診断書って何?もらい方や必要になるタイミングなどをわかりやすく解説。
※ 記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※ 文章表現の都合上、生命保険を「保険」と記載している部分があります。
※ 本文中に記載の保険に関する保障の条件は、保険会社によって異なります。詳しくはご加入の保険会社にお問い合わせください。
加入している医療保険の給付金(保険金)の給付申請や、休職・業務調整をする際に、「診断書」の提出を求められることがあります。発行するには病院にお願いする必要があるのはなんとなくわかるけれど、具体的にどうしたらいいのか、初めてのときは戸惑ってしまうもの。
そこで、社会保険労務士で、労働保険・社会保険について情報発信をする西岡秀泰さんに、「診断書」を受け取る際の方法や料金など、疑問のあれこれに回答していただきます。
目次
診断書とはどんな書類か。
診断書とは、診察した医師が患者の病名や症状を記載した書類のことです。各種申請書類にある「医師の証明欄」も、広義には診断書といえるでしょう。
診断書にはどんな内容が書いてある?
診断書には傷病名と経過、治療の内容などが記載されます。ただし、提出先・用途によって、記載しなくてはならない項目が異なります。
たとえば、加入している保険会社へ医療保険の給付金を請求する場合、手術の内容や入院期間などが必要な場合が多いですし、休職のため職場に提出する場合は、病状や就労の可否の記載が必須となります。
診断書はどうやってもらえばいい?
「医師法」第20条に「医師は自ら診察しないで診断書を交付してはならない」との規定があります。診察・治療を受けた病院の窓口で申請をします。なお、本人以外が申請をする場合は、委任状が必要になる場合もあります。
参考:e-Govポータル「医師法」第20条
どのくらいの時間とお金がかかる?
医療機関の窓口で診断書を申請してから受け取るまでの時間は、医療機関によってさまざまです。
1週間程度で書いてくれるところもあれば、1か月以上かかるところもあります。傾向として、小さな病院やクリニックと比べると、大きな病院はある程度の時間がかかるケースが多いです。
費用も病院によって異なり、診断書1通につき2,000円~1万円などとさまざまです。期間や費用が気になるという方は、予約時などに問い合わせてみましょう。
診断書が必要になるタイミング。
診断書が必要となるケースは、大きく「会社への説明」「社会保障制度の申請」「給付金(保険金)給付の申請」に分けられます。
休職など、職場に提出するとき。
病気やケガなどを理由に業務を調整したり、休職をしたりする際、会社から診断書の提出を求められることがあります。
また、逆に「働ける」ことの証明として診断書が必要となるケースもあります。たとえば、「新型コロナウイルスに感染していない」「休職していたけれど、復職可能なまでに治癒した」といった場合です。
診断書は会社にとって、就労可能かどうかを適切に判断するための大切な材料になります。
社会保障制度を利用するとき。
会社員が病気やケガで休業し、無給の場合に健康保険組合などから支給される「傷病手当金」、所定の障害状態に該当した場合に公的年金から支給される「障害年金」など、社会保障制度を利用する際に、必要書類として診断書の提出を求められることがあります。
また、所定の申請書類に「医師の証明欄」が設けられていることも少なくありません。
医師の診断書(医師の証明)が必要な制度と、その具体例(一部)
【健康保険】療養費・海外療養費 | やむをえず自費で受診した場合。海外で現地の病院にかかった場合など |
【健康保険】傷病手当金 | 病気やケガのために働くことができなかった場合など。状況によっては退職後も受給可能。 |
【健康保険】出産育児一時金 | 子どもが生まれたとき |
【健康保険】出産手当金 | 出産のため仕事を休んだとき |
【雇用保険】傷病手当 | 失業保険を受け取って求職中に病気やケガをしたとき |
【国民年金・厚生年金】障害年金 | 病気やケガによって生活や仕事に制限が生じたとき(原則初診日から1年6か月経過後) |
【労災保険】休業(補償)等給付 | 労災事故の療養のため休業し賃金が支払われないとき |
