「脳疲労かも」と思ったら。今日からできる回復方法を専門家が解説。 「脳疲労かも」と思ったら。今日からできる回復方法を専門家が解説。

「脳疲労かも」と思ったら。今日からできる回復方法を専門家が解説。

投稿日:
#健康
お気に入り
     

忙しさに追われる毎日。頭がぼーっとしたり、なかなか集中できなかったりと、脳疲労を感じても「少し休めばすぐに回復するだろう」となんとなくやりすごしていませんか? その脳疲労、溜めたままにしておくと健康に悪影響が出るかもしれません。

でも、いつもの行動を少し変えてみるだけで、脳疲労の状態から回復できます。脳疲労の回復方法とそのポイントから、そもそも脳疲労とはどのような状態なのか、放置しておくとどのようなリスクがあるのかまで、疲労と睡眠に詳しい医師・梶本修身先生にお聞きしました。

目次

脳疲労とは、どのような状態?原因は?

脳疲労とは、どのような状態?原因は?

「脳疲労」と聞くと、「頭の使いすぎ」が原因だと思う方も多いでしょう。しかし、実は脳疲労の原因は脳だけではないのです。では、脳疲労の原因とは何なのか、そもそもどのようなしくみで引き起こされるものなのか、詳しくご説明しましょう。

脳疲労が引き起こされるしくみ。

脳疲労の発生には、脳の自律神経の中枢が大きく関わっています。

脳の自律神経の中枢は、筋肉・目・心臓・胃腸など、体の各部位を正常にコントロールする役割を担っています。仕事をしたり、運動したり、食事をしたりして、体の各部位を働かせると、コントロールセンターである自律神経の中枢はどんどん疲弊していきます。

疲弊した自律神経の中枢は、自らを休ませるために「疲れた。休ませて」というシグナルを体の各部位に送り、活動を一時的にストップまたはペースダウンさせます。

すると、人は体にぐったりとした感覚、つまり「疲労感」をおぼえます。これが「脳疲労」が引き起こされるしくみです。

「頭の使いすぎ」だけではない!脳疲労を引き起こす原因。

脳疲労を感じるとき、その原因を「頭の使いすぎ」だと思う方もいるかもしれません。

ですが、先述したように、脳疲労とは体も含めた各部位をコントロールする自律神経の中枢の疲労に起因するもの。仕事や勉強だけではなく、運動、食べすぎや飲みすぎ、睡眠不足など、ありとあらゆる原因が脳疲労につながっているのです。

それに加えて、現代に生きる私たちは、スマートフォンやパソコンから膨大な情報を受け取って日々生活し、人間関係や社会システムもますます複雑化しています。現代人は、情報過多とストレスで、よりいっそう脳疲労を起こしやすい状態におかれているといえるでしょう。

その脳疲労、放っておいて大丈夫?自分の脳疲労度を知ろう。

その脳疲労、放っておいて大丈夫?自分の脳疲労度を知ろう。

現代社会を生きる人は、みんな大なり小なり脳疲労を抱えています。問題は、それを日々解消できているか、それとも解消できずに溜めこんでいるかです。「そのうち回復するだろう」と溜まった脳疲労を放置していると、思いがけない症状に見舞われることがあります。ここで、自分の脳疲労度と放置するリスクについて確認しておきましょう。

【チェックリスト】あなたの脳疲労度をチェック!

脳疲労が溜まっているサインは、日々の気分や体調に現れることがあります。下記のチェックリストで、ご自身の脳疲労度をチェックしてみましょう。

●脳疲労度チェックリスト

□起床4時間後の時点でも眠気やだるさを感じる

□ふとんに入ると5分以内に眠っていることが多い

□食欲が異常に増加したり、減少したりと不安定

□環境は変わらないのに急に暑さを感じたり、逆に寒く感じたりする

□ささいなことでイライラする

□仕事や勉強に集中できず、すぐに飽きてしまう

□友だちとの会食など、楽しいはずのイベントをめんどうに感じる

□ふだん歩いている距離なのに、バスやタクシーを使いたくなる

2個~3個:軽度の脳疲労の可能性があります。疲労を溜める行動をしていないか、ご自身の生活を少し振り返ってみましょう。

4個~5個:要注意。中等度の脳疲労の可能性があります。すぐに生活の改善を! 後述する脳疲労の回復方法を、ぜひ実践してみてください。

6個以上:危険レベル! 今の状態が長引く場合は、医療機関を受診することをおすすめします。

脳疲労を放置するリスク。

「脳疲労を感じているのは今だけで、そのうち回復するだろう」と、疲労を放っておいてしまっている方も少なくないのでは?

