無駄遣いをしない方法ってある?見直しのポイントをFPが解説。
「なんで買ってしまったのか……」と後悔するもの、あるのではないでしょうか。ついやってしまう無駄遣い、しない方法があれば知りたいと思いますよね。そこで、ファイナンシャルプランナー(FP)の氏家祥美さんに、無駄遣いをなくすコツを伺いました。
目次
無駄遣いってどういうもの?
「無駄遣い」とは、自分にとって本来必要のないものに、お金を使うことです。夜、寝るときに「今日、何にお金を使ったかな?」と考えて、すぐに思い出せる支出と思い出せない支出がありませんか? なかなか思い出せなかった支出は今、必要のない無駄遣いだった可能性が高いです。無駄遣いは「記憶に残らない支出」であり、「満足度の低い支出」でもあります。
無駄遣いしがちな人の行動パターン。
どれが無駄かはライフスタイルや価値観によって異なりますから、一概にはいえません。しかし、「無駄遣いしがちな人の行動パターン」というものはあります。以下のリストに心当たりがある人は、使わなくてもいい余計な支出をしている可能性があります。
共通するのは、ほかの人や環境に影響され、流されて消費してしまう、という点です。私が家計相談を受けてきた経験から、無駄遣いしがちな人の購買傾向をあげてみました。
たとえば、ネットショッピングで一目ぼれして買ったセーターも、結局、「やっぱり似合わないかも」と一度も着なかった経験はありませんか? または「こんなの、あったっけ?」というしまい込まれたバッグなど。そんな経験が多いなら、もしかしたら無駄遣いしがちな人かもしれません。
無駄遣いを見直す方法。
無駄遣いを見直すには、「自分にとって」必要なのかどうかを冷静に判断し、「自分軸」を持つことが重要です。そのためには、何にお金を使っているのか、自分の消費傾向を知ることが第一歩。そして、必要であれば日々の行動から変えてみましょう。
支出を知る。
自分はどのくらい、無駄遣いをしているのか? 支出の実態を把握することからはじめましょう。支出の項目には次のようなものがあります。
以下の参考をもとにミラシル編集部にて作成
参考:総務省統計局「統計学習の指導のために」補助教材 家計調査の見方・使い方 家計調査とは?
いかがでしょう。「50%オフ」の言葉にひかれてつい買ってしまったアクセサリー・洋服などはありませんか? 記憶に残らなければ、お金を使ったことさえ忘れているかもしれませんね。
家計簿をつければ一目瞭然ですが、「家計簿をつける」という行為自体ハードルが高く、その時点で挫折してしまう人も少なくないでしょう。レシートを撮影するだけ、あるいは、銀行口座やクレジットカードと連携させるだけといった家計簿アプリも出ていますので、こうしたツールを使いながら、無駄遣いを見つけてみてはいかがでしょう。
なるべく楽をしたい、面倒なことは一切したくないという方は、まずは、ご自身の銀行口座やクレジットカードの明細を確認しましょう。その中に、「なんだこれ?」「これはいらないかも?」というものがあれば、それがあなたの無駄遣い見直しポイントかもしれません。
行動を見直す。
あらためて振り返ると、意外と無駄な支出が多いことにがっかりするかもしれません。
しかし、「自分にとって大切なもの」を明確にしておけば落ち込まなくても大丈夫! たとえば楽しみにしていたイベントはどれだけコストがかかろうと満足度が高いもの。それは自分にとって必要なものですから、無駄遣いではありません。
一方で、人に誘われて仕方がなく参加した飲み会やイベントなどは自分にとって不要かもしれないもの、つまりは「無駄遣い」ということになります。
ネットでの衝動買いも同じです。いくら無駄になっているのか、明細などでその金額を可視化すると「もったいない!」の気持ちが育まれ、無駄遣い防止につながります。
予防策としては、カートに入れてすぐに決済しないで一晩寝かせて、それでも欲しかったら後日買うというのはどうでしょう。気持ちが落ち着くと、自分にとって必要なものか冷静に判断できると思います。
無意識に支払っているお金を洗い出す。
動画・音楽の配信サービスや、雑誌・マンガの読み放題サービスなどのサブスクリプションサービスは、うまく使えば、お得で便利なものです。
しかし登録初月無料だからと申し込んで、そのままになっているものはありませんか? ログインもしていないから、使っている意識すらなくなっているかもしれませんが、毎月、確実にクレジットカードから引き落とされています。
