妊娠・出産時が分岐点!?山田ルイ53世と考える男性の心構え〈妊娠編〉。
初めての妊娠・出産時は、夫婦がこれから新しい家族を迎えるという幸せいっぱいのとき。とはいえ、男性側が対応を誤ると、その後の夫婦関係に影響を与えるとも言われています。
そこで、小学5年生と4歳の2児の父であり、パートナーの妊娠・出産を経験した髭男爵・山田ルイ53世さんと、産婦人科医として多くの妊産婦さんの悩みに応えてきた笠井靖代先生のおふたりに、妊娠・出産時の基礎知識や男性側がサポートすべきこと、すれ違いが起きないコツについて語り合っていただきました。前半は「妊娠編」です!
〈その一〉パートナーの妊娠中は、いたわりすぎるほどいたわるべし!
笠井:上のお子さんは小学5年生だそうですね。奥さまが初めて妊娠された当時はどのような生活環境だったのですか?
山田:2008年くらいに「ルネッサ~ンス!」のネタでガーッと売れて。そこから見栄を張って、ものすごい家賃の高いところに住んでいたんですよ。それから4年ほど過ぎて、「私は一発屋」という状態を飲み込む時期にちょうど長女を授かったので、仕事も生活も見直そうと思いました。
笠井:妊娠を機に生活を見直されたのはいいですね。具体的にはどのようなことをされたのでしょうか?
山田:まず、子育てがしやすい環境に引っ越しました。そして一切飲みに行かなくなりました。僕、「ほんまに芸能人か?」っていうくらい社交性のない男なんです。
あとは僕なりに家事を分担して、買い物も掃除もやるようにしました。一方で「子どものためにもこれまで以上に稼がなければ」という気持ちも湧いてきて、何でもやろうと地方の仕事も飛び回っていましたね。今思えば、なるべく家にいて家事をもっとやっておけばよかったなと。
笠井:そうですね。女性は妊娠することで赤ちゃんをおなかの中で育てるために体が急激に変化しますし、特殊な生理状態になりますから、できるだけ負担を減らしてあげてほしいです。
山田:それは病気のような状態という意味ですか?
笠井:病気ではないですが、心も体も普通の状態ではないと思って、気遣いしたほうがいいですね。というのも、赤ちゃんは10か月かけて平均2.5kg~3㎏に成長しますが、胎盤と羊水を合わせて7㎏ぐらいの内容物がお母さんの子宮の中に入っていることになります。
また、赤ちゃんを育てるために、全身に流れる血液の量も約1.5倍に増えます。そのため、今まで健康で、血圧や耐糖能(血糖値を正常に保つためのブドウ糖の処理能力)にまったく問題のなかった人でも妊娠すると、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を発症することもあるんです。
山田:そんな負担があったとは! たしかに妻のおなかが重たそうだなぁと思っていましたし、妊娠中はずっと「腰が痛い、骨盤まわりがしんどい」って言っていました。
でも僕は、腰をさするとか重いものを持ってあげるくらいしかできなくて。本当はどういう配慮をすればよかったんですか?
笠井:そうやって何かしてあげたいという気持ちはとても大事です。あとはやっぱり相手を理解しようという姿勢が大切ですし、今どういうところで困っているのかを率直に聞いてあげることだと思います。
山田:なるほど、聞く姿勢ですね。でもあんまりしつこく聞くと、「なんでわからへんの?」ってイラッとされるときもありますけど(苦笑)。
あと僕、妻によく「大丈夫?」って聞いていましたが、妻も僕に気を遣って「大丈夫だよ」と言うので、本当に大丈夫なのかわからなかった気がします。
笠井:そういう場合、「今はどういう状態なの?」と、具体的に聞いてみてはどうでしょうか? あとは夫婦といっても元々は他人ですから、思いやりのある言葉は欲しいですよね。
山田:その点では、けっこう頑張ったという自負があるんですよね。夜中に妻がおなかが痛くて苦しんだときとか、僕が思いやりのある言葉をかけている名シーンとか自分なりにはいっぱい浮かぶ。ただ妻的には、そこの記憶は何倍速もの速さで飛ばされていて……。その代わり、ネガティブなシーンに限って、「あのときあなたはこうだった」ってずーっと覚えてるんですよね。
そう考えると、本当にいたわりすぎるほどいたわって、損はないと思います。妊娠・出産時期の対応が、結婚生活のその後全般に影響を及ぼすかもしれませんしね。
〈その二〉つわりの時期を過ぎたら夫婦で食生活を見直すべし!
山田:つわりの時期、妻がフライドポテトとメロンパンばかり食べていた記憶が……。はたしてあれでよかったのですか?