少ない給料で貯金する方法をヒット本『年収200万円からの貯金生活宣言』の著者に聞いてみた。
日本の賃金推移は、多少の増減はあるものの、バブル経済崩壊以降は横ばい傾向となっています(▼ 詳細はこちら)。こうした状況の中で、将来のお金や生活に不安を感じている方は多いのではないでしょうか。
そこで、大ヒットシリーズ本『年収200万円からの貯金生活宣言』の著者であるファイナンシャルプランナーの横山光昭さんに少ない給料で貯金する方法を伺いました。
目次
- 少ない給料で貯金する方法はある?
- 家計の現状を知ることからスタートしよう!
- 「知る」「抑える」「増やす」がポイント! 家計を見直すための3つのステップ。
- 貯金体質になるために「貯金が続かないパターン」を知っておく。
- 少ない給料でも貯金するための方法&コツをご紹介!
- 貯金は収入が少なくてもできる!少しずつ実践していこう。
少ない給料で貯金する方法はある?
少ない方法でも確実に貯金するにはどうすればいいのでしょうか。残念ながら、近道はないと考えた方が賢明です。月の収支を黒字化させ、毎月コツコツと貯め続けるほかはありません。
家計の現状を知ることからスタートしよう!
「まずは家計の現状を把握する。これが第一歩です」と断言する横山さん。
「私のところに相談に来られる方で、家計簿をつけている人は約3割。ほとんどの人が何にいくら使っているのか具体的に把握していません。全体の支出を理解してから、どれくらい残せるか確認していきましょう」と横山さん。
「知る」「抑える」「増やす」がポイント! 家計を見直すための3つのステップ。
横山さんに聞いた、家計を見直すための3つのステップは下記の通りです。
- 何にいくら使っているのか支出を把握する。
- 支出を見える化したら、ムダな出費を抑えていく。
- 残る金額を増やしていく。
家計簿は、「大根198円」などと細かくつける必要はありませんが、食費や光熱費などの費目ごとに 合計額がわかるように支出を管理していきましょう。たとえば、あまり利用していないサブスクリプション代や、高額すぎる通信費などのムダな出費に気づくきっかけになるのではないでしょうか。
「貯めたいからといって、よく"これから毎月3万円貯めます!”といきなり理想の金額を目標に掲げる方がいるのですが、これは失敗するパターン。ダイエットする時に、今の体重が何kgなのか分からないまま、"3か月で5kg痩せるぞ!”と言っているようなものですから」
貯金体質になるために「貯金が続かない失敗のパターン」を知っておく。
家計簿をつけ、月の支出を「見える化」するのは、なかなか面倒で大変な作業です。せっかく手をつけるのですから同時に、貯蓄体質を身につけておきたいもの。横山さんにこれまでの相談経験から「失敗するパターン」を教えていただきました。
貯金が続かないパターン1「残ったお金を貯める」パターン 。
「収入から貯蓄を先にとり、残ったお金で生活のやりくりをする方は、やはり確実に貯められています。"先取り貯蓄”と言いますが、手取り収入16万円の人が3万円残したいのであれば、3万円を引いて13万円で暮らす生活のペースをつくっておきます。難しく考えず、もともとないものと思える人は貯金を取り崩さすにすんでいます。逆に"残ったら貯めよう”という人は、いつまでたっても貯まりません。先取り貯金は、家計の収支から無理なく出せる金額でしなければ、せっかく貯めた貯金を引き出して暮らすことになります」
貯金が続かないパターン2「短期間だけがんばる」パターン。
「相談に来る方で多いのが、1か月間だけ節約を頑張ってきたという方。ですが、続かなければ意味がないんです。仕事や家族の時間を大事にしながら、負担を感じずに継続できるのが理想です」
貯金が続かないパターン3「価値ではなく価格で判断する」パターン。
「お金が貯まる人は、買い物をする際にものの価値を重視する傾向があります。自分にとって本当に価値あるものかどうかという意味ですね。その逆で、価値に関係なく、ただただ安さで選ぶ人は貯まらない傾向があります。もちろん、安くて構わないものは100円均一ショップで買ってもOK。つまり、価値に見合った価格なのか判断できない人は貯まらないわけです」
そもそも、お金の管理ができなければ、貯金は失敗する。
「いつか使うかもしれないと、割引券やポイントカードでパンパン。その上レシートも入れっぱなしで膨らみきっているお財布。逆に、レシートももらわず、ただただお金が通り抜けていくお財布。いずれのパターンも貯まりません。お財布は、その方のお金に対する意識が如実に出ると感じています。お財布の管理ができない人は貯まりにくいです」
少ない給料でも貯金するための方法&コツをご紹介!