動画・音楽配信サービスの料金は月額600円~2,000円程度。ひとつひとつは少額かもしれませんが、積もり積もると見過ごせない額になります。
インターネット環境も同じです。スマートフォンはデータ通信無制限プランにしているけれど、実は、家に光回線を引いていてWi-Fiがある。あるいは、ほかの通信機器も家でほとんど使わないなら、Wi-Fi自体、必要ないかもしれません。家のWi-Fiをやめれば4,000円前後の節約になることも。スマホやネットなどの通信費は毎月出ていくだけに、思い切って見直すと、大きな節約になります。
すぐにはじめられる無駄遣いをしない方法。
「無駄遣いをなくそう!」と意気込んで何かを大きく変えようとすると、「面倒くさい」という気持ちが大きくなっていきます。手軽にできることからはじめましょう。
誘惑への接触回数を減らす。
誘惑に弱い人は、誘惑に触れる回数を減らすと、我慢しないで節約できます。ついつい、コンビニで不要なものを買ってしまう、スーパーで買いすぎてしまうという人は、コンビニやスーパーに行く回数を減らしましょう。
お金を使う場所に行くのは、「買うべきもの」があるときだけ。そして、買い物に行くときは、「買い物リスト」をつくるのがおすすめです。必要なタイミングで必要なものだけを買う習慣をつけましょう。
アプリを消去する。
アプリを入れていると、クーポンや割引サービスの通知が来て、心がひかれますよね。「必要だから買わなきゃ」と思っていたものがクーポンで安く買えるのであれば、お得な買い物です。でも、「クーポンがあるから買おう」というのは無駄遣いにつながります。
「クーポンを使うとお得な気がする」が、いつしか、「クーポンを使わないと損した気がする」になってしまっていることも。思い切って、アプリをスマホから消去してしまうのもひとつの方法です。
支払い方法をシンプルにする。
支払い方法は基本、まとめることをおすすめします。お金の出どころが分散すると、全体を把握しにくくなります。たとえば、ポイントや割引にひかれて、スーパーやコンビニごとにクレジットカードやスマホ決済を使い分けていると、一見お得ですが、「食費」としての全体像が見えにくくなり、無駄遣いにつながります。
1枚のクレジットカードに一本化してアプリで確認できるようにする、あるいは、デビットカードしか使わないなど、一元管理するのがおすすめです。
お金の使い方にメリハリをつける。
無駄遣いをやめようと、なんでもかんでも我慢するとストレスがたまってしまいます。その反動から高価な、それでいて大して欲しくもないものを買ってしまって大後悔! というのは、私の経験から感じる節約の失敗“あるある”です。
自分をハッピーにしてくれるものにお金を使うことは、決して無駄遣いではありません。ほかで節約したぶん、趣味のお金は予算を多めにとるなど、メリハリをつけましょう。
たとえば自分の欲しいものをリスト化し、記念やお祝いのタイミングで買うのもいいでしょう。欲しかったものを手に入れることができますし、ご褒美感もあるので節約生活をがんばるモチベーションにもなります。
【まとめ】無駄遣いの見直しは価値観の見直し。
自分がハッピーになるためにかけるお金、あるいは、自分の将来のために使うお金は決して無駄遣いではありません。
一方で、「人気だから」「安いから」という理由だけでなんとなく買ったものは満足度も低いのでは? 場合によっては「買わなきゃよかった」と後悔することもあるでしょう。
大切なお金で、わざわざ後悔を買うなんて、あまりにももったいなさすぎます。無駄遣いを考えることは、ご自身の価値観を見直すことでもあります。自分にとって大切なもの・ことを考え、それを優先し、意味のあるお金の使い方を見つけていきましょう。
写真/Getty Images
【監修者】氏家 祥美
FP事務所ハートマネー代表。ファイナンシャルプランナー。「幸福度の高い家計づくり」をモットーに、2005年よりFP相談を行う。ストレスなくためられる「家計のしくみづくり」が好評。大学の非常勤講師やキャリアコンサルタントとしても活動している。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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