

コンビニで高タンパク質食品を入手!日常に取り入れるコツは?【管理栄養士監修】
筋トレブームや健康志向の高まりで、コンビニでも手軽にタンパク質が摂れる食品が増えています。「いつもサラダチキンを選んでしまうけど飽きてきた」「プロテインドリンク以外でも、腹持ちの良い食事でタンパク質を摂りたいけど、何がいいのかわからない」という声も聞きますが、身近なタンパク源の宝庫を活用しないのはもったいない!
ちょっとしたポイントさえ押さえれば、忙しいときでも迷わず高タンパク質食品を選び、手軽に摂取量を増やすことができるんです。
この記事では、コンビニで買える高タンパク質食品とその簡単アレンジや、筋トレ中、あるいはダイエット中の上手な選び方について、コンビニメニューの監修なども手がける管理栄養士の平澤芳恵先生に伺いました。サラダチキン以外の選択肢もチェックして、毎日のタンパク強化を楽しく続けてみませんか?
目次
- 食事にタンパク質を摂り入れよう。
- コンビニで買えるタンパク質を多めに含む食品&簡単アレンジ。
- ここを押さえて、コンビニで食品を選ぼう。
- タンパク質を上手に摂るポイント。
- タンパク質の摂取量、男性は体重×1.5グラムを目安に。
- コンビニを活用して日々の食事を工夫する。
食事にタンパク質を摂り入れよう。
血や筋肉、髪の毛、皮膚、爪や臓器など、私たちの体の部位を形づくっているタンパク質。三大栄養素の1つですが、ごはんやパンなど主食となりやすい炭水化物と比べると、摂取量が少なくなりがちな栄養素です。
タンパク質は体をつくるだけではない?
タンパク質には、体をつくる栄養素としての役割のほか、血糖値の乱高下を防いで食後の眠気やだるさを抑える効果などもあります。また、平澤先生は「メンタルの安定、免疫力の向上にも寄与するといわれているため、働き盛りの人にはぜひ摂ってほしい栄養素」だと話します。
タンパク質は「1食あたり20グラム」が目安。

1日に摂取したいタンパク質の量は、厚生労働省発表の日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、18歳~49歳の男性は65グラム、同年代の女性は50グラム。1食あたり、およそ20グラム前後摂れていればOKです。
身近な食事を例として考えてみましょう。朝食でよく食べるハムエッグは、卵1個とハム1枚でおよそ10グラムのタンパク質が摂れます。これは目安となる20グラムの半分。上の写真のように、卵2個とハム2枚でやっと20グラムです。つまりパンだけ、おにぎりだけの朝食では、タンパク質が不足してしまうのです。
さらに、筋トレなど積極的に運動をしている人は、より多くのタンパク質摂取が推奨されます。男性の場合は体重×1.5グラム~2.0グラム、女性の場合は体重×1.2グラム以上が目安。例えば体重60キログラムの男性なら、1日90グラム~120グラムのタンパク質摂取を目指すことになります。また、体重50キログラムの女性なら、1日約60グラムが目安です。
「1食20グラムなんて余裕!」と思う人もいるかもしれませんが、実はこのハードルは意外と高いもの。おにぎりやうどん、パンだけの食事では難しく、肉類や卵類、大豆食品など、タンパク質が多めに含まれたメニューを意識して追加する必要があります。
タンパク質の動物性と植物性の違い。
タンパク質には、動物性タンパク質と植物性タンパク質があります。動物性タンパク質は、肉や魚介、卵、チーズ・ヨーグルトなどの乳製品に多く含まれます。鉄分やミネラル、ビタミンなどが豊富に含まれ、吸収率が高いのが特徴です。ただ、脂肪が多い食品もあるので、低脂肪のものを選んだり調理法を工夫したりすることが大切です。
植物性タンパク質は、豆腐や納豆、豆乳などの大豆製品に多く含まれます。動物性タンパク質に比べて吸収率は低いものの、脂肪が少なく、イソフラボンやカルシウムなど骨の形成や維持に必要な栄養素も含まれています。動物性と植物性、どちらのタンパク質もそれぞれのメリット・デメリットがあるため、バランスよく摂取することが重要です。
動物性タンパク質 | 植物性タンパク質 | |
タンパク質が多く含まれる主な食べ物 | 肉・魚介・卵・牛乳・チーズ・ヨーグルト | 豆腐・納豆・豆乳・枝豆・そら豆・ピーナッツ・アーモンド |
タンパク質の特徴 | 吸収率が高い 高脂質のものが多い 鉄分・ミネラル・ビタミンが豊富に含まれる | 吸収率が低い 低脂質のものが多い マグネシウム・カルシウム・イソフラボンが豊富に含まれる |
※ 平澤芳恵管理栄養士監修のもと、ミラシル編集部にて作成。
コンビニで買えるタンパク質を多めに含む食品&簡単アレンジ。
コンビニで手軽に買える、タンパク質が多めに含まれた食品とそのアレンジ方法を紹介します。栄養成分表示を確認しながら、自分に合った商品を選んでみましょう。なお、タンパク質の量は日本食品標準成分表(2020年版)に準じています。
サラダチキン
大手コンビニで売られているサラダチキンのほとんどが、1パックでタンパク質を20グラム以上摂取できます(100グラムあたり約24グラム含まれる)。定番のプレーン味に加え、ブラックペッパーや照り焼き味、スティック状やほぐされたものまで種類も豊富です。

