咳が止まらない?咳の種類と原因、対処法を呼吸器内科の医師が解説。 咳が止まらない?咳の種類と原因、対処法を呼吸器内科の医師が解説。

咳が止まらない?咳の種類と原因、対処法を呼吸器内科の医師が解説。

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コホコホと止まらない咳。「うっとうしいし、疲れるし、どうにかして止めたい!」と思いますよね。しかし、東邦大学医療センター 大橋病院 呼吸器内科の松瀬厚人先生によると、「咳は人間に備わった原始的な反応で、必要な生理現象」だそうです。

ただし、咳の中には放置してはいけない「危険な咳」もあるとのこと。では、咳とは何なのでしょうか? 病院に行くべき症状の目安や対処法はあるのでしょうか? 松瀬先生に伺いました。

目次

咳とは?

咳とは?

咳は、肺の中に異物が入らないようにするため、あるいは入ってしまった異物を出すための「体の反応」です。人間に備わった「生体防御反応」であり、体を守るために必要な生理現象ともいえます。

乾いた咳か?湿った咳か?

咳には「コホコホ」という乾いた咳と、「ゴホンゴホン」という痰(たん)をともなう湿った咳があります。乾いた咳は、気道の粘膜の表面にある知覚神経が何らかによって刺激され、その刺激が脳の咳中枢に届き、呼吸にかかわる筋肉に指令が出されて咳となります。 

湿った咳は、痰を体外に出すための咳です。痰は肺を潤す分泌物で、健康な人でもある程度は出ますが、体の中に病原菌などの異物が入ると、それを体外に出そうとして痰の量が増えます。そのため、湿った咳が続く場合は、何らかの原因で痰が増えたと考えられます。

どのくらい咳が続いているのか?

咳は、続いている期間によって「急性」「遷延性(せんえんせい)」「慢性」に分類されます。急性の代表格が風邪による咳で、遷延性で多いのは感染後(風邪をひいたあと)の咳、慢性で多いのはぜんそくや咳ぜんそくによる咳です。

・急性:3週間程度、咳が続く    
・遷延性:4週間~7週間程度、咳が続く    
・慢性:8週間以上、咳が続く

1週間以上咳が続くと心配する人も多いようですが、松瀬先生は、持病のない人であればさほど心配はいらないといいます。たとえば、風邪をひいて2週間ほど咳が続いていたとしても、熱が下がって食事がしっかりとれ、夜眠れているのであれば大丈夫とのこと。ただし、1か月以上咳がおさまらないのなら病院で診てもらいましょう。

肺や気道に原因があって出る咳。

肺や気道に原因があって出る咳。

一般的に、咳を主な症状として訴える人に対する診察・検査では、問診はもちろん、場合によってはレントゲンなども利用して咳の原因を突き止めます。咳だけではなく、高熱や血痰(血が混じった痰)、胸の痛み、息苦しさといった症状がともなう場合、肺や気道にまつわる病気が疑われます。肺や気道に原因がある病気には主に以下のものがあります。

ぜんそく

アレルギーなどで気道に慢性的な炎症が起こって発症するのがぜんそくです。典型的なぜんそくは、咳が出たり、胸から「ゼーゼー」という音が出たり、突然息が苦しくなる発作が起きたりします。また、夜は、気管支を収縮させる働きがある副交感神経が優位になるため、ぜんそくによる咳が出やすくなります。

咳ぜんそく

ぜんそくと同じく、アレルギーがある人に多い病気で、乾いた咳が続きます。ただし、ぜんそくと違って息苦しさがなく、「ゼーゼー」という音も出ません。咳止めの薬を飲んでもあまり効果はないため、多くは、吸入器を使って吸入薬を気管支に直接届ける治療が行われます。

肺がん

気管支や肺胞の細胞ががん化するのが肺がんです。咳や痰・血痰・胸の痛み・息苦しさ・発熱といった症状が出ます。そのような症状が出たとき、がんはかなり進行している可能性があります。

肺結核

結核は結核菌による感染症で、結核による病変の多くは肺にできます。これが肺結核です。結核に「昔の病気」という印象を持つ人もいるかもしれませんが、厚生労働省によると、2022年で年間1万人を超える新規発病者が報告されています。咳や痰・微熱・血痰・食欲低下・体重減少などが主な症状です。結核の咳は数か月も続きます。

参考:厚生労働省「結核(BCGワクチン)」

COPD(慢性閉塞性肺疾患)

タバコに含まれる有害物質などが長い間肺を刺激することにより、細い気管支に炎症ができる病気です。痰をともなう咳が特徴で、息切れも生じます。発症は55歳以上の人に多く、20代〜30代で発症する人はまれです。また、松瀬先生によると喫煙歴がある人に多い病気だといいます。

肺や気道以外に原因があって出る咳。

肺や気道以外に原因があって出る咳。

咳を引き起こす原因となるのは、肺や気道にまつわる病気だけではありません。ほかの器官や精神的なものが原因となり、咳が出ることもあります。

胃食道逆流症

胃食道逆流は、胃の内容物や胃酸が食道に逆流することです。健康な人でも起こる生理現象ですが、逆流によって食道下部の神経が刺激されたり、逆流が咽頭にまで及んで炎症が起こると、咳が出たり声がかすれたり、胸焼けといった症状が出たりします。それが胃食道逆流症です。

心因性咳嗽

咳嗽(がいそう)とは咳のことで、心理的な原因により乾いた咳が長く続くことを心因性咳嗽といいます。咳は、先述の通り「人間の原始的な反応」のため、何かしらの感情に起因して出ることも。たとえば、静かな場所で咳き込んだらどうしようと不安になって咳が止まらなくなる、苦手な人とかかわるときに必ず咳が出る、などがあります。

心不全

心不全とは、心臓の働きが悪くなり、体にさまざまな影響が出る病気です。肺に水がたまる肺水腫になると、咳が症状として現れます。夜間に息切れをともなって出ることが多いです。

関節リウマチ

関節リウマチに起因する間質性肺炎の症状として、咳が出ることがあります。間質性肺炎は、関節リウマチなどの自己免疫疾患のほか、喫煙、ほこりやカビの慢性的な吸入などが原因で発症することもあります。

咳の対処法は?