では、少ない給料でもしっかり貯められる方法とはどういうものなのでしょうか。無理な節約をせずに、自然に貯金できるテクニックやコツを教わりました。
収入が少なくても貯金するためのコツ1「先取り貯金」。
「先取り貯金が大事とお伝えしましたが、すぐに引き出せるところにお金があるとつい使ってしまうという方は、自動積立定期預金などに預け入れておくのもよいでしょう。ただし、利率はあまり高くないので 一定以上貯まったら投資に回すことを検討してもいいかもしれません」
収入が少なくても貯金するためのコツ2「節約はしすぎない!」。
「節約が楽しくて、苦にならない方を否定はしませんが、雑誌に出てくる節約の達人や節約系インフルエンサーを目指す必要はありません。そもそも、できない人が大半です」
大切なのはバランスです。収入を増やす、支出を減らす、すぐに使わないお金を運用するという"資産を増やす3つの法則”うち、自分は何が得意で、どこが弱いのかを考え、得意なところを伸ばし、弱点を克服していきましょう。
たとえ高収入でも、支出が多く、運用もまったくしていないとトータルで貯まりません。逆に、収入は低めでも、支出をコントロールして、残ったお金を長期で運用している方のほうが将来的にはお金で苦労しない可能性が高いんです」
収入が少なくても貯金するためのコツ3「固定費をざっくり削る!」。
「携帯料金を見直す、電気のアンペアを変えてしまうなど、固定費を思いきって削れるような支出の削減は効果的です。私事で恐縮ですが、私には子どもが6人おり、我が家では携帯電話を8台契約していますが、プランの見直しや格安SIMの利用などにより、通信費の合計は月1万円で済んでいます。『この固定費は予算をかけたくない!』というところを、どうにか削れないか工夫してみましょう」
収入が少なくても貯金するためのコツ4「ノーマネーデーをつくる」。
毎日必ず何らかのお金を使っている人は、貯まらない傾向があるようです。
「1日100円でも1年で3万6,500円、10年で36万5,000円です。500円、1,000円で考えると……恐ろしいですよね? たとえば、コンビニでペットボトル飲料を毎日買っているうちに、けっこうな金額になってしまうことがあります。"今日はお金を使わないでおこう”という程度で構わないので、今日は使わないと意識してみましょう。最低でも週1日くらいはあるといいかもしれません」と横山さん。
貯金は収入が少なくてもできる!少しずつ実践していこう。
なかなか年収アップが難しい中で、お金を貯めるのはやはり大変。どうしても短期間では成し遂げられません。
まずは、家計の支出を見直し、無駄な支出を認識。そのうえで「先取り貯金」「ノーマネーデー」などのテクニックを使ったり、毎月の支出となる固定費を意識的に削減したり、自分にもできそうだと思えることから少しずつ、長期的に取り組んでみましょう。
写真/Getty Images イラスト/かざまりさ
横山 光昭
家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、これまでの家計再生件数は2万1000件を突破。各種メディアヘの出演・執筆・講演も多数。著作は150冊、累計351万部で、『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズは累計100万部を超えるベストセラー。
1)平成30年以前は、調査対象産業「宿泊業,飲食サービス業」のうち「バー,キャバレー,ナイトクラブ」を除外している。
2)令和元年以前と令和2年では推計方法が異なる。詳細は「利用上の注意」を参照。
3)線上の○印は令和元年以前における賃金のピークを、◆印は本概況での公表値を示す。
※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
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