

車の年間維持費が高いと感じたら?車好きが教える節約テクニック。
※ 記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
「車の維持費って年間どのくらい?」「うちの車の維持費は平均よりも高いかも。節約法は?」マイカーの維持費はいつも悩みの種ですね。
車の維持費にはどういったお金がどれくらいかかるかの目安や、維持費を節約する方法、車を持つべきかどうかの判断基準まで、生活者視点の情報発信が好評のカーライフ・ジャーナリスト、まるも亜希子さんにアドバイスしていただきました。
目次
車の年間維持費の目安は?

車の維持費は年間でおおよそいくらぐらいかかるものでしょう? 軽自動車・小型自動車(コンパクトカー)・普通自動車(ミニバン)について維持費の目安をご紹介します。

※1 小型自動車、普通自動車については2019年10月以降の新車登録の場合、軽自動車は2015年4月1日以降初度検査の場合
※2 自動車税種別割グリーン化特例の適用を受けない自動車の税額
※3 エコカー減税適用なしの場合
※4 保険契約者の年齢や免許証の色(ゴールドだと割引ありなど)、事故歴・車種・車両保険をつけるかつけないかなどによって金額が上下することがあります
※5 部品交換、消耗品交換、追加整備費用などを除く基本料金
取材内容をもとにミラシル編集部にて作成
なお、上記の駐車場代は、自宅に駐車できるスペースがある場合は不要ですし、もっと高額な地域もあります。また、車検代、メンテナンス費用は、車の状態によってはさらに費用がかかる場合もあります。
車の維持費の種類。

車は所有しているだけでもさまざまな費用がかかります。車の維持費にはどんなものがあるのでしょう。
税金
車の維持費の中でも必ず発生し、車種による違いが大きいのが税金です。
自動車税および軽自動車税は、毎年4月1日時点の車の所有者(※)に課税され、車検時には自動車重量税がかかります。また、ガソリン代には消費税のほか、石油石炭税やガソリン税などが課税されています。
※ ローン購入などにより自動車の所有者名義が売り主や金融機関等になっている場合は、買い主に課税されます。
保険料(自賠責保険・任意保険)
自動車保険には「自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)」と「任意保険」の2種類があります。
自賠責保険は法律で加入が義務付けられ、金額はどの保険会社でも一律です。任意保険には法的な加入義務はありませんが、自賠責保険で補償されないリスクをカバーするため多くの人が加入しており、補償内容によって保険料が異なります。
車検・メンテナンス費用
車を購入したら、新車登録後は3年目、その後は2年ごとに車検を受ける義務があります。法定の12か月点検と24か月点検の費用、エンジンオイルやタイヤなどの消耗品交換・部品交換・修理費用が発生します。また、洗車・コーティング・ワックスなどの車を快適に運転するための費用も適宜必要になります。
日常の利用にかかる費用。
車を日常的に利用するために、ガソリン(EV車の場合は電気)などの燃料費がかかります。自前の駐車場を持っていない場合は駐車場の賃料もかかります。
車の維持費を節約するコツは?