プロテインドリンク・プロテインバー
手軽なタンパク質補給に適した商品です。 コンビニで買えるプロテインドリンクには、15グラム前後のタンパク質が含まれるものが多く、カフェオレ味、チョコレート味、バナナ味などバリエーションも豊富。糖質や脂質をカットした商品もあります。チョコレート味などがあるプロテインバーは甘いものが食べたいときにぴったりのおやつになります。

ゆで卵
ゆで卵1個(Lサイズ60グラム)で約8グラムのタンパク質を摂取できます。最近では、個包装の味つき半熟卵や温泉卵なども販売されており、食べ方の幅が広がっています。

魚の加工品(ちくわ・かに風味かまぼこ・缶詰など)
ちくわ1袋(20グラム×5本=100グラム)で約12グラム、かに風味かまぼこ1パック(75グラム)で約9グラム、さば水煮の缶詰は100グラムあたり約21グラムのタンパク質が摂取できます。魚の水煮缶は脂質が気になる人もいるかもしれませんが、平澤先生によると「魚の脂質はDHAやEPAなど良質な脂肪酸を含み、血中のコレステロールを減少させるなどいい効果をもたらすので、気にしすぎなくても大丈夫」とのこと。

ヨーグルト
100グラムあたり約4グラムのタンパク質が含まれ、カルシウムも摂取できます。メニューにタンパク質が足りなかったと思ったら、食後のデザートで追加しましょう。無脂肪、低糖質、トクホ(特定保健用食品)や機能性表示食品に認定されたものなど、健康志向の商品が充実しているのも魅力です。

牛乳・豆乳
コップ1杯(200グラム)あたりのタンパク質は、牛乳・豆乳ともに約7グラム。平澤先生は、「フレーバーがついた甘い調製豆乳よりも、栄養価が高く低カロリーの無調製豆乳がおすすめ」だといいます。豆乳はだしと相性が良く、食物繊維も摂取できるため、鍋物のスープやみそ汁に加えるのもおすすめです。

ここを押さえて、コンビニで食品を選ぼう。

コンビニの食品を上手に組み合わせることで、栄養バランスの良い食事を手軽に用意することができます。ただし、コンビニの食品は塩分が高くなりがちなため、選び方のコツを押さえることが大切です。
基本は、主食(おにぎりなど)、主菜(肉や魚の惣菜)、副菜(サラダや野菜惣菜)を組み合わせること。ただし、やみくもに食べるものを増やすのはNG! これらを選ぶ際は、栄養成分表示をチェックする習慣をつけましょう。
栄養成分表示とは、食品に含まれる栄養成分(タンパク質、脂質、炭水化物など)の量や、エネルギー(カロリー)を表示したもの。多くのコンビニ食品には、パッケージの裏面などに100グラムあたり、または1食あたりの量が明確に記載されています。
栄養成分表示の見方。
タンパク質を意識して食品を選ぶ際は、ただタンパク質の量だけを見るのではなく、ほかの栄養成分もチェックすることが重要です。平澤先生は、特に以下の4つの項目をチェックしてほしいと話します。

