食費を抑える方法は?買い物や保存のコツなど節約アドバイザーが解説。
物価高の影響もあり「毎月の食費がかさんで大変!」「食費を抑える方法があれば知りたい」という方もいるかもしれません。なかなかできないという方でも、毎日のちょっとした工夫で食費の節約が可能です。無理なく楽に節約できる食材の買い方や調理、保存にまつわる節約方法について、節約アドバイザーの和田由貴さんに話をうかがいました。
目次
今すぐできる食費を抑える方法:買い物編。
食費を節約するためにまず心がけたいのは、買い物の仕方です。
食費の予算を3:1に分ける。
毎月の食費を決めても月末に足りなくなったり、お米や調味料のまとめ買いで予算オーバーになったりする人も多いのではないでしょうか。解決策として和田さんは「予算を3:1に分けましょう」とアドバイスします。
「月に4万円の予算なら3万円と1万円に分けます。3万円は肉や魚、野菜や牛乳、卵など日々消費する食材を買う予算。日割りして1日1,000円とし、“今日は3日分の買い物だから3,000円”などと、1回で使うお金を決めておきます。1万円はお米や調味料、缶詰、乾物などの“ストック食材”を買う予算にします。きっちり分けておけば、予算オーバーしにくくなります」(和田さん)
その日の特売品で献立を考える。
あらかじめ食材リストをつくってから買い物に行くと、目当ての食材が高かったりちょうどいい量のものがなくて買いすぎたりと、かえって無駄が多くなりがちです。その日の特売品や鮮度がいいものを選び、そこから献立を組み立てると無駄がなくスムーズです。
スーパーの買いまわりは肉・魚売り場から。
スーパーマーケットでは入り口付近に野菜や果物があり、ぐるっと回遊して肉・魚売り場がある店舗が多いのですが、「まずは肉・魚売り場でメインの食材を決めてから、野菜売り場に戻りましょう」と和田さん。献立の中でもメイン料理の食材がもっともコストがかかるため、安くてよいものを選んでから副菜などを決めるパターンが、食費を抑えるためのポイントです。
ネットスーパーも上手に利用。
ネットスーパーのよいところは、買い物かごに入れたら正確な金額をすぐに計算してくれるところです。
「リアル店舗のように、会計時に『あれ、意外と高い!』と感じることもなく、取捨選択しながら選べるので“無駄買い”が少なくなります。お米や調味料など、買いたいけれど重いものがたまったタイミングで利用すると、送料が無料になる金額に達する場合もあるので上手に利用しましょう」(和田さん)
使いきれる量だけを買う。
丸ごとのキャベツや白菜などは、カットされたものよりも割安。でも使いきれなかったら無駄な買い物になります。きちんと使いきれるかどうかよく考え、ときにはすぐに使いきれるカット野菜や、長く使える冷凍野菜なども活用しましょう。
今すぐできる食費を抑える方法:調理・ストック編。
和田さんによると、「家庭から出る食品ロスを減らすことが食費を抑える第一歩」とのこと。「年間1人あたりの食品廃棄量は38㎏。これは全国民が毎日おにぎりを1個ずつ捨てているのとほぼ同じです」と和田さん。購入した食材を無駄にしないように、上手な調理法やストックの仕方を心がけましょう。
参考:消費者庁「食品ロス削減参考資料 2024年6月21日版」
今ある食材から何をつくるか考える。
食品ロスを減らすには、食材を使いきることが大切。「冷蔵庫にこの食材があるから、何がつくれるかな?」と、スマホなどで食材名を入力してレシピを“逆引き”するのがおすすめです。
肉や魚は野菜を加えてボリュームを出す。
料理はシンプルであればあるほど単価が高くなるもの。魚を焼いただけ、肉を焼いただけだと、単価は高いけれど見た目が寂しくなりがちです。
「魚なら野菜をたっぷり使ったあんかけやホイル焼き、肉なら唐揚げを野菜や豆腐などと一緒に“揚げ出し”にするなどの工夫をするといいですよ。いろいろな食材を取り入れることでボリューム感が出て満足度があがるだけでなく、見栄えも栄養バランスもよくなります」(和田さん)
ダイレクトフリージングで無駄なく野菜を使う。
ダイレクトフリージングとは、野菜に火を通さず生のまま冷凍する保存法のこと。生で食べるトマトやレタスなど以外、たいていの野菜はそのまま冷凍保存できます。調理しやすい大きさに切って冷凍用保存袋に入れて冷凍しておけば、凍ったまま調理できて時短にもなります。
ほうれん草や小松菜、白菜、キノコ類など、特売でまとめ買いしたら傷まないうちに冷凍してしまいましょう。
参考:農林水産省「簡単な「冷凍ワザ」で、野菜を新鮮に!おいしく!」
合わせ調味料は使わない。
ドレッシングや「○○のたれ」「○○の素(もと)」などの合わせ調味料が使いきれずに残っていないでしょうか。和田さんもそんなご家庭をたくさん見ているようです。
「テレビや雑誌などの節約企画で一般のご家庭に伺うと、節約が苦手だというご家庭ほどドレッシングや合わせ調味料がたくさん冷蔵庫に入っています。割高なうえに、使いきれずに賞味期限切れになっているケースも。これらは基本の調味料を組み合わせればつくれるので、よほど気に入っているもの以外は買わないほうがベターです」(和田さん)
調味料のストックは1つだけ。
マヨネーズやケチャップ、ソースなどの調味料は常に1つだけストックをしておくのがコツ。使いきってストックの封を開けた段階でまた次を買うサイクルにすると、無駄に買ってしまうことを防げます。
食費ってどのくらいに抑えればいい?
具体的に食費はどのくらいまでに抑えるのが理想なのか、和田さんに伺いました。
単身世帯、2人以上世帯の平均。
単身世帯(1人暮らし)の1か月の食費の平均は4万2,049円、2人以上世帯の平均は8万1,738円です。年収ごとの平均をみると、単身世帯も2人以上世帯も、おおむね収入が多いほど食費にお金をかける傾向があることがわかります。
以下の参考に掲載のデータをもとに、ミラシル編集部にて作成
参考:
総務省統計局「家計調査 家計収支編 第5表 年間収入階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出」単身世帯(2023年)
総務省統計局「家計調査 家計収支編 第2-3表 年間収入階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出」全国・二人以上の世帯(2023年)
食費は手取りの20%以内が目標。
1か月の食費の目安について、「まずは手取りの20%以内に抑えるのが目標。15%以内に抑えられたら節約成功、という印象です」と和田さんはアドバイスします。
「1人暮らしの場合、手取りが20万円であれば、食費は毎月4万円くらいまで。3万円以内なら、相当節約できているというイメージです」(和田さん)。まずは20%以内を目安にしてみては?
【まとめ】まずは食材の使いきりを。前向きに取り組もう。
食費を抑えるというと、食材を安く買うなどできるだけお金を使わないことを思い浮かべてしまいますが、「家庭内でのロスを少なくすることが節約への近道」と和田さんは強調します。まずは買った食材をきちんと使いきり、無駄にしないことが食費を抑える第一歩。かかっている食費を見直しつつ、前向きに楽しく取り組んでみてくださいね。
写真/Getty Images、PIXTA
【監修者】和田 由貴
日本女子大学家政学部卒業。消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザー、食生活アドバイザーなど、幅広く暮らしや家事の専門家として多方面で活動。「節約は、無理をしないで楽しく!」がモットーで、日常生活に密着したアドバイスを得意とする。耐える節約ではなく快適と節約を両立したスマートで賢い節約生活を提唱している。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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