

ラン活はいつから?スケジュールや選び方、気になる疑問を解説。
近年「ラン活」とも呼ばれるランドセル選び。「いつから始めればいいの?」「出遅れたらどうしよう」と思っているママ・パパは多いはず。ラン活は小学校入学準備のメインイベントの1つとなりつつあり、ランドセルのカラーやデザインも非常に豊富で、早くからリサーチをはじめるご家庭も増えてきました。
そこで今回は、一般社団法人 日本鞄協会 ランドセル工業会の会長を務める林州代さんに、ラン活のスケジュールやランドセルの選び方など、ラン活をスムーズに行うためのコツを解説いただきました。
目次
- ラン活って何をするの?
- ラン活はいつからはじめる?
- 子どもにはいつ相談する?ラン活のポイント。
- ラン活「こんなはずじゃ……」よくある失敗談。
- ラン活の気になる疑問。
- 「わが子にとって一番」のランドセルを選ぼう。
ラン活って何をするの?

「ラン活」は、ランドセル選びから購入までの一連の活動を意味する言葉です。基本的には、カタログを集めたり、展示会や店頭に出向いて検討したりといった購買行動で、何か特別なことをしなければいけないといったことはありません。
子どものランドセル選びが「ラン活」と呼ばれるようになったのは、2015年ごろです。職人の手作業でつくられる「工房系」と呼ばれるランドセルが人気を博したことをきっかけに、「ラン活」という言葉が広がっていきました。
「少子化の背景もあり、ランドセルを買ってあげる機会の絶対数が減っているため、ご両親や祖父母の『子ども(孫)に合うランドセルを選んであげたい』という思いも強くなっているのでしょう。以前に比べてランドセルの種類が増えていることもあって、ラン活に力を入れるご家庭が増えているのだと思います」(林さん)
ラン活はいつからはじめる?

実際にラン活はいつ、どのような活動をすればよいのでしょうか。目安となるスケジュールについて解説します。
ラン活のスタートは3月21日(ランドセルの日)が1つの目安。
毎年1月になると、各ランドセルメーカーのカタログが出そろい、3月21日の「ランドセルの日」を目安に、翌年小学校に入学する子ども向けのランドセルが売り場に並びはじめます。
「翌々年に入学する子ども向けのカタログが集まりだす12月や、翌年入学する子ども向けのランドセルが店頭に並びはじめる3月末ごろからランドセルの検討をはじめ、店頭や展示会に足を運ぶ方が多いです。
購入時期は、5月のゴールデンウィークと8月のお盆の時期がピークとなっており、9月の下旬には8割程度の人がラン活を終えています」(林さん)

参考:一般社団法人 日本鞄協会 ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査 2024年」
ラン活を早めにはじめるメリット。
毎年10月ごろから、翌々年に入学する子ども向けのカタログの予約受付がはじまります。早い家庭では、幼稚園年中時代(4歳ごろ)の夏から売り場や展示会などでリサーチする姿も見られます。
「早めにラン活をはじめると、メーカーごとの特徴などランドセルに関する情報をインプットできるので、希望のランドセルをスムーズに購入できるというメリットがあります。また、新作にこだわらないのであれば、前年度の持ち越し品や、型落ちの製品がインターネットなどで安く手に入れられる可能性もあります。」(林さん)
子どもにはいつ相談する?ラン活のポイント。

ここからは、実際にラン活を進めていくうえで注目すべきポイントや、わが子との相談の仕方について紹介します。
ランドセル選びの4つの基準。
ランドセル選びの基準について、林さんは「素材・予算・機能・デザイン」の4点と言います。
素材
ランドセルの素材は主にコードバン(馬革)・牛革・人工皮革の3種類。素材によって質感や重量が異なります。特徴を知ったうえで、実際に手に取ったり、背負ってみたりするとよいでしょう。

予算
ランドセルの価格は2万円台から10万円以上のものまでさまざまです。
「安いから品質が悪いというわけではなく、高級品でも子どもの体にフィットしないということもあり得ます。そのため、大まかな予算を決めてリサーチできるとよいでしょう」(林さん)
なお、ランドセル工業会の調査によると、購入金額の平均は5万9,138円でした。もっともランドセルの種類が多いのもこの価格帯です。

参考:一般社団法人 日本鞄協会 ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査 2024年」
機能
「肩ベルトが立ち上がっている」「背中のクッション材が低反発」「錠前がワンタッチでとめられる」「暗い道でも安心な反射材がついている」など、製品によって快適性や利便性、安全性を重視したさまざまな機能があります。
「防犯ブザーを取り付ける金具がついている製品や、給食袋などがかけられるフックの数や頑丈さを売りにしている製品、内ポケットの数にこだわっている製品など、細かいところを見れば多種多様な機能があります。カタログを見ると、メーカーによって重視しているポイントが異なるので、参考にしながらお子さんにとって必要な機能を検討してみてください」(林さん)
デザイン
子どもにとっては、デザインも重要な要素です。現在はカラー展開が充実しているほか、刺繍が全面に施されているもの、ワンポイントのマークだけのもの、ラインストーンがちりばめられているものなど、さまざまなタイプがあります。
子どもに選ばせるのは、親がある程度候補を絞ってから。
「素材や機能、色ごとに5アイテムくらいをあらかじめ親がセレクトしておくといいでしょう」と林さん。そうすれば、子どもも「自分が選んだ」という納得感を得られます。
「子どもは友達やアニメなどの影響で好みが変わりやすいので、わが子の性格を鑑みつつ、6年間使うことを踏まえて候補を絞るとよいでしょう」(林さん)
実際に展示会や店頭で試着しよう。
ランドセルは6年間背負うものなので、メーカーの展示会や店舗に足を運び、実際に背負ったうえで選ぶことが大切です。
「肩ベルト1つとっても、メーカーによって取り付け方や形・動きの幅・クッション材などが異なるので、背負ってみると違いがよくわかります。試着して、背中にぴったりくっつくランドセルが体型に合ったものです。実際に教科書を入れた重さを知るためにも、1.5㎏くらいの重りを入れて試着することをおすすめします」(林さん)
ラン活「こんなはずじゃ……」よくある失敗談。