コンビニで食品を選ぶ際は、これらの項目を意識して栄養成分表示を確認してみてください。習慣になれば、きっと食品選びの頼もしい味方になってくれますよ。
この食品は注意!
栄養成分表示を見ていくと、思わぬ発見があります。例えば、菓子パンの中でも一見、卵が含まれタンパク質が多そうなフレンチトースト。実際には脂質や糖質が多く、タンパク質は少なめなことが多いです。
また、焼き肉系の商品も要注意。カルビ系は見た目以上に脂質が多いので、ダイエット中は避けたほうが無難です。その点、タン塩は比較的、脂質とタンパク質のバランスが良い選択肢といえます。
このように栄養成分表示をチェックすることで、見た目や印象だけではわからない栄養バランスを知ることができます。最初は少し時間がかかるかもしれませんが、ぜひチラッとでも目を通す習慣をつけてみてくださいね。
タンパク質を上手に摂るポイント。
タンパク質はさまざまな食品から摂取できますが、より効果的な摂り方を心がけましょう。
タンパク質は夜よりも朝に摂ったほうが良い。
夜寝ている間に体内で代謝が行われてタンパク質が消費されているため、朝はしっかりタンパク質を補給しましょう。平澤先生は「夜にまとめて摂るよりも、朝や昼も摂ったほうが筋肉形成の効果が期待できる」といいます。
脂質の過剰摂取に注意。
一般的に揚げ物や丼メニューなどは、タンパク質が多めに含まれる一方で、脂質の過剰摂取につながりやすいため要注意です。体重が気になる人は、できるだけ脂質が少ない植物性タンパク質を意識したメニューや、鶏むね肉やささみといった動物性タンパク質の中でも低脂質の食材を使ったメニューを選ぶと良いでしょう。
タンパク質は野菜と組み合わせて摂る。
野菜とタンパク質を組み合わせたメニューで、野菜に含まれる食物繊維やビタミン、ミネラルも効率よく摂取しましょう。コンビニで買えるものであれば、チキンや卵入りのサラダなどがおすすめです。
タンパク質の摂りすぎに注意。
摂りすぎた過剰なタンパク質は、分解されて窒素になり、アンモニアに変化して尿となって排出されます。タンパク質の過剰摂取が続くと、窒素を尿に分解する過程で働く腎臓に過度の負担がかかり、尿酸値が高くなって痛風や尿路結石の原因になることも。特にプロテインドリンクは飲みやすく過剰摂取につながりやすいため、適量を心がけましょう。
タンパク質の摂取量、男性は体重×1.5グラムを目安に。
最近では、健康維持やダイエットなどを目的にタンパク質を積極的に摂る人が増えています。平澤先生は「ただし、運動と組み合わせるのが原則。運動習慣のある人なら、1日のタンパク質の摂取量を、男性は体重×1.5グラム、女性は体重×1.2グラムを目安にしましょう」といいます。
運動後、30分以内にタンパク質を摂取すると効率的な筋肉形成が期待できます。プロテインドリンクは手軽で役立ちますが、時間に余裕があれば、コンビニで買える高タンパク質食品を組み合わせた食事を用意しておくなど、食事から摂ることをおすすめします。
基礎代謝を上げて太りにくい体をつくる。

安静にしていてもカロリーが消費される「基礎代謝」は、年齢などの同条件下において、筋肉の量に比例します。筋肉の量が多いほど基礎代謝が高くなり、太りにくい体になるのです。
そのため、タンパク質を体型の維持やダイエットに生かすには、十分なタンパク質を摂取しながらウォーキングなどの有酸素運動を行い、できれば筋肉量を増やすトレーニングも取り入れましょう。
1日8,500歩、または週3回の筋トレを。
運動量として、例えばウォーキングの場合、厚生労働省が進める21世紀における国民健康づくり運動「健康日本21(第二次)」の目標によると、男性では1日9,000歩、女性では8,500歩以上が推奨されています。
運動する時間がなかなか取れないという人は、電車やバスを使わず1駅歩いてみたり、階段を使ったりして歩数を増やす工夫を。筋トレなら、まずは週2回~3回、30分程度が目安です。自重でのスクワットなど、無理のない範囲で太ももやおしりなどの大きな筋肉を鍛えることからはじめてみましょう。
参考:厚生労働省「健康日本21(第二次)」(2022年策定)6頁
コンビニを活用して日々の食事を工夫する。
タンパク質への意識が高まっている今、大切なのは「毎食の意識」です。夜だけまとめて摂取するのではなく、朝・昼・晩とバランスよく摂ることを心がけましょう。コンビニには、栄養成分表示から栄養価がわかりやすい商品が豊富にそろっています。この記事で紹介した食品選びのポイントを参考に、無理なく続けられる食事の工夫からはじめてみませんか。
写真/PIXTA イラスト/こつじゆい
【監修者】平澤 芳恵
東京労災病院 治療就労両立支援センター管理栄養士・両立支援コーディネーター。メタボリック症候群予防、働く女性の食生活などをテーマに、企業などで栄養相談や講演を実施。深夜勤務者のための食事選びの研究にも携わっている。新聞や雑誌、病院ホームページなどでさまざまな執筆活動も行う。著書に『カラダにやさしいコンビニごはん100』(小学館)。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
※ 掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。
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