しかし、脳疲労の放置は危険。先ほどのチェックリストの項目にあるような状態が続くと、やがて倦怠感、頭痛、めまい、耳鳴り、嘔吐、睡眠障害など、自律神経失調症の症状が起こる可能性があります。

さらには、高血圧症、糖尿病、心筋梗塞などの生活習慣病や、うつ、認知症、がんなどを発症するリスクも上昇。自律神経の中枢の細胞もダメージを受け、老化の進行にもつながるのです。

今日から改善!脳疲労を溜めない&回復させる方法を解説。

脳疲労度チェックリストの項目が、たくさん当てはまってしまった方もご安心を。日ごろの行動を少し変えてみるだけで、脳疲労を溜めにくくしたり、回復させたりできます。通勤時から帰宅後まで、すぐに取り組める脳疲労を溜めない&回復させる方法をまとめてみました。ぜひ今日から役立ててみてください。

通勤時:好きな音楽やラジオを聴く。

通勤時:好きな音楽やラジオを聴く。

通勤時におすすめの行動は、軽く目を閉じて、好きな音楽やラジオを聴くこと。

通勤電車の中では、スマートフォンでニュースやSNSをチェックするのが習慣という方も多いでしょう。ですが、スマートフォンの画面を見ることは、視覚から入ってくる情報を処理するために、脳に多くの仕事をさせることになります。

そのうえ、電車のように揺れる場所で画面を眺めると、目が酷使され眼精疲労を引き起こし、自律神経にもダメージを与えるため、脳疲労の蓄積につながってしまうのです。

仕事中:座りっぱなしはNG!1時間に1回は立ち上がろう。

仕事中:座りっぱなしはNG!1時間に1回は立ち上がろう。

仕事が忙しいときは、デスクにずっと座りっぱなしという方もいるでしょう。ですが、同じ場所で同じ姿勢を続けていると、脳疲労が溜まりやすいことがわかっています。同じ姿勢のままだと、脚のつけねの血管とリンパ管が圧迫されて循環が滞り、老廃物の排出が進まなくなることで、疲労が抜けにくくなるのです。

できれば30分に1回、少なくとも1時間に1回は立ち上がって体を動かしましょう。トイレまでほんの短い距離を歩くだけでも十分に効果があります。

同時に水分補給を行うのもおすすめ。長時間座ったままでいると、血流が低下し腎臓でつくられる尿の量も減ります。その結果、老廃物が体内に溜まりやすくなり、疲労がなかなか回復しません。適度に水分を補給して、トイレにこまめに行くことが、脳疲労の防止には有効です。

昼食:1人になれる場所で、落ち着いてゆっくりランチがおすすめ。

昼食:1人になれる場所で、落ち着いてゆっくりランチがおすすめ。

仕事の昼休み、上司や同僚と付き合いという名目で連れ立ってランチに行ったり、反対に忙しくてランチへ行く時間もなく、自席でパッと昼食を済ませたりすることはありませんか?

脳疲労の観点でいえば、昼食は、個室や人の少ない公園のベンチなど、誰にも見られない1人になれる場所で落ち着いてゆっくり食べることがおすすめ。そうすることで、自律神経のモードを交感神経(集中・緊張しているときに優位になる神経)から、副交感神経(リラックスしているときに優位になる神経)に切り替えられるのです。

夕食:鶏むね肉の料理で脳疲労を回復。お酒はレモンサワーか梅酒を1杯まで。

夕食:鶏むね肉の料理で脳疲労を回復。お酒はレモンサワーか梅酒を1杯まで。

脳疲労を回復させるためにおすすめの食材は鶏むね肉。鶏むね肉には、疲労回復に効果があるイミダペプチドという成分が多く含まれています。1日200mgのイミダペプチドを2週間ほどとりつづけると疲労回復効果が出ることが研究で明らかになっており、鶏むね肉100gほどでイミダペプチド200mgを摂取できます。

また、レモンや梅に含まれるクエン酸も、疲労回復に役立つといわれています。1日働いたごほうびに「お酒を飲みたい!」と感じた方は、いつものビールやハイボールを、レモンサワーや梅酒にかえてみるのもよいかもしれません。

入浴:38度~39度のぬるめの湯に胸まで入って温まる。

入浴:38度~39度のぬるめの湯に胸まで入って温まる。

熱いお湯にザブンと浸かると疲れが取れる気がする方もいるでしょう。ですが、42度くらいの熱いお湯に肩まで浸かると、脳が温められてしまい、自律神経の中枢に負担がかかります。

疲れているときは、38度~39度のぬるめのお湯に、汗を軽くかく程度に浸かるのがおすすめ。浸かるお湯の高さを心臓くらいまでにすると、血流もよくなり疲労回復につながります。

就寝時:眠る前は「五感が一致する音」、眠りについたあとは無音。

入浴:38度~39度のぬるめの湯に胸まで入って温まる。

疲れを解消するためには質のよい睡眠が重要。心地よく眠りにつくために、寝る際に波の音やせせらぎの音などの自然音を流すことはありませんか?

