ベビーシッターをお願いするには?料金や助成制度などをFPが解説。
共働き世帯の増加などにより、「子どもが小さなうちは」と、ベビーシッターをお願いする家庭は珍しくなくなってきました。とはいえ、「ベビーシッターを頼みたいけれど、どのくらい料金がかかるの?」と、ちゅうちょしている人もいるでしょう。
そこで、ベビーシッターをお願いする方法や料金 、助成制度などについて、多くの家計見直し相談を受けてきたファイナンシャルプランナー(FP)の塚越菜々子さんが解説します。
目次
- ベビーシッターをお願いすると何をしてもらえるの?
- ベビーシッターを依頼するための手段は?
- ベビーシッターの依頼にかかる費用は?
- ベビーシッターの料金を想定し、助成制度の活用や家計の見直しを。
- 子どもに手がかかる大変な時期は、ベビーシッターをお願いしてみよう。
ベビーシッターをお願いすると何をしてもらえるの?
ベビーシッターの基本的な仕事は、利用者の自宅で保護者に代わって子どもの保育(お世話や見守り)を行うことです。ただし、ベビーシッターサービスの運営会社やベビーシッター個々人、定期か1回ごとのスポットかなどの利用形態によっても内容が異なります。
また、ベビーシッターサービスに前もって登録しておく、保育中の子どもの食事は保護者が用意しておく、子どもの着替えを準備しておくなど、事前準備が必要な場合もあります。
そのため、ベビーシッターをお願いする可能性があるのなら、まず「どんなときに、どんなことをしてもらいたいのか」という目的を整理し、事前準備だけでなく、お願いできる内容もきちんと確認しておくことが大切です。
次で紹介する依頼できる内容はもちろん、依頼手段や助成制度などもしっかり調べて比較検討しましょう。
子どもの保育。
さまざまな事情で保護者が子どもを見ていられないとき、利用者の自宅で保護者に代わって子どもの保育をします。保護者の不在時はもちろん、テレワークなどで在宅中の場合も見てもらえます。
幼稚園・保育園・学童保育・習いごとなどの送迎。
幼稚園・保育園・学童保育・習いごとなどの送り迎えを保護者に代わって行います。
病気の子どもや病気が治った直後の子どもの保育。
病気療養中や病後で、保育園などへ行けない子どもの保育をします。なお、病気の種類や保育中の服薬の有無などの条件は、ベビーシッターサービスの運営会社やベビーシッター個々人で定められている場合があります。
習いごとの先生。
ピアノや英会話など、ベビーシッター個人の資格や特技を生かした習いごとのレッスンを保育中に行います。
簡単な家事。
子どもの保育にプラスして、ちょっとした掃除や簡単な料理などの家事を行います。
ベビーシッターを依頼するための手段は?
目的にあったベビーシッターを探し、依頼するためにはどうしたらよいでしょうか? ベビーシッターを依頼する手段には、大きく分けて派遣型とマッチング型があります。
派遣型は、運営会社に依頼して、運営会社が利用者の希望に沿うベビーシッターを派遣するタイプ。マッチング型は、利用者がマッチングアプリなどで直接ベビーシッターに依頼するタイプです。それぞれ、次のような特徴があります。
派遣型
運営会社が、自社が運営するベビーシッターサービスに登録しているベビーシッターの中から利用者の条件や要望にあった人を選んで派遣します。利用者は運営会社と契約します。
利用者とベビーシッターの間でトラブルがあったときには、運営会社が間に入るため安心感があります。
マッチング型
ベビーシッターのマッチングアプリや仲介サイトを通して、利用者自らがベビーシッターを探します。契約は当事者同士で行います。トラブルがあった場合も当事者同士で対処します。
なお、厚生労働省「ベビーシッターなどを利用するときの留意点」にもあるように、事前に面談などを行い、信頼してお願いできる人かどうかを自分で判断する必要があるでしょう。
参考:厚生労働省「ベビーシッターなどを利用するときの留意点」
ベビーシッターの依頼にかかる費用は?
