固定費の節約は取り組みやすいものから!目指せ年間10万円節約!
日々の節約に取り組むうえで、細かい節約術を駆使するよりも先に見直したいのが住居費や光熱費、通信費などの「固定費」です。その理由や具体的な方法について、日々の暮らしの節約ノウハウに詳しい節約アドバイザー和田由貴さんに話を伺いました。
※ 本記事で提示する節約金額は目安の金額です。実際に節約できる金額は個人の状況によって異なります。
目次
- 固定費を節約する効果は大きい。
- 節約する固定費の見つけ方。
- 【取り組みやすさ◎】まずはこの固定費から再検討。
- 【取り組みやすさ◯】少しの作業で効果が出る固定費。
- 【取り組みやすさ△】まだ減らせる!もうひとがんばりの固定費節約方法。
- 細かい工夫で固定費を節約する。
- 【まとめ】固定費の主な節約の目安。
固定費を節約する効果は大きい。
固定費は家賃や光熱費・通信費・車の維持費など、まとまった金額の支出が多く、毎月の支払いが少額であっても、年間単位で考えると大きな金額になっていることも。一度削減すれば大幅な節約が可能になります。
家計の主な固定費。
固定費は、主に下記の項目に分けられます。
固定費の項目 | 内容 |
住居費 | 家賃、マンションの共益費・管理費、修繕積立金、住宅ローンなど |
水道光熱費 | 電気・ガス・水道料金 |
通信費 | 携帯電話・スマートフォン料金、インターネット料金(プロバイダ利用料・回線使用料)など |
月会費・年会費 | 習い事やジムの月謝、動画配信・音楽配信・雑誌読み放題アプリなどのサブスクリプションサービス料、クレジットカードの年会費など |
自動車維持費 | 自家用車のローン、損害保険料、駐車場代、車検代など |
固定費節約のメリット。
「節約の大敵はストレスです」と和田さんは言います。欲しいものが買えない・遊びに行くのを我慢するなどのストレスがかかると、節約は長続きしないもの。
「食費や交際費、レジャー費などの変動費の節約は、毎月意識して取り組む必要があるのでストレスがかかりやすいです。それに対して固定費は、たとえばスマホの料金プランを一度見直すだけでその後は毎月何千円もの節約になり、ストレスがたまりにくいというメリットがあります」(和田さん)
固定費節約の考え方。
固定費の節約は料金プランを比較検討したり、解約方法を調べたり、新たに申し込みの手続きをしたりと、大なり小なり手間がかかります。また、固定費を最初から「減らせない出費」と考え、それ以外の残額でやりくりしなければいけないと思い込んでいる人も多いようです。
「面倒くささと思い込みをなくさないと、固定費節約はうまくいきません。また、住む場所や人それぞれの状況によって必要な固定費は変わるので、『1人暮らしの家賃の全国平均は◯万円』といった平均値に惑わされないようにしましょう」(和田さん)
節約する固定費の見つけ方。
どんな方法で節約する固定費を見つけていけばいいのでしょうか。和田さんにポイントを伺いました。
支払明細で想定外の支出をチェック。
金融機関での口座振替のほか、クレジットカード決済、携帯電話会社のキャリア決済など、今はいろいろな支払方法があります。これらの明細は毎月必ず確認するくせをつけましょう。解約できていなかったサブスクリプションサービスや、意外と高い光熱費など、想定外の出費に気づけるかもしれません。
「本当に必要?」と考える。
最初に「本当に必要な固定費なのか」を考え直すことが大切です。ほとんど通えていないジムや習い事、使っていないサブスクサービスはもちろん、家計を圧迫している固定費があるなら大幅な見直しや解約、または手放すことも考えましょう。
「もっと安くできない?」と考える。
必要な固定費について、「もっと安くできる方法はない?」と考えます。各種プランの見直しはもちろんのこと、家賃の安い物件に住み替えたり、省エネ性能の高い新型の家電製品に買い替えたりすることは、初期費用こそかかりますが、数年単位で考えると住居費や水道光熱費の大幅な節約になる場合もあります。
【取り組みやすさ◎】まずはこの固定費から再検討。
固定費節約の取り組みやすさを3つのレベルに分けました。まずは取り組みやすいところからはじめましょう。
スポーツジム・習い事【月間約1万円節約】
「最近行っていないな」「お金がもったいないな」と考えるようなら見直しの対象です。
「心理学でコンコルド効果と言いますが、『お金を払い続けてきたのだから元を取るまで解約できない』と考えてしまうのはNGです。通えていない、効果を感じていないなどがあればそのタイミングで解約しましょう」(和田さん)
サブスクリプションサービス【月間約600円~2,000円節約】
なんとなく払い続けている、利用頻度の低いサブスクも見直しの対象です。
「迷うようなら、1回あたりのコストを計算してみましょう。たとえば月額1,000円の動画配信サービスに加入していて、忙しくて月に映画1本しか見ていないなら1本=1,000円。高いと思うなら解約するべきです。サブスクは入会金や解約時のペナルティがないものがほとんどなので、試しに1回やめてみるのもおすすめです」(和田さん)
【取り組みやすさ◯】少しの作業で効果が出る固定費。
ここで取り上げる項目は、別の契約の支払先・連絡先に設定していないかを確認する必要があるなど、少し手間はかかりますが、節約効果の高い固定費です。
