(前編)柏木由紀(AKB48) 体や心と向き合い、がんばりすぎないことで100%の力を発揮。
アイドルグループAKB48の最年長メンバーとして活動する柏木由紀さん。15歳からトップアイドルとして最前線で活躍し続け、様々な経験を経てきた柏木さんですが、2021年6月に脊髄の病気が見つかり、休養を取って治療に専念。7月15日の30歳の誕生日に、無事に仕事復帰を果たしました。病気を経験した今だから思う、体や心と向き合うことの大切さや、闘病生活のなかで心の支えとなったAKB48の存在、これからの働き方などを語っていただきました。
29歳。健康だと信じきっていたなかで病気が見つかった。
――最近はテレビのバラエティ番組で医師役として、病気の意外な原因を究明する役を演じていましたね。
はい。医師役が初めてだったこともあり、とても緊張すると同時に新鮮な体験でした。誰にでも起こり得る病気って意外とあると思うんです。私自身、テレビ番組の企画で受診した人間ドックで「脊髄髄内腫瘍」が見つかりました。とてもめずらしい病気らしく、「まさか自分が?」というのが率直な感想です。当時は歌ったり踊ったり元気に活動していたので、自分が病気だなんていう自覚はまったくありませんでした。
ただ、病気が見つかる1年ほど前から手にしびれを感じていて、実は時々、痛み止めの薬を使っていたんです。ずっと悩まされ続けてきた手のしびれの原因がまさか脊髄にあったとは夢にも思っていなかったので、逆に理由がわかったことで少し気持ちが楽になった部分もありました。
――人間ドックで病気を早期発見できたのがよかったですね。
はい。番組の企画がなかったら受けていなかったかもしれません。自分の場合は一刻を争う状況だったので、偶然とはいえこのタイミングで受診することができて本当によかったです。もしもどこかがいつもと違う感じがするとか、体調が悪いなと感じたときには、体の隅々まで調べてみると、私のように病気が見つかる可能性もあるんですね。年齢にかかわらず人間ドックは受診するほうがいいことも実感しました。
支えになったのは「またみんなとステージに立ちたい!」という気持ち。
――仕事を休むことに不安や焦りはなかったですか?