ただ実は、眠る前の音を選ぶときのポイントとなるのは「五感が一致するかどうか」。自然音は、リラックス効果があるように感じますが、都市の住宅の寝室で、そこにあるはずがない自然の音が聞こえてくると、人間は無意識に不安を感じてしまいます。快眠を得るためには、視覚、聴覚、嗅覚など五感が一致する安心・安全な空間をつくることが大切です。

もしも都市に住んでいる場合は、換気扇の音や、エアコンや冷蔵庫の作動音など、いわゆるホワイトノイズがおすすめ。動画投稿サイトや音楽配信サービスで検索すると、ホワイトノイズ系の環境音が見つかるので、うまく入眠できないときは試してみてはいかがでしょう。

なお、眠りについたあとは無音が理想です。寝ている間も聴覚は働いているため、耳から余計な刺激を与えると自律神経をむだに働かせてしまいます。

【まとめ】脳疲労、もう放置しない!日々の行動を少しだけでも変えてみよう。

一度溜まってしまった脳疲労を完全に取り除くことは容易ではありません。ですが、日々の行動を少し変えてみるだけでも、脳疲労の回復には効果的です。なかなか回復しない脳疲労に悩まされている方、ぜひ今日からご紹介した回復方法を暮らしに取り入れてみてくださいね。

写真/Getty Images、PIXTA イラスト/こつじゆい


【監修者】梶本 修身 
医師・医学博士。東京疲労・睡眠クリニック院長。2003年より「産官学連携疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」研究統括責任者。著書・監修書に『すべての疲労は脳が原因』(集英社新書)、『ネコさんが教える疲れリセット教室』(学研プラス)など多数。


※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。 
※ 掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。 
※ 記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。

お気に入り
     
キーワード
#健康 #健康管理 #生活習慣 #からだの悩み
最近の記事
寝て終わる休日、どうにかしたいあなたへ。専門家が悩みに回答。 寝て終わる休日、どうにかしたいあなたへ。専門家が悩みに回答。
寝て終わる休日、どうにかしたいあなたへ。専門家が悩みに回答。
投稿日:
#健康
「なんとなく仕事休みたい」でも休めないとき、どうすれば?【医師解説】 「なんとなく仕事休みたい」でも休めないとき、どうすれば?【医師解説】
「なんとなく仕事休みたい」でも休めないとき、どうすれば?【医師解説】
投稿日:
#健康
燃え尽き症候群とは?なりやすい人の“がんばり方”を専門家が解説。 燃え尽き症候群とは?なりやすい人の“がんばり方”を専門家が解説。
燃え尽き症候群とは?なりやすい人の“がんばり方”を専門家が解説。
投稿日:
#健康
投資の勉強、難しい?面倒くさくない?FPが疑問を解消します! 投資の勉強、難しい?面倒くさくない?FPが疑問を解消します!
投資の勉強、難しい?面倒くさくない?FPが疑問を解消します!
投稿日:
#お金
おすすめイベント
【リセバラっ!#4】 新環境でのストレスとその解消方法を学ぶ!【3/8配信】
【リセバラっ!#4】 新環境でのストレスとその解消方法を学ぶ!【3/8配信】
日時: 19:00
場所: オンライン
#健康
【リセバラっ!#3】 寒いこの時期だから知りたい、次の日に疲れ・ストレスを残さない入浴方法を学ぶ!【2/9配信】
【リセバラっ!#3】 寒いこの時期だから知りたい、次の日に疲れ・ストレスを残さない入浴方法を学ぶ!【2/9配信】
日時: 19:00
場所: オンライン
#健康
おすすめキャンペーン
もっと見る
サムネイル_子どもスポーツ能力測定会CP
子どもスポーツ能力測定会の無料受験の権利が当たるキャンペーン!
エントリー期間 :
-
【新規会員限定】カラダととのう!春のうるおいキャンペーン!
【新規会員限定】カラダととのう!春のうるおいキャンペーン!
エントリー期間 :
-
推し活おうえん クイズキャンペーン
推し活おうえん クイズキャンペーン
エントリー期間 :
-
YUMAさんのサイン入り撮り下ろしチェキが当たる!ミラシル会員限定キャンペーン
YUMAさんのサイン入り撮り下ろしチェキが当たる!ミラシル会員限定キャンペーン
エントリー期間 :
-
mirashiru_kaiinntouroku.jpg
ミラシルの会員特典ご紹介!
投稿日:
#人と暮らし
【マンガ】この人と結婚していいですか?〜すれ違いLOVE〜メインビジュアル
【マンガ】この人と結婚していいですか?〜すれ違いLOVE〜
投稿日:
#人と暮らし
大事なパーツ(前編)
大事なパーツ(前編)
投稿日:
#人と暮らし
【イベント開催!】ミラシル×にじさんじ限定オンラインイベント「もっと!マネバラっ!」 12月2日(土)より全4回配信
【アーカイブ配信中!】ミラシル×にじさんじ限定オンラインイベント「もっと!マネバラっ!」 12月2日(土)より全4回配信
投稿日:
#お金