(後編)Dリーガー・Taichi ケガを乗り越えて自分と向き合えるように。母の喜ぶ顔を胸に、世界を目指す
約半年間、12ラウンドに渡って、ステージ上で熱いショーケースを披露し競い合うダンスのプロリーグであるD.LEAGUE。その21-22シーズンで優勝を果たしたダンスチーム「KOSÉ 8ROCKS」や「九州男児新鮮組」のメンバーとしてポテンシャルと身体能力の高さで大活躍するTaichiさん。インタビュー前編では、D.LEAGUEに参戦されたきっかけやダンスチーム「KOSÉ 8ROCKS」の魅力やメンバーとの関係性について熱く語ってくれました。個人のダンサーとしても世界大会を見据えて挑戦を重ねるTaichiさんですが、2021年に頸椎椎間板ヘルニアを発症。大手術やリハビリを経験し、D.LEAGUE 21-22シーズン途中に復帰しました。後編では、ケガを乗り越えたときの話やオフの日の過ごし方、今後のキャリアなどについてお聞きしました。
(前編)Dリーガー・Taichi仲間との強い絆で掴んだプロダンスリーグ D.LEAGUE “優勝”
ケガからの復帰戦では「完全復帰」を見せつけたかった
―Taichiさんは2021年に頸椎椎間板ヘルニアで手術をしていますよね。ケガをしたときはどのような気持ちでしたか?
頸椎椎間板ヘルニアを発症したとき、僕はそれでもD.LEAGUEのステージに出たいという気持ちが強くて、メンバーやスタッフさんにも思いを伝えました。もちろん、それは現実的ではなく、みんなに半ば説得される形で止められましたね。D.LEAGUEのステージに出られなくなることが決まったときには、目の前が真っ暗になって、練習に行くのも嫌だと思うこともありましたね。
―そこからどのように気持ちを切り替えていったのですか?
「僕なら手術したらまた復活できる」という自信がありました。自分が動けない時間やリハビリに専念している時間にもチームメンバーや他のチームはみんな、練習して、結果を残しているんだと思うと焦りもありましたし、羨ましかったです。でも、その焦りが、自分にとってはプラスになりました。休んでダンスができていなかった分は、人よりも努力して絶対に挽回してやろうという考えになっているので、ケガがあったからこそ頑張れている部分もあると思います。今となっては、ケガの経験は自分にとってプラスの経験になっています。それに、ケガをする前よりも自分の身体と向き合うようにもなりました。ストレッチをしながら、自分の身体とコミュニケーションを取っている感じです。
―ケガでダンスができない期間にやっていたことはありますか?
D.LEAGUEに復帰するまでの間、リハビリはもちろん、ジムで身体づくりをしたり、食事管理をしたり…今まで自分があまりやってこなかったことに取り組みました。それは復帰した今でも継続しています。自分の身体をよく見るようになって、実は、ケガをする前よりも調子が良いんですよ(笑)。
―21-22シーズンで復帰を果たしましたね。復帰戦はいかがでしたか?
復帰戦での作品は僕が構成を考えていたのですが、復帰一発目には、やっぱり完全復活した姿を見せたかったんです。ファンの人たちやお客さんに完全に復活してパワーアップした自分を見せたかった。だから最初に一番難しい技を持ってきました(笑)。ずっと見てきたD.LEAGUE 20-21シーズンのKOSÉ 8ROCKSの良いところも入れたりしながら、ここまでチームのことを考えたのは初めてだってくらいの作品を創りました。「絶対に優勝する!」という気持ちでしたね。
■“サウナ”が唯一ダンスから離れられる場所
―オフの日の過ごし方を教えてください。
アニメが大好きなので、家でアニメを見ています。あとはサウナが大好きなので、ととのっています(笑)。YouTubeを見ることもあるのですが、結局ダンスの動画を見てしまっている…ということもあるので、なかなか完全なオフにはできないですね。サウナ中はダンスのことも完全に忘れてリラックスしています。
―サウナがお好きなんですね!
サウナは気持ちも身体もリフレッシュできるので、疲れたらサウナに行っています。何も考えないでボーっとして、リフレッシュして、次の日練習するというのが、自分の中のルーティーンですね。地方に行ったらその土地で一番有名なサウナに行っています(笑)。
母が背中を押してくれて人生が変わった
―ダンス人生の中で、ターニングポイントになったことはありますか?
ダンス人生…というか、もはや人生のターニングポイントになっちゃうんですけど(笑)。高校を卒業するとき、母と進路について話をしていて。そのとき僕は勉強も好きだったので「大学に行く」と伝えていたんです。
でも母からは、「Taichiが本当にやりたいことは勉強じゃないと思う。ダンスで東京に行っておいで。」と言われて。僕もいろいろ考えて結構悩みました。結局、母が一番喜んでくれることってどんなことだろうって考えたら、やっぱり僕がダンスをしている姿を見てくれているときだったなと思ったので、ダンスをするために東京に行くことを決めました。
母の言葉のおかげで、今でもダンスができていて、D.LEAGUEに出ることができていて、多くのメディアでも取り上げていただいているんだなと思います。
―今後どのようなキャリアを歩みたいですか。
個人としては、今後開催が予定されている世界大会を目指して、そこに一歩でも近づけるように自分らしさをどんどん出していきながら頑張れたらと思っています。また、今はまだダンスを見たことないような方々にも、もっと僕を知っていただく機会を増やしたいなと思っています。ブレイクダンスのソロ大会に出場する予定もあるので、結果を残していきたいです。チームとしては、「KOSÉ 8ROCKS」はもちろん、「九州男児新鮮組」としての活動もしていきたいです。
―最後に、ダンサーを目指している方や目標に向かって頑張っている若者に向けてメッセージをお願いします。
進路を決めるとき、「このままダンスを続けていて大丈夫かな」という不安が僕にもありました。でも、実際にダンスを続けてみて、今、自分の心がとても豊かになっています。皆さんも、ぜひダンスや自分の信じる取り組みを続けていってください!
ここでしか見れないTaichiさんのインタビューの様子をチェック!