【労災保険】障害(補償)等給付 | 労災事故により所定の障害が残ったとき |
【労災保険】傷病(補償)等年金 | 療養開始から1年6か月経過しても治癒しない場合など |
参考:ハローワーク インターネットサービス「基本手当について」
参考:日本年金機構「障害年金」
参考:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「労災保険給付の概要」
よりミラシル編集部が作成
医療保険の給付金を請求するとき。
入院や手術をして医療保険の給付金を請求するとき、原則として診断書の提出が求められます。加入している保険会社や医療保険の商品によっては、退院証明書や領収書、診療明細書で代用できることもあります。
わからないことがあれば、加入している保険の担当者か相談窓口に問い合わせてみましょう。
診断書をもらうときの注意点。
診断書を書いてもらっても、不備があると申請を受け付けてもらえない、ということもあります。そんなことにならないよう、診断書を依頼するときや受け取ったときに、ちょっとした注意が必要です。
診断書の書式を事前に確認する。
会社に提出するときは、多くの場合で病院(クリニック)独自の書式の診断書でも問題ないでしょう。
一方で、社会保障制度や加入している保険の給付金の申請では、多くの場合で書式が指定されています。
書式が指定されている場合、病院独自の書式で提出しても受理されず、せっかく診断書を書いてもらったのに使えない、ということになりかねません。
診断書の提出を求められたら、まずは、所定の書式があるのか、病院独自の書式でいいのかを確認しましょう。
利用目的や提出先を伝える。
目的や提出先によって、必ず記載すべき項目があります。たとえば、仕事を休職する場合であれば「就労の可否」、加入している医療保険の給付金を請求する場合であれば「手術の有無」や「入院期間」などです。
たいていの医療機関・医師は慣れていますので、なんの目的でどこに提出するのかを事前に伝えておけば、ポイントを押さえて記載してくれるでしょう。
時間に余裕をもって依頼する。
医療機関によっては、診断書の発行に1か月以上かかることもあります。
急ぎで診断書が必要な場合でも、希望どおりの期間に書いてくれるかはわかりません。できるだけ、時間に余裕をもって申請するといいでしょう。
一方で、時間がかかるからといって、あまり急いで病院に依頼すると二度手間になってしまうこともあります。
たとえば入院・手術を終えて、退院直後に診断書をもらい、医療保険の給付金請求をしたところ、しばらくたって再入院し、また診断書が必要になる、といったこともあります。すると、再入院分の給付金申請のために、また診断書を書いてもらうことになります。
診断書の発行にはお金もかかります。事情や状況などに応じて焦らず進めていきましょう。
診断書をもらったら内容をチェックする。
診断書を受け取ったら、必ず内容を確認しましょう。患者(自分)の名前、医療機関名や診療科、医師の名前などに間違いはないか、必要項目が書かれているかどうか、基本項目だけでもチェックしてください。
記載ミスやもれがあると、提出書類として認められない場合もあります。再び、診断書を取るとなると、時間や手間がかかります。
受付窓口で診断書を受け取ったら、その場で開封して記載内容を確認することをおすすめします。
【まとめ】手続きはていねいに。
診断書を出して手続きをすることで、不安なく休業に入れたり、給付金をスムーズに受け取れたり、福祉サービスを受けたりできます。
体調が万全でないときに、準備をしなくてはならないこともあるでしょうが、その先のご自身を支えるものになりますので、焦らず、ていねいに手続きを進めてください。
写真/PIXTA
西岡 秀泰
生命保険会社に25年勤務したあと、社会保険労務士事務所を開業。社会保険労務士として活動するとともに、日本年金機構・年金事務所で年金相談員として勤務。またファイナンシャルプランナー2級の資格を持ち、生命保険・公的年金を中心とした金融全般、人事・労務、マネジメントをテーマに情報を発信している。
※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
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