夜泣きはいつから?いつまで続く?原因・対策と心構えを紹介。
これから赤ちゃんを迎え入れる、または生まれたばかりの赤ちゃんを育児中のママやパパにとって、夜泣きは大きな心配事の1つではないでしょうか。先輩ママ・パパに「夜泣きは大変だよ」と話を聞き、覚悟をもって臨んでも「こんなに大変だと思わなかった」というのはよくある話。
そこで、夜泣きがいつごろからはじまるのか、対処法はあるのかといった基礎知識のほか、夜泣きに対する心構えについて、日本小児科学会認定小児科専門医である山中岳先生にお話を伺いました。
目次
夜泣きはいつごろはじまる?期間はどのくらい?
夜泣きがはじまる月齢や夜泣きが続く期間、夜泣きをする時間帯などには個人差があり、中にはほとんど夜泣きの時期がないという赤ちゃんもいます。ですが、多くのママ・パパが赤ちゃんの夜泣きを経験していることでしょう。
生後半年ごろからはじまる夜泣き。
夜泣きとは一般的に、「寝ている赤ちゃんが夜中に急に泣き出し、泣きやませようとしてもなかなか泣きやまない」状態を指します。
授乳間隔が長くなり「やっとゆっくり眠れるようになった……」とホッとした生後半年ごろにはじまることもあり、夜泣きに悩むママ・パパは決して少なくありません。
2歳ごろで終わるケースが多い。
夜泣きは生後半年ごろから、1歳6か月~2歳ごろまで続くケースが多いようです。しかし個人差が大きく、ほとんど夜泣きらしい夜泣きがない場合もあれば、3歳ごろまで続くケースもあります。
また、毎日のように泣くこともあれば、たまにしか泣かないという赤ちゃんもいて、一言で「夜泣き」と言っても個人差が大きいものだと覚えておくといいでしょう。
夜泣きの原因は?
実は、まだ夜泣きの原因は医学的に解明されていません。最近の研究では、赤ちゃんは長い時間眠る力=睡眠力がまだまだ発達途中で、その成長の過程で夜泣きが起こるのではないかと考えられています。
新生児期や乳児期の赤ちゃんは、大人のように睡眠サイクルが確立しておらず、体内時計が1日のリズムをつくる準備をしています。そのため、成長とともに睡眠力が育まれていくと、だんだんと夜泣きの頻度が減り、朝までぐっすりと眠れるようになるのではないかと言われています。
そうした未発達の睡眠力以外にも、以下のようなことが原因で夜中に目が覚めることがあります。赤ちゃんが夜中に目を覚ましてしまったら、まずは以下の項目が該当していないかチェックするといいでしょう。
赤ちゃんが夜中に目を覚ます主な原因
・おなかが空いている
・おむつが汚れている
・寝室が暑くて汗をかき気持ち悪い
夜泣きへの対策。
夜泣きした赤ちゃんを泣きやませる特効薬は、残念ながら存在しません。それでも、基本的な対策をおさえておくだけでも、心がラクになるはずです。
夜泣きに備えてできることはいくつかありますが、ただでさえ大変な子育てです。あまり気負いすぎず、基本的なことだけ気をつければ十分です。
朝日を浴びせる。
体内時計が発達途中の赤ちゃんは、成長とともにそのサイクルが整っていきますが、大人と同じように、朝、太陽の光を浴びて、体を動かすことでも少しずつ1日のリズムができてきます。朝起きたらまずはカーテンを開けて、親子で朝日を浴びましょう。
就寝前は暗めの照明にする。
眠りにつきやすくなるよう、就寝前は暗めの照明にするなど、刺激を減らした環境をつくり、リラックスして過ごさせます。当然のことですが、スマホやタブレット、テレビを寝る直前まで見ているのは、赤ちゃんにも大人にもよいことではないので避けるようにしましょう。
夜泣きと向き合う心構え。
夜泣きは赤ちゃんの発達の過程で起こる仕方のないことですが、ママ・パパにとっては大きな負担になることも。1人で抱え込まず、夫婦が協力することはもちろん、医師や助産師、保育士など、専門家の力もどんどん借りてしまいましょう。
いつかは終わるものと気軽にとらえる。
夜泣きはいつ終わるかわからないものですが、必ずいつかは終わるもの。夜泣きに悩んでいる最中はつらいと感じることがあるかもしれませんが、「いつかは終わる」と気軽にとらえ、気負いすぎないことが大切です。
1人で頑張らない。
夜泣きに対しては、ママとパパで助け合うことが大切です。夜泣きの対応を曜日で分担したり、赤ちゃんと同じ部屋で眠る日、別の部屋で眠る日を分担したり、しっかりと睡眠をとれるようにするのも一案です。
いざとなったら薬を利用する。
