家計簿の項目はどう決める?続けやすい方法をFPが解説。
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「月々の収入から、何にいくら使っているかなんてあまり気にしていない」という方は、20代~30代には多いかもしれません。
とはいえ、「将来の結婚・子育てや住宅購入、老後のことまで考えると、家計簿をつけてお金の流れを整理しておくことはやっぱり必要?」と思いはじめている方もいるのではないでしょうか?
家計簿をつけたいけれど、項目がありすぎて何を記録したらいいかわからないし、面倒なのはイヤ! そんな20代~30代の方に向け、数多くの家計相談にのってきたファイナンシャルプランナー(FP)の氏家祥美さんに、おすすめの家計簿のつけ方を教えていただきました。
目次
- 家計簿はやっぱりつけたほうがいい?
- 家計簿の項目分けの基本。
- 家計簿の項目はシンプルに。家族構成や生活環境に合わせて決めよう。
- 家計簿の項目分けで気をつけておきたいこと。
- 【まとめ】家計簿で支出を見直し、家計に余裕ができたら資産形成も考えよう。
家計簿はやっぱりつけたほうがいい?
家計簿は、世帯のお金の流れを把握するのに役立つツールです。これから家計簿をつけようと思っている方に向けて、氏家さんは「ずっと続けるのは無理だとしても、とりあえず3か月間つけてみましょう」と言います。
家計簿をつけるメリット。
そもそも、家計簿をつけることでどんなメリットがあるのでしょう。「3か月だけでも家計簿をつけることで次の3つのメリットが期待できる」と氏家さんは言います。
ムダづかいが減る。
今までなんとなく使ってきたお金に対して、「これはいらない出費だったかな」と気がつけるようになります。3か月続けるうちに、買い物する時点でムダづかいにブレーキがかけられるようになり、結果として家計がスリム化していく傾向が見られます。
1か月の生活費を把握できる。
毎月、何にいくら使っているかを一覧にして把握することで、支出を見直し、減らせるポイントがわかります。月によってイレギュラーな支出があっても、3か月続けると、ある程度平均的な家計の状態を知ることができます。
データをもとに将来の生活設計を見通せる。
1か月あたりの生活費を把握できると、貯蓄にまわせる額がわかり、「○年後にはこのくらいたまる」「いざというとき現在の貯蓄額で○か月は暮らせる」という見通しをもてます。
家計簿を項目ごとに分けるメリット。
家計簿は、支出をいくつかの項目に分類して記録し、項目ごとに集計するのが基本です。項目を分けることで、どこにムダがあるかを見つけやすくなりますし、自分と似た境遇の世帯や、平均値などと比較することもできます。
家計簿の項目分けの基本。
まず支出を固定費と変動費に分けるのが基本です。固定費と変動費の分け方に明確な定義はありませんが、固定費と変動費を分けることで、家計の状況がよりつかみやすくなり、家計簿をつけるのも楽になります。
固定費とは。
一般的に固定費は「毎月、ほぼ一定の額が必ずかかるもの」とされています。住居費や保険料、サブスクリプション費のほか、スマホの料金や水道光熱費といった利用状況によって多少金額が変わるものも固定費に含めます。
変動費とは。
購入する頻度や支出額がそのときどきで大きく変わる項目です。食費や日用品費、被服費、理美容費などがこれに当たります。
固定費・変動費にはそれぞれどんな項目がある?
家計簿の項目には明確な定義があるわけではありません。自分が管理しやすいように項目分けするのが一番ですが、家計簿を初めてつける方は、まず下記の支出項目を参考に家計簿をつけてみてください。
項目 | 内訳(例) |
---|---|
住居費 | 家賃・住宅ローン・管理費など |
教育費 | 習いごと・子どもの学費・塾代など |
保険料 | 生命保険・医療保険・がん保険など |
水道光熱費 | 水道代・電気代・ガス代など |
通信費 | 固定電話代・スマホ代・インターネット回線代など |
サブスクリプション費 | 動画配信・音楽配信サービス費など |
項目 | 内訳(例) |
---|---|
食費 | 日々の食材購入代・外食代・カフェ代など |
日用品費 | 洗剤・ティッシュなどの消耗品 |
おこづかい | 家族それぞれの個人的な支出など |
被服費 | 衣類・靴・ファッション雑貨などの購入費用 |
理美容費 | 美容院・化粧品、ネイル・エステなど |
医療費 | 病院の診察費・薬代・病院までの交通費など |
その他 | 年に数回の臨時的でまとまった額の支出など |
項目 | 内訳(例) |
---|---|
車関連費(固定費) | 車のローン・駐車場代・ガソリン代など |
税金・社会保険料(固定費) | 自営業など、給与から引き去りではない場合 |
子ども費(変動費) | 子どもにかかる固定費以外の費用全般 |
車を所有している方は「車関連費」、自営業などの方は「税金・社会保険料」(会社員などのように給与引き去りではなく、自分で納める場合)を固定費に加えます。詳細は後述しますが、子どもがいる方は子ども関連の変動費を「子ども費」とまとめてしまうのもよいでしょう。
家計簿の項目はシンプルに。家族構成や生活環境に合わせて決めよう。
紹介した固定費・変動費の項目を参考にして、自分に合った項目をどう設定し、どのように記録していくのがよいのでしょう。
固定費は年間の平均額を把握すればOK。
固定費のうち、月によって多少の変動がある水道光熱費や通信費は、1年間の平均をチェックしておきましょう。それ以外の項目の金額は毎月ほぼ一定です。一度把握してムダがないことがわかれば、毎月細かく確認する必要はなくなります。