ラン活でベストなランドセルを選んだと思っても、購入後や小学校生活がはじまってから後悔する人も少なくありません。
体型に合わなかった。
きちんと試着せずに選んでしまうと、実際に使いはじめてから痛みや過度な重さを感じてしまうことがあります。
「『デザインを優先して購入したら、肩ベルトが狭く、首の部分にあたってしまい、みみず腫れになってしまった』『肩幅が狭くて肩ベルトがずり落ちてしまった』というお子さんも過去にいました。そういう事態を避けるためにも、試着は大切です」(林さん)
学校や自治体指定のカバンがあった。
進学する小学校は学校指定のカバンだった、ランドセル以外のカバンでもよかったというケースもあります。ランドセルを購入したあとで発覚したということがないよう、あらかじめ小学校に問い合わせたり、在校生の保護者から情報を収集しておいたりしましょう。
ラン活の気になる疑問。

そのほか、ラン活に関する気になる疑問について林さんに聞きました。
ラン活に出遅れた!対処法は?
少数しか生産していない一部の製品はすぐに完売になったり、人気の色やブランドの在庫が早い時期になくなったりすることもあります。しかし、多くのメーカーからさまざまなランドセルが発売されているので、焦る必要はありません。
「売れ残っているから品質が悪いというわけではありません。基本的に日本製の製品であれば、6年間安心して使えます」(林さん)
ランドセルのトレンドは?
「ランドセルのトレンドは毎年変化する」と、林さんは話します。そのうえで、近年はくすみカラーの大人っぽいランドセルが多く売れる傾向にあります。
「男子は黒が一番人気ですが、単色ではなくデザイン性のあるものを選んでいるケースも少なくありません。女子はその年のアニメや映画で活躍したお姫様などのイメージカラーが人気になる傾向があります。
機能面では、安全性を重視して反射材がついたものや、タブレット用のポケットがついたものなどが人気です。
また、最近は男の子でも赤いランドセルを購入する子が増えてくるなど、昔ながらの『男子は黒・女子は赤』といった固定観念は通用しない世の中になっています」(林さん)

参考:一般社団法人 日本鞄協会 ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査 2024年」
ランドセル、今も6年間使うのが当たり前?
基本的に日本製のランドセルであれば6年間壊れないので、買い換える人はほとんどいません。また、多くの場合はメーカー各社が6年間保証をつけているため、いざというときには修理に出すことができます。
「万が一、購入したメーカーが廃業しても、ランドセル工業会の認定証があれば、ほかのメーカーで修理することもできます。
そのため、ランドセルが手元に届いたときにはお子さんに『6年間大切に使ってね』と伝えてあげてほしいと思います」(林さん)
軽さを重視してナイロン製のリュックを選ぶのはあり?
「革製のランドセルは重いのでは?」と、より軽いナイロン製のリュックを検討する方もいるかもしれません。しかし、ランドセルは長年子どもたちに使われてきただけあって、通学カバンに求める機能が充実しています。
そのため、単純な軽さだけでナイロン製のリュックを選ぶのは要注意。軽さも含めて必要な機能を十分に検討してみてください。ナイロン製のリュックを購入したものの、肩に痛みを感じて入学後にランドセルを再購入するというケースもあるそうです。
「ランドセルは年々進化しており、今のランドセルは親世代のランドセルと比較して軽くなっています。そのうえ丈夫で、背中の通気性もよく汚れにくい、転んでも頭や背中を守ってくれるなど、130年以上使われ続けてきたランドセルならではの強みがあります」(林さん)

「わが子にとって一番」のランドセルを選ぼう。
ランドセルは基本的に6年間使うものです。色やデザインに目がいきがちですが、ラン活では素材や機能面などもリサーチし、実際に試着をしたうえで、子どもと相談してベストなランドセルの購入を目指しましょう。
写真/PIXTA
【監修者】林 州代
一般社団法人 日本鞄協会 ランドセル工業会会長。株式会社村瀬鞄行 代表取締役。大学卒業後、中学校での4年間の教員生活を経て、実家である株式会社村瀬鞄行に入社。2011年同社の代表取締役に就任。同年ランドセル工業会会長に就任。国内外で安心・安全な日本製の「学習院型ランドセル」のPRに努めている。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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