何日も夜泣きが続くような場合、医師に相談すれば赤ちゃんが眠りやすくなる薬や漢方を処方してもらうことも可能です。まずは医療機関で受診して、赤ちゃんの夜泣きの様子などを伝えて、相談してみるといいでしょう。
薬の処方の前に適切なアドバイスが受けられ、それだけで夜泣きが改善するケースもあります。ママ・パパだけで悩みを抱えず、一度専門家に相談してみるのがおすすめです。親のストレスや不安が赤ちゃんに伝わることもあるので、親が安心できる状況をつくることが、そのまま夜泣きの改善につながることもあります。
ただし、前述したとおり、夜泣きのための特効薬はありません。
「夜泣きか病気かわからない」と不安になったら「子ども医療電話相談#8000」。
おむつを交換したりミルクをあげたりしても泣きやまず、何時間も泣き続けたりすると、「ひょっとして病気かな……?」と不安になることもあるでしょう。そんなときはできることや考えられることを1つずつ確認していきましょう。
たとえば体温がいつもより高いと感じたら、発熱していないか熱を測って確かめます。赤ちゃんが首などをかいたりこすったりしている場合は、夕飯の献立にアレルギーの可能性がないか確認したり、肌が乾燥していそうならワセリンを塗るなど、考えられる理由に1つずつ対処していきましょう。
多くの場合は、そうしている間に泣きやんで眠ってくれるはずですが、それでも泣き続けていたり、元気がなくぐったりしているように見えるなど、いつもと様子が違っていたりして心配だというときは、「子ども医療電話相談#8000」に電話してみるといいでしょう。
「子ども医療電話相談#8000」は、保護者が休日・夜間の子どもの症状にどう対処したらいいのか、病院で医師に診察してもらったほうがいいのかなど、判断に迷った際に、医師や看護師に相談できるサービスです。子どもの症状に応じた適切な処置や受診する病院のアドバイスなどを受けられますので、困ったときには相談してみましょう。
参考:厚生労働省「子ども医療電話相談事業(#8000)について」
小児科医がよく受ける夜泣きに関する質問。
夜泣きに悩むママやパパはたくさんいます。小児科医がよく受ける夜泣きに関する質問とその答えをまとめました。
泣いたらすぐ対処しないといけませんか?
夜泣きがはじまってもすぐに抱っこしなければいけないわけではありません。赤ちゃんは泣き疲れて寝てしまうことも多いので、引きつけなどを起こさない限りはしばらく様子を見ていても問題ありません。
夜泣きで病院に行ってもいいんですか?
赤ちゃんの夜泣きは、成長の過程において自然なことで、ほとんどの場合、心配する必要がありません。しかし、まれに病気などが隠れていることもあります。
何日もひどい夜泣きが続いたりして心配なときは、かかりつけの小児科医を訪ねたり乳児検診の際に相談したりしてみるといいでしょう。診察や相談を通して、ママ・パパの心強い味方になってくれるはずです。
昼寝を短くしたら夜泣きが減ったりしませんか?
昼寝は足りない睡眠を補う必要な行為ですので、十分にさせてあげてください。ただし、特に夕方に眠くなってしまった場合は、あまり長く寝かさないほうが夜に寝やすくなるはずです。
夜泣きは発達に影響が出たりしませんか?
夜泣きが原因で発達に影響が出ることはほとんどありません。
まわりの専門家も頼りながら、子育てを楽しんで。
先輩ママやパパから「夜泣きは大変だよ!」と聞かされたり、インターネットの情報などで、夜泣きに苦労したというエピソードを見たりすると、どうしても不安になったり、心配が増えたりするのは当然のことです。でも必要以上に不安がっていると、その気持ちは一緒にいる赤ちゃんにも伝わってしまいます。
「第1子のときは夜泣きに苦労したけれど、第2子以降はあまり大変じゃなかった」というのもよく聞くケース。夜泣きに対するママ・パパの経験値も、赤ちゃんと一緒に少しずつ成長していくものです。必要以上にナーバスにならないように専門家に相談したりしながら、この時期を乗り越えていってくださいね。
写真/PIXTA イラスト/オオカミタホ
山中 岳
日本小児科学会小児科専門医・指導医、日本小児神経学会小児神経専門医・指導医。子どもの心身の成長に向き合う現場を20年以上経験するドクター。豊富な経験と知識をもとに、それぞれの子どもに寄り添った診察を心がけている。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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