不正出血の原因は?症状や受診前のチェック、治療法を医師が解説。
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生理以外の不正出血があったとき、「痛みもないし、これくらいは大丈夫かな」などとスルーしてはいないでしょうか?
不正出血には、女性ホルモンの乱れから深刻な病気のサインまでいろいろな原因が考えられます。産婦人科医で女性特有の病気に詳しい内田美穂先生に、不正出血の症状や原因、受診前にチェックしておきたいポイントなどについて解説していただきました。
目次
不正出血とは?
不正出血は「不正性器出血」とも呼ばれており、生理時以外の子宮・外陰・膣からの出血のことを指します。
不正出血の症状。
不正出血の量や色、痛みなどの症状はさまざまです。また、たとえ同じ病気が原因の不正出血でも、進行度によって症状の出方は人それぞれ異なります。
なお、不正出血が必ずしも病気というわけではありません。生理が終わってから1週間くらいたったころに出血する場合もあり、これは排卵期の「中間期出血」です。エストロゲンという女性ホルモンの分泌が一時的に低下するために起こる出血で、特に治療の必要はありません。
生理不順も不正出血。
決まった周期で訪れる通常の生理以外は、すべて「不正出血」です。なので、生理不順も不正出血の1つの症状と考えられます。
生理不順のタイプには「生理周期が定まらない」「生理期間や周期が長すぎる(39日以上)・短すぎる(24日以内)」などがあります。生理不順は「よくあること」とスルーしてしまう人もいますが、実は別の病気による出血の可能性もあるため、注意が必要です。
自己判断せずに受診を。
どのような不正出血も、自己判断で「問題なし」と言い切れるケースはありません。医師の問診や検査を受けて初めて、出血の原因がわかり、治療が必要かどうかが判断できます。
「少量だから」「すぐに止まったから」といって放置していると、若い女性にも起こりえる子宮頸がんや、まれに腹腔内に大出血を起こす子宮外妊娠など、緊急を要する病気のサインを見逃してしまう可能性もあります。自己判断はせず、不正出血を確認したらなるべく早めに婦人科を受診しましょう。
不正出血の原因は?
不正出血の原因は多岐にわたります。子宮・卵巣や膣のトラブル・ストレスやダイエットによるホルモンバランスの乱れ・妊娠によるものなどがあり、大きく次の6つに分けられます。
炎症によるもの。
病原菌の感染や、子宮内膜炎、膣炎などが原因の出血です。炎症は必ずしも痛みが伴うとは限りません。サインを見逃さないように、おりものの色がいつもと違わないか、日ごろからチェックするようにしましょう。
なお、感染症の一種であるクラミジア感染症や淋病は、自覚症状がない人も多く、不正出血での受診で発覚するケースもあります。クラミジア・淋病は放置すると不妊症の原因にもなりかねません。出血などの症状は見逃さないようにしましょう。
ホルモン異常によるもの。
ホルモン分泌の異常により、うまく排卵できなかったりする卵巣機能不全が原因で不正出血を起こすことがあります。最近では極端なダイエットでエストロゲンの分泌が少なくなり、不正出血を起こす若い女性も多く見られます。
子宮膣部のびらん。
子宮膣部(子宮の入り口周辺)が赤く見えることを「子宮膣部びらん」といいます。これは多くの女性に見られるもので、なかには不正出血を繰り返すこともありますが、検査で子宮がんでないことがわかれば、治療の必要性はありません。
良性の腫瘍。
子宮のポリープや子宮筋腫などの良性腫瘍で出血を起こすことがあり、場合によっては手術で取り除きます。
悪性の腫瘍。
悪性の腫瘍には、子宮頸がんのほか、子宮体がん、卵巣腫瘍、子宮肉腫、膣がんなどがあります。特に子宮頸がんは最近20代~30代の若い女性に増えてきているので注意が必要です。定期的に婦人科検診を受けましょう。
妊娠に関連するもの。
流産や子宮外妊娠(異所性妊娠)などによる出血があります。出血量は少量の場合もありますが、持続的に出ることもあり、人によってさまざまです。
受診前にチェックしておきたいことと治療方法。
これまで述べてきたように、不正出血があったとき、「これぐらいなら大丈夫だろう」と自分で判断してしまうのは危険です。また、治療を決める際には問診がとても大事になるので、医師にしっかり症状を説明できるように準備しておきましょう。
症状のセルフチェック。
次の項目をあらかじめ自分でチェックし、メモしておくと、病気の正確な診断に役立ちます。
出血の時期・状況 |
□出血はいつから起きている? |
□これまでに類似の出血はあった? |
□出血の原因となるきっかけに心当たりはある? |
出血の量・色 |
□出血の量は多い? 少ない? |
□色は真っ赤(鮮血)? 黒っぽい(古くなっている血液)? |
□おりものの色は?(少量の出血の場合、黄色やピンク色に色づくこともある) |
また、毎日の基礎体温をつけている人は、体温表を医師に見せましょう。排卵や生理の時期を確認できるので、ホルモン異常による出血など、体の異変をつかみやすくなります。
診察・検査
医療機関ではまず「問診」になります。いつ、どういった出血が起きているのかを患者さんに聞き、たくさんの病気の中から予測を立てて、必要に応じた検査を行います。
検査には、経膣超音波検査、子宮頸がんの検査(子宮頸部細胞診)や子宮体がんの検査(子宮内膜細胞診)、採血によるホルモン検査、妊娠の可能性がある人への妊娠検査、クラミジアや淋菌を調べる性病検査などがあります。
治療方法
それぞれの原因に応じて、服薬や外科的治療(手術)が主な治療になります。炎症が原因の不正出血には主に抗生剤を処方し、ホルモン異常が原因の場合はホルモン剤でホルモンを補充します。
子宮頸がん・子宮体がんの場合は多くが手術になりますが、子宮体がんのうち「前がん状態(子宮体がんになる前段階)」の場合は、薬で治療できるケースもあります。
不正出血から見つかる女性特有の病気に備えるには?
ここまで、内田先生に不正出血について解説していただきました。不正出血を「生理不順かな?」などと軽く考えてしまう人もいますが、内田先生のお話にあったように、小さな不調に向き合うことで病気が見つかる可能性もあります。自己判断せずに受診しましょう。
もし子宮筋腫・子宮頸がん・子宮体がんなどが見つかった場合、入院や手術が必要になるケースもあります。そのような場合に備えて、医療保険に加入しておくと、入院時の費用の負担を軽くできます。女性向けの医療保険なら、女性特有の疾病に対する保障が手厚いので、早めに備えておくと安心ですね。
写真/PIXTA
内田 美穂
フィデスレディースクリニック田町院長・医療法人社団レースノワエ理事。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・母体保護法指定医師。順天堂大学医学部附属順天堂医院・東京慈恵会医科大学附属病院・昭和大学横浜市北部病院など、複数の病院勤務を経て、2019年にフィデスレディースクリニック田町を開院。
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