車を所有するとかなりの維持費がかかりますが、少しでも節約するにはどんな方法があるのでしょう。
税金の安い車を選ぶ。
維持費の中で税金が占める割合は少なくないので、税金の安い車を選ぶのがポイントです。排気量・車重・環境性能によって税額は変わります。
軽自動車は、毎年かかる自動車税が小型車の半分以下、車検のときにかかる自動車重量税も3分の1以下です。税金を安くすることを重視するのであれば軽自動車を検討してみるのもよいでしょう。
燃費のよい車を選ぶ。
燃費については、排気量が大きく車重の重い車ほどガソリン消費量は多くなります。ハイブリッド車やディーゼル車のほうが、ガソリン車よりも燃費を抑えられると思うかもしれませんが、実際は使用状況によります。
ハイブリッド車は、同じ車種のガソリン車に比べて車両価格が高く、車重があります。たとえば、コンパクトカーでハイブリッド車とガソリン車の車両価格の差額が35万円とすると、ガソリン代に換算して10万㎞くらい走らないと取り返せない計算です。
また、ハイブリッド車は高速道路でのロングドライブではガソリン走行がメインになるので、ガソリン車と比べて重い車重が不利になります。その一方、低速度でストップ&ゴーを繰り返す市街地での利用はガソリンの消費が抑えられて有利になります。
ディーゼル車は、価格の安い軽油を使うため、燃料費を抑えられそうに思いますが、近所のちょい乗り(短距離走行)を繰り返すと煤(スス)がたまりやすくなり、メンテナンス費用が余分にかかってしまいます。
それぞれ向き不向きがあり、ざっくり言えば高速で長く走れば走るほどお得になるのがディーゼル車、近所のお出かけが多い人にはハイブリッド車、両方あるならガソリン車、となるでしょう。
車のメンテナンスを定期的に実施する。
法定点検だけでなく、メンテナンスをこまめにしておくと故障や劣化、燃費の低下を防げます。ディーラーでも街の整備工場でも、車のことを何でも相談できる業者を見つけておくと長い目で見て節約につながります。
自分でメンテナンスをする。
タイヤのメンテナンスは、燃費と安全性のためにとても重要です。タイヤの溝に小石など異物がはさまっているとパンクなどのトラブルにつながることもあります。乗るたびにチェックしておきましょう。空気圧は、走行しなくても1か月で数%減ることもあります。最低でも月1回は給油の際などに測ってもらい、常に適正な空気圧を保ちましょう。
また、車に詳しくない人でも、エアコンのフィルター交換やワイパー交換などは自分でできます。ディーラーやカー用品店で依頼すると少なくない工賃を取られるので、簡単なメンテナンスは自分で行えるようになると節約につながります。
車に負担がかからない使い方を知る。
車にとっても夏の暑さは大敵。炎天下を避けて屋内や地下駐車場を使うようにすれば、車の傷み、オイルの汚れ方も変わります。屋外に置く場合は、シェードを使って車内温度の上昇を抑えれば、エアコンの電力節約になります。
冬はエンジンが温まりにくくなります。今の車は、暖機運転(※)をしなくても走り出せますが、温まりきっていないエンジンでいきなり速度を上げると大きな負荷がかかります。最初はゆっくりと走りはじめて、水温計が適正な位置(70℃程度)になってから通常の運転をすることが大事です。
※ 停車した状態でエンジンを低回転させながら、エンジンの各部分が適正な温度になるまで待つこと
年式が古い車は買い替えるのも1つの選択肢。
新車登録から13年、18年経過すると、自動車税や自動車重量税の税額が上がります。維持費を考えると、買い替えを検討したほうがいいかもしれません。年式が古い、走行距離が多いから故障が増えるとは限りませんが、トラブルが増えたなと感じたら、買い替えを検討するタイミングといえます。
修理・交換の提案が今必要なのかを確認する。
ディーラーに点検・修理を依頼すると、安全基準などを高めに見積もった手厚い提案をしてくれるため、結果的にトータルの金額が膨らんでしまうとよく言われます。
自分の車に不安な点が少ないのであれば、ほかの自動車整備工場を探して、見積もりをとってみるのも手です。また、ディーラーでも整備工場でも、点検修理を受けるときは見積書の各項目について、必要なものかどうかを確認していきましょう。ちゃんと聞いてみると「これは次回でも大丈夫」などと教えてくれます。
車を購入するときは「現金一括払い」か「低金利のローン」を利用する。
車の維持費がかかるのに加えて、ローンの返済があるとさらに家計を圧迫します。月々の負担を軽くするには、現金一括払いか、なるべく低金利のローンを利用しましょう。
なお、リセールバリューの高い人気車を残価設定ローンで購入する場合は、残価が高く設定されて月々の支払いを低く抑えられるケースもあります。
本当に車を所有する必要があるかも検討してみよう。

今はマイカー所有だけでなく、カーシェアリング・レンタカー・サブスクリプションサービスなどいろいろな手段を選べます。特に都市圏で公共交通機関が発達している場合などは、「車を所有するのは不合理」と考える人もいるようです。
車を持つべきかどうかを迷っているときは、次の目安を基準に考えてみるといいでしょう。

自分の車の使い方を考えてみて、毎月7万円分、レンタカーやカーシェア、タクシーを利用する場合などと比べてみてください。
ちなみに、コンパクトカーを3日間レンタカーで借りると約1万5,000円、カーシェアだと6時間以内の利用で約4,000円、都内で5㎞タクシーに乗ると約2,100円が目安です。
こうしたことを考えて、トータルコストで比較すれば、人によっては車を持たない選択肢もあるかもしれません。
車のある生活、コストと価値を見比べて自分に合った選択を。

車の維持費は、大きな負担になることもありますが、その内容をきちんと理解すれば、上手に管理して節約できる部分もあります。税金や保険、メンテナンス費など、それぞれの費用をチェックして節約できないか検討してみることが大切です。
また、単なる移動の手段としてだけではなく、愛車を運転すること自体が楽しい、家族との時間が増える、洗車や車いじりが趣味となる、など車を持つことで新しい価値観や喜びが生まれることも大いにあると思います。
さらに、車を使う目的や自分のライフスタイルを振り返ってみると、もっと経済的で効率的な選択ができるかもしれません。自分に合った方法でカーライフを楽しみましょう。
写真/PIXTA イラスト/こつじゆい 税理士監修/渋田 貴正
【監修者】まるも 亜希子
カーライフ・ジャーナリスト。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。「クルマのある毎日のリアル」を生活者の視点から、テレビ、YouTube、ラジオ、雑誌、Webなどさまざまなメディアで伝える活動をしている。日本で発売される新型車にはほぼ全車に試乗し、年間台数は約200台。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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※ 税務の取り扱いについては、2024年11月時点の法令等にもとづいたものであり、将来的に変更されることもあります。変更された場合には、変更後の取り扱いが適用されますのでご注意ください。詳細については、税理士や所轄の税務署等にご確認ください。