の習慣がない人にとっては、お金をためることは、ものすごい節約や我慢が必要なイメージがあるかもしれません。しかし、本当はちょっとしたコツでできるもの。ポイントは、最初に「預貯金できるしくみ」をつくっておくことです。

無理なく、少額からはじめる。

いきなり高い目標を掲げたり、無理をしたりすると挫折しがちです。1か月数千円くらいの額からでいいので、「まずははじめてみる」ことが大事です。少しずつでもたまっていくことがうれしく感じ、次第に節約意識も芽生えてくるでしょう。成功体験は継続のモチベーション。ためる喜びを知ると、預貯金が苦ではなくなります。

先取り預貯金をする。

「毎月、残ったお金を預貯金に回そう」と考えていたら、おそらく預貯金は難しくなってきます。使ってしまう前に「先取り」して預貯金に回していきましょう。財形貯蓄や積立定期預貯金など、給与から引き去り(口座振替)される方法でためていくのです。最初からないものとして、残ったお金でやりくりすれば、知らず知らずのうちにたまっていきます。

ためる目的を定める。

預貯金は未来の自分への「仕送り」と考えましょう。とはいえ、目的がなければ仕送りをするモチベーションは上がりません。なんのために、いくらためる必要があるのか? 将来のライフプランを描き、目的を明確にしましょう。さらに、「3年後の旅行のために積立定期預貯金」「5年後の住宅購入の頭金のために財形貯蓄」など、目的別に貯蓄法を分けると把握がしやすくなります。

投資や保険をうまく利用する。

投資や保険をうまく利用する。

金融商品への投資や保険を利用するのも1つの方法です。いずれも、自動で先取りできますし、生活費の口座と分けて管理することもできます。

積立投資を利用する。

少額からはじめられ、投資対象を分散し、ある程度長い時間をかけて積み立てることでリスク軽減につながる積立投資はおすすめの方法です。たとえば、「NISA」制度を利用して積立投資をすれば、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になります。売却も自由です。

2024年1月からは、つみたて投資枠(旧・つみたてNISA)と成長投資枠(旧・一般NISA)が併用できるようになり、投資枠もつみたて投資120万円/年+成長投資240万円/年と拡大、非課税保有期間が無期限、非課税保有限度額(総枠)が1,800万円になり、口座開設期間も恒久化され、より使い勝手がよくなりました。

また、自営業や、会社員の一部の方に限られますが、iDeCo(個人型確定拠出年金)が使える人は、iDeCoという選択肢もあります。iDeCoは、掛け金や運用商品を自分で設定し、掛け金と運用益を60歳以降に受け取れるというもの。掛け金の全額が所得控除の対象となる、運用益は非課税で再投資できる、受け取る際にも控除がある、といったメリットがあります。ただし、NISAもiDeCoも、運用状況によっては元本割れのリスクがあります。

貯蓄性のある保険を利用する。

毎月口座振替される、貯蓄性のある保険も有効です。子どものいる世帯であれば、学資保険で教育資金を準備するのも1つの方法ですし、老後資金に限らず、さまざまなライフイベント用に個人年金保険を活用して設計することもできます(※1)。保険の場合は、生命保険料控除が利用できるメリットがあります(※2)。

※1 解約返還金や満期保険金が払込保険料の累計額を下回る場合があります。

※2 個人年金保険の場合、個人年金保険料税制適格特約を付加することにより、「個人年金保険料控除」が受けられ、所得税・住民税の負担が軽減されます。

預貯金ゼロからどうためていく?

預貯金ゼロからどうためていく?

毎月、どのくらいを預貯金に回せるのかは人それぞれですが、たとえば、飲み代などの交際費を節約する、お昼は外食せずにお弁当をつくるなどの工夫によって「月2万円くらいは捻出できる」という人も少なくないでしょう。では、その捻出した2万円、どうためていくべきでしょうか? 具体的に考えてみましょう。

最初の目標は予備費の確保。

まずためるべきは、何かあったときのための予備費です。予備費は、不測の事態を想定したストックですから、普通預貯金や定期預貯金など引き出しやすいものでためましょう。目標額は会社員で手取り月収の3か月分、自営業であれば半年分が目安となります。手取り月収20万円であれば60万円が目標となり、月2万円ためていくとして2年半。ボーナスからもためれば、より早くためられます。給与口座からの口座振替にしてしまえば、あとはほったらかしでも大丈夫です。

預貯金・投資・保険をバランスよく。

予備費が半分程度たまるなど目途がついたら、預貯金・投資・保険をバランスよく利用していきましょう。予備費分で定期預貯金に月1万円。残りの1万円は、中長期のための積立と位置づけて、NISAや個人年金保険に充てるなど、将来どのタイミングでお金が必要になるのかを考えてプランを立てるといいでしょう。

【まとめ】少しずつでもはじめることで、預貯金への意識が変わる。

これまで預貯金をしてこなかった人にとって、積立は窮屈で我慢が必要なものだと感じられるかもしれません。しかし、少しずつでも将来に備えていくことで、お金への向き合い方も変わってきます。20代~30代は、将来の可能性を少しでも広げるために、投資や保険もバランスよく利用していきましょう。

写真/PIXTA イラスト/こつじゆい


豊田 眞弓 
FPラウンジ代表。経営誌やマネー誌のライターを経て、1994年より独立系ファイナンシャルプランナーとして活動。個人相談や講演のほか、ウェブサイト・雑誌などに多数のマネーコラムを寄稿。「子どもマネー総合研究会」理事のほか、「親の介護・相続と自分の老後に備える.com」を主宰。亜細亜大学などで非常勤講師も務める。


※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。 
※ 掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。 
※ 記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。 
※ 税務の取り扱いについては、2024年1月時点の法令等にもとづいたものであり、将来的に変更されることもあります。変更された場合には、変更後の取り扱いが適用されますのでご注意ください。詳細については、税理士や所轄の税務署等にご確認ください。

(登)C23N0255(2024.2.22)
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