咳の対処法は?

咳は人間の生理現象のため、無理に止めるのはよくない場合もあります。松瀬先生によると、特に湿った咳はいたずらに止めるべきではないそうです。また、高齢者が咳を無理に止めてしまうと、誤嚥(ごえん)のリスクが高まるため注意が必要です。

とはいえ、咳が何日も続くのはつらいもの。咳による体への負担は少なくなく、咳で肋骨に繰り返し力がかかり続けると、肋骨が折れてしまうこともあります。人がいるところであまりに咳き込んでいると、周囲の目も気になるでしょう。ここでは、日々できるセルフケアを紹介します。

加湿する。

気温や湿度の変化が咳を誘発することがあります。また、のどが潤っていたほうが咳は出にくいです。こまめな水分補給やのどあめをなめるなどして、清潔かつ潤ったのどを保ちましょう。マスクを使用したり、加湿器を適宜使用したりするのも効果的です。

ただし、不衛生な加湿器から出る蒸気は体に悪影響を及ぼす恐れがあるため、手入れをした加湿器を使用してください。

食事に気をつける。

気道は「辛い・冷たい」といった刺激に敏感です。刺激が加わることで、気道はそれを異物とみなし、咳を誘発することになりかねません。咳が出やすくなっているときは、辛いものや冷たいものなど刺激物を避けるようにしましょう。熱い麺をすするのも、麺と一緒に吸い込んだ湯気が異物とみなされて咳を誘発することがあるので、咳が気になるときは控えたほうがいいでしょう。

また、咳をして「おえっ」となって胃酸が逆流すると、さらに咳が出やすくなります。胃酸が増えるカフェインやアルコール、炭酸飲料のとりすぎにも要注意です。

部屋を清潔に。

ぜんそくや咳ぜんそくになると、冷たい空気や低気圧、タバコの臭いなどが引き金になって咳が出ることがあります。特にアレルギーの素因のある人は、部屋の中を清潔に保ち、ぜんそくや咳ぜんそくが出にくい環境を心がけましょう。

気にしすぎずリラックスする。

咳を気にするあまり、咳がしたくなるということもあります。検査をして重篤な病気でないことが確認できたら、生命にかかわる可能性は低いため、いずれ咳は止まると思って考えすぎないようにしましょう。

また、咳が出ている最中は難しいかもしれませんが、横隔膜を使う腹式呼吸やゆっくりとした呼吸は、呼吸が楽になったりリラックス効果が期待できたりするため、咳の軽減につながる可能性があります。

咳は体からのメッセージ。

咳は人間に備わった生理現象ですが、咳が続くようであれば無理をしないことが大切です。調子が悪いと感じたら体を休める、病院に行くなど、体からのメッセージをしっかり受け止めて対処しましょう。また、喫煙習慣のある人は、咳や痰が気になりだしたら禁煙を考える機会にしてください。以上、咳について、松瀬厚人先生にお話を伺いました。

もしものときの不安に備える。

もしものときの不安に備える。

「咳が気になるので病院を受診したら病気だった」場合、入院治療が必要になる可能性があります。また、生命にかかわる可能性が低い咳ぜんそくなどであっても、咳がひどくて夜も眠れないとなると、入院して投薬治療を行うこともあります。

ただの風邪だと思っていたのに「入院して手術が必要」となったら……仕事は休めるのか? 手術費用は工面できるのか? 休んでいる間の生活費はどうするのか? 自分の体のことはもちろん、経済的な心配も抱えることになりかねません。

そんな、もしものときに頼りになるのが医療保険です。とはいえ、20代では「収入が高くないから、保険料を負担したくない。体も健康だし、保険に加入するにはまだ早い」と考える人も珍しくありません。実際はどうなのでしょうか?

20代だからこそ、医療保険を検討すべき?

収入が少なく経済的基盤が弱い若いうちだからこそ、むしろ「保険が助け」になりやすいともいえます。たとえば、一時金タイプの医療保険は、所定の要件のもと契約時に定められた額の給付金が支払われるため、医療費だけでなく収入減や自宅療養などにも流用しやすいです(※)。

また、一般的に、若くて健康なうちに保険に加入したほうがメリットは大きくなります。年齢が若いほうが月額保険料は安くなり、健康面での条件に縛られにくいので、自分に合った保険を選びやすくなるからです。若くて健康な20代のうちに、自分の体や将来のもしものことを考えてみてはいかがでしょうか。

※ 入院期間や手術の有無などによって、医療費の自己負担分が給付金を超えてしまう可能性があります。また、入院日数や手術の有無などにより、一時金タイプの医療保険の給付金額が、日額タイプの給付金より少なくなる場合があります。

写真/Getty Images、PIXTA


松瀬 厚人
東邦大学医療センター大橋病院呼吸器内科、教授。日本呼吸器学会呼吸器専門医、呼吸器指導医。大分医科大学(現:大分大学)卒業。長崎大学病院勤務などを経て、2014年より現職。著書・監修に『喘息・COPD・ACO増悪マネジメント』(文光堂)『「ぜんそく」のことがよくわかる本』(講談社)など。


※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。       
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(登)C23N0132(2023.9.26)
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