クレジットカードの年会費【月間約500円~5,000円節約】
長年使い続けてきたクレジットカードでも、「年会費が高い」「特典内容が今のライフスタイルに合わない」などの理由があるなら見直しの対象です。年会費無料でポイント還元率が高い、または付加サービスの内容がよいカードもいろいろと出ているので、比較検討しましょう。
スマホの回線を格安SIMに変更する【月間約4,000円節約】
大手の通信事業者(通信キャリア)で、過去に契約したプランのままでずっとスマホを使い続けているなら、ぜひプランの見直しをしましょう。また、大手通信キャリアよりも安い料金で契約できる「格安SIM」にすると、月間数千円の節約が可能です。
【取り組みやすさ△】まだ減らせる!もうひとがんばりの固定費節約方法。
住居費や車の維持費の見直しは、手続きに手間はかかりますが、固定費節約効果が抜群です。
住居費【月間1万円以上節約】
固定費の中でも大きな割合を占め、月額数万円単位で大きく節約できるのが住居費です。職場が変わった、リモートワークが増えたなどの理由で家賃が安い地域に引っ越しを考える、住宅ローンを借り換えるなどの方法があります。
車の維持費【月間約4万円節約】
普段あまり車に乗らないという人は、思い切ってカーシェアリングに切り替えてもいいでしょう。複数台所有している人は、1台手放すだけでも大幅な節約になります。
「私も今では車を手放して、カーシェアリングにしました。15分単位で好きな時間だけ借りられるので便利ですし、近年高くなったガソリン代を払わずに済み、もちろん維持費もかかりません。旅行時も現地で車を調達するので渋滞のストレスがなく快適です。生活が快適になるので迷われている方にはおすすめです」(和田さん)
細かい工夫で固定費を節約する。
これまで、固定費として見直すべき項目を紹介してきました。ここでは、固定費を節約するために有益なノウハウをお教えします。
省エネ家電に変更して電気代を節約する。
古い家電を長年使っている場合は、省エネ家電に買い替えたほうが電気代の大幅な節約につながります。最近では省エネ家電購入に補助金を給付する自治体もあるので、確認してみましょう。
ネットバンキングの活用で振込手数料をゼロに。
賃貸住宅の家賃の振り込みなど、毎月の振込手数料がかかる場合は要注意。毎月440円かかるとすると、1年で5,280円もの出費になります。振込手数料ゼロのネットバンキングを活用する、振込先と同じ銀行・支店口座を開設するなどの方法で対処しましょう。
電気・ガスの料金プランを見直す。
同じ電力会社やガス会社でも、「昼間によく電気を使う」「夜間・深夜帯によく電気を使う」「特定のガス機器を持っている」など、条件に応じて安くなるプランがあります。公式ホームページからシミュレーションできる会社もあるので、検討してみるといいでしょう。
ダメ元で交渉もあり。
金額が大きい住居費は、交渉次第で大幅な減額も可能だと和田さんはアドバイスします。
「賃貸住宅では、2年に1回の更新時に不動産会社に交渉すると、家賃を下げるか更新料を値引きしてくれることも。また、知人は銀行窓口で住宅ローンの借り換えの相談をしたところ、その場で安い金利に変更してくれたそうです。ダメ元でもまずは交渉してみることをおすすめします」(和田さん)
【まとめ】固定費の主な節約の目安。
本記事で紹介した節約できる固定費の目安を一覧表にまとめました。表を参考に、ぜひ固定費の見直しに取り組んでみてください。節約できたお金を貯金や投資、はたまた趣味の費用など、自分が一番幸せになれるところに回せるといいですね。
項目 | 節約内容 | 節約の目安(月額) |
住宅ローン | 金利2%から1%の住宅ローンに借り換えした場合 (ローン期間10年、残高1,000万円のとき) | 約4,000円 |
振込手数料 | 大手金融機関から他行への振り込みを、ネットバンキングで無料にした場合 | 約440円 |
通信費 | 大手キャリアから格安SIMに変更した場合 | 約4,000円 |
スポーツジム・習い事 | 解約した場合 | 約1万円 |
サブスクリプションサービス | 動画配信1社のサービスを解約した場合 | 約600円 ~約2,000円 |
クレジットカード年会費 | 年会費ありから無料に変更した場合、年会費を月単位に換算 | 約500円 ~約5,000円 |
自動車維持費 | 自動車1台を手放した場合 | 約4万円 |
写真/Getty Images、PIXTA イラスト/こつじ ゆい
【監修者】和田 由貴
日本女子大学家政学部卒業。消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザー、食生活アドバイザーなど、幅広く暮らしや家事の専門家として多方面で活動。「節約は、無理をしないで楽しく!」がモットーで、日常生活に密着したアドバイスを得意とする。耐える節約ではなく快適と節約を両立したスマートで賢い節約生活を提唱している。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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