ベビーシッターをお願いしたときの基本料金のほか、かかることの多い料金項目を見てみましょう。料金は目安のため、運営会社やベビーシッター個々人によって異なります。
基本料金(保育1時間あたりの料金)。
塚越さんによると、1時間あたりのベビーシッター料金はこのくらいの価格帯が中心になるといいます。
・派遣型:2,000円~3,000円。
・マッチング型:1,000円台前半~3,000円台後半と幅広く、多いのは1,000円台後半。
運営会社やベビーシッター個々人によって、最低利用時間(1回2時間以上など)などが設定されている場合もあります。また、看護師や保育士などの資格を持ったベビーシッターは、料金が高めのことが多いです。
割増料金・追加料金。
休日・早朝・夜間・深夜に保育を依頼する場合、あらかじめ決めておいた利用時間を延長する場合、または複数の子どもを保育してもらう場合などは、割増料金や追加料金がかかります。また、病気の子どもや病気が治った直後の子どもの場合、通常の保育料とは別に料金が設定されていることがあります。
交通費
利用者宅までの交通費や子どもの送迎にかかる交通費は、一律料金もしくは実費精算など、運営会社やベビーシッター個々人によって異なります。
入会金・年会費・手数料など。
派遣型の場合は、入会金・登録料・年会費などがかかる場合が多いです。マッチング型は、ベビーシッターをお願いする段階で、所定の手数料をマッチングアプリや仲介サイトの運営会社に支払うことが多いです。
ベビーシッターの料金を想定し、助成制度の活用や家計の見直しを。
まずはベビーシッターをお願いする頻度を想定して、必要な予算を算出してみましょう。
たとえば、1時間あたり2,000円のベビーシッターを1日6時間、週に1日お願いしたとすると、基本料金だけで月4万8,000円となります。算出したこの料金をベースに、どう捻出したらよいのか検討しましょう。
助成制度や割引を活用しよう。
ベビーシッターをお願いしたときに使える公的な助成制度には、こども家庭庁が主導する「ベビーシッター派遣事業割引券(通称:こども家庭庁ベビーシッター券)」や、自治体によっては独自の制度があります。
こども家庭庁ベビーシッター券は、制度利用の承認を受けている事業主に雇用されている人が、就労を目的としてベビーシッターをお願いする場合に限定されます。利用者は事業主からこの券の交付を受け、ベビーシッターをお願いしたときに利用して料金の補助を受けます。
このほか、福利厚生の一環として、ベビーシッターをお願いする際の補助を導入している企業などもあります。また、保護者が加入している保険やクレジットカードなどの優待サービスの対象となっている場合も。
「ベビーシッターをお願いしたい!」と思ったときは、まず、自分がどんな助成制度や割引を利用できるのか、勤務先や居住地の自治体などの最新情報などをチェックしましょう。
加入している医療保険の給付金を充てる。
保護者自身が入院・手術などをすることとなり、ベビーシッターが必要になるケースもあるでしょう。もし、民間の医療保険に加入していて、かつ保障の対象となる入院をしたり、手術を受けたりなどして、さらに支給された給付金に余裕がある場合は、その一部をベビーシッターの料金に充てることもできます。
優先順位をつけて家計をやりくりする。
助成制度や医療保険が使えない、必要な額が賄えないといった場合、家計からベビーシッターの料金を捻出する必要があります。支出に優先順位をつけてやりくりしましょう。
ただし、今の働き方が、コンスタントにベビーシッターをお願いしないと成り立たない場合は、家計よりも働き方を見直す必要があるかもしれません。
児童手当をベビーシッターの料金に充てる場合。
ベビーシッターが必要になるケースは、子どもが小さいうちがほとんどです。塚越さんは、児童手当をベビーシッターの料金に充てるのであれば、「子どもが4歳になるまで」など、リミットを決めておくべきだと言います。
リミットまでに家計や収入、働き方などを見直し、以降の児童手当は将来の教育資金として預貯金などに回すのがよいでしょう。
子どもに手がかかる大変な時期は、ベビーシッターをお願いしてみよう。
「子どもの面倒は親が見るべき」と思いこむ必要はありません。冠婚葬祭や仕事のためだけでなく、ときには親がリフレッシュする時間のために人の手を借りることも大切です。
塚越さんは、「むしろ、切羽詰まった事情があるときに初めてお願いするよりも、在宅中など少しゆとりのあるタイミングに『お試し』でお願いするのがおすすめ」と言います。子どもとベビーシッターがどんな感じで過ごすのか見ておくと、次に頼むときの安心感にもつながるはずです。
ベビーシッターの料金は、家計にとって一時的には負担になるかもしれませんが、自分たちの心身の健康や、離職せずに仕事を続けるための投資ともいえます。「大切なお子さんを安心して預けられるか」という視点を忘れずに、手がかかる時期はベビーシッターをお願いしてみてはいかがでしょうか。
写真/Getty Images、PIXTA
塚越 菜々子
CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士。税理士事務所に15年間勤務したのち、独立系ファイナンシャルプランナーとして家計や資産運用のサポートを行う。SNSなどで身近なお金について、専門的なことをかみ砕いて発信し、メディア出演も多数。著書に『書けば貯まる!共働きにピッタリな一生モノの家計管理』(?翔泳社)がある。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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