変動費は5項目~7項目にする。
1か月間の固定費が把握できたら、毎月家計簿で確認するのは変動費だけでOKです。変動費の項目数は、5項目程度が目安。多くても7項目くらいにするのがおすすめです。
自分の家計で「支出が多そうだな」「ここはしっかりチェックしておきたいな」という項目から順に決めていくイメージで、項目を設定しましょう。
また、家族構成や生活環境に合わせて、次のようなポイントも参考にしてください。
1人暮らしの人なら。
家計簿の項目をぐっと減らせると思います。ほとんど病気もせず、病院にはめったに行かない、という人でしたら「医療費」の項目をなくして「その他」にまとめます。
美容やファッションにはあまりお金をかけない、という人なら「被服費」「理美容費」は「おこづかい」にまとめてもよいでしょう。
夫婦・カップルのみの共働き世帯なら。
ともに収入があり、支出もそれぞれがなんとなく負担している、という世帯でしたら、食費や日用品費など「家族としての支出」と、それ以外の「各自のおこづかい(個人的な支出)」に分けて、トータルで月間の支出はどのくらいかをつかんでいくとよいでしょう。
子どもがいる家庭なら。
子どもにかかる固定費以外の費用は、おむつやミルク代、被服やおもちゃなどをひっくるめて、「子ども費」とすればよいでしょう。家計全体のなかで、子ども費の占める割合が多い、と感じるときは、支出の内訳をより注意深く見るようにします。
家計簿の項目分けで気をつけておきたいこと。
ざっくり月の支出をつかみたい場合も、家計をより細かくチェックしたい場合も、項目分けの基本的な考え方は同じです。
項目が多いほど、しっかり分析ができるわけではない。
項目を細かく分ければ、よりしっかりした分析ができるのでは? と思いがちですが、特に手書き&手集計する場合は、項目数が多くなると家計簿をつけるときに迷ったり、集計の際の手間が増えたりします。また、似たような支出が複数の項目に分散するため、どこにムダがあるのか見えづらくなることもあります。
最初は項目数を少なめにしておき、気になる項目があれば、その内訳を詳しく見ていくとよいでしょう。
たとえば、「1人暮らしなのに食費が高い! カフェに行きすぎかな……」というときは、食費のうち、食材の購入・外食・カフェ代の内訳を見ていきましょう。
ブラックボックスをつくらない。
近年の家計相談でよくあるのは、「ネットスーパー代」「ネット通販代」といった項目に月々かなりの額を計上し、クレジットカードで決済しているパターン。何に使ったかが不明のブラックボックス化しやすい項目です。
「食費」は月4万円に収まっているけれど、「ネットスーパー代」の項目にも実は食材費が4万円含まれていて、実際には食費がかなりかかっている……といったケースがよく見られます。
ブラックボックス化しやすい項目はつくらずに、利用の内訳を見て「食費」や「日用品費」などに振り分けましょう。
家計簿アプリを使う場合は、設定された項目でOK。
最近では、家計簿アプリを使う方も増えています。レシートをスマホで撮影すると、アプリが自動的に項目ごとに振り分け、集計もしてくれます。アプリを利用する場合は、項目数にはこだわらずに、アプリの設定にしたがってつけていくのがよいでしょう。
家計簿のデータを振り返ってみることが大事!
手書きでもアプリ利用でも、家計をしっかりチェックするには、つけたあとのフィードバックが大事です。家計簿のデータを見直して、今後のお金の使い方や家計管理に役立てていきましょう。
そして、家計簿をつけるのに慣れてきたら、必要に応じて項目をさらに分けるなど、自分に合った使いやすい形にアレンジしてみるのもよいでしょう。
【まとめ】家計簿で支出を見直し、家計に余裕ができたら資産形成も考えよう。
家計簿の変動費の項目は、トータルで5項目~7項目くらいがおすすめです。家族構成や生活スタイルに合わせて決めます。
まずは3か月間家計簿をつけて、それほど負担に感じなければそのまま続けましょう。いったん中断しても、転職したり子どもが生まれたりして、暮らしが変わったと感じたら、そのタイミングでまた3か月間やってみればよいのです。
なかには、「今まで家計簿をつけてきたけれど、特に節約にもならないし、貯蓄が増えたわけでもない。もうやめようかな」と思っている方もいるかもしれません。
ですが、過去のデータを集計してみると、自分の生活がわかり、どこにムダがあるのかを見直せます。必要になったら、すぐにデータを取り出せるのが強みです。今まで家計簿をつけてきた方も、これからはじめる方も、家計簿で得られたデータをぜひ活用して、家計管理に役立てましょう。
「家計簿をつけて家計をスリム化。毎月〇万円の黒字になりそう!」そんな見通しが立ったら、将来に向けての資産づくりにも積極的に取り組んでいきたいもの。預貯金や投資、貯蓄性のある保険など、資産形成の方法についても検討してみるようにしましょう。
写真/PIXTA イラスト/こつじゆい
氏家 祥美
FP事務所ハートマネー代表。ファイナンシャルプランナー、セカンドキャリアアドバイザー。旅行会社、FP会社で働いた後、2010年に現在の事務所を開業。金融リテラシーの普及に努め、高校の家庭科の教科書では経済パートの執筆も行う。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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